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だれでも歓迎! 編集
「ゆたか……」
私は愛しい人の名前を呼んでため息を吐いた。
「みなみさん。たまには一緒にお風呂に入りませんか?」
久しぶりに高良家に泊まりに行った夜、浴室に向かう私にみゆきさんが誘いかけてきた。
「小さい頃みたいに、一緒に背中を流すのもいいと思いますよ。二人きりでしか出来ない話があるんです」
「……はい」
浴室で二人でいると、ふと懐かしさのようなものが込み上げてくる。こういうのもたまにはいいかもしれなかった。
「ところで……二人きりでしかできない話ってなんですか?」
「みなみさん……なにか悩んでいるみたいですね」
「えっ……」
「わかるんですよ、小さい頃から一緒にいる、みなみさんのことですから」
やっぱりこの人はすごい。天然だとかなんとか言われるけれど、やっぱりどこか鋭い人だ。
この人には話してもいいかもしれない。誰よりも信用できて、誰よりも頼り甲斐がある。
「実は……」
私はみゆきさんに『それ』を話した。親友のゆたかに、自分が熱い恋心を抱いていることを。
みゆきさんは真摯に話を聞いてくれて、決して私を否定せず、むしろ応援してあげるという姿勢を見せてくれた。
翌日、保健室のベッドに横たわるゆたかは、小さな寝息を立てていて、桜の花びらのような唇からかすかに可愛い前歯が見える。
その歯の間から零れる吐息は今、私の唇に向けて吐かれていた。二人の唇の距離、あとわずか二センチ。
「ん……みなみちゃん……」
突然に自分の名前が呼ばれて、私は急いで顔を引き離す。
「こな……くぅ……」
よかった。ただの寝言のようだった。てっきりこっそりキスをしようとしていたのが、バレたのかと。
硝子細工のように今にも壊れそうなほど脆く、すぐに消えてしまいそうなほど小さなゆたかの手を、きゅっと握る。
怖い夢でも見ていたのかな。私の名前を呼んで……今すぐゆたかの夢の中に、剣を携えて飛び込みたい気分だった。
「ゆたか……ごめんね。ゆたかを守らないといけないのに、何もできないで、しかも」
ゆたかの唇を強引に奪おうとしていたなんて。ゆたかの手を握る手に力が込もった。
「でも、今はずっとそばにいるから」
できれば今だけではなく、ずっとゆたかのそぱにいたい。そしてこの手の温もりを、ずっと感じていたい。
ゆたかの体温を感じて、その愛くるしい寝顔と、小さな寝息を聞いていると、私の中に邪な気持ちが生まれた。
「あっ……」
気がつけばセーラー服のスカートに手を入れて、私はひとりで耽っていた。保健室で、しかも親友の真横で。
「ふっ……ゆたか……んっ」
もう止まらなかった。私は時も場合も関係なく、無心で快感を貪っていた。ゆたかの名前を心で何度も叫びつつ。
「あっ、ゆ……たかぁ……」
静かな保健室の中に、私のくぐもったいやらしい声だけが響く。
「ごめんね、ゆたかっ……あっ、んっ……!」
ゆたかの手の温もりを感じつつ、私は保健室で達してしまった。
(そういえば今度……みゆきさんがお泊り会を開くって……そのときゆたかもくるんだったっけ……)
そうだ。そのときゆたかに私の気持ちを伝えよう。応援してくれる人もいる。もしダメでも、ゆたかとなら友情は壊れない。


「こなたお姉ちゃん……」
私は大好きなお姉ちゃんの名前を呼んでため息を吐いた。
今私はこなたお姉ちゃんの部屋の中にいた。こなたお姉ちゃんは今は友達の家にいて留守。
こなたお姉ちゃんが留守の間に部屋に侵入したのはこれで149回目だった。
この部屋からはこなたお姉ちゃんの匂いがする。機械の埃と、本のインクと、フィギュアの塗装料が混じった匂い。
そしてなによりも、こなたお姉ちゃんの体臭が混じったガールズフレグランス。バイトでかいた汗の仄かな香り。
「やっぱりお姉ちゃん、いい匂いだよぅ……」
お姉ちゃんのベッドに倒れ込むと、毛布をぎゅっと抱き締めてその香りを味わう。
私が今の学校を選んだ一番の理由は、こなたお姉ちゃんがいたからだった。レベルの高い高校だった。
