溝口葉耶


【分類】
登場人物

【読み】
みぞぐちはや

【初出】
断章のグリムI 灰かぶり

【解説】
白野蒼衣の幼少期の記憶の大半を占める1歳年上の幼馴染で初恋の相手。
幼稚園に通う頃には既に文学全集を読んでいたほどの聡明な少女であり、
当時の蒼衣は葉耶に対して尊敬の念と恋愛感情を併せ持っていたと述懐している。

その聡明さが仇となったのか協調性とは無縁のタイプであり、同年代の子供からは生意気な異物と見なされ、
当時両親不仲になり始めていた両親も、葉耶がその薄氷の関係を敏感に悟ってしまったがために夫婦仲が破綻、
誰からも愛されなかった葉耶は唯一の遊び相手であった蒼衣を除く周りの人間と環境、そして自分自身を恨んでいた。

4歳にして自称癖と服薬習慣の持ち主であり、5歳の頃には
「にんげんは、滅びるべきだわ」
という思想に至ってしまう程彼女の精神は幼いながらも病んでいた。

町工場の敷地内にある使われていない倉庫が蒼衣と葉耶だけが知る小さな遊び場で2人は毎日遊んでおり、
時折、葉耶がどこかで嫌な事があった際には行うおまじないと呼ぶにはあまりにも陰惨な"儀式ごっこ"を行っていた。

関係が壊れるのは蒼衣が10歳の時。
葉耶との関係以外にも小学校などで人間関係を構築し「普通の」生活を持つようになった蒼衣と、
相変わらず全てを拒絶し、蒼衣と2人だけの関係に固執した葉耶との間で徐々に言い争いをすること増えていった。
蒼衣はこの頃も葉耶の事が好きだったものの、葉耶にも普通の生活を送ってほしいと思うようになっており、
必死に説得するも、葉耶はこれを裏切りと受け取り頑なに拒絶するというやりとりが何度もあった。
そしてある日、
「本当のわたしを知ってるのは蒼衣ちゃんだけで、本当の蒼衣ちゃんを知ってるのもわたしだけなのに!
 みんななんか関係ない! 私と蒼衣ちゃんが離れちゃったら、わたし、どこで本当の私になればいいの……!?」
と蒼衣の学校生活を否定した葉耶の言動に対しついに我慢の限界が来た蒼衣が激昂、
「本当のぼくって、何だよ!」
「ぼくが学校でどんなふうに話して、笑ってるのか、見たことあるの? ないよね!? 何も知らないくせに!」
と今までにない調子で怒鳴り立て、最後には
「答えてよ、本当の君は何だ?」
「君の好きにすればいい。君の本当の形は君しか知らない。誰も君の形を縛ってなんかない。変われ! 変われよ!」
と拒絶の言葉を投げかける。
そして蒼衣が立ち去ったその日を境に葉耶は行方不明となり、事件にまで発展するも彼女が見つかることはなかった。

と蒼衣は記憶していたが、葉耶が行方不明になった本当の原因は泡禍であり、蒼衣は彼女が異形化して消滅する瞬間に立ち会っていた。
葉耶は剃刀で自分の首を異常なまでに深く切断、直後にありとあらゆる生物が彼女の体のありとあらゆる場所から発生し、
しかしそのまま何かになることもなく徐々に収まっていき、最終的には残骸のようになって消えてしまった。
あまりにも衝撃的な出来事であったがために、異端化した杜塚眞衣子の変貌を目の当たりにするまで蒼衣はこの事を忘れていた

黄泉戸契の血の多量摂取により目醒めのアリスが不安定になってからは度々幻影として蒼衣の前に現れる。
特にラプンツェルの泡禍の際には、蒼衣に王子の配役の資格があったがために、
「死から救えなかった愛する者」である葉耶が視界の端に頻繁に現れて蒼衣を苦しめた。
また、幻影としての葉耶の姿は時槻風乃にも見えていた模様。


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最終更新:2011年10月05日 22:11