1章4節【仮面、暗躍】
~白燐の森・奥地~
ち「にょろーん…」
大木の下で遊んでいる子がいた
ち「透君、帰って来ないっさ…
折角大きいクワガタを捕まえたのにっさ…」
いじけるように、クワガタを地面に放す
ガサッと音がした
ち「透君おかえりっさ!」
仮「はい、残念。透君じゃないんだな、コレが」
ち「にょろーん…誰っさ?そのお面暑くないのかっさ?」
仮「仮面って呼んでくれればいいよ、
これは別に暑くないんだよ」
ち「ふーん」
ちゅるやさんは仮面の男の周りをくるくると回りだした
ち「暑そうな格好っさ」
仮「ううん?そうでもないんだよ」
ち「ふーん…でも僕はたぶん暑くて絶対無理っさ」
仮「ふふ、そうだね」
ち「ところで、仮面さッ…」
ちゅるやさんの胸には剣が刺し込まれていた
仮面の下の目が笑っていた
ち「…透君…」
ドサリと、ちゅるやさんはその場に倒れた
血、流れ落ちる血は止められない
仮面の男は、指先で血に触れた。
仮「…」
後方から、足を引きずってくる者がいた
透「ちゅる…や…さ…」
仮「…おやおや、意外と早かったね」
透「な…?」
透過の目に映った光景
血を流し、倒れてるちゅるやさん
その傍に佇む、剣から血を滴らせている仮面の男
透「あ…あ…」
仮「ああ、ごめんごめん」
仮面の男は歩き出した
透過の横をすり抜けて
仮「もう、用は済んだから、ごゆっくり」
透「…うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
透過の金属バットが仮面に向かって振り下ろされる
それを片手の剣で受け止める仮面
仮「怪我してるのに、よくそこまでの力を出せるな?」
透「殺してやる!殺してやる!!」
仮「やれやれ…」
透「ああああああ!!」
仮「右足だっけ?」
仮面が透過の右足を思いっきり蹴り飛ばした
透「がぁぁぁッ!!」
激痛に倒れこむ透過
仮「右肩」
グリグリと右肩を踏みつける仮面
透「うぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
仮「…全く、怪我が治れば面白くなりそうなのにな」
透「殺してやる…!殺してやる…!」
仮「何でこう上手くいかないか…」
仮「まぁしょうがないか…透過…だっけ?
君、もう寝てていいよ」
仮面は、剣の切っ先を透過の胸に押し当てた
透「ぐ…!」
仮「バイバイ」
透「ちくしょおおおおおおおお!!!」
だけど、剣はいつまでたってもそのままだった
剣が胸を貫く、感覚はこなかった
透「…?」
仮「が…ぁ…!」
透「何…だ?」
仮「く…そ…!まだ…!」
仮面は頭を抑えながらふらふらと森の中に消えていった
後には透過とちゅるやさんだけが取り残された
透「…ちゅるやさん!」
ち「…にょろ…」
透「まだ息がある…!」
必死で、ちゅるやさんに応急処置を施す透過
透「くそ…!誰か…医者か誰かに見せないと…!!」
白燐が、降り注いでいた
~忘却の森~
ゆ「おいおい、何だよこりゃ…」
誰もいない、小屋にゆきがいた
ゆ「たまに帰ってきたら誰もいないのか…」
ゆ「しかし、何だこのグチャグチャな部屋は…ここだけ台風でも来たのか?」
部屋内は、ありとあらゆる物が散乱している
壁も部分的に破壊されたりと大変な状態になっていた
ゆ「…しかし、うちのバカがいないのはともかくとして…
何で、きのこさんまでいないんだ?」
何気なく机の上を見ると一通の手紙があった
ゆ「んー?…皆、城か…?」
てけてけとゆきは城に向かって歩き出した
~狂熱の残骸~
き「いない…」
きのこさんが瓦礫の山にへたり込む
き「ゆうくん…」
た「おやおや、こんな所で1人で泣いてどうされたのですか?」
き「うわっ!」
た「これは失礼しました、驚かすつもりは無かったんですけどね」
き「…誰?」
た「たまゆらと言います」
き「はぁ…」
た「それより、何を泣いていたんですか?
