~朝~
「おはようございます、マスター。今日もいいお天気ですよ」
耳元で優しく囁かれて僕は目覚める。まどろむ間もなく顔が火照る。照れ隠しに枕に顔を埋めると、彼女はさらに追い討ちをかける。唇が耳朶に触れるか触れないかの距離で、
「朝食が冷めてしまいます。温かいうちに召し上がってくださいね」
これ以上はダメだ。理性が持たない。
「はい、おはようペリドット。着替えてから行くよ。今日は緑茶がいいな」
「はい。用意しておきますね」
そう言って部屋から出て行ってくれる。黙っていると着替えまで手伝ってくれるからなぁ。生理現象を目の当たりにされるのはとても恥ずかしい。彼女もそのあたりは心得てくれている。さて……。
耳元で優しく囁かれて僕は目覚める。まどろむ間もなく顔が火照る。照れ隠しに枕に顔を埋めると、彼女はさらに追い討ちをかける。唇が耳朶に触れるか触れないかの距離で、
「朝食が冷めてしまいます。温かいうちに召し上がってくださいね」
これ以上はダメだ。理性が持たない。
「はい、おはようペリドット。着替えてから行くよ。今日は緑茶がいいな」
「はい。用意しておきますね」
そう言って部屋から出て行ってくれる。黙っていると着替えまで手伝ってくれるからなぁ。生理現象を目の当たりにされるのはとても恥ずかしい。彼女もそのあたりは心得てくれている。さて……。
「ふわぁぁぁぁ。ん。いつもの時間ですね。さて、今朝のメニュウはどうしましょうか?」
朝早くに目を覚ます。マスターも猫たちもまだ夢の中。着替えながらマスターのことを思う。最近、寒くなってはきていますけど、部屋の中は暖かいですから……こっちよりもこちらの服のほうがマスター喜ぶかしら。
着替えを済ませて朝食の支度をする。妹たちの前では見せられない一面が私にはある。二人でいる時には特に……。
「私だって宝石乙女ですから。マスターの前では可愛くしてもいいですよねぇ」
思わず口に出してしまう……誰もいないことが分かっていても周りを見渡してしまう。
妹たちの前では『姉』であることに不満はない。皆が一人前の乙女になってくれるために私の知識と経験が必要なのならば全てを教えようと思う。けれど……私だって……あまえたい時もある。無邪気にマスターの胸に飛び込む妹に嫉妬することもある。不毛なことだと分かってはいても……。
だから……毎朝、マスターを起こすときはあま~く起こすことにしている。頬にキス。だけど眠っているマスターは気づかない。
「いつ、分かるでしょうね。ふふ」
マスターのことだから、見てるこちらが心配になるくらい赤くなるでしょう。
「おはようございます、マスター。今日もいいお天気ですよ」
耳元で囁いてみる。まぶたが開いて視線が合う。すぐに目を逸らして枕に顔を埋めてしまう。照れ隠しをする姿が可愛くて愛しい。照れていても嫌がるそぶりを見せないということは、受け入れてくれているということでしょうか。
悪戯心が湧き上がってくるのを止められない。さらに追い討ちをかける。耳にキスするように囁く。
「朝食が冷めてしまいます。温かいうちに召し上がってくださいね」
マスターが起き上がる。ちょっと残念。もっとしたかったのに……。
「はい、おはようペリドット。着替えてから行くよ。今日は緑茶がいいな」
「はい。用意しておきますね」
本当は着替えも手伝いたいのですが、マスターの希望もあってご自分でしてもらっている。男の子は何かと複雑なようですから、仕方ありませんね。後ろ髪を引かれる思いで部屋から出る。
さて、お茶の用意をして彼を待ちましょう。きっと今朝も「美味しいっ!」と言って私を喜ばせてくれるでしょう。ちょっとした努力で胸が締めつけられるくらい嬉しい見返りが返ってくる、ささやかな幸せ。いつまでも続いてほしいというのは、私のわがままでしょうか。
朝早くに目を覚ます。マスターも猫たちもまだ夢の中。着替えながらマスターのことを思う。最近、寒くなってはきていますけど、部屋の中は暖かいですから……こっちよりもこちらの服のほうがマスター喜ぶかしら。
