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おくすりの時間

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匿名ユーザー

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 泉家の台所。
 こなたはコップの三分の二ほどの高さまで水をいれ、そこにやかんから少量のお湯を
注いでぬるま湯を作った。洗面器に水を注ぎ、そちらにも適量のお湯を入れてぬるま湯を
こしらえた。
 洗面所からタオルを二本とってきて、その片方をぬるま湯で濡らす。静かな台所に
チャプチャプと水音が響いた。
 コップを右手、乾燥タオルと濡れタオルを左手に持ってゆたかの部屋のドアの前に立ち、
両手が塞がっていることに気付いた。多少行儀が悪いが、見咎める者はいないので、その
まま――ドアは前もって半開きにしてあった――足でドアを開けて中に入った。
「ゆーちゃん」
 ベッドに横たわるゆたかは、三秒ほど間を空けてこなたの方を向いた。
 頬は赤らんでいて、普段よりも幼く見える。目は虚ろで、こなたのことが見えているか
どうかも怪しい。口は半開きになっていて、荒い呼吸を繰り返している。
 ゆたかは風邪をひいて高熱に苦しんでいる。その姿は、あまりにも無力で、あまりにも
無防備で、あまりに可憐だった。きっと、頭はぼんやりしていて何も考えられないだろう。
 何があってもこなたを頼るしかない。その様相に、こなたは『萌え』を感じた。
 なんとか覚醒しようとしたゆたかの口が『い』の形に動くのが、こなたには見えた。
「お姉ちゃん……」
「喋らなくていいよ。楽にしてて」
 布団を剥いでゆたかのパジャマを触ると、じんわりと湿り気を感じた。この熱なら相当
の汗をかいているはずだった。正しい処置をすれば快方に向かうという証明でもある。
「気持ち悪いでしょ。体拭くよ」
 ゆたかは軽く肯いてきただけで、それ以上何もしてこない。本当に辛いんだなと思って
てきぱきとパジャマを脱がせた。ブラは着けていなかったようで、平らな胸が露になる。
普段から着けていないのか、風邪でそれどころではないのか、訊ねてみたかったがやめて
おいた。
「せっかくだから下着も換えちゃうよ」
 ゆたかはまた、ただ肯くだけだった。
「ゆーちゃん、ちょっと危険だよ」
 何が危険なのかゆたかが理解できないだろうとわかったうえで、そんなことを言って
みた。予告どおり下着も脱がせて、ゆたかは一糸纏わぬ姿になった。もちろんゆたかは
一切抵抗しない。
「可愛いよね……」
 出るところは出ておらず、くびれるところはくびれておらず、ちょっと下に視線を向け
ると、触り心地のよさそうな割れ目があった。こなたに劣らない幼児体型。
 その姿を見ていると、こなたは胸がざわつくのを感じた。もっと『何か』をしてみたい
という衝動。――危険なのは、こなただった。
「でも、ダメだよね」
 病人をいつまでも裸にしておくわけにはいかない。こなたはぬるま湯で濡らした方の
タオルでゆたかの身体を拭いた。平らな胸のちょっとだけ膨らんだところや、きれいな
スリットの近くを拭くときに湧き上がる衝動に、気付かぬふりをする。
 全身を拭いたあと、乾いたタオルでもう一度拭いて、タンスの中から換えのパジャマと
下着を取り出してゆたかに着せた。
 あとは薬を飲んで水分補給してもらって、じっくり寝ていればいい。