よかったら、話してみません?」
き「えっと…知り合いがいなくなっちゃって…探してて…」
た「…ああ、なるほど、そういう事ですか」
き「何か知ってるんですかー?」
た「…仮面…」
き「え?」
た「1つヒントをあげましょう
その知り合い…会いたければ仮面を追うといいでしょう」
き「仮面?」
た「ええ、仮面」
き「仮面…」
た「もう1つヒントを」
き「…?」
た「剣に注目して下さい」
き「え?」
た「では、私はこれで」
き「あ、待って!!」
ヒュっと風が吹いた
たまゆらの姿はもうどこにも無かった
ゆ「おーい」
き「あ、ゆきちー」
ゆ「お!きのこさんだぁー!」
き「ゆきちー…ゆうくんが…」
ゆ「ん?あの馬鹿が今度は何した?」
き「いなくなっちゃったんだよ…」
ゆ「え?」
き「胸からいきなり大量の血が吹き出て…
お医者さんを呼びにいって帰ってきたら部屋がボロボロになってて」
ゆ「で、いなくなった?」
き「うん…」
ゆ「…わかった、とりあえず一緒に探そう、きのこさん」
きのこさんとゆきの遥か後方
た「…種は撒いた、後は花が咲くのを待つだけだ」
たまゆらは懐から何かを取り出した
た「さて、私も動きましょうか」
取り出したのは、仮面。
黒い、仮面。
~憤慨の台地~
天「全く…」
高「手間はかかったが、しょせん機械だな」
え「解縛した俺らの敵じゃないな」
神「しょうがないよな…今回はな」
天「解縛しなきゃ俺達がやられてたよな」
外「解縛か…俺はゆき兄に縛呪された後に
すぐに解縛したんだよな」
高「全く、お前は…」
神「まぁこれで新世代とも互角以上に渡り合えるな」
天「…これからどうするんだ?」
高「ピュア君と黒と腹筋と合流するか」
天「小川の目的に腹筋と外道があるなら」
高「ああ、強いと言っても2人だ」
神「解縛した俺達が一斉にかかれば勝機はあるな」
高「とりあえず合流地点に向かうか…」
え「解縛…」
~回想-1年前-ゆき兄キャッスル玉座~
え「封印?」
俺「ああ」
外「必要無い」
俺「あるさ」
剣「どんな?」
俺「まだ気づいてないだろ、リベラ・メの力に」
外「強い力を封じる意味がどこにある」
俺「強すぎる力は己を蝕み、食らう」
小「俺達が、力に溺れると?」
俺「力に善悪は無い」
俺「正義の力でも、使いようによっては悪となる」
俺「そしてその逆もある」
ト「道理ね」
俺「リベラ・メの力は人には強すぎる」
俺「神具として強すぎる力、それは容易に人の心を魅了する」
黒「ふむ」
俺「…封印は別に強制しない」
剣「僕はいい」
小「俺もだ」
ト「私もいいわよ、力に溺れたりはしないわ」
俺「そうか…」
ト「この子たちが力に溺れそうになったら私が止めるわ」
俺「いまいち、信用し難いが…まぁいいだろう」
高「…この封印、一生解けないのか?」
俺「…いや」
俺「封印解除…解縛のやり方を教えとくよ」
俺「だけど、約束だ」
俺「本当に力を解放しなきゃいけないときまで…
いや、できれば一生…解縛はしないで欲しい」
腹「どうしてそこまで?」
俺「リベラ・メの力は、人が持つには過ぎたる力だから
正統継承者の俺だからわかる事もあるんだ…」
俺「それと」
俺「もし、なんらかの理由で解縛して、その結果力に溺れて
力を悪意のままに使うような事があれば…」
俺「俺が、殺しに行く」
玉座が沈黙に包まれる
皆、それがただの脅しじゃ無いことが理解できた
~憤慨の台地~
え「…あれほどゆき兄に釘を刺された解縛使っちまったなー」
高「大丈夫だ」
天「少なくとも、俺達はまだ力に溺れて無い」
神「そうだな、この力は…守るために振るえばいい」
外「俺は…」
高「お前も大丈夫だよ」
外「え?」
高「間違って使わないように1年前の自戒の意味も込めて
ここにこうして住んでいたんだよな」
神「間違って使ってたら今頃ゆき兄に殺されてるしねー」
天「ゆき兄が言った、本当に力を解放しなきゃいけない時」
え「俺は、それが今日だったんだと思うな」
神「今、思えばもっと早く解縛してもよかった気がすっけどなw」
高「それよりも早く合流地点に行こう」
