ある休日の午後。高良家のインターホンが鳴った。
「は~い、どちら様?」
『岩崎です』
「あらみなみちゃん。ちょっと待ってね」
ゆかりがすぐに玄関を開けると、岩崎みなみが参考書とノート片手に立っていた。みゆきに勉強のことで質問があって来たのだろう。
「こんにちは~」
「こんにちは……みゆきさん、いらっしゃいますか?」
「ごめんねぇ。今ちょっとおつかいに行って貰ってるの。すぐ帰ってくると思うから、上がって待っていくといいわ」
マイペースなゆかりに言われるまま、みなみは家に上がらせて貰う。
お茶を入れに行ったゆかりを、みなみは居間のソファで座って待つ。テーブルの上に、何冊かのアルバムが雑然と並べてあった。
「今ね、みゆきがちっちゃい頃のアルバム見てたのよ。みなみちゃんもよく写ってるわよ」
お茶を持ってきたゆかりは、そう言って一冊のアルバムを捲った。みゆきが小学校に上がった頃の写真だ。幼稚園児のみなみも写っていた。
ページを捲るたびに時代が進んでいく。みゆきが小学校三年生になった頃。高良家のアルバムなのに、何故か入学式のみなみの写真があったりした。
「みなみちゃん可愛いかったわね~。今も色んな意味で可愛いけど」
「……」
何を言ってもやぶ蛇になりそうなので、みなみは黙っている。
みゆきが小学四年生に上がる頃の写真が出てきた。それを見て、みなみの胸中に小さな波が立つ。
(この頃から既に……)
背丈は平均よりやや上といったところだが、一部分の発育が著しい。五年生の写真になると、既に他の女子を圧倒していた。
ちなみにその時三年生のみなみはペタンコである。当時にすればおかしくない。だが高校生となった今でも、あの頃からほとんど増量なしというのは由々しき事態だ。
(みゆきさんと私……何が違ってこんなに差が出たのだろう……)
やはり遺伝も重要なのだろうか。しかしみゆきの母ゆかりは、せいぜい中の上といったところだ。遺伝以外にも原因があると見るべきだろう。
考え込んでいるみなみ。その横で、ゆかりは無邪気にアルバムのページを捲っている。
「そういえばみなみちゃんのおっぱいの大きさ、この頃からあまり変わってないわねぇ」
グサリと音が鳴りそうなほどストレートなゆかりの言葉に、みなみは暗いオーラを漂わせた。
「みなみちゃん? どうかした?」
「いえ、何も……」
擦れ声で返事をするみなみ。端から見れば気にしているのが丸わかりだが、ゆかりはそれに気付いているのかいないのか、悪気など欠片も無い様子で話を続ける。
「みゆきは昔っから発育が良かったのよねぇ……四年生でもうブラジャーが必要だったし」
知っている。初めてブラを着けたみゆきに、その頃のみなみは羨望の眼差しを向けていたのだから。
「みなみちゃんは、やっぱり今でも胸が無いこと気にしてるの?」
「はいっ……?」
不意打ちの質問に、みなみはらしくもなく素っ頓狂な声を上げる。そんなことをゆかりに話した記憶は無い。
「ど、どうしてそんなこと……?」
「あら、憶えてない? 小学校の四年生ぐらいだったかしら。どうしたらみゆきみたいにおっぱいが大きくなるのかって、私に聞いたじゃない」
(お、憶えてない……何故この人はそんな昔のことまで……)
何かというとゆかりに恥ずかしい場面を見られたりすることが多いみなみだが、まさか何年も遡って恥ずかしい過去を突きつけられるとは。
「それに今だって、毎日牛乳飲んだりしてるでしょ?」
「そ、それは、健康のためで……」
「ふ~ん?」
ゆかりの細い目の奥に、どこかいたずらっぽい光が浮かんでいる。みなみはあうあうと口を動かすばかりで、それ以上何も言い返せない。
相性というか、ゆかりの前では普段のクールさが鳴りを潜め、向こうが言うところの「可愛いみなみちゃん」になってしまう。
「で、本当のところはどうなの?」
「だ……だから、その」
すっかり狼に追いつめられた羊だ。その時、
「ただいま戻りました~」
メシア降臨。みゆきが帰ってきた。
「みっ、みゆきさん、帰ってきたので、失礼します……っ」
みなみは逃げるように居間を出た。廊下でみゆきと顔を合わせる。
「あら、みなみさん。いらしてたんですか」
「はい、あの、聞きたいことがあって……」
「聞きたいこと? 何でしょうか?」
「どうしたらみゆきみたいに胸が大きくなるのか知りたいんですって~」
「ちっ違いますーっ!!」
居間から茶々を入れたゆかりに、顔を真っ赤にしたみなみが吼える。大人しいみなみにこれほど激しいリアクションをさせる人間は、地球広しといえどもゆかり一人だろう。多分。
「は~い、どちら様?」
『岩崎です』
「あらみなみちゃん。ちょっと待ってね」
ゆかりがすぐに玄関を開けると、岩崎みなみが参考書とノート片手に立っていた。みゆきに勉強のことで質問があって来たのだろう。
