み(身・躬・体)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 人間、または他の動物のからだ。身体。肉体。 ※古事記(712)下・歌謡「日下江の 入江の蓮 花蓮 微(ミ)の盛り人 羨しきろかも」
※徒然草(1331頃)一七〇「人と向ひたれば、詞多く、身もくたびれ」
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉六「獅子は、〈略〉身の高さ五六尺、長さ一丈余ありて」
② 骨、皮に対して、人間や鳥、獣、魚、貝などの肉をいう。ししししむら ※古今著聞集(1254)二〇「白虫の、みもなくて、やせがれていまだあり」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)大垣「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」
③ その人のからだの意から転じて、その人自身。自身。特に他人に対して、おのれ自身をいう。 ※万葉(8C後)一・五〇「其を取ると さわく御民も 家忘れ 身(み)もたな知らず 鴨じもの 水に浮き居て」
④ その人自身の有様、または位置。その人の立場。身の上。身のさま。 ※万葉(8C後)五・九〇三「倭文手纏(しつたまき)数にもあらぬ身(み)にはあれど千年にもがと思ほゆるかも」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「ヤレお前さんの身になったら嘸(さぞ)母親(おっか)さんに面目があるまいと」
⑤ その人自身が世に占める地位。その人自身の分限、程度。身分。分際。身のほど。 ※古今(905‐914)雑体・一〇〇三「身はしもながら ことの葉を あまつそらまで きこえあげ〈壬生忠岑〉」
※浄瑠璃・嫗山姥(1712頃)一「指でもささば天子に弓引朝敵同前、身を知らぬ者や有るべき」
⑥ 命あるからだ。生命。 ※延喜十三年亭子院歌合(913)「人恋ふとはかなき死にをわれやせむみのあらばこそ後も逢ひ見め」
※観智院本三宝絵(984)序「身終りて蛇に成りて」
⑦ からだのこなし。身ぶり。恰好(かっこう)。また、声色などと同様に、見せ物としての身振りをもいう。 ※咄本・鹿の子餠(1772)炮祿売「酒屋は遠しと少し案(あんじ)る身(ミ)ありてうなづき」
⑧ 自分が何かやろうとする心。誠心。→身が入る②身を入れる②
⑨ その人に関係のある者。その人の縁者。身内。また、自分の側に属する人。味方。また、博徒、やくざの用語で、一家の者。 ※玉塵抄(1563)一六「幽王の親類をちかづけ身にせいで讒侫のわるいとをいあだになる者を信じてしたしうせらるるを」
※人情本・春色玉襷(1856‐57頃)二「親父も母も幼少(ちいさい)とき死去(なくな)りまして、他に身といふ者は一人もなし」
⑩ 衣服の袖(そで)、襟(えり)、衽(おくみ)を除き、胴体を覆う部分。身丈、身幅の大小により、本身、四つ身、三つ身、一つ身などという。身頃(みごろ) ※随筆・守貞漫稿(1837‐53)一五「此裾には身前後左右四ケ各長一尺並びに左右の衽下二尺許を縹或はうす色にす」
⑪ 容器、外殻、外観などに対してなかみをなすもの。内容。実質。→実(み)④ ※古今(905‐914)仮名序「文屋の康秀は、言葉はたくみにて、そのさま身におはず」
⑫ 刀剣の鞘(さや)の中におさまっている部分。刀身。 「抜き身」
※古事記(712)中・歌謡「やつめさす 出雲建が 佩ける太刀 黒葛(つづら)さは巻き さ味(ミ)なしにあはれ」
⑬ 容器の蓋(ふた)に対して、物をいれる側。また、昔の鏡などのように蓋つきの器物で、蓋に対して本体の方。 ※枕(10C終)八七「身は投げつとて、蓋のかぎり持て来たりけん法師のやうに」
⑭ 木材で、樹皮の内側にある材の部分。 「赤身」「白身」
代名詞 ① 自称。中世、近世において、男子がやや優越感をもって、自分をさしていう語。 ※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)陳勝項籍第一「身はもとのふる知人ぢゃと云ほどに不縛してをいたぞ」
② 対称。接頭語「お」「おん」を伴って、相手をさしていう語。→おみおんみ
広辞苑 名詞 (古形の転)
からだ。身体。
万葉集3「筑紫の綿は―に着けて」。
「―を投げる」
②自身。自分。 源氏物語帚木「安らかに―をもてなしふるまひたる」。
「―を犠牲にする」
③(代名詞的に)自分。私自身。 枕草子82「これは―のためも人の御ためも、よろこびには侍らずや」。
狂言、富士松「西の海で鹿を啼かせうと、奥山で船を漕がせうと、―がままぢや」
④身分。分際。地位。 枕草子8「家のほど、―のほどにあはせて侍るなり」
⑤その人の立場。 「相手の―になって考える」
⑥その人の生き方。
⑦人の全力。まごころ
⑧(皮・骨に対して)肉。ししむら 「白―のさしみ」
⑨竹・木の皮の内部。 「赤―」
(さや)の中の刃。
(ふた)のある器物の、物を入れる方。
大言海 名詞 ()ニ通ズ、朝鮮語、もむ(身)〕
(一){カラダ。身體。
萬葉集、三 三十一 「シラヌヒノ、筑紫ノ綿ハ、身ニツケテ、イマダハ着ネド、暖カニ見ユ」 身・躬・體
(二){我ガ身。オノレ。自身。自己 萬葉集、五 三十九 「シヅタマキ、數ニモアラヌ、身ニハアレド、千トセニモガト、思ホユルカモ」
枕草子、四、第四十三段「夜中マデナンオハセマシ、コレハ身ノタメニモ、人ノ爲ニモ、サテイミジキ悅ビニハ侍ラズヤ」
「身ヲ思フ」身ニ取リテ」身ニ代ヘテ」身ヲ委ヌ」
(三)眞ノ心。信實。眞心 後撰集、十三、戀、五「侘ビヌレバ、今ハタ同ジ、難波ナル、身ヲツクシテモ、逢ハントゾ思フ」
「身ヲ塡ム」身ヲ入ル」實ヲ盡クス」
(四){ミノウヘ。身分。 枕草子、一、第四段「ナドテカ、ソノ門セバクツクリテ住ミ給ヒケルゾ、トイヘバ、ワラヒテ、家ノ程、身ノ程ニ合セテ侍ルナリト云フ」
「身ノ成ル果」身ニ負ハズ」
(五){(ニク)。(魚ノ) 古事記、中(神武)()乞ハサバ、云云、()ノ多ケクヲ」
(六)木ノ皮ノ內ノ部。 「赤身」白身」
(七)鞘ノ內ノ() 刀身 長門本、平家物語、八、長兵衞尉信連事「衞府ノ太刀ナレドモ、みヲバ少シ心得テツクラセタレドモ、アマリニ打タレテユガミケレバ」
「刀ノ身」槍ノ身」
(八)箱、 蓋物 (フタモノ)、ナドノ、物ヲ入ルル方。(蓋ニ對ス) 台記、久安六年、 印壺 ()「身深一寸七分、蓋深三分」
詞花集、七、戀、上「ワガ戀ハ、フタみカハレル、玉クシゲ、イカニスレドモ、アフ方ゾナキ」

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最終更新:2023年08月25日 00:16