もし合格したら、そうじろうさんの家にお世話になるかもねとお姉ちゃんに言われたとき、私は気がつけば机に向かっていた。
体調不良も構わずに必死に勉強をしたから、今みたいに天国にような生活ができていて……。
「あの頃はこなたお姉ちゃんとひとつ屋根の下に住めるなんて思いもしなかったな……」
お姉ちゃんのパソコンを立ち上げる。フォルダ内のデータを見るためにクリックした。
本当はこなたお姉ちゃんがいない間に、ネトゲのキャラのレベルを上げておいてあげたかったけど、さすがに怒られちゃうし。
一番下のアイコンはシークレットフォルダ。こなたお姉ちゃんの秘密がギュウギュウに詰まった、ちょっと過激なフォルダ。
私は手早くパスワードを入力すると、中のデータを拝見する。こなたお姉ちゃんのことは、なんでも知ってるんだよ。
「あ、画像が一枚増えてる~」
そこには、こなたお姉ちゃんがかがみ先輩と撮った写真が納まっていた。ちょっと嫉妬しちゃうかな……どうしよう、消しちゃった。
私の目下の目的は、こなたお姉ちゃんと結ばれて、このフォルダをお姉ちゃんと私の画像でいっぱいにすること。
二人で色々なことをしてるところを……二人だけの夢のフォルダを作って、それを二人で微笑み合いながら眺めたいんだ。
その為の準備ももちろんしてあるよ? こなたお姉ちゃんのお風呂をこっそりデジカメで撮ったりしてるんだ……。
あとでそれを二人で一緒に見て、こなたお姉ちゃんは『もう~……ゆーちゃんのエッチ♪』なんて恥ずかしげに微笑んで。
「あとで履歴消しておかなくちゃ……あ、あれの続きしちゃお」
私はこなたお姉ちゃんが今いちばんハマッているパソコンゲームを開いて、その続きをプレイすることにした。
これは、たしか18歳未満はやっちゃいけないタイプの、『えろげー』っていうんだったっけ……。
すごくえっちなシーンがいっぱいあって、こなたお姉ちゃんは私に見せないように頑張っていたみたいだけど……。
こなたお姉ちゃんのパソコンをいじっているうちに、ついプレイしちゃって、それからは部屋に侵入するたびに毎回……。
(お姉ちゃんも、こういうこと、したいのかなあ……)
私の身体にむずむずとした感覚が走って……ゲームをしてるときはいつも、こんな感じになっちゃって……。
でも考えるのは決まって、こなたお姉ちゃんのことで。お姉ちゃんのいやらしい姿を重ね合わせて。
私はいつものように、シャツの上から胸を、ズボンの上から大事な部分を、すりすりと擦っていた。
「おねえ……ちゃんっ……」
このゾクゾクってした感じは、初めて『えろげー』をしたときに覚えたものだけど、今はすっかり虜になっていた。
「気持ちいいよぉ……こなたお姉ちゃん……」
こなたお姉ちゃんのお部屋でこういうことをするっていうことが、もっと私を気持ち良くしてくれる。
「あっ……ふあっ……ん……今日はここまで……」
あんまりやりすぎちゃうと、私はまた倒れちゃう。そうしたらまた迷惑がかかっちゃうし、今ここで倒れられない。
(そういえば今度……高良先輩がお泊り会を開くって……こなたお姉ちゃんももちろん参加するんだよね)
うん。そのときに私の気持ちを伝えよう。こなたお姉ちゃん困るかな? 私、追い出されたりされちゃうかな?


「かがみ……」
私は私の嫁の名前を呼んでため息を吐いた。
今日もかがみんが私におちょくられて、顔を真っ赤にしていた。ナイスツンデレ、やっぱりかがみは可愛いネ。
でも私、本当は知ってるんだヨ? かがみんが、私のことが大好きで仕方ないってこと。
まあ大好きじゃなきゃツンデレとは成立しないんだけどね……。
「かがみんほどいじりがいのある子もいないよネ。明日はどんなふうにおちょくろうかな~」
でも聞いてよ、今日パソコンのシークレットかがみフォルダを開いたら、この間二人で撮った写真、一枚消えてたんだよ。
これで130度目だよ。酷いよね、ショックだよネ~。もしかして保存のし忘れ? 私としたことが! 
でも大丈夫、秘密のディスク『真のかがみんデータ』にはかがみのお風呂から寝顔まで色んな画像が保存してあるから!
