ゲーム業界人ではない一介のゲーオタですが、業界の基本的なことをまとめてみました。
むしろゲハの読み方といった方が正しいかも……。
売り上げ編
Q ファースト、セカンド、サードってなに？
ファーストとは、ゲーム機を作っているメーカーです。現在はソニー（SCE）、任天堂、マイクロソフトがこれに該当します。プラットフォームホルダーとも言います。
セカンドパーティとは、ファーストに近い場所で活動する会社です。元々任天堂が提唱したセカンドパーティ構想群によってつくられた概念なので明確な定義はありません。他の業界で言う外注、アウトソース、子会社に近い概念です。大抵はハードメーカーの名義で発売するので余り表には出てきません。
ちなみにSCEは似たような概念でサテライトカンパニーという表現を使っていましたが、セカンドという呼び方が一般的に定着しているようです。
サードパーティとは、ファーストとは資本関係もなく、独立したソフトメーカーのことです。スクウェアエニックス、バンダイナムコなどが該当します。
Q 有名なゲームでセカンド開発のものってあるの？
A いっぱいあります。
有名例を挙げておきます。
任天堂のセカンドパーティ開発ソフト
星のカービィ（HAL研究所）
ポケモン（ゲームフリーク）
ファイアーエムブレム（インテリジェントシステムズ）
ソニー（SCE）のセカンドパーティ開発ソフト
グランツーリスモ（ポリフォニーデジタル）
ワイルドアームズ（メディアビジョン）
マイクロソフトのセカンドパーティ開発ソフト
Halo（バンギー）
ロストオデッセイ（ミストウォーカー他）
などなど。かなり多いです。
Q じゃあパブリッシャーやディベロッパーってなに？
A 発売元と製作会社のことです。
スクエニやバンナムなどの、表に出てくるメーカーのことをパブリッシャーと言います。
例えばスクエニが発売したドラクエ９はスクエニ開発ではありません。ドラクエ９を実際に製作したのはレベルファイブです。ですのでこの場合はレベルファイブがディベロッパーになります。
Q あれ？ レベルファイブってレイトン教授の発売元じゃないの？ どういうことなの？
A パブリッシャーとディベロッパーは状況によって変化します。
レイトン教授はレベルファイブが開発し、レベルファイブが自社のブランドとして発売してます。なので、この場合はパブリッシャーかつディベロッパーということになります。こういう作品を内製、自社開発などと言うこともあります。このようにディベロッパーからパブリッシャーへの「昇格」を狙うソフトメーカーは沢山あります。
補足
レイトン教授はヨーロッパでは任天堂が発売しています。この場合任天堂がパブリッシャーでレベルファイブがディベロッパーということになります。このように状況に応じて変化します。
Q ディベロッパーからパブリッシャーになったメーカーってどこ？
A 一例を挙げます。レベルファイブ以外だと、
チュンソフト（ドラクエ１～５までのディベロッパー）
アトラス（女神転生はかつてナムコ発売だった、まあこれは発売本数縛りがあったためなので例外かも）
など。
Q ディベロッパーはどうやれば調べられるの？
A 分からない場合もあります。
契約の関係なのか分かりませんが、スタッフロールにもディベロッパーやスタッフが掲載されないというパターンがあります。この場合、どのソフトハウスが製作したのか外部の人間には一切分かりません。
Q ゲーム機ってファミコンが最初なんでしょ？
A 違います。
AA ゲーム機というくくりならば、世界初の家庭用ゲーム機はオデッセイ（マグナボックス社 1972年）になるでしょうか。オデッセイはハードの中に数種類のゲームが入っているだけの単純なモノでした。
その後、ATARI2600（アタリ社 1977年）が発売され、ソフトのカートリッジを交換することで新作がどんどん発売されるという今のゲームビジネスの原型がつくられました。スペースインベーダーやパックマンなどが移植され、大ヒットを飛ばしました。
その後もぴゅう太やカセットビジョンなど多くのハードが発売された後、1983年にファミコンが発売されました。
Q アタリショックってなに？
A ゲームの粗製濫造によってアタリ社の株価が急落した事件のことです。
AA ATARI2600の発売によりテレビゲームブームが起きました。多くのメーカーが一攫千金を求めて手抜きゲームを乱発したため、テレビゲームそのものが飽きられてしまい、ゲーム市場が一夜にして滅んだ、と後に語られている出来事です。
現在の研究ではそこまで急激に市場が無くなったというわけではなく、緩やかに衰退した（もしくはＰＣゲームに客が逃げた）という説が有力のようです。
