第003話 宇宙最強のスラッガー ◆gNcQxtXu5Y
「くそっ、一体何が何だっていうんだよ」
猿野天国が、川のほとりで目覚めた時の第一声はこれだった。
いつのまにか気を失い、気付いたらこれまた覚えのない体育館にいた。
何事かとキョロキョロしてるうちに三人の男が登場し、自分と同じ高校生くらいと思われる男の死骸まで登場した時は流石の猿野も戦慄した。
「お、おいヒゲェ! これ全部お前のやらせだろ、おっさん軍団なんか引き連れやがって! どこにいやがる!?お前がドッキリカメラやろうなんて十万光年早いわ!」
なんとか正気を戻し、そう強がってみせたものの兵士が銃弾で天井を突き破るとやはり沈黙に戻らずにはいられなかった。
その後、呆然としながらも彼にしては珍しく説明だけは聞き入れていた。死にたくないという本能がそうさせたのだろうか。そして三人がガスマスクをつけた時、あーなんか深夜番組の兵士みてぇだなと思いつつ再び意識が遠のいていった。
それから、現在に至る。
あの時の死の臭いが生々しい。そして、三人の主催者の不気味な雰囲気も。
──マジかよ……夢じゃねぇのか……
一先ずはと状況を確認しようと、地図で適当に位置を確認しそれから名簿も見る。
「あ、凪さんはいないか、良かった……いや別の意味で良くはねーな。……ん、キザトラ先輩に、もみじ様……ぬ!? 御柳のヤローまでいんのか!」
だが、どの人物も進んで殺し合いをするような人物でないことは知っていた。合流するに超したことはないだろう。
それから食料を確認しながら、ふとこの状況について考え始める。
──前これみたいな状況の本見たことがあったな、モミーの強奪して。なんだっけなぁ……確か殺しなんかしねぇ奴も発狂しちまったりビビって引き金引いちまったりして殺人鬼になったヤツがいたような……となると、えーと……
デイバッグを無造作に探りながら深く考え込む。この光景を同じ野球部のメンバーの犬飼が見たら「明日は霙だな」と呟くことだろう。
それでもやはりは猿野。面倒になってすぐ考え込むのをやめてしまった。
「ええい! 要はさっさと他の皆と合流してあのおっさんトリオを潰せばいいんだな! 宇宙最強のスラッガーを敵に回した恐怖を思い知らせてやるぜ!」
そういうことで結論を出した。それから武器を確認する。
ディバッグの中から武器として取り出されたものは…
どう見ても縦笛だった。どこから見ても縦笛だった。スミからスミまで漏れなく縦笛だった。
「あーら、これならどんな豪傑でも肝臓が真っ二つだわ♪……じゃねーよ!!何コレ!?これでどうしろっつーんだよ!?」
やっぱり早めに合流しなくてはならんと深く実感する猿野だった。
ついでにそこそこの武器を持ってて、かつこのゲームとやらに乗ってないやつとも。
「まぁいい!来るな来やがれってとこだ!宇宙最強のスラッガー様がお相手してやるぜ!」
そう意気込み、振り返った猿野の目に突如飛び込んだもの。
赤毛の少年がこちらに向かって走ってくる姿だった。手にモップというのがよくわからなかったが。
「ってマジで来ちゃったヨ──イ!!」
こっちは縦笛、あちらはモップ。戦いとなれば恐らく不利なのはこちらのほうだろう。
さて、宇宙最強のスラッガーは一体どうするのだろうか。
【D-02/川のほとり/1日目・午前1時半ごろ】
【男子16番 猿野天国@Mr.FULLSWING】
状態:健康 (桜木登場にちょっと動転)
装備:縦笛@ピューと吹く!ジャガー
道具:支給品一式
思考:1.走ってくる少年の対応
2.虎鉄、もみじ、御柳と合流する
(自衛できる武器を持っていてゲームに乗ってない奴とも合流したい)
3.主催者を潰す
【男子14番
桜木花道@SLAM DUNK】
[状態]:健康
[装備]:モップ@SLAM DUNK
[道具]:支給品一式
[思考]:不明 備考: 花道が今、猿野に気づいているか否かは、次の書き手さんに任されます。
気づいていなかった場合、 [思考]:1.下流に向かう
2.晴子を探して守る
3.オヤジをぶん殴る
最終更新:2008年02月23日 00:19