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星屑の舞踏曲


閉塞された世界
男はそこで考え続ける。
誰もが、ままならない生活を送っている。
そんな事はわかってる
わかってるのに、辛いのは自分だけだと思ってしまう。

自分1人が不幸なわけじゃない
それは理解している。だけど、彼は他人を恨む

恨めば恨むほど
そんな自分を憎らしく思う
「情けない」
「全部他人のせいか」

行き場の無い、想い。
本当に大事な想いはどこに行ったの?

消灯時間が過ぎたあとの空一面に広がる満開の星屑の花畑。
2人で見つめていたね。
ずっと、続くと思ってた。
いつまでも、一緒にいれると思ってた。

大きすぎる愛は彼女を苦しめた。
思えば、僕は彼女にいつも笑顔しか見せていなかった気がした。
彼女は、本当の僕を見たかったんだろう。
僕は、彼女の事を何だと思っていたんだろう。

僕が君に言った、言葉は全て君を喜ばす言葉。
君は嬉しそうだけど、今思えばどこか寂しそうだった。
彼女は、僕の本当の声を聞きたかったのか…?
僕はいつも、体のいい言葉を並べていた。

愛情が大きくなればなるほど、それは枷となって彼女を苦しめた。
いつしか、愛情は一方通行となる。
恋は盲目。男はそれに気づかず。
それがまた、彼女を苦しめる。

時計は今日も廻り続ける…
時計の針を戻そうとも、過去には戻れない…

この部屋で静かに微笑んでくれた君はもう…いないんだね…
ねじれて、ちきれて、塵となった思い出は
僕を過去に縛り付けて、未来に歩む事を邪魔する。

頭に浮かぶのは幸せな未来のヴィジョン。
叶うはずも無い、幻想のヴィジョン。
それが僕をここに縛り付ける…

君は、僕に言葉にしない優しさもあると教えてくれた
僕は、形のある物でしかソレを確認できなかった
君に教えられたはずなのに…どうしてできなかったんだろう。

せめて、夢の中だけでは幸せに。
目を瞑れば、浮かぶのは君の笑顔。
それが段々とモノクロになり、割れ、砕け散る。
幸せな夢は悪夢に変わる。

この悲しみは忘れられない…
忘れる事なんて…できない…
君を忘れられない…

月明かりに照らされた彼女との思い出。
月光は冷たく笑う。
静かにイスに座り、戻れない過去に意識を飛ばす男。

僕は自分の事だけしか守れなかった
君の痛みも何もかもわかってたつもりだった
でも、全然わかっていなかった
形のあるものにだけにこだわって本質を見てはいなかった

どうして僕はこんなに無力なんだろう
どうして僕はこんなに馬鹿なんだろう
どうして僕はこんなに泣いているんだ…

月光が、彼を照らした。
顔を上げる、そして、彼が見たのは。

いつか、見た満開の星屑の花畑。
あの時と同じ、懸命に光る星たちの命の煌き。

立ち止まるな。諦めるにはまだ早すぎるだろ。
諦めるのは最後の最後の最後でいい。
まだ、きっと間に合うさ。

男は、外に飛び出した。
夜の街を走る、行く先もわからず。
ただ、彼女を探して。

辿りついた、いつか来た場所。
星空はあの時と同じ、月光はスポットライト。
男は、手を伸ばす。
君はその手をゆっくりと取り、何も言わずに小躍り。
夢かリアルか、そんなものどうでもいい。
月光の舞踏曲は続く。

君と一緒に満開の花園へ。空に唄おう。
望んだ事を違えど、僕が君を愛した事だけは代わりの無い事実です。
君を苦しめたのは僕の罪。永遠に消し去る事はできないでしょう。
ただ、今だけは、こうして僕と踊り続けて下さい。
せめて、この瞬間だけは幸せな時を。
星は煌きを増し、月光は闇夜の世界に2人を照らす。
それは、男にとって、最高の時だった。




気づけば、男は部屋に倒れていた。
窓からは朝日が覗いていた。

「短い間だったけど、僕を愛してくれてありがとう
 そして、僕は君を愛せて本当によかったです。
 僕の愛は君を苦しめただけでしたが、
 それでも、精一杯それを受け止めてくれて、本当にありがとう。
 星屑の花畑の思い出を、君と過ごした全ての思い出を。
 僕は忘れません。僕はこの恋をいつまでも忘れません。
 人は皆、誰かのために生まれてきたと思っています。
 そして、自分のために泣くんだと思ってます。
 僕が君のために生まれたのか、そうでないかはもうわかりません。
 もう、愛の続きは見れないけれど。
 僕は、やっと気づきました。
 君の痛みに、やっと気がつきました。
 本当にごめんなさい。そして、さようなら…」

男は、手紙をポストに入れる。

街は朝日を浴びて、ざわめきが聞こえ出す。
にぎわいだした、街の中
もう、とうに出尽くしたはずの涙を流しながら、歩き出す男。

「久しぶりに掃除をしよう…
 カーテンを開けて、空気を入れ替えよう
 その後、そうだな…おいしい物でも食べにいこうかな…」

そう、呟いて。
男は家路を急いだ。




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最終更新:2009年11月01日 01:10