一般的にはアタリショックという言葉が使われるときは「クソゲーが市場を滅ぼす」程度のニュアンスで使用されているようです。。
Q お金を稼ぐのは悪いことなの？
A 違います。
お金を稼がなくては次の作品をつくることができません。
Q ゲーム機本体って高くない？
A むしろ安いです。
AA ゲームは本体はなるべく安く売って普及を促すのが一般的です。
２～４万円する商品ですが、ほとんど儲けはありません。
Q ゲームをタダで遊ぶ機械って使っていいの？
A ダメです。
ゲームソフトでお金を稼ぐことが出来なければ次回作を作ることが出来ません。タダで遊ぶ人が増えるとゲーム会社が倒産して、お互いのためになりません。
Q ゲームの続編って勝手に作っていいの？
A ダメです。
ゲームソフトには著作権や商標があります。ちなみに著作権は作品が作られた時に自然に発生します。
Q えっ、でも続編ぽいゲームが他社から出てるんだけど
A いろいろ事情があります。
AA 開発者が移籍したパターン
例：タクティクスオウガ→ファイナルファンタジータクティクス
製作会社が一緒で発売メーカーが変わったパターン
例：クラッシュバンディグー（SCE）→クラッシュバンディグー４（コナミ）
Q 儲け主義に走らないでもっとゲーマーのためのソフトをつくるべきでは？
A 違います。
AA 儲かる、つまり沢山売れるソフトというのは、つまりそのソフトを欲しがる人が沢山いるということです。そのソフトを欲しがる人がいなければゲームソフトというものは成り立ちません。マイナーだと言われているソフトでも、結果としてマイナーになっただけであって、作り手達は沢山売れることを期待しているはずです。
もちろん最初からコアゲーマーと呼ばれる少数の人間をターゲットにしてつくられる場合もあります。それで採算が取れるのならば良いのですが、失敗しているところも多いです。
Q ゲームの開発費ってなんなの？
A 大部分人件費です。
AA 例えば一年間掛けて開発をするとなると、人件費は「開発者の人数＊開発者の月収＊１２ヶ月」となります。
開発人数は開発状況によって変わりますので一概には言えませんが、10～100人程度の人員が動くことになります。
有名な作品の開発費を挙げると
シェンムー（公称70億）
FF10（推定40億）
※人件費＝開発者の月収ではないのですがここでは割愛します。
Q PS3だと開発費が高くてDSだと安いんじゃないの？
A 一概には言えません。
先ほど言ったように、開発費＝人件費＝開発期間＊開発人数です。たとえDSでも五年間製作に掛かったら、相当な開発費が掛かっています。
Q FFとかモンハンとかマリオとか、ブランドだけで売れるんでしょ？
A 違います。
AA ネームバリューはもちろん売り上げに影響しますが、ゲームというのは嗜好品です。人気が無くなるとあっという間に売り上げは落ちます。今現在人気のソフトは、開発者がものすごい努力をして面白いモノを作ろうとした結果です。
Q じゃあ人気だったけど、売り上げが下がったソフトってあるの？
A たくさんあります（泣）
AA かつてのトップブランドがマイナーブランドになることはよくあります。例を挙げると怒られそうなので挙げませんが、ハードの移行期にトレンドが変わり、ゲームの出来が良くても売れないというパターンがあります。主な現象としては
PCの衰退
アーケードの衰退
SFCからPSへの移行に失敗
PS2からDSへの移行に失敗
があげられます。
Q プレステにゲームを出すメーカーはソニー派で、DSやWiiに出すメーカーは任天堂派なの？
A 違います
AA ソフトメーカーはハードメーカーの駒ではありません。
ソフトメーカーはあくまで自分たちの利益のために活動しています。自分たちのソフトが一番売れそうなハードを選択しているだけです。
Q 独占供給ってなに？
A ファーストとサードパーティの契約です。
AA ソフトメーカーが有力なソフトを当該ハードで発売する代わりにファーストが開発資金の提供や広告枠の貸し出しをすることです。
ただ、マイナーハードで有力タイトルを発売することが必ずしも独占供給というわけではありません。戦略としてマイナーハードに出すだけで独占契約を結んでいない場合があります。そもそも最近ははどのハードがマイナーなのか分からない情勢になりつつありますが。
ちなみに海外では独占供給のことをexclusive forで表現します。exclusive for PS3 ならばPS3独占供給という意味です。
Q 独占供給ってあてになるの？
A なりません
