辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 感動詞 | ① 人をある行動に誘う、またはある行動を起こすよう請い求める気持を表わす。いや。さあ。 |
※書紀(720)允恭二年二月「且曰はく、『圧乞(イデ)、戸母(とじ)、其の蘭(あららき)一茎(ひともと)』といふ」 ※源氏(1001‐14頃)若紫「いで、君も書い給へとあれば」 |
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② みずから思い立って行動しようとする気持を表わす。決意、決心などを表わすこともある。さあ。どれ。どれどれ。いざ。 |
※万葉(8C後)一四・三四九六「橘の古婆(こば)の放髪(はなり)が思ふなむ心愛(うつく)し伊弖(イデ)吾(あれ)は行かな」 ※虎明本狂言・雁盗人(室町末‐近世初)「すいさんな、いでめに物みせう」 |
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③ 強く嘆き、または感動する気持を表わす。事の意外さに驚き嘆く気持の場合が多い。いや。いやもう。いやまあ。 | ※落窪(10C後)二「いで、あなにく。人あまたもたるは歎き負ふなり」 | |||
④ その事態や、また、いだいた気持などを、疑い否定する気持を表わす。否定表現を伴うことがある。さあ。いや。いやもう。 |
※万葉(8C後)一一・二四〇〇「伊田(イデ)何かここだはなはだ利心(とごころ)の失(う)するまで思ふ恋ゆゑにこそ」 ※源氏(1001‐14頃)帚木「いで、およずけたる事は言はぬぞよき」 |
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⑤ 改めて、ことばを話し出すとき、物語の冒頭などに用いる。さて。そもそも。 | ※大鏡(12C前)六「いで、またいみじく侍りしことは」 | |||
[語誌]中世末期、近世初期頃の狂言資料においては、ほぼ②の用法に限られており、それも「いで物見せう」「いで食らはう」というような固定化された用法が多いことや、文体的には語りの部分へ集中していることなどから、かなり衰退していたものと思われる。 | ||||
広辞苑 | 感動詞 | ①(ふと思い立った時、または人を誘い促す時にいう語)どれ。さあ。いざ。 | 源氏物語夕顔「―、見む」 | |
②(感動を表す語)いやもう。実に。まあ。 | 大鏡序「―、さうざうしきに、いざたまへ」 | |||
③(否定的におさえる気持を表す語)いや。いいえ。 | 大鏡序「―、さも侍らず」 | |||
大言海 | 感動詞 | (一)誘ヒ立ツル時、又ハ、思ヒ立ツ時ニ云フ聲。常ニ、言語ノ首ニ用ヰル。 |
允恭紀、二年二月「 萬葉集、十二 六 「 |
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(二)イヤモウ。 |
枕草子、四、四十三段「何ニナリ給ヘルゾト問ヘバ、いでマコトニウレシキコトノ、ヨベ侍リシヲ」 源、三十六、橫笛 十八 「泣キコガレ給フニ、キカセ奉ラザラン、罪エガマシサナド思フモ、いでイカデサハアルベキ事ゾト、猶心エズ思ヒヨル方ナシ」 |
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