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Tiny☆Stars『前編:春の憂鬱』

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だれでも歓迎! 編集
卒業旅行から帰る途中の東京駅、東京在住のみゆきとはここで別れることに。
これでしばらくは会えなくなると、みんな涙ぐんでいる。

「二度と会えないってわけじゃないんだし、涙は禁物よ」

そう言った私自身、目がうるんでいた。
即座にこなたからツッコミが。

「強がっているのに涙目なかがみんも可愛いよ」

「あんただって」

思わず笑みがこぼれる。
そして、意を決したようにみんなで言った。

「じゃあ、またねっ!」

この日以来みんながそろうことはなく、そのことを思うたびに深くため息をつく。



私は今、弁護士になるために東京の大学に通っている。
司法試験は難関ではあるけれど勉強漬けでは意味がないと考え、サークルにも入ったおかげで友人と呼べる人間も何人かできた。
ナンパサークルと化したところを避けたり通学時間の制約などを考慮しているうちに、アニ研に入ったのは我ながら苦笑ものではあったけど。
とはいえ、同じサークルの男達からはそれなりに粉をかけられていて、私はそれをかわしながらも楽しく過ごしていた。

 - 柊はツンばかりでデレがないんだよなあ -

今ではこんな、どこかで聞いたような意見までちょうだいするほど、なじんでたりする。
もちろん私だって負けてない。

「あんたたちの魅力が足りないからでしょ。くやしかったら、わたしがデレる様な男になって見なさいよ」

なあんて、笑いながら返してるけどね。

大学二年の春を迎えてサークルに後輩が入ってきてから、あの日のことをちょくちょく思い返している。
そしてそのたびに思い出すのは、あいつのいる風景。
それほどあいつと過ごした高校時代は濃密だった。

きょうもまた帰りの列車の中で、楽しかったあの日のことを思い出していた。
列車が下宿先の最寄り駅に着き、ため息ひとつついて改札を通り抜ける。
駅を出たあと、まだ寒さの残る夕暮れの町を私は歩く。

「ただいま帰りましたあ」

「お帰りなさい、かがみちゃん」

一度リビングに向けて挨拶をしたあとで部屋にカバンを置き、改めてリビングに。
すると、のんびりとテレビを見ていたゆかりさんが、にこやかな顔で話しかけてきた。

「みゆきから電話があって、きょうは少し遅くなるんですって」

「あっ、じゃあ出前取りましょうか?」

そう尋ねると、すでにお寿司を頼んだとのこと。
私のために電子ロックを解除してから、最初のあいさつをするまでの間だとか。
それを聞いたとき「早っ!」と思わず突っ込みそうになる。
もちろんそんなことはしなかったけどね。
同級生ならともかく、お世話になっている人に突っ込みを入れるわけにはいかないもの。

お気づきのとおり、東京に出てきた私はみゆきの家に世話になっている。
ひとり暮らしをしたいと何度も何度も言ったのだけれど、両親やみんなの強い勧めで下宿させてもらうことに。
ゆかりさんに「遠慮しなくてもいいのよ。みゆきの友だちなんですし」とまで言われ、断りようがなかったのよね。

とはいうものの、とどめはあいつの一言だった。

 - みゆきさんとこに世話になりなよ、その方が私も遊びに行きやすいしね -

おかげでみゆきとは、ほぼ毎日顔を合わせている。つかさとはメールがメインだけど、実家に戻った時に顔をあわせることもある。
みゆきがいないときでも、ゆかりさんがいるので寂しい思いをすることがなかったのには感謝している。
まあ、みゆきから聞いたとおりの人だったんで、特にかまえる必要もなかったのもよかったみたいだし。



だから、ゆかりさんの言葉に軽く苦笑した後、私は言った。

「でしたらお茶、入れてきますね」

キッチンでお茶を入れた湯飲みを、トレイに乗せリビングに。
テーブルに置いた茶たくの上に湯飲みを置き、ゆかりさんに勧めたあと私も一口。

うん、うまく入れることができた。
料理は苦手だけれど、お茶の入れ方だけは自身がある。
祭礼のとき、人手が足りなくて私もお茶当番になることがあるから、小さいときから練習させられたんだよね。