AA 独占契約は大抵は時限独占という手法がとられています。例えば発売後一年間は他のハードに移植してはいけない、というような契約内容です。かといって必ずしもメジャーハードに移植されるわけではありません。あまり深く考えず欲しいゲームがあったらハードをさっさと購入するのをお勧めします。
Q グラフィックが凄いゲームを作れるメーカーは技術力が凄いんでしょ？
A グラフィックだけではありません
もちろんグラフィックは大きな要素ですが、それだけではありません。
物理エンジンを使った現実を模したシミュレータ、AIで沢山のユニットが独自に動く、ロードが短いなどなど。様々な部分に技術の高低が影響します。
そもそもグラフィックが凄いというのはどういう意味でしょうか。FFのような写実系、大神のような水墨画のような画。どちらが「凄い」のでしょうか。
Q 発売予定日ってあてになるの？
A なりません
AA もしも予定外の不具合があった場合、延期してでも作り直したいという会社が沢山あります。延期は残念ですが、楽しみに待ちましょう。
Q じゃあどうしてバグがあるゲームが生まれるの？
A バグのないプログラムは存在しないと言われています。
AA そもそもバグに気が付いてないという場合と、バグに気が付きながらも影響が少ないと思って発売する場合があります。まれにバグじゃないのにユーザーがバグだと勘違いすることがあります。
一般的にユーザーに不利益なものがバグ、ユーザーに利益があるものが裏技と呼ばれたりします。
Q でも重大なバグを放置したまま発売されるソフトもあるよ？ アレとかコレとか。
A 早めに開発費を回収したいのかもしれません
AA 開発が長引くと、どうあがいても赤字という状況が発生することがあります。少しでも開発に掛かったコストを回収するために無理矢理発売する場合があります。
Q バグゲーかどうか見抜くことはできないの？
A 決算期のソフトはなるべく避けた方がいいです
AA 決算期とは一般的に３月のことです。利益が少ないと株主に怒られるために、決算前に少しでも利益を増やしておきたいという風に考えるメーカーも少なくありません。
ですので、出来が中途半端でも三月下旬に無理矢理発売するメーカーが後をたちません。注意しましょう。
Q HDってなに？ ハイビジョン？
A HDとはハイデフィニションの略です。高精細度という意味です。ピクセル数によってこう定義されます。PS3とXBOX360はHDに対応していますので、HDTVで楽しみましょう。ちなみにハイビジョンはNHKのハイデフ放送の名称です。（ややこしい経緯があるけど割愛）
対語はSDでスタンダードデフィニション。今までの地上アナログ放送などはこちらの規格です。
Q じゃあHDTVでゲームをやれば、凄いグラフィックが楽しめるの？
A ケーブルに注意
ゲーム機とテレビをつなぐコンポジットケーブル（赤白黄の三色のやつ）が普及していますが、このケーブルはHDに対応していません。PS3やXBOX360やWiiUをこのケーブルで繋ぐのは非常にもったいないです。
HDに対応したHDMIケーブルというものがあります。これで繋ぐことを強く推奨します。
イベント編
Q E3ってなに？
A 世界最大のゲーム見本市です。
AA ロサンゼルスで開催されるゲーム見本市で、Electronic Entertainment Expoの略です。毎年5,6月頃に行われ、北米年末商戦に向けて新作ソフト、ハードなどを発表します。
他にゲームの見本市ってあるの？
A E3、TGS、GCが三大見本市とされています。
AA TGSは東京ゲームショーのことで、アジア最大の見本市です。GCはGames Conventionのことで、ドイツで行われるヨーロッパ最大の見本市です。他にも上海で開かれるチャイナジョイや台北ゲームショウなどもあります。
Q どうして任天堂はTGSに出展しないの？
A 任天堂はCESA（コンピュータエンターテイメント協会）の非会員だからです。
AA 元々CESAという組織自体が、任天堂の初心会流通に嫌がったソフトメーカーが結束してつくられたものだと言われています。そのCESAが母体となって催されるTGSには、任天堂は出展していません。現在も任天堂はCESAの正会員ではなく特別賛助会員という位置づけで、微妙なパワーバランスのもとに成り立っています。
ゲーム内容編
Q フラグってなに？ 伏線のこと？
A 違います。プログラム用語です。
フラグとは特定の条件を満たしているかどうかをチェックする仕組みです。条件を満たしていれば旗があがり、満たしていなければ旗が下がるというイメージからFLAG（旗）と呼ばれます。
