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誰もいない、何もない暗い所。そこにあたしは立っていた。
辺りを見回すと、一つの人影が見える。あたしはそれが誰だかなんとなくわかった。あたしの一番身近な人間。
その瞬間、その人影はゆっくりと小さくなっていく。……いや、遠ざかっているのだ。
その人影に近付くために追いかけても、その差は縮まらない。それどころか、段々と離れていき……
――待って!ねえ、お願いだから待ってよ!
あたしの声にも反応せず、人影は……姿を消した。
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「待って!」
それはあたしの口から出た言葉。叫ぶと同時に体を起こして……あれ?
もう一度辺りを見回す。……自分の部屋のベッドの上。どうやらさっきの事は夢だったようだ。
「なんだ、夢か。…………っ!」
夢である事がわかり、もう一度ベッドに倒れこむ。その刹那、あたしの心の中に嫌な感覚がうごめいた。
まるで、世界の中であたしだけが一人ぼっちでいるような感覚。そんな恐怖が心の奥底で蠢く。
それはあたしの口から出た言葉。叫ぶと同時に体を起こして……あれ?
もう一度辺りを見回す。……自分の部屋のベッドの上。どうやらさっきの事は夢だったようだ。
「なんだ、夢か。…………っ!」
夢である事がわかり、もう一度ベッドに倒れこむ。その刹那、あたしの心の中に嫌な感覚がうごめいた。
まるで、世界の中であたしだけが一人ぼっちでいるような感覚。そんな恐怖が心の奥底で蠢く。
――怖い、怖い、怖いッッ!!嫌だ!誰か助けて!
それを自覚してしまったが最後、急激にその恐怖に飲み込まれていく。……お願い。誰でもいいからあたしの傍に来て『もう大丈夫だ』って声をかけて!
『……それ、誰に言ってるの?』あたしの中の冷静な部分がそんな言葉を浴びせてきた。
『……それ、誰に言ってるの?』あたしの中の冷静な部分がそんな言葉を浴びせてきた。
『ママはそんな言葉をかけてくれるような奴じゃないし、妹だってそう。それに、あの三人にしたってわざわざこんな時間に電話をかけたって困るだけじゃないの?』
五月蝿い、黙れ。わかってる。でも……。あたしはベッドの上で頭を抱えるように体を横にして縮めた。
誰かに声をかけて欲しい。この際優しい声でなくても構わない。あたしは一人じゃない事を証明して欲しい……!
「……そっか、あいつがいた」
思い当たる人物が一人浮上し、すぐに携帯を手に取り……
誰かに声をかけて欲しい。この際優しい声でなくても構わない。あたしは一人じゃない事を証明して欲しい……!
「……そっか、あいつがいた」
思い当たる人物が一人浮上し、すぐに携帯を手に取り……
『迷惑だよ。あいつだってあんたの我侭にうんざりしてたじゃないの』
五月蝿いッ!それでも、あたしはあいつの所に電話をかける。今のあたしは『いい加減にしてください』という一言でも欲しかった。……それだけ参っていたということだろう。
数回のコール。その後に、あいつは電話に出た。
『……あい、白石です……』
少し寝ぼけたあいつ……白石の声を聞いた瞬間、軽く安堵を覚えてしまった。しかし、それで終わりではない。
「あー、白石?あたしよあたし」
……昔だったら、ここで『あ、あああああきら様ぁっ!?』という絶叫が返ってきたのだろうが。
『どうしたんですか、あきら様。俺、明日も学校なんですよ……』
「ごめん、ちょっと白石の声が聞きたくなって、さ」
ちょっとした騒動を経たおかげか、あたしに対してムカつくほどに自然体で返すようになっていた。
「うん、それだけ。悪いわね、こんな時間に……」
『……大方、悪い夢でも見て怖くなったんじゃないですか?俺も子供の頃によくやりましたし』
うぐ。白石の癖に図星を突きやがって。
「な、何言ってるのよ。この小神あきらがそんな事で……」
『理由としては、まずこんな時間に電話をかける事。急用でもない限りはそんな事しませんよね。それと、最初の声が震えてましたよ。まるで何か怖い物を見た後みたいに』
「……へ?」
う、うそ?声が震えてた?……くっ、なんという一生の不覚。
『とりあえず、今から俺がそっちに行きますから。そうすれば少しは気も楽になるでしょう』
「は、はぁっ!?あんた何言って……って、ちょっと!?」
あたしの反論も聞かぬうちに、電話は切れてしまった。……白石の奴、いつの間にこんなアグレッシブになったんだろうか?
