辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 名詞 |
① 人や動物が発音器官を使って出す音。 (イ) 人の声。声帯を振動させ、口腔、鼻腔、その他の共鳴腔を共鳴させて出す音。音声学では、有声音をいう。社会的にきまった意味をもつことばと、泣き声、笑い声、うめき声などことばにならないものがある。音声。 |
日本書紀(720)推古二九年二月(北野本訓)「少幼者(わかいもの)は慈(うつくしひ)の父母(かそいろは)を亡(うしな)へるが如(こと)くして哭(な)き泣(いさ)つる声(コヱ)、行路(みち)に満てり」 | 声 |
(ロ) 鳥や獣の鳴き声。動物が喉頭の発声器を、また、鳥類が喉頭の鳴器を振動させて出す音。繁殖期に雄が雌を求めて鳴くときのものと、仲間との合図や敵に対する威嚇のときのものなどがある。 |
万葉集(8C後)五・八三四「梅の花今盛りなり百鳥の己恵(コヱ)の恋(こほ)しき春来たるらし」 古今和歌集(905‐914)夏・一四六「ほととぎすなく声きけばわかれにしふるさとさへぞこひしかりける〈よみ人しらず〉」 |
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(ハ) 昆虫が、はねや肢を摩擦させ、または腹面にある発音器から出す音。むしのね。 |
万葉集(8C後)一五・三六一七「岩走る滝もとどろに鳴く蝉の許恵(コヱ)をし聞けば都し思ほゆ」 俳諧・奥の細道(1693‐94頃)立石寺「閑さや岩にしみ入蝉の声」 |
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② 物が振動しておきる音。 (イ) 琴、笛などの楽器や鐘、鈴の音。また、それらの合奏の音。楽音(がくおん)。がくのね。音楽。 |
日本書紀(720)雄略八年二月(前田本訓)「遂に歌儛して楽(コヱ)を興す」 平家物語(13C前)一「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり」 |
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(ロ) 物がぶつかったり、すれたり、落ちたりなどしておきる音。ものおと。噪音。ひびき。おと。 |
万葉集(8C後)二・一九九「ととのふる 鼓(つづみ)の音は 雷(いかづち)の 声と聞くまで」 源氏物語(1001‐14頃)明石「あらき浪のこゑ」 随筆・畏庵随筆(1821)上「碪(きぬた)うつ声に」 |
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③ 発音のぐあい。語調。→声うちゆがむ・声ひがむ。 | ||||
④ 曲調。声調。 | 梁塵秘抄口伝集(12C後)一〇「初積、大曲、足柄、長歌を初めとして、様々のこゑ変はる様の歌田歌に至るまで」 | |||
⑤ 漢字の音(おん)。 | 宇津保物語(970‐999頃)蔵開中「一度は訓(くに)、一度はこゑに読ませ給て」 | |||
⑥ 神、魂などが人に告げることば。 | ||||
⑦ 人々の、表立たない意見。うわさ。評判。また、人々の意見。 | ものいわぬ農民(1958)〈大牟羅良〉日本のチベット「いわゆるものいわぬ農民の声を活字にしている私の仕事の上に」 | |||
⑧ 季節や月、またある状態の、それとわかるような感じ。また、それが近づいてくる気配。 |
「秋の声」 泊客(1903)〈柳川春葉〉一「今年も十二月の声を聞くと、最(も)う何処と無く世の中がさわつき出して」 |
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⑨ ( 「こえ(声)を上げる」の略 ) 弱音(よわね)をはくこと。閉口すること。 | 洒落本・短華蘂葉(1786)「ヤア半時うつじゃないかサアこへじゃこへじゃ」 | |||
[語誌]→「おと(音)」の語誌 | ||||
広辞苑 | 名詞 | ①人や動物が発声器官から出す音。音声。 |
地蔵十輪経元慶点「声論の八の 「大きな声」 |
声 |
②音声学上、声帯の振動を伴う呼気。有声音。↔ |
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③物の振動から発する音。ひびき。 | 「鐘の―」「白波の―」 | |||
④ことばの発し方。語調。 | 「なまりのある―」 | |||
⑤意見。考え。 | 「庶民の―」「読者の―」 | |||
⑥季節・時期などが近づくけはい。 | 「秋の―」「師走の―をきく」 | |||
⑦漢字の |
宇津保物語蔵開中「一たびは |
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大言海 | 名詞 |
〔 (一)人類ノ發聲器ヨリ出ヅル |
萬葉集、五
三十
長歌「 字鏡 十四 「喃、謂 二 語聲 一 也、人乃己惠」 同 十六 「嚖、世比乃己惠」(蟬聲) 「馬ノ聲」鳥ノ聲」蟲ノ聲」 |
聲 |
(二) |
源、四十九、東屋
五十三
「卑シキ 太平記、廿一、天下時勢粧事「公家ノ人人、イツシカ、言ヒモナラハヌ坂東聲ヲツカヒ」 |
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(三)漢字ノ |
宇津保物語、藏開、中
一
式部大輔、七八枚ノ 同卷 十八 「少シ高ク讀ム、所所ハ、こゑニモ讀ム」 |
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(四)非情ノ物物、相、觸レテ發スル |
萬葉集、二
三十四
長歌「 榮花物語、十八、玉臺「今日暮レテ、明日モアリトナ、賴ミソト、突キ驚カス、鐘ノ聲カナ」 新古今集、十三、戀、三「イカガ吹ク、身ニ |
検索用附箋:名詞名称