着替えを済ませて朝食の支度をする。妹たちの前では見せられない一面が私にはある。二人でいる時には特に……。
「私だって宝石乙女ですから。マスターの前では可愛くしてもいいですよねぇ」
思わず口に出してしまう……誰もいないことが分かっていても周りを見渡してしまう。
妹たちの前では『姉』であることに不満はない。皆が一人前の乙女になってくれるために私の知識と経験が必要なのならば全てを教えようと思う。けれど……私だって……あまえたい時もある。無邪気にマスターの胸に飛び込む妹に嫉妬することもある。不毛なことだと分かってはいても……。
だから……毎朝、マスターを起こすときはあま~く起こすことにしている。頬にキス。だけど眠っているマスターは気づかない。
「いつ、分かるでしょうね。ふふ」
マスターのことだから、見てるこちらが心配になるくらい赤くなるでしょう。
「おはようございます、マスター。今日もいいお天気ですよ」
耳元で囁いてみる。まぶたが開いて視線が合う。すぐに目を逸らして枕に顔を埋めてしまう。照れ隠しをする姿が可愛くて愛しい。照れていても嫌がるそぶりを見せないということは、受け入れてくれているということでしょうか。
悪戯心が湧き上がってくるのを止められない。さらに追い討ちをかける。耳にキスするように囁く。
「朝食が冷めてしまいます。温かいうちに召し上がってくださいね」
マスターが起き上がる。ちょっと残念。もっとしたかったのに……。
「はい、おはようペリドット。着替えてから行くよ。今日は緑茶がいいな」
「はい。用意しておきますね」
本当は着替えも手伝いたいのですが、マスターの希望もあってご自分でしてもらっている。男の子は何かと複雑なようですから、仕方ありませんね。後ろ髪を引かれる思いで部屋から出る。
さて、お茶の用意をして彼を待ちましょう。きっと今朝も「美味しいっ!」と言って私を喜ばせてくれるでしょう。ちょっとした努力で胸が締めつけられるくらい嬉しい見返りが返ってくる、ささやかな幸せ。いつまでも続いてほしいというのは、私のわがままでしょうか。
~昼~
マスターを送り出した後は家事をこなす。昔々は使用人さんたちがしてくれていたことを、今は全て自分でしなければならない。けれども、そこに苦労は感じない。便利になったこともある。が、なによりも自分の大切な人の世話を自分で出来ることが嬉しい。
大切な人を守りたい。そのことに武力を必要としない時代に感謝したい。
毎日のことなので、午前中には全てを終えてしまう。猫と自分の昼食を用意しながら午後の過ごし方を考える。
「誰かが来るかも知れないから、お菓子でも作りましょうか」
昼食後、ドラマを見ながら材料の準備をする。最近の世相や風俗を知るためにも昼のドラマは欠かせない。ときどき、テレビに向かってうなずいたり、文句を言ったりしている自分に気がつき、恥ずかしくなる。猫以外には見せられない。
ドラマが終了すると同時に準備が整う。下ごしらえは常に備えてあるので、作る時にたいして手間は取らない。一から作るとなると前の日から準備する必要がある。それでは作りたいときに作れない。特に決まった予定が無いときは作りたいときに作る。楽しみたいときに楽しむ。それができないことのほうがストレスが大きい。だから日常的な作り置きの作業は楽しいものになる。
「その点、焼き菓子は扱いやすくていいですわね」
サンドウィッチも作ってアフタヌーンティーにしてみようかな。今日あたりは姉妹の誰かが訪ねて来るような気もするし。一人、二人くらいならともかく、何人か重なると量が必要ですから。
言ってるそばからホラ、一人、また一人と集まってくる。悩みごとのある娘、退屈を持て余している娘、寂しがりな娘、賑やかな娘。
他愛のない話に花が咲く。穏やかに流れる時間。姉妹の絆を確かめ、安心して皆が家路につく。
やがてみんな独り立ちしていくのでしょうけど、ここで過ごしたひとときを忘れないでね。私たちは姉妹。どんなときだって独りじゃないのですから。
『姉』として、妹達の幸せを祈らずにはいられない。
