0384:暴走列島~信念~
血が止まらない。
背負った新八の右腕から滲み出る血液は、越前の右肩を染め続けていく。
(失血死って苦しいっていうよね……)
嫌な事実を思い出してしまい慌てて思考を切り替える。
(……乾先輩……)
先程の放送で、ついに呼ばれてしまった最後の一人。
いっつも飄々としていて、嬉々として怪しげな汁ばっか作ってて、人のデータがどうとか言ってて、
俺があんまり好きじゃないって知ってるのに牛乳飲めってうるさくて。
…………そういえば、俺が初めて声を出して応援したのは、アンタだった。
(……アンタのテニス、嫌いだけど嫌いじゃなかった)
……やっぱり、もっと違うことを考えよう。
今、乾先輩のことなんか考えたら足が止まってしまいそうだ。
(そういえば、あの女の人は一体何だったんだろう)
ああやって襲ってきたっていうことは、この殺し合いに乗っちゃったってことなのかな。
なんだか妙な武器を持っていたけど……
そう言えばどうしてあの人は俺たちにあの場でとどめを刺さなかったんだろう。
なにか理由があったのかな。
こんな風に俺が考えたって答えがでるわけじゃないけど。
自分より大きな新八を背負う越前の歩みは遅々として進まず、その遅さが新八の命を削っていっているようで、焦りが更に疲労を上乗せする。
それでも足を止めるわけにはいかない。
今のところあの危険な女は追ってきてはいないようだけど……追ってこない確証などないのだ。
「……ね、うえ……」
聞いたこともないような頼りない声で、新八が何事かを呟いた。
ずれ落ちかかる新八を背負い直し、越前は真っ直ぐに前を見据える。
肩に、背に、腰に、足に、かかる負担はそのまま人一人の命の重さで……
今まで考えたこともないような重い枷となり、容赦なく越前を地に倒そうとする。
だけど。
(死なせない……絶対に……死なせてたまるか……!)
進む先に当てなんかない。
ただただ、新八をどうにかしてくれる人間に出会いたい。
こんな簡単な止血よりも効果的な……できれば劇的な治療をしてくれる人物に。
最悪の状況の中、それでも負けることを嫌うテニスの王子様は一歩一歩、確かに進んでいく。
ほんの数時間前に……先輩の乾が、今の越前と同じように仲間を背負って走り続けたように。
今、門は閉じられた。
選んだ赤き修羅門は斗貴子の胸の奥へと沈み、決意の火となってその心を照らす。
道に転々と続いていく血痕。
それはまるで斗貴子を人ならざる世界へと誘う篝火のようで。
(スカウターを使うまでもないな……)
スカウターのスイッチを切り、血痕の続く先を見やる。
荷物は拾った。銃も手にした。
もう、立ち止まっている理由はない。
しばし血痕を見つめ、斗貴子は、ふ、と息を吐くとそれに沿って歩き始める。
もう、躊躇はしない。
殺す。
今度こそ。
確実に。
そう思いながらも心の片隅で、深手を負ったであろうあのメガネの少年の安否を気にしてしまう。
いや、はっきりと「無事であればいい」と思ってしまい、そんな自分を嫌悪する。
傷つけたのは――――殺そうとしたのは、しているのは自分なのに。
決意したばかりだというのにどうしてこう自分は弱いのだろう。
――――――――『最後まで貫き通せた信念に偽りなどは何一つない』
誰よりも尊敬する戦士長の言葉が胸をよぎる。
この腐ったゲームに巻き込まれた全員を……カズキを日常に帰すためならば。
そのためなら、どんなに蔑まれようと構わない。
「私は……悪にでもなる」
唇を噛みしめ呟く。
緩やかだった歩みが速まり、徐々に斗貴子はスピードをあげる。
血痕はまだ続いている。
――――――――新ちゃん、新ちゃん
――――――――おい、新八
――――――――新八~新八~
あああうるさいなもう!