数回のコール。その後に、あいつは電話に出た。
『……あい、白石です……』
少し寝ぼけたあいつ……白石の声を聞いた瞬間、軽く安堵を覚えてしまった。しかし、それで終わりではない。
「あー、白石?あたしよあたし」
……昔だったら、ここで『あ、あああああきら様ぁっ!?』という絶叫が返ってきたのだろうが。
『どうしたんですか、あきら様。俺、明日も学校なんですよ……』
「ごめん、ちょっと白石の声が聞きたくなって、さ」
ちょっとした騒動を経たおかげか、あたしに対してムカつくほどに自然体で返すようになっていた。
「うん、それだけ。悪いわね、こんな時間に……」
『……大方、悪い夢でも見て怖くなったんじゃないですか?俺も子供の頃によくやりましたし』
うぐ。白石の癖に図星を突きやがって。
「な、何言ってるのよ。この小神あきらがそんな事で……」
『理由としては、まずこんな時間に電話をかける事。急用でもない限りはそんな事しませんよね。それと、最初の声が震えてましたよ。まるで何か怖い物を見た後みたいに』
「……へ?」
う、うそ?声が震えてた?……くっ、なんという一生の不覚。
『とりあえず、今から俺がそっちに行きますから。そうすれば少しは気も楽になるでしょう』
「は、はぁっ!?あんた何言って……って、ちょっと!?」
あたしの反論も聞かぬうちに、電話は切れてしまった。……白石の奴、いつの間にこんなアグレッシブになったんだろうか?
*** ***
白石との電話から十数分。……本当に白石が来た。
なにやら紙袋を手に持っている。それの事を聞くと、『ああ、これは明日の着替えですよ』と答えた。
「って、今日はうちに泊まるつもり!?」
「いけませんか?……というか、着替えと言っても制服ですけどね」
ほら、と白石が袋の中を見せる。……確かに、いつも収録の時に見るあの制服だ。
「っていうか、わざわざうちに来なくてもいいじゃないの!いいから帰りなさいよ!」
白石の顔を指差し、あたしは言い放った。……実際、明日も学校だと言っていたのに何故こいつはあたしの所に?
「……夢を、見たんです」
そんなあたしの目を見て、白石はぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めた。
「夢の中で、俺の目の前に『誰か助けて!』と叫びながら泣いてる女の子がいたんです。……なんとなく、その女の子があきら様に見えてしまいまして。
で、携帯の着信音で目が覚めて電話を取ったら、あきら様が震えた声で俺の名前を呼んで。……ああ、さっきの夢の意味はこれだったんだ、って確信しました。
だから、身勝手ですがあきら様の所に押しかけさせてもらいました。もう、大丈夫ですよ」
なにやら紙袋を手に持っている。それの事を聞くと、『ああ、これは明日の着替えですよ』と答えた。
「って、今日はうちに泊まるつもり!?」
「いけませんか?……というか、着替えと言っても制服ですけどね」
ほら、と白石が袋の中を見せる。……確かに、いつも収録の時に見るあの制服だ。
「っていうか、わざわざうちに来なくてもいいじゃないの!いいから帰りなさいよ!」
白石の顔を指差し、あたしは言い放った。……実際、明日も学校だと言っていたのに何故こいつはあたしの所に?