大切な人を守りたい。そのことに武力を必要としない時代に感謝したい。
毎日のことなので、午前中には全てを終えてしまう。猫と自分の昼食を用意しながら午後の過ごし方を考える。
「誰かが来るかも知れないから、お菓子でも作りましょうか」
昼食後、ドラマを見ながら材料の準備をする。最近の世相や風俗を知るためにも昼のドラマは欠かせない。ときどき、テレビに向かってうなずいたり、文句を言ったりしている自分に気がつき、恥ずかしくなる。猫以外には見せられない。
ドラマが終了すると同時に準備が整う。下ごしらえは常に備えてあるので、作る時にたいして手間は取らない。一から作るとなると前の日から準備する必要がある。それでは作りたいときに作れない。特に決まった予定が無いときは作りたいときに作る。楽しみたいときに楽しむ。それができないことのほうがストレスが大きい。だから日常的な作り置きの作業は楽しいものになる。
「その点、焼き菓子は扱いやすくていいですわね」
サンドウィッチも作ってアフタヌーンティーにしてみようかな。今日あたりは姉妹の誰かが訪ねて来るような気もするし。一人、二人くらいならともかく、何人か重なると量が必要ですから。
言ってるそばからホラ、一人、また一人と集まってくる。悩みごとのある娘、退屈を持て余している娘、寂しがりな娘、賑やかな娘。
他愛のない話に花が咲く。穏やかに流れる時間。姉妹の絆を確かめ、安心して皆が家路につく。
やがてみんな独り立ちしていくのでしょうけど、ここで過ごしたひとときを忘れないでね。私たちは姉妹。どんなときだって独りじゃないのですから。
『姉』として、妹達の幸せを祈らずにはいられない。
~夕方~
妹たちを見送ったら夕方の時間帯はとうに過ぎていた。マスターの帰りにはまだ時間があるから、食事の支度には支障はない。
最近は遅いですから。たまに早く帰ってくると一緒に過ごす時間が作れるので嬉しいのだけれど、ここ最近は、少し寂しい。同衾は遠慮されているし。もう少し、意気地とか甲斐性とか……。
「いえ、マスターはあれでいいのです」
ということにしておきましょう。寂しさが募りますから。
時間があるせいか、夕食はついつい手のこんだものになる。それでも、残さずに全て食べてくれることが嬉しい。『美味しい』という一言が嬉しい。男の人が小気味よく食べてくれる姿は見ていて気持ちのいいものだ。
一段落したので、入浴。二人きりのときは一緒に入ってもいいと思うのだが、マスターがそれを許さない。興味津々なのにね、お互いに。
いつお呼びがかかってもいいように、身体はキレイにしておく。いつのころだったか、それが淑女の嗜みだと教えられた。いまならよく分かる。でも、期待しすぎるのもはしたないかしら。『淑女たるもの、そういったことはおくびにも出さず、貞淑であれ』……そうも言っていたわね。
乾燥するこの季節。入浴は身体の汚れを落とすことと、湿度の調整に欠かせない作業になる。乙女には潤いが必要です。
最近は遅いですから。たまに早く帰ってくると一緒に過ごす時間が作れるので嬉しいのだけれど、ここ最近は、少し寂しい。同衾は遠慮されているし。もう少し、意気地とか甲斐性とか……。
「いえ、マスターはあれでいいのです」
ということにしておきましょう。寂しさが募りますから。
時間があるせいか、夕食はついつい手のこんだものになる。それでも、残さずに全て食べてくれることが嬉しい。『美味しい』という一言が嬉しい。男の人が小気味よく食べてくれる姿は見ていて気持ちのいいものだ。
一段落したので、入浴。二人きりのときは一緒に入ってもいいと思うのだが、マスターがそれを許さない。興味津々なのにね、お互いに。
いつお呼びがかかってもいいように、身体はキレイにしておく。いつのころだったか、それが淑女の嗜みだと教えられた。いまならよく分かる。でも、期待しすぎるのもはしたないかしら。『淑女たるもの、そういったことはおくびにも出さず、貞淑であれ』……そうも言っていたわね。
乾燥するこの季節。入浴は身体の汚れを落とすことと、湿度の調整に欠かせない作業になる。乙女には潤いが必要です。
