夕日の差し込む教室は誰もおらず、
窓に寄りかかっていると、カラスが赤い空を横切る。
窓に寄りかかっていると、カラスが赤い空を横切る。
かつかつ、と女の人が廊下を歩く音がする。
教室の前で止まる。
どうやら来たらしい。
教室の前で止まる。
どうやら来たらしい。
「久しぶりやけど、元気そうやな。」
「えぇ、まぁ…」
「えぇ、まぁ…」
金色の髪の毛をなびかせて、その人物はやってきた。
よく見たことのある顔が、いつものように僕を見た。
担任、黒井ななこ先生だ。
ちょっと疲れているんだろうか、いつものはつらつとした感じはない。
よく見たことのある顔が、いつものように僕を見た。
担任、黒井ななこ先生だ。
ちょっと疲れているんだろうか、いつものはつらつとした感じはない。
「先生も、お疲れですね。」
「んー、昨日ネトゲで罠にハマってしもて…気づいたら朝8時やって…」
「んー、昨日ネトゲで罠にハマってしもて…気づいたら朝8時やって…」
あぁ、そっちですか…
とりあえず笑っておく。
大人を相手することで、必要なことのひとつだと思う。うん。
とりあえず笑っておく。
大人を相手することで、必要なことのひとつだと思う。うん。
「どや、最近。」
「まぁ、まぁですね、落ち着いてきまして…。」
「まぁ、まぁですね、落ち着いてきまして…。」
仕事も段々落ち着いてきたこともあり、
僕はちょっと余裕を持てるようにもなってきていた。
…あきら様からの無茶振りに対しては余裕ないんだけどね…。
僕はちょっと余裕を持てるようにもなってきていた。
…あきら様からの無茶振りに対しては余裕ないんだけどね…。
「んで、白石。」
「はい。」
「すまん、ちょっと、話がある…。」
「……はい」
「はい。」
「すまん、ちょっと、話がある…。」
「……はい」
黒井先生は困ったように笑っていた。
……どうしよう迫られたら。
とりあえずあきら様に怒られるって言おうそうしよう。
……変な想像をしてたら、黒井先生の言葉を聞き逃した。
……どうしよう迫られたら。
とりあえずあきら様に怒られるって言おうそうしよう。
……変な想像をしてたら、黒井先生の言葉を聞き逃した。
「え、あの、すみませんもう一度言って下さい…」
黒井先生は呆れた顔をして、
ゆっくりはっきり、
さっきの言葉を繰り返した。
ゆっくりはっきり、
さっきの言葉を繰り返した。
その一言を。
きーんこーんかーんこーん。
「はい席につけー泉ー」
「先生っ!なんであたしだけなんですかっ!」
「はい席につけー泉ー」
「先生っ!なんであたしだけなんですかっ!」
「今日で最後になるわけやけど、実はみんなにはいっとらんことがある。」
「先生結婚するんですか!売れ残り脱出ですね!」
「ちゃうわ!売れ残りちゃうし結婚の報告でもない!」
「なぁんだぁ」
「先生結婚するんですか!売れ残り脱出ですね!」
「ちゃうわ!売れ残りちゃうし結婚の報告でもない!」
「なぁんだぁ」
教室が一瞬歓喜の声に包まれたが、
違ったと分かった瞬間に止んだ。
なんと分かりやすいクラスだ。
違ったと分かった瞬間に止んだ。
なんと分かりやすいクラスだ。
「それで、言わなきゃならんのは、白石、おまえやろ。」
「あ、はい。」
「あ、はい。」
僕は席を立った。
黒井先生は黒板の前に立つことを促している。
仕方ないので教卓の前に行くことになった。
この距離が面倒な距離だと思う。
黒井先生は黒板の前に立つことを促している。
仕方ないので教卓の前に行くことになった。
この距離が面倒な距離だと思う。
「お、セバスチャン結婚か!やったね、ちょっと犯罪なんじゃないのー?」
「どんだけー」
「あらまぁ」
「どんだけー」
「あらまぁ」
違いますそんなんじゃありませんってか誰と結婚ですか!
僕?僕と誰だ?
犯罪って…僕と黒井先生?それは黒井先生が犯罪であって…
って僕とあ、あ、あきら様?!
それは犯罪だわ、僕が!
いや!別に!あの、そんな関係じゃないので!
え、慌てすぎ?そうですね、すいません…
僕?僕と誰だ?
犯罪って…僕と黒井先生?それは黒井先生が犯罪であって…
って僕とあ、あ、あきら様?!
それは犯罪だわ、僕が!
いや!別に!あの、そんな関係じゃないので!
え、慌てすぎ?そうですね、すいません…
んで、言わなきゃいけないことがあるんだったのをすっかり忘れていた。
「白石、早く言わんと卒業式始まるで?」
「あ、はい!」
「あ、はい!」
僕は慌てて前を向く。
簡潔に言うと、この一言で収まる。
僕は精一杯の笑顔で、
教室のみんなに言った。
簡潔に言うと、この一言で収まる。
僕は精一杯の笑顔で、
教室のみんなに言った。
「僕、留年しますので卒業式に出られません!