「しかもかがみん、今日はつかさと一緒に帰っちゃうしさ!」
つかさと私、どっちが大事なのさ! まあ、つかさも大事な親友だし、かがみんの妹だし……。
「今日もネトゲにつなぐ前に、かがみんと遊んじゃおっかな~」
私は机の上に佇む、一体のフィギュアを手にとって、そのボディを色んな視点から眺めた。
これは私がネトゲで出会ったフィギュア職人を脅して作らせた、特注オーダーメイドかがみんフィギュア。
素晴らしい出来。かがみんがそのまま小さくなったような……これで必ず一日一時間は遊ぶのが私の日課になっていた。
そのスカートをぴらっと開けると、ちょっと幼いけどかがみんに良く似合う下着が姿を見せた。
「むふふ~、かがみんの今日の下着はピンクですな? でもツンデレといったら、やっぱり水色縞縞だよネ」
私はかがみんの下着をバッと脱がせた。あれ、かがみんちょっと赤くなった? 照れてるんだね、そんなかがみ萌え~。
『バッ、バカ! いきなり脱がせないでよ、は、恥ずかしいじゃない……』
「かがみんのそんな姿も可愛いヨ」
『そ、そういうこと言わないの! こなたの……ばか……』
そんなに照れなくてもいいよ、かがみん。ま、そんなところがまあ愛らしくて仕方ないんだけどネ。
「かがみん……今日も一緒に気持ち良くなろうネ?」
私はいつものようにかがみんフィギュアを握ると、ズボンを脱いでその顔を自分のあそこにこすりつけた。
「あっ、かがみぃ……いきなりそこからなんて……だめ、だよ……」
かがみんの執拗なクンニリングスに、私のショーツはすぐに湿り気を帯びてくる。
だって大好きなかがみにされてるんだよ……? かがみだって、きっと濡れているに決まってる。
「あっ、かっ、がみぃ……やあっ、ふあっ」
かがみんフィギュアはすでに、私の愛液でべチョべチョになっていた。
「あっ……あああっ!!!!」
ほどなくして私は達した。落ち着いてから濡れたフィギュアを拭いて、汚れた下着を脱ぐ。
「明日はどのかがみんで遊ぼうかな~?」
私はクローゼットを開けて、その裏の隠し扉を開けた。中には色んなコスプレをしたかがみんのフィギュアが計85体。
「いつ完成するんだろ。ネトゲ友達のゲームデザイナーに頼んだ、世界でひとつだけの『かがみエロゲー』……」
そのためにバイトしてお金貯めたんだからね。まあ、毎日リアルエロゲーみたいなものだけどさ……。
(そういえば今度……みゆきさんがお泊り会を開くって……かがみは参加するっていってたっけ)
よし、そのときに私の気持ちを伝えよう。かがみはツンデレだから、きっとすごく照れるんだろうネ。


「つかさ……」
私は愛しい妹の名前を呼んでため息を吐いた。
生を受けて十八年。私の傍らにはいつもあの子が……つかさがいた。
悲しいときも、嬉しいときも、寂しいときも、楽しいときも、あの子の顔は振り向けばすぐそこに。
「お姉ちゃん……」
「今夜も? しょうがないわね、つかさは」
「えへへ……ごめんね?」
昨日の夜も、つかさはいつものように甘えてきた。寂しくて眠れないなんて、小さい頃からこの子ったら何も変わってない。
でもいい。それで構わない。つかさは何も変わらなくていい。つかさの横で寝るのは、死ぬまで私だけだから。
つかさを守ってきたのは私だから。そしてつかさがそばにいてくれることで、私の心が守られている。
最近はみゆきとおしゃべりする時間が多くなってるみたいだけど、私が一緒のクラスならきっと私のほうが……。
ていうか、みゆきとつかさなんて会話というか単に天然のキャッチボールじゃないの。代わりなさい、みゆき。
夜の十一時。今日はつかさがこない。寂しい。寂しがりやのつかさがこないと寂しいなんて、これじゃどっちが寂しがりやなんだか。
そんな日は私は決まって、家をこっそり抜け出して神社へと向かう。巫女装束に着替えて、お堂の掃除を始めた。
別に私は掃除が大好きだとか、そんなわけじゃない。ただ一巫女として、仏に物を頼む際にはこのくらいの礼儀がいると知っている。
「このくらいやればいいわね……」
僅か気持ちばかりお堂を綺麗にすると、私は箒を片付けてお堂の中心に座った。時刻は夜の十二時。
私は仏像に向かってパンパンと手を合わせると、すでに日常と化していたあのお祈りを、今日も繰り返した。
(つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。)
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。つかさと結ばれますように。
つかさと……パンパンと合わせすぎた手のひらが真っ赤になって、私は痛みを覚えたところでようやくお祈りを終えた。
ああ……またマメが潰れちゃったわ。でもついつい、祈りすぎちゃうのよね。
「やだ……お祈りしてるうちに朝になっちゃったじゃない。まだみんな、起きてないわよね……」
こんなことを、つかさが甘えてこない夜に毎度続けている。それも、つかさに対する愛情ゆえだ。
私のことを誰よりも知っているのはつかさで、つかさのことを誰よりも知っているのは私。
だからつかさを愛していいのは私だけ。つかさに愛されていいのも、私だけ。
私はこれからもつかさを愛し続けるし、つかさは私を愛しつづけるべきなんだ。
でもこんな気持ち、なかなか口に出せない。これがツンデレっていうやつ? わ、私は別にツンデレじゃないわよ……!
