1章1節【リベラ・メ、強奪】
~遥かなる決意の塔~
俺「遥かなる決意の塔…」
剣「…久しぶりだな」
俺「…お前もいるのかよ」
剣「僕は立会人だ」
俺「そうかよ」
剣「…トンカツ様は、死んだ」
俺「はぁ?」
剣「まぁ色々と病気でな
小川は、あの時の事件のせいだと思い込んでるがな」
俺「…小川の目的は…?」
剣「それは、本人に聞けばいい」
俺「…案内、してもらおうか」
剣「フッ…」
~遥かなる決意の塔 最上階~
祭壇の前に、座り込む男がいた
…小川。
俺「0時ジャスト」
剣「連れてきたぞ」
小「久しぶりだな、ゆき兄」
俺「約1年ぶりか」
小「そうだな」
俺「手紙の真意を聞こうか、答え次第によっては…」
剣に手をかける
小「…トンカツ様が死んだのは、知っているか?」
俺「ああ、今聞いた…まぁ…何だ…残念だったな」
小「残念だった?」
小川の目がカッと見開かれる。
その目は憎悪に満ちていた。
小「あの時、お前は彼女の復活だけは心から望まなかったんだろ!
だから、彼女は死んだんだろう!そうなんだろう!!」
俺「お門違いだ、あの乱での傷は皆完全回復した」
小「嘘をつくな!!」
剣「…」
俺「目的は何なんだ」
小「復活だ、彼女の」
俺「死んだ人は、生き返らない」
小「いいや、生き返るさ」
剣「リベラ・メを渡してもらおうか」
小川の目が、俺の剣に向けられる
俺「これは、リベラ・メだけどリベラ・メじゃない
形だけ似せられて作られたレプリカだ
本物のような、想いを力に変える能力は無い」
剣「想いが奇跡を起こすのは前回、証明されている」
小「見せてやるよ、俺の想いを」
剣「リベラ・メは想いを形にする神具」
小「…そしてこの塔は、決意を確かなる形に具現する地」
俺「…この塔がいつ出来たから知らない
だけど、決意を具現できた例は1度も存在しない」
小「…できるさ…!今の俺なら…!!」
俺「…!?」
周りの空気が変わった
空気全てが熱を帯びたような灼熱の空気が周りを取り囲んだ
俺「…これは」
剣「小川の決意さ」
俺「…まさか、そこまでの覚悟があるって言うのか…?」
熱気が収束する
光の粒子は小川の手に形を作る
小「見ろよ…ゆき兄ぃぃ…」
俺「…これはッ!?…リベラ・メ!!?」
小川の手には、確かにあった。
リベラ・メが。
小「はははははははッ!!」
俺「リベラ・メを再構築した…?」
剣「小川の決意だよ」
俺「…そこまで…」
小「さて」
リベラ・メの切っ先が喉元に当てられる
小「リベラ・メに新たに選ばれた所有者である俺の最初の獲物は、お前だよ」
俺「…そう簡単に使いこなせるほど、リベラ・メは甘くねぇよ」
小「使いこなしてやるさッ!」
キィンと音が響きあう
小「剣!手を出すなよ!!」
剣「承知」
俺「1度はリベラ・メに選ばれた俺を…そう簡単に殺れると思うなよ」
小「リベラ・メという物をお前は本当にわかっているのか?」
俺「なんだと?」
小「俺はずっと、文献などを当たってリベラ・メの研究をし続けた」
俺「…」
小「選ばれただけで満足していた、お前とは違うッ!
俺は誰よりもリベラ・メを使いこなすッ!」
リベラ・メの刀身が歪む
俺「何だ!?」
小「そもそも、お前は…リベラ・メが剣の形しかないと思ってたのか」
俺「リベラ・メは…剣じゃない?」
小「お前はリベラ・メが剣だという考えに捕らわれていたんだよ」
小「リベラ・メはな、使用者の想いに反応して形状を変える
そして、使用者の思念によって繰り出せる技だって変わる」
リベラ・メが光に分解され
瞬時に再構築される
小「神銃リベラ・メ」
俺「銃!?馬鹿なッ!?」
小「愚かな亡者を黄泉路へと誘う、死神の弾丸
魔弾【黄泉平坂】」
リベラ・メから放たれた黒色の弾丸
周囲のものを巻き込みつつ、敵を葬りさるために襲い掛かる
俺「くっ!」
小「無駄だよ」
レプリカのリベラ・メは死神の刃によって砕かれる
そして、死神の刃は、その使用者を、貫いた
俺「が…」
その場に、倒れこむ
小「…」
剣「終わったか」
小「あとは彼女を復活させるだけだ」
剣「殺さないといけないというのは面倒だったな
こちらとしてはリベラ・メが手に入ればそれで問題なかったのだが」
小「リベラ・メは本来、継承の儀によって次の使用者に渡される
が、どの代からは知らないが、継承の儀が行われずに使用者の交代が起こった事があった」
剣「そして、リベラ・メはある場所に封印された」
小「ゆき兄がリベラ・メを見つけた時
