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焼き芋と試金石

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だれでも歓迎! 編集
外は寒い。漏れなく寒い。今なら必ず寒い。絶対寒い。間違いなく寒い。
そこらからただよってくる金木犀の香りが嫌になるほど寒い。
だからお家で引きこもってぬくぬくしていたほうが100倍いいに決まっているのに。
「芋が大量にあるし寒いし丁度いいから焚き火でもしようか」
何を言ってくれているんだろうかこの人は。それでも私の主人か。
「めんどくさい。眠い。だるい」
「いいから行くよほら」
私のささやかな抵抗なぞ気にせずに外へ強制連行される。だから寒いんだってば。
で、庭。落ち葉が鬱陶しい。金木犀の香りがキツい。酔う。
それなのに逞しく落ち葉をかき集める主人。何が彼をそこまで駆り立てるのだろうか。
もうこうなったら誰にも止められないので諦める。焼き芋が食べたければ
アルミホイルで芋包んでオーブントースターか何かに入れればいいのに。
あー寒い。どうにかならないのかこの寒さ。それと金木犀は少し自重すべきだ。
「よし。これくらいかな。後は芋を埋めて……と」
チャッカマンの点火音。それと同時に火が強まっていく。
寒空の中に唐突に現れたこの暖かい空間。これを癒しと言わずに何と言うのか。
「やー。暖かい。これなら文句ないだろう」
「背中が寒い。家の中に居たほうがまちがいなくいい」
「やれやれ……」
だって寒いじゃないか。なんだってムラのある暖のとりかたをわざわざするのか。
「でもほら焼き芋はおいしいよ」
ひょいと枝にささった芋を取り出す主人。まだそれは生だ。
うう寒い……焚き火なんかこの寒さの相手にならない。焼け石に水だ。
焼け石と言えば石焼芋だ。焚き火なんかするよりこっちの方がいいな私は。
などと一人連想ゲームみたいなことをしていると右頬に熱くて硬いものが。
「あつぅっ!?主人!人の顔に焼けたばかりの芋を押し付けるな!鬼畜!人でなし!」
「うう……ひどい言われようだ」
主人はそういう趣味か、そうなのか。SMでいうSの方なのか。ドSなのか。
「……また何かよからぬ事を考えてるんじゃ」
「寄るなムッツリスケベ!?」
「落ち着いて」
熱いうちがおいしいんだからと無理矢理に焼き芋を渡される。だから熱いってば。
確かに焼き芋はおいしい。ホクホクしてて甘くて。それは認めよう。だが私は
「……調味料とか、ない?」
「あるわけないでしょ……」
塩とかマヨネーズかけて食べる方が好きなのだ。


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