嫌になるほど聞き覚えのある沢山の声が一斉に僕の名を呼ぶ。
ああもう。またですか。またこのパターンですか。
いい加減起きろよ、僕。
今けっこうなピンチなんだからさ。
って――――――――――――――――――――
「僕まだ生きてるゥゥゥゥゥううううう?!」
「……一応ね。耳元で怒鳴らないでくれる?うるさいから」
「あれ?越前くん?あぁ……やっぱあれは夢だったんだ……よかった……
そうだよな。必殺凶悪ミニスカセーラー狂戦士に突然襲われるなんてありえな……」
「それ現実だから」
「そんなあっさり希望を消さないでェェェ!」
「てゆ~か起きたんなら降りて。重いから」
「…………ハイ。スイマセンでした」
呆れたような越前君の声に、僕は慌てて越前君の背中から降りた。
というか、慌てて降りたせいで転んでしまい、怪我した肩を強打して転げ回った。
「痛ってェェェェェ!痛いよコレちょっとやばいよ!」
肩も腕も痛いけどなんか頭もぼーっとしてて、今ならいろんな見えちゃいけないモノが見えちゃいそうだ。
「……貧血だね。当然といえば当然だけど」
そう言って越前くんは僕の隣に座り込む。
僕の腕を押さえ、もう一度布をきつく巻き直してくれる。
出会ったときと同じ様な容赦のない治療に悲鳴を上げつつ、僕は改めて周囲を見回した。
よく見てみればここは林の中。
しかも茂みの陰になっていて、向こうから見た限りではかなり僕たちを見つけづらいだろう。
「越前くん!肩!」
ぐっしょりと赤く染まった越前くんの肩が目に入り、心臓が止まりかけた。
越前くんも怪我をしてたんだろうか。
「……あぁ……アンタの血だから、これ」
あっさりと言った越前くんの言葉に安堵しつつ、僕は越前くんの肩がこうなってしまったわけに思い至った。
越前くん……僕を背負ってきてくれたんだ。ここまで。こんな小さな体で。
よく見たらすごい汗かいてるし。
「そういえば君の怪我は?!」
「平気。かすっただけだし」
そう言うけど、切られて痛いわけはない。
でも越前くんは弱音なんか漏らさない。
意地っ張りなのか本当に強い人間なのかはまだよくわからないけど。
「越前くん……ありがとう……」
「……別に」
僕の言葉に越前くんはプイ、とそっぽを向いてしまった。
照れてるんだ、ってことがわかり越前くんに気付かれないように小さく笑う。
肩は物凄く痛いけど、なんだかちょっと気分がいい気がする。
「僕、ここに来て最初に会えたのが君で良かったよ」
「……そ」
相変わらず越前くんの返事は素っ気なかったけど、そんなことはどうでもいいや。
「もう少し休憩したら、行くよ」
「……うん」
頷いて僕は、ぐらぐらする頭を我慢しながら空を見上げた。
「……ねえ、越前くん」
「なに?」
「朝の放送……誰が呼ばれた?」
「…………」
「……そっか」
夢であればいいと思ってたけど……やっぱり現実だったんだ。
「……ナンバー2……」
僕の呟きに、越前くんも曇り空も、誰も何も答えなかった。
突然、アスファルトに残っていた血痕が途切れた。
足を止め、斗貴子は逡巡する。
あのメガネの少年の血が止まったのか。
それとも進路を変えたのか。
前者であればいい、と反射的に思ってしまい何度目かの自己嫌悪に陥る。
さっきからこの繰り返しで、そのことも斗貴子の自己嫌悪に拍車をかける。
頭を振り、無理矢理に思考を切り替えた斗貴子はスカウターのスイッチを入れた。
「…………」
いくつかの反応を見、眉を寄せる。
斗貴子の今いる場所からわずかに左手側にある反応は、数字の小ささから見てあの少年達だろう。
問題はその先。
ここ、京都から十分に近い所……おそらく大阪と思われる辺りに4つの反応が固まっている。
そのうち3つはたいした数字ではないが……残りの一つははっきりと斗貴子よりも高い戦闘力を示している。
そのうえ、
(なんだ?こっちへ向かってくるこの4つの反応は……)
まとめて4つ。高めの数字を持つ人物3人+そこまで高くない数字の人物1人が、かなりのスピードでこちらへ向かってくる。
(4人で走って行動している?……いや、それは無理がある……そうか、電車か!)