「ゆーちゃん、おくすりだよ」
「うん……」
 しかしゆたかは答えるだけで、何もしない。
「ねえ……」
 病気のときは言い知れぬ心細さに襲われて、甘え気味になってしまうもの。ゆたかは
すがるような上目遣いでこなたを見やった。
「おくすり、飲ませて欲しいの?」
 子供に諭すような口調で、こなたは尋ねる。
「うん、お願い……」
 子供のように、ゆたかは懇願する。
「しょうがないなぁ」
 内心では喝采をあげながら、仕方なくといった風に錠剤を取り出す。こなたはその錠剤
を自分の舌に乗せて、コップのぬるま湯を少量口に含んだ。
 左手をゆたかの頬に、右手を顎に添えて、自分の方を向けさせる。ゆたかと唇を重ね
合わせると、舌でゆたかの唇を開いた。
「ん……」
 ぬるま湯をゆたかの口内に流し込む。舌に乗せておいた錠剤をなるべく口の奥に送って
やろうと――それは単なる言い訳でしかない――舌をねじ込む。ゆたかの舌に自分の舌を
絡ませると、高熱のせいかとても熱く感じた。何度もねぶって、ゆたかの舌を味わう。
 どさくさで錠剤はどこかへ行ってしまったので――これも単なる言い訳でしかない――
口内のどこかにあるはずのそれを探そうと、ゆたかの口の中に舌を這い回した。上下左右、
ありとあらゆる部分を舌で探り、その度に舌の感覚――味覚がゆたかの味を脳に告げる。
「はぁぅ……」
「いつのまにか飲んでたんだネ」
 こなたは一旦口を離して、次の錠剤を取り出した。今度は溶けやすいタイプの錠剤で、
舌に乗せるとすぐに苦味を感じた。
 今度は水を口に含まず、そのまま口付けた。再び舌をねじ込んで、ゆたかの中に渡す。
水の代わりに、こなたは唾液をゆたかの中に注ぎ込んだ。ゆたかはそうすればもっと唾液
が出てくるとでもいうように、舌を絞るように唇ではむ。
 ゆたかの唇は、とてもいい感触だった。このまま味わい尽くしてしまいたいほどに。
 けど、そうはいかない。そうしてはいけない理由がある。
「ちゃんと水も飲まないとね」
 風邪には水分補給が重要。ましてやさっきまで寝汗をかいていたのだ。あくまで看病を
しなければならない。
 少し多めにぬるま湯を口に入れて、みたび口付けをかわした。
「んっ……」
 こぼさないように、がっちりと頭を掴んで慎重に注ぎ込む。できれば離したくないと
思いながら。繰り返し繰り返し、まるで愛情を注ぎ込むように――

 それから数時間。一眠りしたゆたかはだいぶ症状が軽くなってきた。
「ありがとう、お姉ちゃん」
「なんのなんの。姉としての当然の勤めですよ」
 ゆたかにも余裕ができたようなので、こなたはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。
「ゆーちゃんの可愛いとこ見れたしネ」
「あ、あの、あれは……」
 熱は引いてきたのに、また赤くなってあたふたする。ぼーっとしていたからといって、
都合よく忘れたりはできないようである。
「あの、私、いつもあんなふうになるわけじゃ……」
「時々はなるんだよね。つまり初めてじゃないと」
「はうっ!」
 失言に気付いたときにはもう遅い。こなたは会心の笑みを浮かべる。
「ゆい姉さんにもやってもらってたわけだ」
「み……みんなには内緒にしてねっ!」
 うまく誤魔化したようだが、これも失言であることをこなたは見抜いていた。
「内緒にするヨ。特にみなみちゃんには」
「な、なんでみなみちゃんが!?」
 慌てふためくゆたかが可愛くて、更に意地悪したくなってしまう。
「本当はみなみちゃんに看病してほしかったんだよね。私を見たとき『みなみちゃん』
って言いかけてたよ」
 だから、軽々しくゆたかに手をだしてはいけない。少なくとも不意打ちのような真似で
みなみからゆたかを奪ってはならない。――もっとも、それはこなたの妄想が正しければ
の話であるが。ゆたかとみなみが本当に『そういう』関係なのか、こなたに確証はない。
「そんなの覚えてないよっ!」
「つまり無意識ではみなみちゃんを求めてるわけだ。そのくせ私まで誘惑しちゃうなんて、
ゆーちゃんは魔性の女だねぇ」
「誘惑って……ええっ!? 私、そんな」
 今度、おくすりの時間が来た時はゆたかをもっと味わってしまおうか、それとも潔く
みなみに機会を譲ろうか、半分は冗談で、半分は真剣に考えてみるのだった。

-おわり-












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  • 全く・・ゆーちゃんは萌えの塊だな -- ウルトラマンジョーニアス (2008-03-20 02:56:01)
  • ゆーちゃんは最強の萌え兵器です☆ -- 名無しさん (2007-12-24 23:15:00)

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