おしゃべりをしながらお茶を飲んでいるうちに、寂しそうだったゆかりさんの顔に笑顔が戻る。
聞くと、みゆきだけではなくおじさんも遅くなるとのこと。
みなみちゃん家のおばさんも出かけられているということで、きょうはずっとひとりきりだったらしい。

やがて他愛もない話をお茶請けにしているところに、出前が届く。
ちょっと贅沢をした、とゆかりさんがおっしゃっていたとおり、届いたのは上寿司。
たまの贅沢ということで、遠慮なくいただくことにする。

そこから改めておしゃべりに花が咲く、おいしいお寿司を食べながら。
なんということのない話ばかりではあるけれど、おしゃべりをしていること自体が楽しい。
心の疲れが一気に取れていくような気がする。
大学に入って2年目の春、ここ最近、疲れがあんまり取れてくれない。
どうしようかと悩んでいるところだったのよね。

「ごちそうさまでした」

「おそまつさま。たまにはこういうのもいいわね。ふだんはお客様用にしかとらないから」

楽しかったおしゃべりを終え、キッチンで器と急須、湯飲みを洗う。
洗い終わった順に乾いた布巾で水分をできるだけふき取る。
最後にシンク周りに飛んだ水分も全部ふき取ると、後始末が終わる。
器とキッチンがピカピカになったのを見ると気持ちがいい。

次は私の番。
ゆかりさんに軽くあいさつをしてから、バスルームでシャワーを浴びる。
浴槽にもつかりたかったけれど、時間がなかったのと居眠り防止のためにあきらめた。
部屋にもどってパジャマに着がえて勉強開始。
シャーペンが紙にこすれる音と、紙をめくる音が部屋に響き出す。

みゆきの家で毎日を過ごしながら改めて思う、やはり自分にはひとり暮らしは向かないのかな、と。
誰もいないところに帰ってきたとき、心にポッカリと穴があいたような気持ちになったこともある。
あいつの言う「かがみは寂しがりのウサちゃん」というのもあながち間違いじゃないんだよね。

一方で将来を考えた時、私を捕らえる思いがある。
司法修習生になったら、どこかの地方で8ヶ月の実習生活。
寮に入れるかどうかは別にして、確実に生活拠点を移す必要があるだろう。
おそらく誰も知りあいのいない場所でのひとり暮らしが待っているはず。

でも、その日が来たら、私はどうなるんだろうか。
高校生の頃の私なら「大丈夫!」と言っただろうけど、今となっては自信がない。
少し……どころではなく、とても不安になる。

そんな時、できることならあいつにそばにいて欲しい、そんな思いが時たま浮かぶことがある。
泣いたり、笑ったり、ケンカしたり、賑やかな、安心できる日々。
そんな毎日を、あいつと共に過ごしたい。
だけどあいつは私のことをどう思っているのだろう、そう思ってすぐに自分のその思いを押し込める。

こんな思いを抱くことになったのには理由がある。
みゆきやゆかりさん、みなみちゃんやつかさと楽しい日々を過ごしてはいる。
だけど肝心かなめのあいつとは、メールと電話だけでほとんど会うことができない状態、それが一番の原因。

そう、あいつ。
泉こなたとは。

まあ、私の方にも少なからず原因はあるのだけど、こなたのバイトとの兼ね合いでなかなかタイミングが合わないってのが大きい。
卒業したとたん、一気にスケジュールが埋まって休みが取りにくくなったらしい。
みなみちゃんを通じてパトリシアさんに聞いてもらったら、バイトの責任者になっていろいろと仕事が増えたとのこと。

他にもイベントの企画を立てたり、新しいメニューを考案したりと、大忙しらしい。
しかも近々副店長になるとのこと、どんどん忙しくなるんだろうな。



そんなことを考えていると、何日か前の電話でこなたがぼやいていたことを思い出す。

 - かがみのとこに行きたいのに、こんなの予想外だよ -

電話越しに聞こえてくるこなたの声に、その愛らしい泣き顔が目に浮かぶ。
目の前にいたら頭をなでてあげられたのに。
そんな思いが浮かんでくる。
でも実際は、笑いながら答えるのが精一杯だった。