「こんにちは~」
「こんにちは……みゆきさん、いらっしゃいますか?」
「ごめんねぇ。今ちょっとおつかいに行って貰ってるの。すぐ帰ってくると思うから、上がって待っていくといいわ」
マイペースなゆかりに言われるまま、みなみは家に上がらせて貰う。
お茶を入れに行ったゆかりを、みなみは居間のソファで座って待つ。テーブルの上に、何冊かのアルバムが雑然と並べてあった。
「今ね、みゆきがちっちゃい頃のアルバム見てたのよ。みなみちゃんもよく写ってるわよ」
お茶を持ってきたゆかりは、そう言って一冊のアルバムを捲った。みゆきが小学校に上がった頃の写真だ。幼稚園児のみなみも写っていた。
ページを捲るたびに時代が進んでいく。みゆきが小学校三年生になった頃。高良家のアルバムなのに、何故か入学式のみなみの写真があったりした。
「みなみちゃん可愛いかったわね~。今も色んな意味で可愛いけど」
「……」
何を言ってもやぶ蛇になりそうなので、みなみは黙っている。
みゆきが小学四年生に上がる頃の写真が出てきた。それを見て、みなみの胸中に小さな波が立つ。
(この頃から既に……)
背丈は平均よりやや上といったところだが、一部分の発育が著しい。五年生の写真になると、既に他の女子を圧倒していた。
ちなみにその時三年生のみなみはペタンコである。当時にすればおかしくない。だが高校生となった今でも、あの頃からほとんど増量なしというのは由々しき事態だ。
(みゆきさんと私……何が違ってこんなに差が出たのだろう……)
やはり遺伝も重要なのだろうか。しかしみゆきの母ゆかりは、せいぜい中の上といったところだ。遺伝以外にも原因があると見るべきだろう。
考え込んでいるみなみ。その横で、ゆかりは無邪気にアルバムのページを捲っている。
「そういえばみなみちゃんのおっぱいの大きさ、この頃からあまり変わってないわねぇ」
グサリと音が鳴りそうなほどストレートなゆかりの言葉に、みなみは暗いオーラを漂わせた。
「みなみちゃん? どうかした?」
「いえ、何も……」
擦れ声で返事をするみなみ。端から見れば気にしているのが丸わかりだが、ゆかりはそれに気付いているのかいないのか、悪気など欠片も無い様子で話を続ける。
「みゆきは昔っから発育が良かったのよねぇ……四年生でもうブラジャーが必要だったし」
知っている。初めてブラを着けたみゆきに、その頃のみなみは羨望の眼差しを向けていたのだから。
「みなみちゃんは、やっぱり今でも胸が無いこと気にしてるの?」
「はいっ……?」
不意打ちの質問に、みなみはらしくもなく素っ頓狂な声を上げる。そんなことをゆかりに話した記憶は無い。
「ど、どうしてそんなこと……?」
「あら、憶えてない? 小学校の四年生ぐらいだったかしら。どうしたらみゆきみたいにおっぱいが大きくなるのかって、私に聞いたじゃない」
(お、憶えてない……何故この人はそんな昔のことまで……)
何かというとゆかりに恥ずかしい場面を見られたりすることが多いみなみだが、まさか何年も遡って恥ずかしい過去を突きつけられるとは。
「それに今だって、毎日牛乳飲んだりしてるでしょ?」
「そ、それは、健康のためで……」
「ふ~ん?」
ゆかりの細い目の奥に、どこかいたずらっぽい光が浮かんでいる。みなみはあうあうと口を動かすばかりで、それ以上何も言い返せない。
相性というか、ゆかりの前では普段のクールさが鳴りを潜め、向こうが言うところの「可愛いみなみちゃん」になってしまう。
「で、本当のところはどうなの?」
「だ……だから、その」
すっかり狼に追いつめられた羊だ。その時、
「ただいま戻りました~」
メシア降臨。みゆきが帰ってきた。
「みっ、みゆきさん、帰ってきたので、失礼します……っ」
みなみは逃げるように居間を出た。廊下でみゆきと顔を合わせる。
「あら、みなみさん。いらしてたんですか」
「はい、あの、聞きたいことがあって……」
「聞きたいこと? 何でしょうか?」
「どうしたらみゆきみたいに胸が大きくなるのか知りたいんですって~」
「ちっ違いますーっ!!」
居間から茶々を入れたゆかりに、顔を真っ赤にしたみなみが吼える。大人しいみなみにこれほど激しいリアクションをさせる人間は、地球広しといえどもゆかり一人だろう。多分。
おわり
コメントフォーム
- ゆかりさんはみなみ大好きだよね -- FOAF (2014-01-25 22:30:57)
- とてもイイ -- 名無しさん (2008-03-10 19:34:32)
- ゆかりママは確信犯。 -- 名無しさん (2008-03-09 18:45:48)
- やばい…いいなぁ -- 名無しさん (2008-03-09 18:38:41)