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CRツンデレ

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だれでも歓迎! 編集
 埼玉の6月は梅雨だ。北海道は梅雨がないという。
 覚えていたり覚えていなかったり、夢からさめた時に外から降りしきる雨音を聞くと、やっぱり憂鬱になる。
 なにより夢に、こなたが出てきたのに、ふとした弾みとか、いいところで起きると余計に残念。あの後こなたは何を言うのかな~とか、私もっと頑張れとか、無駄なのはわかっているが、夢の中の私を応援する。
 夢の中の私はいつもこなたに振り回されているのだが、まあ現実もそんなものだから、もう少し主導権握れよ私! とは言えない。
――現実を頑張ろう。
 でも、そうしてこなたと一緒に居るだけでも、私は幸せなんだけど、って何ひとりでノロケているんだ。

 今日も、朝から雨。
 カーテンを開けるまでもなく室内に響き渡る。私は寝ぼけ眼のまま体を起こし、歯を磨く。
 7時。つかさも起こさないと……と私はしゃかしゃかと歯ブラシを水平に動かしながら、頭を覚醒させる。口をゆすぎ、顔を洗った頃には意識もはっきりとしてきた。鏡に移った自分のひどい寝癖をみて苦笑する。なんて頭だ。
 ドライヤーのスイッチをいれて、櫛を入れて髪を溶かす。寝るときに解いた髪をゴムできちんと結んで、いつもの私、つまりはツインテールにした。

「つかさ、つかさー!」
 ドンドンと扉をたたく。反応がない。いつものこととはいえ、もう少しなんとかならないのか。
 仕方なく扉を開ける。本来入居者の同意も得ずに部屋に入るのはマナー違反なんだけど、そうするよりほかしかたがない。「cannot help but do」とかの訳で嫌になるほど「ほかしたかがない」って言うわよね。まあそんなことはどうでもよく、私はシーツを汚さずにすうすうと規則的に寝言を立てているつかさのベッドまで寄った。
 耳元で、ほら、朝だから起きて、とささやいても反応がない。
 肩をゆさゆさと揺らす。
「うーん……あと五分だけー、ほんとにー、だって春眠が……」
「今は6月よ」
 思わず突っ込む。もちろん返事はない。
 何度か話しかけると、やっとつかさは起き出して、
「あれ~~お姉ちゃん。どうしたの~」
「どうしたじゃなくて、朝。もう、いつ寝たのよ」
「いつって、10時だけど~」
「……私より寝てるじゃん」
 この子はこういう子だ。難儀な子。
 それでも世話してしまうのが、私の性分だけどさ。

「とにかくさっさと支度しなさいよ」
 私はそういって、部屋を出る。二度寝したら、もう私は知らない。あとはお母さんに任せよう。

 どたどたと階段を下りる音がして、私はほっとする。
 がたんっ。
「あ~、つかさのやつ、やっちゃったかな」
 私が呟くとお母さんが「ほんとね~、大丈夫かしら」と心配する。お父さんが「見てこようか?」と聞くと、お母さんは「すぐ降りてくるから、いいわ」
 実際、寝ぼけているときのつかさほど危険なものはなくて、階段で転ぶのはいつものことだ。それでいて大きな怪我はしたことないのだから、案外丈夫というか、一番重要な危機回避能力だけは優れているのかもしれない。
 風邪ひとつ引かないし。
「……あいたたた」
 足を引きずりながらつかさが降りてくる。私はすぐにつかさの元に向かい、大丈夫と聞くと、
「うん~~ちょっと、すりむいちゃったけど」
 あーあ、赤くしちゃって。私はすぐに救急箱から絆創膏を取り出す。お父さんが洗面所で傷を洗っておいてというので、つかさがそれに従う。戻ってきたつかさに、私は屈んで傷口にぺたりと絆創膏を張った。

 本当に、いつもどおりの私の家だ。仲のいい6人家族がそこにいる。

 なんとかつかさを起こすという難関を突破して、いつもの時間に家を出て、いつものところでこなたと待ち合わせる。時間には10分遅れ。こなたらしいし、私はいまさら怒ろうとも思わない。
「ごめーん、かがみん!」
 とか言って抱きついてくる。恥ずかしいからやめろ! っと言いたかったけど、でも嬉しいんだからしかたない。
「ほら、さっさと離れろ。学校いくわよ」
「ほいさ~」
 時間はまだ余裕があるから、つかさにあわせるようにゆっくりと歩いた。
 学校にいる時間は流れるように過ぎていく。特にこなたのクラスにいく暇のない午前中の授業なんて、あっという間だ。退屈な時間ほど長く感じるとよく聞くけど、私の場合は勉強にも力をいれているせいか、そんなことはあまり感じない。勉強に集中していれば時間も早く過ぎる。早く過ぎればお昼休み。私は今日も日下部や峰岸のお昼の誘いを断って(もはや恒例行事だから、罪悪感を感じない)チャイムと同時にクラスを出る。
 こなたの机にはこれまたいつものようにつかさと、みゆきが一緒に居た。私もやっほといいながら、その群れに加わった。