「それだけ期待かけられてるってことでしょ。
いつまでもできる仕事でもないんだし、必要とされてるなら頑張りなよ」

不満気にこなたは電話を切ったけど、会いたくてたまらないのは私も一緒。
がまんできなくなる前に切りたかったのが本当のところだった。
私も同じ気持ちだと言えれば、どれだけ楽だろう。

そして、その時の寂しい気持ちを今にいたるまで引きずっている、というわけ。

「こなた、会いたいよ」

ため息をついてから一言つぶやいて、勉強中の机に突っ伏す。
こなたの電話越しにしか聞けなくなった声と、写真でしか見られなくなった顔を思い出す。
気づくと、目頭が熱くなって涙がにじみ出てる。
こなたとの電話のあと何日かは、いつもこんな感じ。

幼稚園から中学までの同級生で、会えなくなった人は多い。
けど、ここまで会えないことのダメージが大きな相手というのはこなただけ。

いや、別におかしな趣味があるわけではない。
少なくとも私とこなたが『そういうこと』をするイメージは、ほとんど浮かんだことはない。
せいぜい、田村さんの同人誌内容にからめて、こなたがからかってきた時くらいかな。
どちらかというと、少し前に近所の幼稚園の子に人気のあった魔法少女アニメの『大親友』という言葉が似合う相手、それがこなたなんだろう。

落ちこんでしまった気持ちを押さえこんで勉強を再開したけど、なかなか勉強がはかどらない。
結局、ため息をついて机の上をかたずけ、早めに寝ることにした。
なかなか進まない手に気が重くなりながら、ベッドにもぐりこむ。
だけど、いざベッドに入ると目がさえて寝付けないことを実感する。

「私、どうなっちゃったんだろう。こんなにこなたのことが気になるなんて」

『まるで恋愛小説の一場面みたいだな』と思いつつ、『おいおい、相手は女だぞ、しかもロクに色気のない』と思い直す。
無理矢理にでも寝てしまおうと目を閉じて、何も考えないようにする。

でも結局たいして眠れなかった。
見た夢も、ロクなもんじゃなかったし。
翌朝、目は覚めたけど身体が少し重い。
ここのところ夜更かししすぎたかなあと思いつつ、着替えて部屋を出る。



だけど、階段を下りようとしたとき、それは起こった。

「あっ……!」

上の段に残っているべきかかとが、ふいに滑ってしまったのだ。

ダダダダダンッ!

大きな音と共に、1階まで一気に滑り落ちてしまう。
ゴチンと頭も打って、目から火が出ると言う体験を久々にしてしまった。
頭もそうだけど、背中とお尻がやたらと痛い。

「どうかなさい……かがみさんっ!」

音を聞きつけて、リビングから出てきたみゆきが叫ぶ。
みゆきの言葉を聞いたゆかりさんとおじさんまで出てきて、真っ青な顔で私を見つめてる。
そりゃそうか、階段から落っこった人間が頭をおさえてるんだから。
その一方でスカートじゃなくジーンズにしといてよかったと思ってる、のんきな自分がいる。
スカートだったら丸見えのポーズで倒れているわけだし、それくらい、いいわよね?

のんきに構えている私をさておいて、おじさんは玄関先の固定電話へと走った。
私に、そのままじっとして動かないようにって言いつけてね。
話し声からすると、どうやらかかりつけのお医者さんに電話しているようだ。

医師が来るまでの間、みゆきにいろいろ聞かれる。
どこか痛いところはないか、気分はどうか、昨夜はよく眠れたのか、とかね。
一方でおじさんが実家に電話していることに気づいてあわてる。
止めようとはしたけれど、ことがことだけに言わないわけにはいかないと言われ、止められなかった。