「……夢を、見たんです」
そんなあたしの目を見て、白石はぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めた。
「夢の中で、俺の目の前に『誰か助けて!』と叫びながら泣いてる女の子がいたんです。……なんとなく、その女の子があきら様に見えてしまいまして。
で、携帯の着信音で目が覚めて電話を取ったら、あきら様が震えた声で俺の名前を呼んで。……ああ、さっきの夢の意味はこれだったんだ、って確信しました。
だから、身勝手ですがあきら様の所に押しかけさせてもらいました。もう、大丈夫ですよ」
『もう大丈夫』。それは、あたしが最初に望んだ言葉。
「ば、ばっかじゃないの?そんなの、ただの夢じゃないの……っ」
「あきら、様?」
ああ、ダメだあたし。こんな、こんな事で……白石の前だってのに、何で……っ。
「そんな、そんな事で、あたしの所に……」
もうダメ。体が言う事聞かない。勝手に白石に抱きついちゃってる。
「う、ううぅぅぅ…………うあぁぁ……」
一番言って欲しかった言葉を言ってもらい、あたしは安心のあまり号泣してしまった。……白石に抱きつきながら。
「あああぁぁぁぁぁ……っ、うあぁぁぁぁ……」
最初は戸惑っていたようだが、少ししてからあたしの背中に外の空気で冷えたのか少し冷たい手が触れた。
「あきら、様?」
ああ、ダメだあたし。こんな、こんな事で……白石の前だってのに、何で……っ。
「そんな、そんな事で、あたしの所に……」
もうダメ。体が言う事聞かない。勝手に白石に抱きついちゃってる。
「う、ううぅぅぅ…………うあぁぁ……」
一番言って欲しかった言葉を言ってもらい、あたしは安心のあまり号泣してしまった。……白石に抱きつきながら。
「あああぁぁぁぁぁ……っ、うあぁぁぁぁ……」
最初は戸惑っていたようだが、少ししてからあたしの背中に外の空気で冷えたのか少し冷たい手が触れた。
……この後、しばらくあたしは白石に抱かれながら泣き続けていた。
*** ***
「……白石」
「なんですか、あきら様」
今、あたしはベッドの上にいる。……白石に手を握ってもらいながら。
「さっきの事は忘れろ」
まさに一生の不覚だった。この男にあんな弱い所を見せるなんて。
「わかってますよ」
「本当にわかってんだろうな?」
「はい」
……くそう、その微笑みのせいで目を合わせられないじゃないの。
「……白石」
「はい」
「絶対に口外すんなよ」
「わかってますって」
「本当に、本当にだからな」
「はいはい」
「……白石」
「何ですか?」
「…………」
「どうしたんですか?」
「手、離さないでね」
「もちろんです」
「ずっと、握っててね」
「誰が何と言おうと離しません」
「…………」
「だから、安心して眠ってください」
「……ん」
「なんですか、あきら様」
今、あたしはベッドの上にいる。……白石に手を握ってもらいながら。
「さっきの事は忘れろ」
まさに一生の不覚だった。この男にあんな弱い所を見せるなんて。
「わかってますよ」
「本当にわかってんだろうな?」
「はい」
……くそう、その微笑みのせいで目を合わせられないじゃないの。
「……白石」
「はい」
「絶対に口外すんなよ」
「わかってますって」
「本当に、本当にだからな」
「はいはい」
「……白石」
「何ですか?」
「…………」
「どうしたんですか?」
「手、離さないでね」
「もちろんです」
「ずっと、握っててね」
「誰が何と言おうと離しません」
「…………」
「だから、安心して眠ってください」
「……ん」
……あたしが目を閉じた後、額にやさしく触れる感触があった。不思議と嫌な感じはなく、むしろそれのおかげであたしは滑り落ちるように眠りに入っていった……。
*** ***
……ちなみに。
「あーもう、あんたのせいよっ!」
「何でもかんでも俺のせいにしないでくださいよっ!」
いつもより気持ちよく寝れたせいか、学校に遅刻しそうになってしまった。……危うく皆勤賞を逃す所だったわ……
「あーもう、あんたのせいよっ!」
「何でもかんでも俺のせいにしないでくださいよっ!」
いつもより気持ちよく寝れたせいか、学校に遅刻しそうになってしまった。……危うく皆勤賞を逃す所だったわ……
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- 何だかんだで白石は良い奴だな。 -- 名無しさん (2008-10-07 02:03:19)
- 和むねw -- くりぃむ池田 (2008-10-05 23:47:12)