……さっきから、君ら何やってんの?
え?
『ガキでも知ってるぜ?特に今年に新作が発売予定のゲームやったことがあるガキならよォ!!
……“水”に“電気”は、“効果はバツグン”なんだぜぇぇぇぇ!!』??
――ふ、ふーん。なんかよくわかんないけど、まあ対戦ゲームなのね。ずいぶんハイテンションだね?目が進化するの?ふーん。
……じゃあさ、あっちは?格闘ゲームの方。あれでしょ、来訪者もダウンロードできるように……
え?
『連射コントローラーとキーコンフィグで先輩がイージービートしてメダル稼いでくれる』??
――ふ、ふーん。じゃあなんだ、直接やってないの?ずいぶん寂しいね?
え、何?期待を裏切られた?悪い意味で?課金の団子?
ま……まあ詳しい話は聞かないでおこうかな。やる気削いでも仕方ないからね。
でもなんだな、今言った『裏切られた』ってのはさ、しっかり『期待』するから生じる結果でさ。
単純に目的や想像、考え方と結果が違ったと思えばそんなヒドい表現しなくても済むんじゃあないかな?
それに『想像と違う』と言えばさ……
●●●
結論から言えば、俺は地下に潜った。
理由は単純。人目につかないこと、そして恐竜の戦闘に適しているということだ。
例えば路地裏でルーシーを拷問でもしてみろ、目撃なんかされたらそいつが何をしでかすかわかったもんじゃあない。
そして、狭い地下では戦闘は不利かと問われればむしろ逆。壁や天井を利用した三次元的な超スピードによる攻撃が出来る。見逃す手はない。
カチリと歯を鳴らした合図で恐竜どもの足を止めた。このあたりで十分だろう。
意図を察知したのか、それとも生意気に逃げようとでもしたのか、ルーシーが言われるでもなく恐竜から降り、地に足をついた。
「……ほほう?なかなか強気なことじゃあないか、ミセス・スティール?
気位の高い女性が嫁だと、あの旦那も鼻が高いんじゃあないか?なァ?」
「からかわないで。あなたみたいな人に何がわかるっていうのよ」
「おお、これはこれは」
言いながらカツカツと歩み寄り、ルーシーの顎に手を添え、クイと持ち上げる。
屈辱やら羞恥やら、あるいは決意やら怒りやら、そんなモノに満ちた何とも言えぬ表情がほんの数センチ先にあった。
これが傍から見たら、それか安っぽい映画のワンシーンだったら、俺は年端もいかない女に無理やりキスを迫る悪漢なんだろうが、実際はそんな生っちょろいモノでないことはお互い理解しているだろう。
顎に添えた手をルーシーの身体から話すことなくツツ、と滑らせる。立てた親指の爪を(
ホット・パンツと比べるとかなり控えめな)胸元でピタリと止めた。
俺がその指を軽く皮膚に押し込もうとするのと、ルーシーが口を開いたのと、乗ってきた恐竜たちがうなり声を上げたのは殆ど同時だった。
「Di――」
「ディオ、様……?」
●●●
ブラフォードが二人と遭遇できたのは偶然という意外に説明がつかない。
彼自身は先に受けた波紋の痛みに耐え、しかしその場で悶絶するような無様な真似をすることなく地下を彷徨い続けていただけなのだから。
怒りと苦痛に顔を歪めながら耳にしたのは『今の主』の声。
耳をすませ、目を凝らし、遠くに見えたその姿は見間違うことなどできなかった。自分に新たな生を、現世への恨みを晴らす機会を与えてくれた『ディオ様』の姿だった。
思わず早足になる。駆けだしていたかもしれない。主のもとには2頭の怪物と一人の女。
ディオ様は今にもその女の血を吸い取ろうとしていたところであった。邪魔をすると思うと心苦しかったが、口を開かずにはいられなかった。
「ディオ、様……?」
ハッとしてこちらを振り向く女とは対称的に、控える怪物を手で制止しつつゆったりとした動作でこちらを向いた顔は初めて出会った時のような邪悪な笑みを浮かべていた。
「ほう……貴様は」
「黒騎士ブラフォード、無様にも
ジョナサン・ジョースターの波紋を受け、撤退してまいりましたことをお許しいただきたい」
一方のディオ様、もといDio、いや、ディエゴは余裕の笑みを浮かべつつ頭をフルに回転させていた。
なるほどなるほど。どうもこいつは『ディオ』という自分に似た存在と俺の事を勘違いしているらしい。
このDioを人違いとはずいぶんと生意気ではあるが、どうやらその『ディオ様』とやらに陶酔しているようだ。
(たしかジョニィの本名がジョナサンと聞いたことがあったような気もするが、それもどうせ勘違いだろう)
ならば利用しない手はなかった。せっかくだからそのディオ様とやらであるフリをして『期待』させてやろう。絞れるものはなんでも搾り取るのがDioのやり方だ。
「――なに、ブラフォード。いいじゃあないか。今お前はこうして俺のもとに戻ってきたんだ。
失敗と言えば聞こえは悪いが、無謀に突っ込んで死ななかっただけマシだと考えろ。今回は不問にしておいてやる」
「ハ――ハッ、ありがとうございます。
して、その女は……」
「ン、まあ、『生贄』と言ったところだ」
ルーシーに口は挟ませない。突き立てた親指に力を込める。くっと小さい吐息がルーシーから漏れる。
しかし生贄とは我ながらなかなか良い表現じゃあないか。そうディオは内心でほくそ笑んだ。
拷問して情報を得て――そうしたら、そうだな。もっとも屈辱なのはなんだ?……俺の子でも産ませるか。
『ディオの息子』それはきっと、とんでもない悪意の塊になるだろうだろうからな。
そんな事を考えると自然と口角が上がる。
それはルーシーの目にどう映っただろうか、などとくだらないことまではDioは考えなかった。
一方のブラフォードも生贄という表現に何の疑問も持たない。
ディオ様は波紋症の回復のために、生命に満ちた若い女の血を好んでいたということは良く知っているからである。
「さて――ブラフォード」
「ハッ」
「お前は今後どうしたい?今までは俺の指示通りに動いていただけだが、この半日、お前はどこで何をし、誰と戦い、何を得、何を失った?