今までまったく頭になかった移動手段がここにきて使われているというのか。
恐らくは……あの放送のせいだろうが。
(このままいくとこの2つのグループは遭遇する)
それが一体どのような意味をもたらすのか。
大きなグループができあがるのか……それとも血で血を洗う戦闘が起こるのか。
しばし考えるも答えは見えない。
「……今は」
今はとりあえず、“人数減らし”に集中すべきだろう。
そう思い斗貴子はショットガンをしまった。
距離を考えると微妙なところだが、発砲音を聞きつけられないとも限らない。
ここは安全に確実に――――
「バルキリースカートで……」
心の奥底では、人を殺すために使いたくなかった自分だけの武器で。
私は。
人を殺す。
気配を消し、足を踏み出す。
数メートル進んだところで、気配を殺していたのが馬鹿らしくなるような会話が聞こえてきた。
「だから僕はこう叫んだんだ。『ノーパンになって得られる平和なんか俺は認めんぞォォ!!』って」
「……ふーん」
「だってそうだろう?!姉上はどう考えたってSなのにMになんかなれるわけないんだよ!」
「……ふーん」
(……一体何の話をしているんだ)
趣旨のよくわからない話に毒気を抜かれてしまい、思わず足を止める。
木の陰に影に隠れそっと茂みの中を覗き込むと、2人の少年の背中が見えた。
間違いない。あの子達だ。
真面目なのかふざけているのか判断をしかねる彼らの会話はなおも続いていく。
(私は何をしているんだ!)
さっさと、バルキリースカートの刃を彼らの背中に突き立てればいい。
卑怯者らしく、悪者らしく、あっさりと。
「……誰?そこにいる人」
いつ気付かれたのだろう。
小柄な少年の鋭い瞳が、茂みの中からこちらを睨み付けていた。
沈黙が広がる。
あの木の陰にいる人は動かない。
「出てくれば?」
決して気の長い方じゃない俺の言葉に姿を現したのは、予想通りの人物だった。
あまり、いや、かなり再会したくなかったオネエサンだ。
「で?オネエサンは俺たちを殺しに来たの?」
さりげなく腰を上げ、新八さんを庇える位置に移動しながら目前の人に尋ねる。
新八さんの顔色は未だに物凄く悪い。
土気色っていうんだっけ?こういう色。
乾汁を一気に10杯くらい飲んじゃった感じだ。
「……ああ。私は……君たちを殺しに来たんだ……それが……君たちのためだから」
うわ。なんかこの人すっごい眉間に皺寄ってる……部長といい勝負。
思い詰めてます、って顔は見ていて痛々しいくらいに怖い。
「は?意味わかんない」
視線はそのままに、俺はいつでも駆け出せるように心を準備する。
武器も何にもない今、このオネエサンと戦って勝てるとは思えない。
それに俺にとっての勝利は、ここで戦って勝つことじゃないし。
俺にとっての勝利は、無事に帰って全国制覇をすること。
テニスを、またすること。誰も殺さないし、殺されない。
これ以外にはない。
「許してくれとは言わない。憎んでくれて構わない。私は――――――――――――」
キチキチと変な音がする。
オネエサンのスカートが少しだけ持ち上がり、中から鈍く光る刃物が姿を現す。
完全に刃を伸ばしたらしいその鎌の切っ先が俺たちに向く。
空気がピリピリして、全身に悪寒が走る。
「君たちを殺す」
「やだ」
一言言い返し、俺は立ち上がるときに持っていた土をオネエサンに投げつけた。
思わぬ目くらましを喰らって、オネエサンの注意が一瞬だけ逸れる。
その隙に新八さんの腕を掴んで、俺は全速力で走り出そうとして――――――――――――
「無駄だ」
確かに背後にいたはずのオネエサンが、どうやったのか俺たちの目の前にふわりと舞い降りた。
「……必ず後で生き返らせる。だから今だけ我慢して私に殺されてくれ……」
「どういうことですか?!」
何言ってんのアンタ、と言おうとした俺の言葉を遮って、新八さんがオネエサンに詰め寄った。
「生き返らせるって、優勝するってことですか?でもアレ、生き返るのは一人だけで、それだってインチキくさいじゃないですか」
「……全員が生き返って、元の世界に戻れる方法があるんだ」
「……なにそれ」
何言ってるの、この人?
頭がやられちゃったんだろうか。
「何か訳ありみたいですね。話、聞かせてくれませんか?」
思いっきり疑いの目を向ける俺を退けた新八さんの言葉に、オネエサンは一瞬迷った後「わかった」と頷いた。
「馬鹿じゃないの?」
予想通りの反応だが、言われた言葉は予想よりも率直なモノだった。
ポカンと口を開けたままの志村にも、肩をすくめる越前にも、もう何も言うつもりはない。
こうなることはわかっていた。
自分だって初めてこの話を聞いたときは頭から疑っていたのだ。
『7つ揃えると竜型の神が現れ、何でも願い事を叶えてくれる玉』
お伽話の中に出てくる夢話と同じくらい不確かな存在。
だが――――
(私は、この小さな希望に賭ける……!!)