(やだ……つかさのこと考えたら、身体が疼いてきちゃった……)
思い立ったら止まらない。私はお堂の真中で、自分を慰め始める。
生粋の受け体質だと自分でもわかっているせいか、私がひとりで始めるときに考える事はいつも、つかさに責められるところ。
『お姉ちゃん、もう感じてるの? ここ、ぐしょぐしょだよ?』
「あんっ……だめよ、つか、さ……阿弥陀如来像が見てる……からぁ……」
『そんなこと言っても、お姉ちゃんの巫女装束こんなにはだけちゃってるもん』
すぐに達した。朝日を浴びながらお堂で身体をくたっと倒れさせている私。なんて罰当たりな巫女なんだろう……。
(そういえば今度……みゆきがお泊り会を開くって……つかさは喜んで参加するって言ってたわね)
よーし、そのときに私の気持ちを伝えよう。姉妹だからって、そんなの関係ない。つかさを守れるのは、私だけなんだから。


「ゆきちゃん……」
私は大好きな親友の名前を呼んでため息を吐いた。
こんな気持ち、初めてだった。いつかは私も誰かを好きになるとは思ってたケド、まさか同級生の女の子だなんて……。
でも、好きなものは好きだから仕方なくて……同時に、私は自分が結構嫉妬深いことにも気付いちゃって。
今日だってゆきちゃんはこなちゃんと楽しそうに。私も笑っていたケド、内心は気が気じゃなかった。
こなちゃんのくせに、こなちゃんのくせに、こなちゃんのくせに、こなちゃんのくせに、こなちゃんのくせに……!
ゆきちゃん、私寂しいよ? 私寂しがりやだから、ゆきちゃんが他の人とお話してるだけで胸が痛いんだよ?
夜になると時々どうしようもなくなって、そんなときはお姉ちゃんを代わりにガマンしていたりする。
お姉ちゃんは優しいから、私が狸寝入りしているときに時々キスしてくれたりするし、私からゆきちゃんを奪う心配もない。
でもやっぱり私は、本当はゆきちゃんじゃなきゃイヤなんだよ? お姉ちゃんなんかじゃ力不足だよ……。
最近はみなみちゃんとも仲いいよね? 小さい頃から知っている仲だから仕方ないとしても、あの子にはゆたかちゃんがいるんだよ?
(あんまり寂しくさせないで、ゆきちゃん……でないと私、死んじゃうよぉ……)
私はこの日もキッチンでひとり、お料理に励んでいた。これも全部、ゆきちゃんのための修行なんだ。
「できた……ゆきちゃんケーキ♪」
それはゆきちゃんを等身大で模した、大きなケーキ。こっそり作ってたから完成まで一週間かかっちゃった。
胸の部分は特に気を使って……ほとんど不眠不休だったっけ。でも、ケーキでもゆきちゃんの姿は惚れ惚れしそうだよ。
「あ、もうこんな時間。今度はチキンステーキを作らなきゃ……」
私は包丁を手に取った。使い慣れたマイ包丁。毎日毎日遅くまで研いで、いつでも鋭いままで保っているお気に入りの包丁。
種類もたくさんあるんだ。これから鶏肉をさばかなくちゃいけなくて、私は鈍い色を放つ出刃包丁を手に取った。
鶏肉はさばきたての新鮮なものを買ってきたんだよ。それをまな板に並べると、私は包丁を振り下ろした。
「あれ? このお肉、固い……」
どうしよう。さばきたてだからやわらかいと思ったのに。死後硬直……じゃないよね?