そうこうしているうちに、遠くから救急車のサイレンが。
いくらなんでも大げさじゃないかと思っているうちに、病院までまっしぐら。
慌しくて、何も言えなかった。

CTスキャンやMRI検査までしてもらった結果、脳には異常が見つからなかった。
ほっとする反面、みんなに心配かけちゃったなあと反省。
とりあえず様子を見るということで、帰って休むように言われる。
なにかあったら連絡してほしいと言う条件つきでね。



ロビーに行くと、お父さんたちが青い顔で立っていた。
いっしょにつかさも立ってたんだけど、わたしの顔を見たとたんベンチに座りこんだ。
たぶん、安心したんで力が抜けたんでしょうね。
よく見ると、みんなの目の周りに大なり小なり涙のあとがある。

「ごめん、心配かけちゃって」

家族なんだから心配するのは当たり前というお父さんの脇で、大丈夫なのかと聞いてくるお母さん。
念のためきょうは部屋で休むけど、頭の方は大したけがじゃないと言うと、ホッとした様子。
つかさなんか「お姉ちゃん、なんともなくてよかったよお」なんて涙声よ。
だから近寄って強く抱きしめて、言ってあげた。

「つかさ、大丈夫よ。心配かけてごめんね」

なぐさめるのが逆じゃないかと、みんながクスクス笑う。
つかさの顔が真っ赤に染まったのを見て、素直で可愛いなと思う。
こういうときに素直になれないから、こなたに「ツンデレ」だなんていわれるんでしょうね……って、なんでこんな時にこなたのこと考えてるんだろ。

ようやくみんなの気持ちが落ち着いたところで、みゆきの家にタクシーで戻ることに。
何かあったら連絡がほしいとだけ言い残して、お父さんたちは実家に。
みゆきの家に着くとすぐ、ゆっくり休むように言われて2階の自分の部屋に戻る。
ちゃんと休んでくださいねと念押しされたので、仕方なしにパジャマに着替えてベッドに入った。

「何でこんなことになっちゃったんだろ」

検査結果を見たお医者さんから、少し疲れがたまっているようだと言われたことを思い出す。
言われてみればたしかに、ここ何ヶ月か眠りが浅かった気が。
こなたのことが気になりだしたあたりから、そんな感じだったなあと思い返す。

苦笑してからため息をつき、赤くなった顔を見られないように頭まで布団をかぶる。
部屋には1人きりなんだけどね。
冗談めかしてはみたけど、どうにも気持ちが落ち着かない。
モヤモヤした気持ちを抱えながら目を閉じる。
どうやらなんとか眠りにつくことができたようで、目が覚めたときにはとっぷりと日が暮れていた。

「かがみさん、食事の支度ができましたけれど下に来られますか?」

ドア越しにみゆきが声をかけてきた。
すぐに降りていくと声をかけ、手早く着がえる。

「おじさん、おばさん、みゆき、心配かけてごめんなさい」

気にしないでいいとは言われていたが、どうしても一言謝らなくては私の気がすまなかった。
自分のドジが原因で心配をかけてしまったわけだしね。
『気にしなくていい』と改めて言ってはくれたけれど、甘え過ぎないようにしよう。

夕食は最近では珍しくなったみゆきの手作り。
医者から言われたことを考えてくれたのか、消化のよさそうなものばかりだった。
ありがたくいただくと、みゆきにすぐに部屋に戻るように言われる。

「病気ではありませんけれど、本調子ではありませんしね。
油断してホントに病気になってしまってもいけませんから」

背中を押すようにしてリビングから出される。
誰も入っていないことを確かめた上でお湯をもらうことを話し、いったん部屋に。
タオルと着替えを持って、改めてシャワールームにむかう。

衣類を脱いで中へと入る。
だけど今日はお湯に入ることはしない、シャワーもなし。
異常なしとはいえ頭を打ったあとということで、医者はもちろんのこと、みゆきたちに止められていたから。
手で温度を確かめながら、洗面器にお湯を。
手にまとわりつく、ぬるめのお湯が心地よい。