お風呂から出て、髪を乾かす。いくら湿度が必要とはいえ、濡れっ放しはよくない。
マスターはこの髪の手触りが好きだと言ってくれた。たっぷりとしたボリュームと香りも好きだと言ってくれた。髪を撫でるマスターの手の感触は私も好きだ。いつまでも、好きな人に好きだと言って欲しい。ただ、それだけの思いで私は私を綺麗にする。いつまでも、彼の気持ちを離さないように。
マスターはこの髪の手触りが好きだと言ってくれた。たっぷりとしたボリュームと香りも好きだと言ってくれた。髪を撫でるマスターの手の感触は私も好きだ。いつまでも、好きな人に好きだと言って欲しい。ただ、それだけの思いで私は私を綺麗にする。いつまでも、彼の気持ちを離さないように。
全ての準備ができてもマスターの帰宅まではまだ時間がある。いつものように編み物でもしながら猫たちと遊んでいよう。
気を紛らわしていてもマスターのことが頭から離れない。今日のドラマは、夫に愛人がいることを知った奥様が打ちのめされる話だった……。
「マスター……遅いです……」
気を紛らわしていてもマスターのことが頭から離れない。今日のドラマは、夫に愛人がいることを知った奥様が打ちのめされる話だった……。
「マスター……遅いです……」
~夜~
「ふうっ」
電車を降りてバスを乗り継ぎ自宅へと向かう。今日も疲れた。けれど、「お帰りなさい」と言ってくれる存在がウチにいる。暖かい食事をともにする相手がいる。ただそれだけのことが嬉しくて、歩みが早くなる。一刻も早く彼女に会いたい。
ときどき、気持ちが抑えられなくて全力疾走してしまう俺はバカの極みなんだろうか。結果、ウチに着くときには疲れきった僕がいるわけだ。
「ただいま、ペリドット。いま帰ったよ」
「お帰りなさい、マスター。今日もお疲れ様です……汗だくですね。先にお風呂をどうぞ」
「ああ、そうさせてもらうよ。今日も疲れたぁ!」
電車を降りてバスを乗り継ぎ自宅へと向かう。今日も疲れた。けれど、「お帰りなさい」と言ってくれる存在がウチにいる。暖かい食事をともにする相手がいる。ただそれだけのことが嬉しくて、歩みが早くなる。一刻も早く彼女に会いたい。
ときどき、気持ちが抑えられなくて全力疾走してしまう俺はバカの極みなんだろうか。結果、ウチに着くときには疲れきった僕がいるわけだ。
「ただいま、ペリドット。いま帰ったよ」
「お帰りなさい、マスター。今日もお疲れ様です……汗だくですね。先にお風呂をどうぞ」
「ああ、そうさせてもらうよ。今日も疲れたぁ!」
風呂を済ませて、食事。いつもながら手の込んだものを作ってくれている。これが実に美味い。二人で他愛のないお喋りをしながら、どんどんたいらげていく。
にっこりと食べる様を見つめられるのは照れるのだが、彼女はそんなことは気にしてくれない。むしろ、僕が照れている姿を楽しんでいるようにさえ思う。いけず……。声に出せない自分が恨めしい。
にっこりと食べる様を見つめられるのは照れるのだが、彼女はそんなことは気にしてくれない。むしろ、僕が照れている姿を楽しんでいるようにさえ思う。いけず……。声に出せない自分が恨めしい。
食後のひととき、片付けを終えた彼女と過ごす大切な時間。眠りにつくまでの安らかな時間。
僕と彼女はいろいろなことをする。お喋りの続きをしたり、テレビを見たり、話題の映画を見たり、彼女が煮詰まったゲームを攻略したり、ソファーに並んで本を読んだり。ときどき、お酒につき合ってもらったり。身体を寄せ合い、距離が0になる。
一日の中のほんの数時間。僕と彼女の大切な時間。楽しい時はすぐに過ぎてしまい、もう眠る時刻だ。
「さて、今日はもう寝ようか」
「はい、そうですね……あ、あの、マスター……」
「ん? どうしたの?」
「いえ……あの……お休みなさい」
何か言いたげだったが、にっこりと笑って「お休みなさい」を言ってくれる。ああ、今夜もいい夢が見れそうだ。