「だめだよ、ゆきちゃんのためにお料理するんだから。もっと上手になるんだもん」
私が非力だからなのかな。中々鶏肉は切れてくれない。私は更に力を加えて鶏肉に挑んでみる。
「もう、固いよ~。どんだけ~、どんだけ~……どんだけ~……どんだけ~……」
キッチンに、ダン! ダン! っていう音が響いた。私は鶏肉に向かって何度も何度も出刃包丁を振り下ろす。
その度に鶏肉からはたくさんの血が飛び散って、私の服を、顔を、髪を、手を、床を、天井を汚していく。
「わあ。ようやく切れた~。あとはこれにバルサミコ酢で下味をつけて~……」
私はたまねぎ丸々1個を手に取ると、一度の瞬きの間にそれを千切りにしてみせた。
私、ゆきちゃんのためにお料理上手になろうって決めて、包丁の扱いも得意になるよう頑張ったんだ。これしか取り柄ないから……。
でも練習の甲斐あって、今なら目を瞑った状態で50メートル先のハエに包丁を投げて真っ二つにできるくらいにはなったんだ。
ゆきちゃん、包丁なら私に任せてね。私が切ると思ったら、切られずに逃げられる獲物なんてないんだよ~?
いつかはゆきちゃんに美味しいお料理沢山作ってあげるね。ゆきちゃんさえよかったら……毎日だって作ってあげたいな。
美味しいケーキもたくさん……あ、ゆきちゃんは歯が弱いから、糖分は控えめにしてあげる。そのかわり愛情はたっぷり、とか……。
今日はゆきちゃんケーキを食べながら、私はキッチンでひとり、えっちなことをした。ゆきちゃんを好きになってからほぼ毎日。
ゆきちゃん……お料理だけじゃなく、私も食べていいんだよ? そんなこと、恥ずかしくて思ってても言えないかも~……。
(そういえば今度……ゆきちゃんお泊り会開くって……ゆきちゃんの家でお泊まりかあ……)
だったら……そのときに私の気持ちを伝えよう。ちょっと緊張しちゃうけど、ゆきちゃんのこと、信じてるから。


「みなみさん……」
私は愛しい女の子の名前を呼んでため息を吐きました。
思えば小さなころから、私は彼女の愛くるしさにはいつも参らされていたのです。
私の母もみなみさんの可愛さには敏感に反応していたりしますが、私はそれとはまた違った形で……。
……はい、私はみなみさんをご近所さん以上の関係として、愛してしまっていたのです。
みなみさんは胸が小さいことを大層気にされていました。私のことを時々うらやましそうに見ていたり……。
大きいのも考え物なんですよ? それに私は、みなみさんのその小さな胸がとてもいとおしいのです。
この間はそのみなみさんのお胸を拝見しようと、みなみさんをお風呂にお誘いしました。聞きたいこともあったのです。
案の定、みなみさんはゆたかさんをお慕いしているようでした。私はとりあえず、平然を装っていましたが……。
それにしても、よりによってゆたかさんのようなチビ……ではなくて、小さな女の子に恋心を抱いてしまっているなんて。
ゆたかさんは泉さんのことをお慕いしているんですよ? 調べることに関しては日本一の私の情報収集能力を侮ってはいけません。
泉さんは毎日フィギュア遊びに熱心ですし、かがみさんはお堂で朝方まで何やらぶつぶつ呟いていますし、つかささんは趣味のお料理。
こんな状況でゆたかさんに想いを打ち明けても、みなみさんは傷付くだけなのです。
それだけじゃなくて、せっかく出来た親友を失ってしまう可能性があります。それではあまりにも可哀想です。
万が一、上手くいったとしましょう。それはそれで、私が許せません。
もしもゆたかさんがみなみさんを毒牙にかけようものなら、いつだって高良家の力が爆発します。
最悪、ゆたかさんは骨だって残りません……そんなことになったらきっと、みなみさんは立ち直れなくなるでしょう。
悲しい恋をする前に、私がみなみさんの心の隙間をお埋めしてあげたい……ただそれだけなのです。
それに、私のほうがみなみさんと共有した時間は多いのです。お風呂だって、一緒に入れるのは私ぐらいです。
「それともみなみさんは、ゆたかさんみたいに幼い体型がお好みなのでしょうか……」
だとすれば、私には勝ち目はありません。自慢するつもりはないのですが、私は余計に成長しすぎてしまったので……。
「そうですね……方法があるとすればただひとつ」
私の脳裏に、肉体改造という言葉が浮かびました。とはいっても、ダイエットなどそういった類ではありません。
手術……現代整形外科技術にすがります。身長を低くする手術、胸を小さくする手術、お尻を小さくする手術、声を幼くする手術、
そんな手術が実在するのかなんていうことはまだわかりません。しかし、調べさせていただきますし、無ければ強引にでも。
みなみさんが喜ぶのなら、私はこの身体にいくらでもメスを入れてあげましょう。手足を取れをいうのなら取りましょう。
