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32卓のお客様

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だれでも歓迎! 編集
 居酒屋のバイトで一番楽しいのは、客との触れ合いだと思う。
 そりゃたまにはどうしようもないDQNもいるけど、この店に来るのは大概いい人だ。

「お待たせいたしました、こちらへどうぞー」
 お客様を空いている席へとご案内しながら、「新規5名様ご来店でーす!」と叫ぶ。
店のあちこちから返ってくる「いらっしゃいませー!」の声が心地いい。

「こちらのお席へどうぞ」
 6人掛けのボックス席にご案内。
 ちっちゃい子が物珍しそうにキョロキョロしてたのが印象的だ。居酒屋は来たことないのかな? 見た目小学生っぽいし。

 おしぼりを一人ひとりに手渡しながら、お客様を観察。
──店員って意外とそういうことしてますよ? おしぼりの受け取り方ひとつでサービスも変わってくるものなのさ。人間だもの。
 ツインテールの子が両手を差し出し、にこっと笑って受け取ってくれたのにぐっときた。
ツリ目でちょっとキツそうかな、と思ってたんだが。そのギャップがいいね。

「こちら伝票の代わりになりますので、お帰りの際にレジまでお願いいたします」
 そう言って伝票札をテーブルに置くと、リボンの子が「はーい」と言ってから手に取って、それをしげしげと眺める。
「お姉ちゃん、この数字なんだろ?」
 その札には三桁の数字が書かれてるんだけど、そこを気にした人は始めてだ。ちょっと抜けてんのか? そこが可愛いのか。
 ツインテールの子が困った顔をする。この子達は姉妹なのか。
「かがみんはわかんないかー、これだから社会貢献したことない人は」
 おどける口調で青いアホ毛の子が言う。ツインテールの子は「うるさいわよっ」と赤くなっている。
「この数字と卓番でオーダーの確認するんだよね、お兄さん」
「はい、そうですね」
 この子は飲食店のバイト経験あるみたいだ。ファミレスかなんかか?

「では、ご注文お伺いしてよろしいですか?」
 それを聞いて、眼鏡の女の人が「おー忘れてたー」と言いながらメニューを広げる。



「わたしはとりあえず生かなー」
「ゆい姉さん、さすがに飲酒運転はまずいよ」
「冗談だって、えーとノンアルコールカクテルはっと……」

 膝をついて座ったまま待つのも結構辛いもんだ。左の爪先がすでに痛い。

「ゆーちゃん、オレンジジュース?」
「うーん、炭酸が飲みたいかなー」
「炭酸ね、コーラとジンジャーエールと……マリブコークにカシス、あ、サワー系いっぱいあるよ」
「ちょっとこなた、それお酒じゃない」

 普通なら「お決まりになりましたらボタンでお知らせください」と言うんだが、こういう場合はしない。
仕事の合間に目の保養だ。それに他のバイトにこのオーダーを代わってやりたくなんかないね。

「お姉ちゃん、何飲むの?」
「うーん、私はコーラでいいわ」
「えー、飲みなよかがみちゃん」
「え、でも私は」
「いいからいいから」
 メガネの人からメニューを押し付けられるツインテールの子。……目がメニューの上を滑ってんなー。あんまり詳しくないのか?

「すいません、飲みやすいカクテルってなにかあります?」
 そうきたか。
「そー…ですね、カシスオレンジやカルーアミルク、それから……」
 メニューのページを開いて、手で示す。
「こちらの、フローズンカクテルなどが飲みやすいですね」
「あ、これ美味しそう……じゃ、このバナナのやつお願いします」
 かしこまりました、えーっとフローズンバナナ、っと。

「お兄さん、ピーチミルクお願い!」
「姉さん、それアルコール入ってないよね?」
「もっちろん、ノンアルコールだよぉ。ゆたかは何にする?」
「うーん、……やっぱりオレンジジュースでいいや」
 はい、ピーチミルクにオレンジジュース。

つかさは? 何飲むの?」
「うーん、よくわかんないなー…」
 メニューと格闘してたリボンの子が、俺に顔を向ける。
「お兄さんの好きなお酒ってなんですか?」
 ……突然聞かれても。いや、たまにあるんだけどね、これ。たまーにね。
「そうですね、スクリュードライバーですかね」
「じゃ、それで」
 と満面の笑み。こういうのちょっと嬉しいんだ、なんか通じあってる気がしてさ。
これを読んでる貴女、落としたい店員がいたら試してみるといい。



「んじゃーあたしは梅酒のロックで」
 とアホ毛の子。はいはい梅酒……ってちょっと待て!
「失礼ですが、お歳はおいくつですか?」
 明らかに中学生、いや小学生か? 間違っても二十歳越えてるなんてことはないよな。
「えー、18だけどぉ?」
 って高校生かよ。……なにその「それがなにか?」みたいな顔?

「未成年の方にお酒の提供は、ちょっと……」
「お兄さんいくつなの?」
 話を聞いてください。
「19、ですけど」
「それでスクリュードライバーが好きぃ? あれれー?」
「ちょっとこなた、やめなさいよ。……すみません、ウーロン茶でも持ってきてください」
 とツインテールの子。いやいやいいんですよ、もっとひどいお客さんいますから。
泥酔したオヤジに比べれば可愛いもんです。

 ハンディを操作して注文を確認、うん、おっけー。
 「終了」のボタンを押してオーダーを飛ばす。
 ……おいアホ毛、ぶーたれないでください。ツインテールの子に絡まない。

「はい、ではお先にドリンクお持ちいたしますね」
 そう言って立ち上がる。あー、ちょっと足痺れてんなー。
 ……おいアホ毛、そんな目で俺を見るな。見ないでください。

「失礼いたしました」
 そう言って席を立ち、レジの方へ歩きながら「新規ドリンクオーダーいただきましたー!」と叫ぶ。
「ありがとうございまーす!」と返ってくる声を聞きながら、俺は思う。
今夜も楽しくなりそうだ、と。













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  • これ書かれたのは まだ年齢確認が徹底されてない時期ですなー。
    世も変われば変わるもの。
    こなたの返しが面白い -- 名無しさん (2011-05-05 04:28:44)
  • 居酒屋バイトの経験はないが、本当に楽しそうだ・・・。
    見事です! -- 名無しさん (2009-10-26 20:00:34)
  • 続きが読みてえ。切実に。 -- 名無しさん (2009-10-25 04:48:25)
  • ↓×2に同意

    オリキャラ主点で、上手く書ける人は本当に凄いと思う… ええぃ続きはないのかw

    GJ -- 名無しさん (2009-10-25 00:10:17)
  • GJ!
    こういう話は大好きだ!! -- コメント職人U (2009-10-23 23:58:15)
  • オリキャラを上手く使う方法を俺に教えてくださいm(_ _)m
    とりあえず「続き書いて〜…」と枕元で囁いてきます。ええ、続きを書いてもらえるまで毎晩(ニヤリ

    GJ!! -- にゃあ (2008-10-24 08:28:44)

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