全員を救うために。今。この二人を。
「アンタだって、本当は信じてないくせに」
まったく予想外な言葉に、動きかけていたバルキリースカートがピタリと止まった。
「……どういうことだ?」
「そのまんま。本当はアンタも信じていないんでしょ?そんな話。だから」
「だから……僕たちを殺すことをそんなに躊躇っているんでしょう?」
越前の言葉を引き継ぎ、志村が口を開く。
彼らを殺すことを躊躇っていることを見抜かれ、私は彼を睨み付けた。
「……そんなことはない……!」
「だったらどうして僕たちを見つけた瞬間に殺さなかったんですか?」
「それは……!」
「それに、どうして僕たちにこんな話をしたんですか?
本当にドラゴンボールの話を信じているんなら、僕たちを殺してさっさと次を探しに行けばいいのに。
こんな話をする必要なんかないのに」
志村の言うことはもっともだ。
本来ならば一刻も早く人を減らし……
ピッコロを見つけ、優勝してもらわなければならないはずなのに。
「……信じてないから、だから誰かにこの話を肯定して欲しかったんじゃないですか?」
「…………」
初めてこの話をした人は
リサリサという名の女戦士だった。
そして、つかさ。ケンシロウ。サクラ。
アビゲイル。
皆が皆――――言った。『そんなことはありえない』のだと。
唯一人、
クリリンと同じ世界から来た
ヤムチャだけがドラゴンボールの存在を信じ……
いや、知っていてあっさりと計画に乗ってはいるが……
ヤムチャ以外は、誰一人この話を信じてくれなかった。
一度ホムンクルスになった人間が、もう元には戻れないのと同じように……
死んだ人間はもう生き返らないのだと、本当は心の中では、私は…………
「それでも……私は希望を捨てることはできない……!!」
「現実を認めるのが怖いの?」
「なっ……!」
「新八さんの言うとおり、本当にその話を信じてるんなら、アンタは俺たちをあの小屋で殺してなくちゃいけなかったんだ。
なのにここまで来てもアンタはそれができない。アンタは弱いんだ。
仲間が死んだ現実を認めることも、嘘みたいな話を本気で信じることもできない」
自分よりも幼い小柄な少年の瞳が、私を真っ直ぐに射抜く。
頼りなさそうなメガネの少年の瞳が、私を真っ直ぐに射抜く。
ギリギリと奥歯を噛みしめてしまうのは、この二人の言うことが正しいからか。それでも。
「……『最後まで貫き通せた信念に偽りなどは何一つない』。だから私は最後まで……!」
貫き通す。
自分の信じた希望を。
例えこの信念が悪なのだとしても。
「アンタみたいな弱い人間に、信念なんか貫けない」
「…………れ……」
俯いた自分の声は思ったよりも低く、感情が膨れあがる。
((私は決めたんだ!もう覚悟をしたんだ!)
なのにどうして。
どうしてこんなに、心が乱れるのか。
キチキチと小さな音を立て、死神の鎌が持ち上がる。
だが、越前は退かない。
志村も退かない。
「アンタみたいに弱い人間に、俺は絶対に殺されてなんかやらない」
「…………黙れ…………!」
志村の視線が、越前の言葉が、私の心に突き刺さる。
認めたくなかった、気が付きたくなかった自分の心が晒され、そこに言葉の刃が突き立てられる。
「俺は……絶対に負けない――――――――――――――――!!」
「黙れ――――――――――――――――――――っっ!!」
「越前くん…………!!」
鋭い刃が越前の眉間に一直線に向かう。
狙いは違わない。バルキリースカートの最大の特性は高速精密機動だ。
歯を食いしばり、越前は真っ直ぐに自分を睨み続けている。
逃げられないのか?いや、彼は……!