条件1を満たしているとき→分岐Aへ
条件1を満たしていないとき→分岐Bへ というように使います。単なる前振りや伏線はフラグではありません。
このフラグの発明によりゲームに「物語」を載せることができるようになりました。
Q アドベンチャーゲーム（ADV）ってギャルゲーのことなの？ 冒険してないのにどうしてアドベンチャーなの？
A 冒険ゲームのことではありません。
AA 1975年頃に「アドベンチャー」（正式には、「Colossal Cave Adventure」）というゲームが出ました。テキストを読み、コマンドを入力して冒険を勧めていくゲームです。この「アドベンチャー」の後追い作品が増え、この作品に似ている、準じているゲームのことをアドベンチャーゲームと呼びます。似たような例は他にもあります。
ローグライク
ローグに似ているゲームのことをこう呼びます。代表的なのは風来のシレンなどですが、本家よりも有名になっているため、最近では「不思議のダンジョン系」などと呼ばれることもあります。
タワーディフェンス系
タワーディフェンスという戦略ゲームに似ているものをこう呼びます。
ドットイート
点（ドット）を食べる（イート）ことが主眼におかれたアクションゲームです。パックマンに似ているゲームのことをこう呼びます。
Q アルファベットのジャンルって分かりにくくない？ FPSとかRTSってなんなのよ？
A ファーストパーソンシューティングとリアルタイムストラテジーのことです。
ファーストパーソンシューティングとは一人称視点で銃などを撃つゲームです。DOOMや007ゴールデンアイ、Halo、Call of Dutyなどのことです。日本ではなじみがないですが、特徴的なので一度プレイすればどんなジャンルかわかると思います。
リアルタイムストラテジーとはリアルタイムでゲームが進行する戦略ゲームのことです。AoE（エイジオブエンパイア）が有名です。主にPCゲームなので家庭用ゲーム機ではマイナーです。
ちなみにRPGはロールプレイングゲームの略で、直訳すると役割を演じるゲームという意味です。
これらのジャンルの共通点はアメリカ発のジャンルということです。頭のアルファベットをとって省略するのは向こうの略語ならではですね。
Q RPGってドラクエが起源なんでしょ？
A 違います。むしろ最後発でした。
RPGの起源はテーブルトークRPGのD&D（ダンジョンズ＆ドラゴンズ）という作品です。このアナログゲームをコンピュータ上で再現しようと試みたのがウィザードリーです。ウィザードリー以降、コンピューターRPGが沢山作られました。ちなみに国産初のRPGはブラックオニキスです。
ウィザードリーの影響を受けた堀井氏他がファミコンでその面白さを再現しようとしたのがドラゴンクエストです。
時々、ファミコン初のRPGと言われることもありますが、ハイドライト・スペシャルや頭脳戦艦ガル（厳密には違いますが）などが既に発売された後でした。なので正確には、ドラクエは「RPGという概念を日本に広めたゲーム」といったところでしょうか。
Q じゃあ世界初のテレビゲームってなんなのよ？
A 諸説ありますがTenis for Twoというのが一般的です
何を持ってテレビゲームとするかにもよりますが、多くの人に遊ばれたと言う意味ではTenis for Two（ブルックヘブン国立研究所 1958年）です。研究の一環として発表されました。
ゲームの歴史もようやく50年といったところでしょうか。
ゲーム未来編
Q ソーシャルゲームってなに？ 普通のゲームと違うの？
A 狭義には、SNS上で展開されるゲームのことです。
SNS（ソーシャルネットワーキングサービス）と呼ばれるオンラインサービスがあります。日本では携帯電話で展開されるGREEやモバゲーなどが有名ですが、MixiやFacebookなどももちろん含まれます。
そのオンラインサービス上で友人と協力したり競い合ったりすることを主眼としたゲームで、ゲームの性格上プレイヤーが多い方が面白くなるものが多いため、基本無料で展開されることが多いです。
ドラクエの謎解きの情報交換やオンラインゲーム、ポケモンのキャラ交換などもソーシャル（社会性）的な要素がありますが、狭義のソーシャルゲームには含まれません。
Q F2Pってなに？
A Free to Playの略です。
つまり遊ぶのは無料という意味です。
こういうゲームはたいていアイテム課金などの別途料金が掛かるシステムになっていることが多いです。
最終更新日：2013/01/01
コラム一覧
最終更新：2013年01月01日 14:43
