2章4節【仮面、最狂】
仮「やめろ、天使ども」
響いたその声に、3人の動きが止まる
高「…誰だ…」
仮「仮面」
天「…?」
仮面は、ゆっくりと外道に近づく
仮「返してもらう」
外「な?ゴフッ!!!!!!」
何事も無く、剣を腹に突き刺した
高「外道ォォォォォォォ!!!!」
仮「~♪」
剣の柄を足で踏み
さらに、傷口をえぐる仮面
外「が…は…」
仮「はい、回収完了っと」
剣を抜き、血をはらう
仮「さて、次はー…」
仮面は、3人を見た
仮「…ああ、いいね、透過よりもいいかもしれない」
仮面の両手が煙のようにぼやけていく
その手をスイカの胸に突きこんだ
ス「ご…あ…」
仮「まず、1個」
スイカは苦しそうに顔を歪めるが抵抗はしない
ズルッと結晶を引き出す
そしてそれをポケットにしまいこむ
ス「あ…」
ドサリとスイカはその場に倒れこむ
仮「はいはい、それじゃ後2つも回収回収っと」
スイカと同じように
桃花、舞姫の身体からも結晶を抜き去る
そして、2人もその場に倒れた
同時に高橋たちの呪縛が解かれる
高「おい!外道!外道!!」
天「お前…何者なんだ…」
仮「仮面だってば」
え「何だか知らないが外道にここまでやっといてただで帰れると思うなよ?」
神「そのフザけた仮面引っぺがしてやるぜ!!」
仮「あ~、いいぜいいぜ、来いよ
けっこー面白そうだな」
4人は仮面を取り囲む
高「外道!待ってろ、こいつをぶっ倒してすぐ医者に見せてやる!」
仮「お前が俺をぶっ倒すねー…」
え「調子に乗るなぁああああああ!!」
えび助は仮面に斬りかかる
仮面の姿が、フッと消えた
全員「え?」
誰もが、目を疑った
仮面の姿が、突然消えたのだ
高「どこに…!?」
仮「めんどうだから、まとめてやってやるよ」
天「上!?」
4人の遥か上空に、仮面はいた
黒い剣を構えて
仮「さぁ、行くよ」
高「皆!気をつけろ!」
仮面は、剣を高速で回転させる
剣は、次第に赤くなり、火炎を纏う
仮「まだまだぁ…!」
火炎は更に増大する
それはもはや全てを焼き尽くす獄炎
獄炎は火炎を撒き散らす
そして、獄炎は刀身となり強大なリーチの炎剣となる
真下は、まさに灼熱地獄だった
高「くそ…熱ッ!熱ッ!」
天「炎が…落ちてくる!」
仮「よし、もういいか」
え「え?」
トスッと軽く落ちてきた仮面
仮「…謳え…偉大なる王の裁きをその身に受けて…
獄炎によって裁かれろ…
ドゥム・ヴェネリス・ユディカレ…」
高「なッ!?」
神「その技はッ!?」
獄炎によって飛び道具以上のリーチを有した剣を縦横無尽に振り回す仮面
正面、背後、右、左、真上。
どこにも逃げ場は無かった
そして、仮面は飛び上がる
仮「終わりだ…灼熱をその身に受けろ
セクルム・ペリーニェム…!」
回転させた獄炎の剣をそのまま床に叩きつけた
剣は、灼熱を辺り一面に撒き散らした
全員「うああああああああああああああああああ!!!」
仮「あ~、いいねぇ
もっと、もっと謳ってくれよ」
剣から放たれる灼熱が無くなった頃
ゆっくりと地面に降りてきた仮面
辺りでは、至るところに炎が燃えていた
そして、灼熱によりボロボロになった4人
仮「何だ、つまらない」
高「な…ぜ…」
仮「お?」
高「なぜ…その…技を…お前が!?」
仮「さ~?何でかな~?」
高「お前が…ゆき兄を…?」
仮「間違っては無いが、かといって正解でもない」
高「…う…」
仮「おやすみ」
仮面はその場に座り込んだ
仮「眠くなった」
そのまま仮面はピクリとも動かなくなった
しばらくして、城に飛び込んで来た者が2人
ゆ「おいおい…何だよこりゃ…」
き「爆弾でも落ちたのかな?」
ゆきは小川との戦いの後
走って城に向かっていたきのこさんに合流
そのまま城へと2人で来たのだが…
あらゆるものが散乱し、炎がいたる所で燃えている城は
平穏とは程遠いものだった
ゆ「おいおい…高橋…えび助…天下に…神楽…外道もか