 先ほど私は退屈な時間が長く感じることはないと言ったけど、少なくても楽しい時間が早く過ぎるのは事実だと思う。実際、いつの間にかお昼休みが終わる。ほんとに60分たったのか? と神様(私の場合は誰なんだろう。一応神社の娘として、イエスではないと思う。そもそも私はクリスチャンではないし)に疑問を呈してみたりもする。時間が地震を起こして邪魔してきたり、ある時間を起点にしてループし続けるなんて、フィクションでもなければありえない。それはわかっているけれどもお昼休みが終わるのは寂しい。どうにかしてくれ。
 とはいえ2時間を過ぎれば下校になるわけで、私はそれを糧としながら自分のクラスに戻る。教室を出るときは、もう数え切れないほど思ったことだけど、本当にこなたと一緒のクラスだったらなあ、と寂しくなる。


「……相変わらず、つかさんはどじっ子だね」
「ほんとよ。私の身にもなってほしいわ」
「――とかなんとかいっちゃって、結局は世話しちゃうんでしょ? だってツンデレだもん」
「うっさいわね。私は私なんだから、仕方ないじゃない」
「いやー、私はそんなかがみんが好きなのだよ。かがみが非情なんて、かがみらしくないし」
「そ、そっかな。だったら、嬉しい、かも」
「そうそうそれだよ、なんだ、もう襲っていい?」
「なにいってるのよ……」

 こなたが押し倒そうとするのをなんとか抑える。
 放課後はこなたと一緒に帰り、鞄をおいた後、お母さんにこなたと遊んでくる、と行き先を告げて電車に蜻蛉帰りする。幸手までは近い。近いがゆえにもどかしい。幸手駅~幸手駅~と告げるのを聞くと、私はもう、はやる気持ちを我慢できず、電車のドアが開くと同時にホームにでた。
 こなたは相変わらず制服のままだった。着替えないの?と聞くとこなたは帰ってからパソコンづけでさ、着替える暇なんかない、とかいってた。

「それにしても、かがみんが嫁だとはね」
「……誰が嫁か」
「似たようなものだよ。恋人通しであることはかわりないし。将来の嫁候補――じゃなくて、嫁」
「そりゃ、嫁候補であるのは嬉しいけれど。あのねこなた。日本の法律には――」
 ふんわりと感触が唇に伝わる。

 実際、どれだけ私がこなたを愛しているとしても、好きだとしても、いつまでもこなたと一緒にいたいとしても、日本の法律上は結婚などできない。
 法学部志望――ゆくゆくは、弁護士になりたいと思う――の私が一番わかっている。法律上はどこまでいっても私とこなたは別人だ。

 それは凄く悲しい。
 こなたの嫁云々はもちろん、冗談で言っているのだと思う。本気だったら、どうなんだろう、私は嬉しいのか。多分、嬉しいのだと思う。私がこなたのことを好きというのは、いまさら嘘を付く気もないし、嫌いになるなんてできない。こなたが私のことを好きということは、やっぱり自信がない。信じているけど、やっぱし不安なのだ。

 紡ぎかけの言葉がこなたの唇で塞がれた。
 驚いて目を見開いたままだった。こなたの閉じた瞳。ちょこんと飛び出ている鼻。私の心までくすぐる、こなたの緊張が伝わってくるような顔のこわばり。
 すぐに目を閉じる。暖かいこなたの味が、唇から全身に伝わる。こなたと離れた頃には、自分でも「また顔は真っ赤なんだろうなあ」と思うくらい、派手に紅潮させていた。

「こなたはずるいよ」
「何がだね?」
 ふんふんと上機嫌のこなた。私は俯く。とても暑い。
 なんて憎たらしいんだろう。そのくせして、私は頬をいとも簡単に朱色に染めあげる。

「いつもいつも不意打ち。心の準備もさせてくれないじゃない」
「そのほうがスーパーツンデレタイムに突入するからね。もう確変中だし。5連チャンくらいは狙ってるし♪」
「ばか」
 こなたはもう、満開に咲いた向日葵のように笑顔だった。今は六月だけど。
 憎たらしいくらい満面の笑み。いつものようにからかわれて、少し悔しい。

 それでも、私は感謝する。未来に対する連続的な不安。そんなこと、気にしないでいいよと、キスに込めて教えてくれた。
「――かがみんは心配性すぎだよ。未来なんて気にしていたら生きていけないよ?」
「……うん、そうだよね」
 そう、実際、こなたの嫁になることはできないのだと思う。
 でもそれでこなたが私のことを嫌いになるわけではないし、逆もしかり。
 だから、私はこなたと一緒に居ようと思う。

