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鈍感少女

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匿名ユーザー

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昼休み、大好物のミートボールを箸で挟んだ時にふと思い出した。

「あやの、今日兄貴と会う約束してたっけ?」
「うん、だから家まで一緒に帰っていい?」
「もっちろん。そう言えば兄貴が帰りが少し予定より遅くなるって言ってたけど……待っとく、だろ?」

あやのが家に来る。兄貴に会うために家に来る。
たったそれだけの事なのに、二人の仲がいい事は喜ぶべき事なのに何だかモヤモヤする。
ミートボールを口の中へ放り込む。
大好物なのに喉に詰まったような感じがして、どうにも胃に重く落ちてくる感じがした。
おかしい。何かこの頃体調不良だ。
風邪? そんな馬鹿な。ここ数年風邪を引いてないのはちょっとした自慢なのに。

「……どうしたの? この頃みさちゃん変じゃない?」
「私おかしいんだ」
「い、いきなりそんな結論を言われても……どうしてそうなったの?」

心配そうにしてくれるあやのに、このモヤモヤの原因を尋ねるべきかと思ったけど止めた。
これは言わないほうがいい、と私の第六感が言っている。
勉強面ではあんまり役に立たない感だけど、それ以外においては結構この感は当たっていると思う。

「おかしいと分かってるけど、どこがおかしいかは分からないからおかしいんだって」
「そういうもの……なのかな?」

箸をピコピコ動かして力説し、納得してないようなあやのを無理やり納得させる。
この頃こんな会話ばっかりしてる気がする。
ミートボールも美味しいんだけど何だか味気ない。
……柊ぃ、本当一緒に昼食食べようよ。
あやのと二人だと最近は言葉のキャッチボールが足りないんだってば。
なんて願っていたら、柊は昼休み終了ギリギリにチビッコの愚痴を言いながら帰ってきたから、
家でたまたま見つけた赤白帽子のアイスラッガーを食らわせてやりたいとちょっとだけ思った。
その後『あんたは子供か』と怒られるのは目に見えてるんだけど。
でも誰だってやったと思う。誰だって『ウルトラノック戦法やりたい』とか思ったはずだ。




あやのは私の家の間取りを完全に把握しているし、私だってあやのの家の間取りは把握している。
他人の家の中なんて数回行けば把握するのに、私達は昔から家に遊びに行ったり来たりしてるから当然と言えば当然だけど。
私は自分の部屋にいるんだからのんびりすればいいのに、どうしても落ち着かない。
立ってウロウロと歩き回るまではしないけど、寝転がったままゴロゴロと転がってみた。

「み、みさちゃん……?」
「いや、本当気にしないでいいってば。もう自分でもよく分かんなくなってきた」

あやのがいつもの様に、前髪を下ろして小さなリラッタヌのぬいぐるみを膝の上に乗せながら疑問の声を投げかけてくる。
そのぬいぐるみは私がプレゼントしたものだ。
前に限定版だというでかいぬいぐるみにコーヒーこぼした後にこっ酷く怒られたので、詫びで。
プレゼントしたっていうのにあやのは『いつもここに来るから』って理由でそれを持って帰らない。
結局チビリラッタヌは私の部屋にずっといる。あやのが来たときだけあやのの膝の上にいる。
それを見てるとなんか、こう……またモヤモヤする。

「……ぬいぐるみは羨ましいよなー」
「どうして?」
「あれ、何でだろ?」

あやのが苦笑する。すっごく自分自身がすっきりしない。
プチプチを潰してる時に、一生懸命押しても押してもなぜか潰れない所を押してる時みたいにすっきりしない。

「……あやのは今のぬいぐるみみたいに、兄貴の膝の上に乗った事ってあるのか?」
「えっ? ……あ、あの……それって」

何を想像したのかは知らないけど、あやのの顔がうっすらと染まる。
答え聞かずとも分かっちゃうよな、その反応。
可愛いと思うのに、自慢の友達なのになんですっきりしないんだろう。
再びゴロンと転がってあやのと反対方向を向いた。
アナログ時計が視界に入る。あ、そろそろ兄貴が帰ってくる時間だ。

「みさちゃん、さっきのってやきも」
「おー、そろそろ兄貴帰ってくるはずだし、邪魔するのもなんだからちょっと外出てくる!」

何かあやのとセリフがかぶったけど、あんまり聞こえなかったからとりあえずスルー。
ガバッと立ち上がって屈伸して、ストレッチのつもりでジャンプしながら玄関へ。
我ながら言い訳が苦しい。でもずっとあそこにいたら苦しい。
兄貴が帰ってきて、あやのと兄貴の会話を聞いたらもっと苦しくなる。
あやのが背後で心配してくれる声が聞こえるけど、どう受け取って良いのか分からない。
何がどうおかしいのか自分で分からないんだってば。
靴を履いて玄関を開けると丁度兄貴と鉢合わせた。

「おぉ? どうした、みさお。出かけるのか?」
「そんなトコ。んじゃにー」
「みさちゃん!」

後ろであやのが呼んでるけど、兄貴との時間を邪魔しちゃ悪いのでとりあえずスタートダッシュ!
陸上部仕込みなのでついて来れないだろうし、まず追っかけてこないとは思うけど。
……今、私嘘ついたな。兄貴との時間を邪魔しないためじゃない。
自分があの場にいれなかったから逃げただけだ。
ちらっと後ろを振り返るとあやのと兄貴が何かを話してる。お互い首を傾げてるようにも見える。
私は兄貴のことを、バカだけどすごい良いやつだと思ってるしあやのとお似合いだと思ってる。
だから……良い事なんだって! 二人が仲良さそうに話してるのは喜ぶべき事なんだって!
すっきりしなかったり、モヤモヤする必要はまったくないって……分かっているのに!
再び前を向く。まだ頭の中に二人が話している映像が残っている。
もっと早く走ってその映像を振り落とそうとしている自分がいた。
おかしいな、いつからこんなに心が狭くなったんだろう。


とにかく、兄貴と一緒にいるあやのを見るとどうしても落ち着かないんだってば!













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  • キャラが生かされててすごく面白かったです。
    続きがすごく読みたいです!! -- 将来ニートになるかも (2007-10-21 22:43:54)
  • これは期待せざるを得ない -- 名無しさん (2007-10-13 15:57:33)
  • 続きがよみたい、、、。 -- 名無しさん (2007-10-13 15:07:46)

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