大丈夫です、予算ならたくさんあります。みなみさんがしてほしいことができれば、私はそれでいいのです。
私は高良家地下にこっそりと造った、『みなみさんルーム』に足を踏み入れました。
壁中に貼られたみなみさんの写真。約40台のモニターに映し出されたみなみさんのライブ中継。
高良家の財力、そして私の情報収集脳能力をフルに活かせるその部屋はまさに、私の要塞。
みなみさんのことで知らない情報はございません。体脂肪率から肌年齢、その日の発言の全てからトイレの回数まで、全て。
「適当なロシア語(ロシア国防省GRUの皆さん。みなみさんの本日の行動はどうなんでしょうか)」
『適当なロシア語(ミユキ・タカラ。本日の対象Aの行動データを転送いたします)』
さすがはロシアの軍を引き連れているだけあって、素晴らしい情報の数々ですね……。
私は壁に貼りつけてある等身大のみなみさんスナップに近付くと、ほお擦りを繰り返しました。
「ああ……愛してますよ、みなみさん」
あなたは私のものにしてみせます。たとえ世界を敵に回しても。まあ、世界は私の味方でしょうけれど……。
(そういえば今度……ここで開くお泊まり会に、みなみさんも参加するって言ってましたね)
でしたら……そのときに私の気持ちを伝えましょう。ゆたかさんとなんてくっつけません。みなみさん……みなみんは私の物です。
なんだかすごく、楽しいお泊まり会になりそうですね。今から楽しみです……。








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  • 6Pエンドですね
    分かります -- 名無しさん (2009-07-14 19:14:38)
  • 「三十路岬」や「三十路坂」をBGMにして読もうかなww -- 名無しさん (2009-01-05 18:06:35)
  • *1) お泊り会が修羅場に・・・ -- 名無しさん (2009-01-05 17:47:08)
  • なんか恐ろしい -- 名無しさん (2008-12-29 01:22:26)
  • みなみが綺麗すぎるwww
    なんだよこのヤンデレ達怖ぇーよ…www -- 名無しさん (2008-12-13 00:08:10)
  • GRUと聞いてMGSを思い出したのは俺だけではないはず -- 名無しさん (2008-08-31 01:06:06)
  • 阿弥陀様が見てる -- 名無しさん (2008-08-30 15:07:51)
  • 無限ループだな -- 名無しさん (2008-08-04 19:15:20)
  • いや
    もう身体共有しちゃえよ -- 名無しさん (2008-08-04 17:31:20)
  • ハチクロ!?!?!?
    -- 名無しさん (2008-05-06 23:09:07)
  • かがみ怖い・・・
    みゆきも怖い・・・
    ゆたかが黒い・・・
    つかさがさらに黒い・・・
    ・・・・・ってこれ昼ドラ→火サスじゃん・・・・・・・
    -- 名無しさん (2008-05-06 23:08:00)
  • すげぇループ…
    ていうか下がるにつれてヤンデレ度が出鱈目な角度で上昇して逝ってるし。
    そしてかがみん。貴女は確かにツンデレではない。 -- 名無しさん (2008-04-06 03:02:15)
  • お泊まり会は修羅場必定ですね。 -- 桜花 さくら (2008-04-03 18:24:14)
  • 一番下のコメントのやつと同じ現象が起きてびびった

    なんか…救いようがない話だな -- 名無しさん (2008-04-03 12:39:11)
  • テラ恐ロシス -- 九重龍太 (2008-03-16 17:30:59)
  • イヤー
    マジ怖えー -- 名無しさん (2008-03-06 20:27:55)
  • 数珠繋ぎワロタ -- 名無しさん (2008-03-06 07:04:51)
  • 何角関係だよ(笑)
    お泊まり会すげぇ修羅場になりそうwww -- 名無しさん (2008-03-06 01:07:38)
  • なんという泥沼 -- 名無しさん (2008-03-06 00:05:00)
  • 携帯で読んでいたら、途中で、画面のすべてが「つかさと結ばれますように。」で埋め尽くされた。
    単純なはずの繰り返しに、これほどの破壊力があるとは…。
    -- 名無しさん (2008-03-05 19:33:36)

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