 思うついでに、たまには――
「えいっ!」
「うわっ、ちょっ おま!」
 こなたが驚いて抗議の声をあげる。私は黙ってこなたの唇を塞ぎながら、ベットに押し倒す。んーん!!、と言いたげなこなたの唇に舌を這わせて、くちゅくちゅと舌と舌を絡める。
 べっとりとした糸に満足しながら、制服越しに胸をもむ。あまり感触はないけれど(って失礼か)、確かなそれがあった。
「すとっぷうううう!!!」
 私の顔の目の前で、手をばたばたとさせるこなたを無視して、スカートを脱がす。可愛いパンツに手をふれる。
 濡れている。まあ、そのことに対しては私もそうだと、下半身に感じた湿ったパンツを頭に思い浮かべた。

「ちょ、かがみ、だめ! これはこなかがであって、私が攻めなんだから――あうっ!」
 甘ったるいこなたの喘ぎ声に、私は顔がニヤけるのを抑えきれないまま、私はこなたのあそこに顔を落とした。


「かがみ強引……」
 それから、お互いに脱ぎあって、えっちをした。こんどこそ主導権を握ろうといきこんでいたこなたを、私はまた不意打ちに襲った。さっきの仕返しなんだからね。そのまま私が責め。どうだ。
「仕返しよ。いつも私がやられているもん」
「むう――ツンデレとはかくも恐ろしいものか」

 へこたれるこなたは、やっぱりかわいい。
――ちょっとノロケすぎかしら。

「こなたのああいう顔、ほんとにかわいかった」
「それ私の台詞だよ! う~、覚えてろかがみ! こんどはずっと私のターンだからね!」
「……つんでれ?」
「だからそれ私の台詞!」

 何度もこなたに言われている言葉を、逆にこなたへ投げかける。
――たまには、いいよね。こんな関係でも。

 ついでに、私も頑張ったんだから夢の私も頑張りなさいよ! と私は心の中で私を激励した。
 本格的に頭が壊れ始めてきたかもしれないな……


「そうそう、さっきの続きなんだけどさ」
「さっき?」
 お互い服を着た後、今日も宿題で涙目だよ、助けてかがみ様! と泣きつくこなたを、仕方ないわねこれが最後なんだからこんどから自分でやりなさいよ云々と、もはやこなたの頼むごとを引き受ける前振りにしか過ぎないことは自覚しつつも自己のアイデンティティーを保つためにも言ってから、宿題を手伝う。
 珍しく机に向かうこなたの姿を、家庭教師のように後ろに立って見る。役得なのかもしれない。
 数学の問題で3分くらいペンがとまったこなたは、思い出したように言った。

「ほら、結婚とかなんとかってやつ」
「……わかっているわよ。できないことくらい」
「いや~、そうでもないと思うよ?」

 こなたは椅子をくるっと回転させて、私のほうに向く。
 意味ありげにウインクする。

「――アメリカに行けばいいと思うんだ。あそこなら、一緒にいられるよ?」

 それが冗談なのか、本気なのかはわからない。
 私のために、アメリカにいくことも厭わないのか。
 ……本当に?
 でも、こなたならそうしてくれる、漠然とした、それなのに名状しがたい確信となって私を温かくしてくれる。

「……ばか」

 こなたの優しさが愛しくて、まともに見ることすらできない私は顔を背ける。
 体中から火が出るくらい恥ずかしくて、私はぼそぼそと独り言をつぶやくように、「うん、そうだね」と、涙を交えながら囁いた。

「いつまでも一緒に居たいのは、かがみんだけじゃなくて、私もそう思っているから――」

 こなたが私にキスしようと立ち上がる。
 キスの味やら、涙の味で、しょっぱかった。

 ベッドの下でふざけあい笑いあう、そんな二人にいつまでいられるかは、私とて予想がつかない。
 曖昧模糊とした関係をつなぎとめているものは、細くちぎれやすい、真っ白な糸にすぎない。

 でも今は、忘れてしまえる。
 しょっぱいのに、甘ったるくて、私はまた涙が頬を伝うの感じた。










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  • こな×かが・よりも、かが×こな
    が好きです! -- チャムチロ (2012-10-14 14:39:50)
  • さすがシナキンだ。

    gj -- 名無しさん (2009-12-07 08:48:55)
  • ご指摘ありがとうございます。該当の誤字修正いたしました。 -- 42-519 (2008-09-15 01:22:55)
  • ベットの(舌)になってるッス
    -- シナモンキング (2008-09-13 00:32:35)

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