僕と彼女はいろいろなことをする。お喋りの続きをしたり、テレビを見たり、話題の映画を見たり、彼女が煮詰まったゲームを攻略したり、ソファーに並んで本を読んだり。ときどき、お酒につき合ってもらったり。身体を寄せ合い、距離が0になる。
一日の中のほんの数時間。僕と彼女の大切な時間。楽しい時はすぐに過ぎてしまい、もう眠る時刻だ。
「さて、今日はもう寝ようか」
「はい、そうですね……あ、あの、マスター……」
「ん? どうしたの?」
「いえ……あの……お休みなさい」
何か言いたげだったが、にっこりと笑って「お休みなさい」を言ってくれる。ああ、今夜もいい夢が見れそうだ。
「ただいま、ペリドット。いま帰ったよ」
マスターが帰ってきた! いそいそと出迎える。
「お帰りなさい、マスター。今日もお疲れ様です」
変ですね。外は肌寒いくらいなのに、こんなに汗をかいて。
「……汗だくですね。先にお風呂をどうぞ」
まあ、こうして帰って来てくれたのですから、よしとしましょう。
マスターが帰ってきた! いそいそと出迎える。
「お帰りなさい、マスター。今日もお疲れ様です」
変ですね。外は肌寒いくらいなのに、こんなに汗をかいて。
「……汗だくですね。先にお風呂をどうぞ」
まあ、こうして帰って来てくれたのですから、よしとしましょう。
マスターが入浴している間に食事の支度を済ませる。温め直すのは好みではないので、火を通す作業はここで行う。盛りつけて食卓へ出すまでのことを考えても、このほうが美味しい。
マスターと共に食卓に着く。一日の出来事を話しながら食事をする。もりもりと食べてくれるマスター。作るほうとしては見ているだけで満足してしまうくらい嬉しい。目が合うと赤くなって照れるマスターがかわいい。その仕草も愛しく思う。
マスターと共に食卓に着く。一日の出来事を話しながら食事をする。もりもりと食べてくれるマスター。作るほうとしては見ているだけで満足してしまうくらい嬉しい。目が合うと赤くなって照れるマスターがかわいい。その仕草も愛しく思う。
食後、マスターにお茶を出してくつろいでもらう。片付け自体はすぐに終わる。というより終わらせる。一日の中で一番大切な時間がこれから始まる。
私とマスターはいろいろなことをする。お喋りの続きをしたり、テレビを見たり、話題の映画を見たり、私が煮詰まったゲームを攻略したり、ソファーに並んで本を読んだり。ときどき、お酒につき合ったり。身体を寄せ合い、距離が0になる。
一日の中のほんの数時間。私とマスターの大切な時間。楽しい時はすぐに過ぎてしまい、もう眠る時刻だ。
「さて、今日はもう寝ようか」
どうしよう、このままだといつも通りに眠ってしまうだけ……。
「はい、そうですね……あ、あの、マスター……」
「ん? どうしたの?」
少しだけ物足りなく思うのは私だけですか?
「いえ……あの……お休みなさい」
マスターに切ない顔は見せられない。ましてや、私のわがままに過ぎないのだから。いつもと変らない笑顔を貼りつけてマスターを見送る。もうっ! 変な時ばかり鋭いくせに! この朴念仁っ!
鈍感だけど大切な人の背中にアカンベーをして私は部屋のノブを回した。
私とマスターはいろいろなことをする。お喋りの続きをしたり、テレビを見たり、話題の映画を見たり、私が煮詰まったゲームを攻略したり、ソファーに並んで本を読んだり。ときどき、お酒につき合ったり。身体を寄せ合い、距離が0になる。
一日の中のほんの数時間。私とマスターの大切な時間。楽しい時はすぐに過ぎてしまい、もう眠る時刻だ。
「さて、今日はもう寝ようか」
どうしよう、このままだといつも通りに眠ってしまうだけ……。
「はい、そうですね……あ、あの、マスター……」
「ん? どうしたの?」
少しだけ物足りなく思うのは私だけですか?
「いえ……あの……お休みなさい」
マスターに切ない顔は見せられない。ましてや、私のわがままに過ぎないのだから。いつもと変らない笑顔を貼りつけてマスターを見送る。もうっ! 変な時ばかり鋭いくせに! この朴念仁っ!
鈍感だけど大切な人の背中にアカンベーをして私は部屋のノブを回した。
明日もいい日でありますように。