みなさん卒業おめでとうございます!じゃっ!」
みなさん卒業おめでとうございます!じゃっ!」
「というわけで、帰ってきました。」
「はぁ?!そんなこと、聞いてないわよ!」
「はぁ?!そんなこと、聞いてないわよ!」
ここはらっきー☆ちゃんねる収録のスタジオ。
収録前にお茶を飲みながらナビゲーターに一部始終を説明する。
収録前にお茶を飲みながらナビゲーターに一部始終を説明する。
何故ここに今いられるのか、
何故こういうことになってしまったかを、
簡潔に話した。
しかし彼女は納得しなかった。
何故こういうことになってしまったかを、
簡潔に話した。
しかし彼女は納得しなかった。
「どうして今更そんなことが分かるのよ!」
「…それは、僕にも分かりません。」
「…それは、僕にも分かりません。」
本当に、僕の留年が告げられたのは、
卒業式前日のどたばたしている時だった。
事実、卒業できると思っていたし、そのつもりだった。
しかし、黒井先生から言われたのは、
卒業式前日のどたばたしている時だった。
事実、卒業できると思っていたし、そのつもりだった。
しかし、黒井先生から言われたのは、
- 出席日数不足
- 単位不足
- 早退の数が多い
この3つだった。
実際この3つで留年になるのか疑問だが…。
実際この3つで留年になるのか疑問だが…。
しかも、これが判明したのは、
僕が呼び出された日であった。
もうちょっと前から分かっていたはずなのに、
今更だった。
僕が呼び出された日であった。
もうちょっと前から分かっていたはずなのに、
今更だった。
聞いた瞬間は何も考えられず、
棒立ちだった。
黒井先生に謝られた。
別に、黒井先生は何も悪くないのに、
何故謝るのかわからなかった。
棒立ちだった。
黒井先生に謝られた。
別に、黒井先生は何も悪くないのに、
何故謝るのかわからなかった。
「ウチも、なんとかしようとおもたんやけど…」
先生はうなだれてこう言っていた。
何とかしようとしてくれていたんだ。
黒井先生ごめんなさい、こんな生徒で…。
何とかしようとしてくれていたんだ。
黒井先生ごめんなさい、こんな生徒で…。
「とにかく!卒業式でなかったって…」
「だって卒業しない僕がいたって仕方ないでしょう…」
「う、うん…」
「だって卒業しない僕がいたって仕方ないでしょう…」
「う、うん…」
彼女はお茶を飲みながらかりんとうをぼりぼり食べている。
…服に落ちてますよ?ちょっとー、あきら様ー?
…服に落ちてますよ?ちょっとー、あきら様ー?
「まぁ…仕方ないですよね、もう1年頑張りますか…」
「もう1年…ん?」
「もう1年…ん?」
あきら様が僕の顔を見る。
…あきら様、かりんとうついてまs
…あきら様、かりんとうついてまs
「じゃ、あたしと同じ学校だね!」
え?
「言ってなかったっけ?あたし陵桜学園に入学するんだー♪」
「…はぁ。」
「…はぁ。」
そうなんだ、初耳です。
ってあれ?あきら様?
なににこにこしてるんですか…?
ってあれ?あきら様?
なににこにこしてるんですか…?
「じゃ、決まりだね!」
「何がですか?」
「何がですか?」
この人がこういう顔でこういう瞳で僕を見てくるということは、
なにか裏があるからなのであって
それ以外なんでもない。
さぁなんだ、
何をたくらんでいるんですかあきら様!
いってごらんなさい!
なにか裏があるからなのであって
それ以外なんでもない。
さぁなんだ、
何をたくらんでいるんですかあきら様!
いってごらんなさい!
「あたしと一緒に卒業だね!ね、白石♪」
「ちょっと待ってくださいあきら様、僕は3年生を何回y」
「楽しみだなー白石とおんなじ学校に通うんだ~♪」
「あの、聞いてますか?あきら様?」
「ちょっと待ってくださいあきら様、僕は3年生を何回y」
「楽しみだなー白石とおんなじ学校に通うんだ~♪」
「あの、聞いてますか?あきら様?」
あきら様は嬉しそうにくるりくるりと回る。
うきうきしているのは分かりますが、えっと、えっと…
うきうきしているのは分かりますが、えっと、えっと…
「白石とおんなじクラスかー♪」
「なんでいつの間に僕は1年生になっているんですか?」
「宿題は全部白石にやってもらってー」
「僕そんなに成績よくないですよ?」
「あ、制服もやっと陵桜の着られるんだよ?」
「…それは楽しみですね♪」
「なんでいつの間に僕は1年生になっているんですか?」
「宿題は全部白石にやってもらってー」
「僕そんなに成績よくないですよ?」
「あ、制服もやっと陵桜の着られるんだよ?」
「…それは楽しみですね♪」
それはそれで、いいのかもしれない。
あきら様と一緒にまた学校生活をおくるのも、
いいのかもしれない。
あきら様と一緒にまた学校生活をおくるのも、
いいのかもしれない。
みんなにおいてけぼりを食らったけれど、
確かに卒業できないけれど。
確かに卒業できないけれど。
「楽しみだねっ、白石♪」
「そうですね、とっても、楽しみですね♪」
「そうですね、とっても、楽しみですね♪」
貴方と一緒なら、
僕はいくら留年してもいいのかもしれない。
僕はいくら留年してもいいのかもしれない。
「あと何年留年したい?」
「…いや、最低3年で結構です…」
「1年生からやり直しでしょ?」
「そこからだけは本当に勘弁してください・・・!」
「…いや、最低3年で結構です…」
「1年生からやり直しでしょ?」
「そこからだけは本当に勘弁してください・・・!」
おわり
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- こういうの好きです! -- 名無しさん (2008-04-17 00:32:10)
- いいなぁ…
-- 名無しさん (2008-04-09 19:17:13)