え「よっしゃあー!旧戒名組フルチャージでいくぜ!」
~隠者の小屋~
雷「ちくしょぉ…」
夜「何でいきなりあいつら強くなったんだ…」
桃「大変だったんだねー」
姫「あたし、来なかったらやられてたよ?」
ス「解縛…か、1年前に関係が?」
雷「とにかく…このままじゃ勝てない…」
夜「もっと…もっと何か力を…」
ス「…」
仮「力がお望みですか?」
桃「!?」
雷「誰だッ!!」
夜「いつの間に!?」
ス「微塵も気配を感じなかった…センサーにも反応が無い…?」
姫「何者?」
仮面はクスクスと笑った
仮「これは失礼、驚かすつもりは無かったのですけどね」
雷「敵か?」
仮「いえ…どちらかと言うと味方ですかね」
ス「味方?」
仮「ええ、彼らの強さについて教えてあげようと思いまして」
雷「…」
仮「彼らはですね、1年前の事件の後に力を封印されたんです」
夜「封印?」
仮「ええ、ゆき兄さんが封印を施したのです」
姫「何で?」
仮「彼らの身体に注ぎ込まれたリベラ・メの力を抑えるためですね」
ス「ちょっと待て、奴らのリベラ・メの力の破片は小川がすでに回収していたんだぞ
いまさら封印を解いたからと言って…」
仮「ええ、そうですね
ですが…1年もの時間が経過しているのですよ」
姫「??」
仮「つまり、完全に身体と同化した部分もあるという事ですよ
魂とリベラ・メの力が癒着してるんですね」
ス「その原理だと、小川が全員を斬ってもリベラ・メは完全には元には戻らないはずだが…?」
仮「ええ、ですが万物には元の状態へと、自分が1番安心する状態に戻ろうする本能があります
少し違うような気もしますが…動物の帰巣本能…回帰性に近い物でしょうか
そして、それは神具リベラ・メにもあるんです」
ス「リベラ・メ自体が元に戻りたがっていると?」
仮「はい、ですからリベラ・メは復活の際にその隙間を埋める力を…
おっと、話が逸れましたね」
雷「そんなのはどうでもいいんだよ!
あいつらを倒す方法は無いのかよ!!」
仮「あります」
雷「教えろ!!」
仮「ええ、そのために私が来たのです」
ス「…」
仮「彼らの中にある、魂と癒着したリベラ・メの力を…
そうですね、リベラ・メ因子としましょう」
夜「そんなのはどうでもいいんだってば!!」
仮「まぁまぁ、落ち着いて
いいですか?彼らがリベラ・メ因子で力をつけたなら
君達もリベラ・メ因子を得ればいいのです」
ス「…可能なのか?」
仮「ええ」
仮面は、懐から冷たく光る結晶を取り出した
仮「これは、リベラ・メの力の結晶です」
雷「…」
仮「これを飲み込めば、リベラ・メ因子を体内に取り込む事が可能です」
仮面は、机の上に5個の結晶を置いた
仮「人数分ここに置いておきますね
飲むか飲まないのは自由です。
必要無ければ捨ててもらってもかまいません」
桃「…」
仮「ですが」
仮面の奥の目が笑う
仮「これを飲まなければ、貴方達は彼らには勝てないでしょう…」
雷「!」
仮「では、私はこれで…」
ス「ちょっとまっ…」
仮面は、足早に小屋から立ち去っていった
残された5人を、結晶の光が照らしていた
仮「…干渉はこのぐらいにしておくか…
面白い展開を期待してますよ、新世代」
仮面に手をかけ、外す
た「さて、あちらに戻るとしますか。全く忙しい。」
~???~
俺「はぁっ…!ぐぅぁぁああ……!」
??「死ぬ気か?」
俺「黙れ…!」
??「暴れれば、暴れるほど
もがけば、もがくほど」
俺「黙れッ!」
??「お前は、堕ちる」
俺「…ぐぅあ…ッ!…あぁあああ…!」
??「1度、血に染まった身は2度と戻る事は無い」
俺「がぁッ…!ぁ…!」
??「楽になれ」
俺「あぁッ!あっ…がぁ…ああああ…!」
??「お前の仲間は、互いに殺し合い食らう」
??「辛い?苦しい?悲しい?憎らしい?」
俺「やめろッ…!」
??「大丈夫…大丈夫さ…」
俺「がぁぁあぁぁぁぁぁぁ…!」
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最終更新:2009年11月01日 02:06