お湯がたまっていく様子を見つめながら、ため息をひとつ。
後悔の念がどうしても消えてくれない。
かといって、何をしたらいいのかもわからない。
気づくと、洗面器からあふれ出たお湯が足元を濡らしていた。
あわててお湯を止める。

と同時に、自分のほほを涙が濡らしていることにも気づく。
なんなんだろうと思いつつ、手のひらで救ったお湯で顔をばしゃばしゃと洗う。
それからお湯を蓄えた洗面器にタオルを入れ、絞ったあとで体全体をくまなく拭いた。
最後に、ゆすいで絞ったタオルで何度もからだを拭いて、余分な水分を取る。
肌着を新しいものにし、その他の衣類を身につけ、部屋に戻ってベッドに。

とはいえ、きょうはだいぶ寝たのですぐには寝付けそうもなかった。
とりあえず、ラノベでも読んで時間つぶしでもしようと本棚から取り出す。
ベッドにもぐりこみ腕と肩から上だけが出た状態で読みはじめたけど、数ページもいかないうちに軽いノックの音が聞こえた。
誰だろうと思っていると、外からみゆきの声が。

「かがみさん、よろしいですか?」

断る理由もないので招き入れると、本を脇に置くのと同時に近いタイミングで、みゆきが部屋に入ってくる。
なぜだろう、いつになく真剣な目をしている。
どうしたのかと聞こうとしたとき、みゆきが口を開いた。

「いつからです?」

「え?」

「いつから泉さんとお会いになってないんですか?」

「ええと、去年の卒業旅行、以来かなあ」

思わず目をそらし、みゆきの質問に答える。
そう、本当はこなたと会えないでいるのではなく、私が会いに行っていないのだ。
むしろ避けていると言っていい。
会うチャンスなら今まで何回もあったにもかかわらず、私はその日にわざと予定を入れていた。
顔を見るだけならバイト先を訪ねればいいのに、私はそれすらしなかった。

なので時折こなたのかけてくる電話、それだけが接点になっていた。
こちらからはめったにかけないという一方通行な関係、それが今の私たちの関係だ。

「どうしてです?」

みゆきの強いまなざしに何も言えなかった。
実際、なんて答えたらいいのか私自身にもわからないのだ、私がこなたを避ける理由を。
ただなんとなく会い辛い、それだけなのだから。
答えが欲しいけど見つからない、そんな不安定な気持ちの中で時間だけが静かに流れていく。

「……わからない」

結局、長い沈黙のあとでこう答えるのが精一杯だった。
ウソをついているつもりはないが、どこか違う。
そんな思いを見透かされたのか、ふいにみゆきが話題を変えた。

「そうですか。ところでかがみさん。
今夜のメニュー、どなたが考えたかご存知ですか?」

「え? みゆきが考えてくれたんでしょ?」

「違いますよ」

みゆきは首を振って一枚の紙を見せてくれた。
発信元記録がついてるってことは、これはFAX?
よくよく見ると発信元はコンビニ、そこに書かれているクセの強い字は……こなたのものだった。

「泉さんに連絡しましたら、それを送ってくださいました。
かがみさんに気を遣わせるのが悪いから、病院には来られないっておっしゃった後にです」

 - みゆきさんTELありがと。 たいしたことないってことだけど、今夜はかがみにコレ食べさせてあげて。 -

一番上に書かれたその文章のあとには、こと細かに書かれた料理のレシピがあった。
図解入りで書かれたそのレシピはわかりやすく、みゆきやつかさはもちろんのこと、私にでも作れそうなほどであった。

「こなたが……」

みゆきが強くうなずく。
こなたには、私が検査を受けている間に連絡を入れたらしい。
その時はかなりうろたえたみたい。
でも心配はなさそうだと聞いて、みゆきにこのレシピを送ってくれたとのこと。

「泉さんも薄々気づいてらっしゃらるようですよ。
かがみさんが泉さんを避けているってこと」

息をのみ、それ以上何も言えなくなった私を置いてきぼりにして、みゆきは部屋を出ていった。
あとに残された私の中にうずまく何かを思いおこさせたまま。











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