少しこのDioに話してみろ」
ここでもDioは冴えた。例の『ディオ』を『様』呼ばわりしているのだ。明らかに主従の関係だろう。
となればそのディオ様とやらがこのブラフォードをどう利用していたかもおおよそ想像がついた。
指示通り、なんてのは一種カマをかけたようなものだったが、目の前の黒騎士はそれを疑いもしなかった。
「ハ、ハイ、実は――」
●●●
さて、“想像と違う”話だったがいかがだっただろう。
ディエゴから見て、突然の乱入者は、自分が選んだ地下という場所では完全に『想定外』だったし、
ルーシーから見ればまさかのDioの味方が登場ッ!?って状態。せっかくの決意も幸先が悪くなりそうだ。
ブラフォードなんかは完全に『人違い』だしね。まあまだ想像と“違う”に至ってないのが救いだろうけど、ばれたらどうなることやら。
まあ何が言いたかったかって、さっきも言ったけど、こういう状況から『裏切り』は生まれるんだ。
最初から『味方を装って近づき、最後に裏切って寝首をかく』なんてのは俺に言わせれば“計画”であって裏切りではない。
期待や不安といった精神状態が誤解を生み、裏切りを生み、逆に信頼を築くこともある。
――なんて、カッコつけて言ってみたりして。
で、あのさちょっと聞きたいんだけど、この『時止め返しの隠しコマンド』ってさ……
【D-5 南西・地下(空条邸地下付近)/1日目 昼】
【ブラフォード】
[能力]:屍生人(ゾンビ)
[時間軸]:ジョナサンとの戦闘中、青緑波紋疾走を喰らう直前
[状態]:腹部に貫通痕(痛みなし)、身体中傷だらけ(やや回復)、波紋ダメージ(小~中)
[装備]:大型スレッジ・ハンマー
[道具]:地図、名簿
[思考・状況]
基本行動方針:失われた女王(メアリー)を取り戻す
1:『ディオ様』に状況の報告、今後の指示を仰ぐ
2:強者との戦いを楽しむ
3:次こそは『ジョナサン・ジョースター』と決着を着ける
4:女子供といえど願いの為には殺す
[備考]
『
ディエゴ・ブランドー』を『ディオ・ブランドー』と勘違いしています。
【ディエゴ・ブランドー】
[スタンド]:『スケアリー・モンスターズ』
[時間軸]:大統領を追って線路に落ち真っ二つになった後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:
基本支給品×4(一食消費)地下地図、鉈、ディオのマント、ジャイロの鉄球、ベアリングの弾、アメリカン・クラッカー×2
ランダム支給品2~5(ディエゴ:0~1/確認済み、ンドゥ―ル:1~2、
サンドマンが持ってたミラション:1、
ウェカピポ:0~1)
[思考・状況]
基本的思考:『基本世界』に帰る
1.ブラフォードから情報を得る。あわよくば『ディオ』に関する知識も得たいし、手駒として利用もしたい
2.思考1が終わった後、改めてルーシーから情報を聞き出す。たとえ拷問してでも
3.別の世界の「DIO(ディオ)」に興味
[備考]
ギアッチョから『暗殺チーム』、『ブチャラティチーム』、『ボス』、『組織』について情報を得ました。
ディエゴの付近には、ディエゴとルーシーが移動に使用した恐竜が2体(内1体は元
ドノヴァン、もう1体は元が不明、後の書き手さんにお任せします)がいます。
【
ルーシー・スティール】
[時間軸]:SBRレースゴール地点のトリニティ教会でディエゴを待っていたところ
[状態]:健康、緊張(中)、恐怖(小)、覚悟(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、形見のエメラルド
[思考・状況]
基本行動方針:スティーブンに会う、会いたい
0.現状の把握と打破、一体どうするのが最善なのか!?
1.ディエゴを出し抜く
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最終更新:2014年06月24日 00:46