全員、凄い傷だぞ…」
き「こっちにも3人倒れてるよ」
ゆ「一体、何があったってんだよ…」
き「あれ?この人は?」
きのこさんが、座り込んでいる男に駆け寄った
き「もしもーし…うわッ!!!」
ゆ「どうしたきのこさんッ!!」
き「…仮面…?」
ゆ「え?」
仮「…ん?」
ゆ「…仮面!?てめぇ!」
仮面はゆっくり立ち上がると背伸びをした
仮「ん~~~…」
き「仮面…あ、仮面を追うって…」
仮「んん…」
ゆ「おい、てめぇ!」
仮「あ~…?」
仮面は、ダルそうにゆきの方向を向いた
ゆ「これ、やったのお前か!?」
仮「…んん」
ゆ「はっきり答えやがれ!!」
仮「うるさい!うるさい!うるさい!!!!」
仮面は、剣を取り出した
ゆ「…ッ!やる気か?」
仮「人がいい気分で寝てたっつうのに起こしやがって…!」
ゆ「知るか!」
仮「ん?お前…」
ゆ「ああ?」
仮「そうか…起こされたのにはムカついたがラッキーだ…」
ゆ「何がだよ!ごちゃごちゃ言ってないでかかって来い!!」
仮「んじゃ、遠慮なく」
一瞬、仮面がニヤリと笑った気がした
次の瞬間、ゆきは吹き飛ばされていた
受身も取れず、地面を転がる
ゆ「なッ…がッ…!?」
き「ゆきちー!」
ゆ「離れて!きのこさん!こいつヤバい!!」
仮「危険人物認定~」
剣を振りかざし、まるで空中を滑るようにゆきに高速で接近する仮面
ゆ「くっそおおおおおおおお!!」
仮「踊れよ!」
戦闘を見守りながら、きのこさんはある一点に注目していた
き「…剣に注目しろって…たまゆらが…」
仮面の持つ剣
その剣は、真っ黒
闇の塊。
だけど、どこか見覚えがあるような
き「あれは…ううう、思い出せないよぉ…!」
仮「チェックメーイト」
ゆ「くっそ…」
後ろは壁、左右には炎、正面には仮面
すでにゆきに逃げ場は無い
必死に剣を避けてきたが、もはや退路は絶たれた
仮「フッフーン♪」
ゆ「ええい!」
仮「お?」
ゆきは、燃え盛る炎の中に飛び込んだ
仮「おー…そう来たか…」
仮面は、炎を注視する
炎に、動きは無い
仮「あれ?焼けちゃった?」
ゆ「うらぁあああああああああああああ!!」
炎から一気に飛び出して来たゆき
服に火がつき、全身が燃えていた
ゆ「もらったぁ!!!!!!!」
仮「…笑わせるなッ!!」
ガキン!!とゆきの拳が、剣で止められる
ゆ「な…」
仮「普通なら、今の奇襲で勝ててたろうね
だけど、俺をそこらの奴と一緒にするんじゃねぇッ!!」
横薙ぎに振られた剣に斬られるゆき
ゆ「あ…」
衝撃で後ろに吹き飛ばされる
仮「フィニッシュ」
仮面は、剣を投げた
投げられた剣は、ゆきを貫いた
ゆ「がッ…」
そのまま、剣は、壁に突き刺さる
ゆきは、まるで磔にされたようになった
き「ゆきちー!」
きのこさんが、近づき剣を抜こうとする
手が、剣に触れた瞬間にパチン!と痛みが走る
き「痛ッ!…何これ…」
仮「無駄だよ、俺にしか触れない」
き「!?」
仮面は、すぐ後ろにいた
そして、壁に突き刺さった剣を引き抜いた
ゆきが地面に落下する
き「ゆきちー!」
きのこさんがゆきを抱き起こす
返事は、無い
き「あ…」
きのこさんは、仮面を睨む
そして、仮面が掲げた剣を見た
き「その、剣…その形!?」
仮「…よし、これで…
残りは…あいつか」
仮面が、入り口を見る
そこにいたのは、小川と剣三郎
小「何だ…これは…」
剣「…ここで、何が起こった…」
仮「俺がやった」
小「貴様…仮面…」
剣「お前、1人で…この人数を…?」
仮面はゆっくりと喋りだした
仮「小川」
小「…」
仮「貴様が手に入れてないリベラ・メの力の欠片は
ここにある」
仮面は自分の剣を指差した
小「その剣は…いや、それは…!」
後方で、きのこさんが同じ言葉を繰り返す
き「あの剣は…間違い無い…私がずっと1番近くで見てきた物…」
仮面は、狂ったように笑い始めた
仮「ギャッハッハッハッハ!!ヒャッハッハッハッハ!!!