――――――――越前の眉間の皮膚に後3㎜というところで、刃の動きが止まった。
「……なぜ……」
ようやく出せた声は、自分でも驚くくらいに震えていた。
動けなかった、のではなく避けなかった越前は、なおも私を睨み続けている。
「なぜ……」
なぜ、私は迷ってしまうんだろう。
何度も何度も覚悟を決めたと、全てを捨てるのだと、そう思ってきたのに。
カズキを、全員を日常に帰すためならばと決意したはずなのに。
「簡単な事じゃないですか」
越前の隣にいた志村が、一歩踏み出した。
握りしめた拳が震えているのが見て取れた。
「自分の心に嘘ついたまま信念なんか貫けっこないんだよ!!アンタそんな簡単なこともわかんないんですか!!」
僕の絶叫が林の中に響き渡る。
大声を出したせいでまた頭がグラグラするけど、そんなのに構ってる場合じゃない。
目前のお姉さん……津村さんが呆然とした顔で僕を見る。
さっきまで地獄の鬼より怖い顔をしてたのに、今はその目が少し潤んでいる。
「それでも……私はもう引き返せないんだ……」
「引き返せないわけがあるかボケェェェェェ!そんなこと死んでから思え!!」
「ちょっと新八さん……」
びっくりしていた越前くんが僕を抑えようとするけどそんなことどうでもいい。
腹が立って仕方がない。
「なに『自分だけが不幸』みたいな顔してんだ!大切な人を亡くしたのはあんただけじゃないんだよコノヤロォォォォォ!!」
「……」
呆然としたままの津村さんの胸ぐらを掴み、僕は思いつくままに叫び続ける。
ドラゴンボールが全てを解決してくれるなら僕だって信じたい。
でも死んだ人はどうしたって生き返らないんだ。
だから僕たちは。
「死んじゃったら生き返れないから!だから!気合い入れて生きてるんでしょ?!一回しかないから!」
叫んだせいで息があがる。
ただでさえ貧血だったのに酸欠までプラスされてきてない、これ?
「もう……私に構わないでくれ……」
俯いた津村さんが小さな声を出した。
「は?」
言っている意味がよくわからず聞き返す。
それでも津村さんは顔を上げない。
「今なら君たちを殺せない……一人で考えたいんだ……だから……」
「嫌です」
むかついたから即答してやった。
何言ってんだ、この人。
「あんた放っておいたら何するかわかんないだろ!それに……」
心臓よりも大切な器官があるって言ってましたよね、銀さん。
頭っから股間を真っ直ぐ貫く大切な器官があるって。
それは、自分の魂に収めた……折れてはいけない刀。
もう、僕は誰も目の前で死なせたくない。
誰にも誰かを殺させたくない。
この、津村さんにも。
「それに……そんな風に泣いてる女の人、放っておけませんよ……」
言われて初めて気が付く。
私の頬には、いつのまにかいくつもの涙が流れていた。
【京都府 朝】
【志村新八@銀魂】
[状態]:重い疲労、全身所々に擦過傷、特に右腕が酷く、人差し指・中指・薬指が骨折、上腕部に大きな切傷(止血済み)
顔面にダメージ、歯数本破損、朦朧、たんこぶ多数、貧血
[装備]:無し
[道具]:荷物一式、 火口の荷物(半分の食料)
毒牙の鎖@ダイの大冒険(一かすりしただけでも死に至る猛毒が回るアクセサリー型武器)
[思考]:1、斗貴子を止める。
2、藍染の計画を阻止。
3、まもりを守る。
4、銀時、神楽、沖田、冴子の分も生きる(絶対に死なない)。
5、主催者につっこむ(主催者の打倒)。
【越前リョーマ@テニスの王子様】
[状態]:非親衛隊員、重い疲労、脇腹に軽度の切傷(止血済み)
[装備]:線路で拾った石×1
[道具]:マキ○ン
[思考]:1、切れた新八を止めたい。
2、新八の傷を治してくれる人を捜す。
3、藍染の計画を阻止。
4、死なない
5、生き残って罪を償う
【津村斗貴子@武装練金】
[状態]:肉体的・精神的に軽度の疲労、左肋骨二本破砕(サクラの治療により、痛みは引きました)
顔面に新たな傷、ゲームに乗る決意、核鉄により常時ヒーリング
[装備]:核鉄C@武装練金、リーダーバッヂ@世紀末リーダー伝たけし!、スカウター@DRAGON BALL
[道具]:荷物一式(食料と水を四人分、一食分消費)、ダイの剣@ダイの大冒険、 ショットガン
真空の斧@ダイの大冒険、首さすまた@地獄先生ぬ~べ~、『衝突』@HUNTER×HUNTER、子供用の下着
[思考] 1、新八の言葉に動揺
2、ドラゴンボールについてもう一度考えたい
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最終更新:2024年07月12日 23:25