前の代の所有者が剣としてリベラ・メと使っていた」
剣「それ故に、ゆき兄はリベラ・メを剣と思い込んで形状変化させる事ができなかったと言う事か」
小「更に、継承の儀が行われておらず先代使用者が生きている状態だと
先代使用者の念がリベラ・メに干渉して、思い通りに操れない状態が起こりうる」
剣「だから、ゆき兄を消し去る必要があったというのか」
小「ああ」
剣「…それで、彼女の復活は…」
小「…」
リベラ・メがカタカタと震える
だが、しばらくして振動は止まった
小「何だ…?」
剣「どうした?」
小「…!!ゆき兄は!!?」
剣「ッ!いない!逃げたか!?」
小「…まぁいい…あいつはそのうち死ぬ
それより、今気づいたがもう1つ問題が…」
~忘却の森~
俺「…げほっ…ごほっ…」
き「大丈夫?」
俺「…一種の毒か…魔弾【黄泉平坂】…体内に撃ち込まれた怨念…」
き「…死んじゃうの?」
俺「…撃ち込まれたのは…殺意の想いの弾丸…
なら…それを越える…生きようとする想いがあれば…」
き「死んだら嫌だよ?」
俺「…死なないさ…死ぬわけには…ぐッ!げほっ…がぁッ…!」
口から、大量の血が流れ出る
零れていく命を、止める事が出来ない
体内で、怨念という死神が命の華を刈り取っていくのが感じ取れる
俺「…死なない…死ぬわけに…は…」
死神よ
刈りたければ、いくらでも刈りやがれ
全て刈り取られ、何も無くなって
お前が去った後
そこに残ったたった1つの種で
俺はまた命の華を咲かせてやる
いや、今はそれよりも
き「ゆうくん?」
俺「…伝えなくちゃ…皆に…」
き「皆?」
俺「小川の目的が…リベラ・メの完全制御…
つまり、リベラ・メの唯一無二の使用者になるという事なら…
リベラ・メに込められた想いの全てをリセットするというのなら…
あいつは…必ず…ぐ…ごほっ…!げほっ!!」
き「無理しちゃ駄目だから!」
俺「ち、く…しょ…」
き「ゆうくん!ゆうくん!?」
~狂熱の残骸(元、ゆき兄キャッスル)~
え「懐かしいな」
神「ああ、これ、あの時の血の染みじゃね?」
天「よぉ、久しぶり」
え「お、天君だ」
神「天君も届いたのか」
黒「…」
天「お、黒だ」
え「手紙か?」
黒「…(こく)」
ピ「ちいす」
神「お、ピュア君も来た」
ピ「皆も手紙が?」
天「ああ」
神「他の皆は…来るかな」
黒「…この手紙…の真意は…何だろう…」
神「さぁね」
【あれから、もう1年が立ちます。
あの日の、あの場所で、あの城で今宵、待っている。】
~忘却の森~
木の小屋でうなだれるように簡素な椅子に座ってる奴がいた
思いつめるような顔で
高「…」
高「ゆき兄は?」
き「寝てるよ」
高「…小川がリベラ・メに選ばれたとはな…
しかも、それでゆき兄がやられるなんて」
き「…」
高「…ごめん、そんなつもりじゃなかった」
き「うん、大丈夫」
高「大丈夫だよ、あいつはしぶといから」
き「そうだね…ところで、今日は何で突然ここに?」
高「ん、いや。手紙が届いてね」
き「手紙?」
高「ああ、ゆき兄から手紙が来てね、コレなんだけど」
き「あの城で待っている…」
高「楽しみにしてたんだろうな…
皆に合うのを…こんな状況になってるとは思わなかったな
どうせ遅刻するだろうと思って、迎えに来て正解だった」
き「ちょっと待って、ゆうくん手紙なんか出してないよ?」
高「え?」
き「確かに皆に伝える事があるって言ってたけど
手紙なんか書いてなかったよ
倒れてからずっと寝てるし…」
高「じゃあ…この手紙は…?」
俺「はぁ…はぁ…小川だ…!」
高「!? お前、起きて大丈夫なのか!!」
き「寝てたんじゃ!?」
俺「高橋…今すぐ…あの城に…行ってくれ…!!
皆が危ない…ごぶっ!」
高「お前の身体のほうが危ねぇよ!
皆が危ないってどういう事だよ!」
俺「小川の狙いは…!あの時に!
俺が命を使って生き返らせた13人…!」
き「え?」
俺「高橋…行ってくれ…!」
高「わかった!」
俺「あ…そうだ…」
高「ん?」
俺「この連絡先の奴らに事情を話せば手伝ってくれるはずだ…」
高「誰だ…?」
俺「仲間だ…」
高「わかった!ゆき兄も死ぬなよ!」
高橋は走り出した
そして、姿が見えなくなった
き「ゆうくん、大丈夫なの?」
俺「…ッ!」
─ドクン-
き「ゆうくん?」
─ドクン-ドクン-ドクン-
き「ゆうくん!?」
─ブシュッ─
.
最終更新:2009年11月01日 02:01