驚いてる!!驚いてるよ!!アッハハハハハハ!!
いいねその顔!最高にアホ顔だよ!!ヒャハハハ!」
小「お前のその剣は…」
き「あの剣は…」
仮面が、冷たく言い放つ
仮「そう、リベラ・メだ」
空気が、凍る
響き続ける、仮面の笑い声
それを破ったのは小川の叫び
小「なぜだッ!!?なぜ、リベラ・メが2つある!!」
仮「補足しとくと、俺のリベラ・メとお前のリベラ・メは違う
見ろよ、俺のリベラ・メは漆黒だろう?」
小「そのリベラ・メは…」
仮「お前のは神剣、俺のは魔剣だ」
小「魔剣…?」
仮「ヒヒッ、驚くのも無理は無いか
今回はあらゆるところでイレギュラーな事態だからな」
小「一体、何が…」
た「お喋りは、そこまでにしておきましょうよ」
仮「よぉ、たまゆら~」
仮面のすぐ後ろに、いつの間にかたまゆらがいた
き「たまゆら…」
小「誰だ…!?」
た「さっき会ったじゃないですか」
小「何…?」
た「もっとも…さっきはコレをかぶっていましたがね」
たまゆらは、仮面を指差した
仮「全部、俺らの筋書き通りだ」
た「何度か危うい所もありましたが、結果オーライですね」
仮「操るのは、たまゆら
手を下して魔剣に力を込めるのは俺」
た「とりあえず、コレで残るは…」
仮面とたまゆらは小川の方向を向き直した
仮「小川ァ、俺を殺せば、リベラ・メの完全制御は可能だ」
小「…!」
仮「ただし、俺もお前の持ってるリベラ・メの力の欠片が欲しいんだよ」
小「…勝ったほうが…目的を達成できるって事か」
仮「ああ」
た「ですが、ここは決戦向きの場所じゃないですねぇ」
仮「小川、全ての始まりの場所に来い」
小「全ての始まりの…場所?」
仮「遥かなる…決意の塔」
小「…お前は…誰なんだ…なぜ…それを知っている」
仮「…ふ」
た「外すのですか?」
仮「欠片は、揃った。もう顔を隠す必要も無い。」
仮面の男の手が、仮面にかけられた
仮「さぁ…しっかり見とけ…!」
仮面は、投げ捨てられた
小「な!?」
剣「馬鹿なッ!?」
き「え!?」
た「クスクス…」
俺「第13代目、リベラ・メ正統継承者
ゆき兄様だよ。アハハハハハハ!!!
どうだ、びっくりしたか小川ァ!
殺したはずの相手が目の前にいる気分はどうだ!!
キヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
き「ゆ…ゆうくん…?」
小「な…なぜ…お前が」
剣「魔弾で…死んだはずじゃあ」
俺「あれぐらいで死ぬわけねぇだろ馬鹿」
剣「馬鹿って…」
目は、狂気に染まり
口は、薄っすらと笑みを浮かべ
壊れた機械のように、身体をゆらゆらと動かす
俺「正直ずっと外したかったんだけどよ~、息苦しくてな」
た「まぁゆき兄だとバレると動きにくかったんですよ」
俺「さーて…小川ァ…!」
小「!?」
俺「待ってるぜ?早く来いよ…!」
た「では、さようなら」
2人の身体が、黒いモヤのようなものに包まれて、宙に浮く
き「ゆうくん!ちょっと待って!!」
俺「…」
き「待って!待ってってば!」
見向きもせずに、モヤが晴れると同時に
姿は、跡形も無くなくなっていた
き「どうして…」
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最終更新:2009年11月01日 02:11