アットウィキロゴ
kairakunoza @ ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

kairakunoza @ ウィキ

スケッチスケッチ!  4筆目 ストレンジ・コミュニケーション

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
ガサ……ガサガサ……ガッ
「……きゃ!」
「ドウしましたカ?」
「い、いえ、ただ躓いただけです」
慣れない畦道、草に隠れて見えない足元。本当に、いつも以上に集中しなければ、すぐに
転んでしまいそうです。倒れなかっただけ、まだよしとしましょう。


スケッチスケッチ!  4筆目 ストレンジ・コミュニケーション


こんにちは、高良みゆきと申します。私、今日は泉さんの企画した、スケッチ大会に参加して
います。泉さんとは同じ学校のクラスメイトでして、この大会については、中間テストの
期間中に提案なされました。私自身、ここ最近テスト勉強や受験勉強で少し疲れが溜まって
いまして、少しでも気晴らしになれば、と思いまして、この大会に参加することにしました。
その日、向かいのみなみさんも誘ってみまして、あっさりと了承なさった事には驚きましたが、
積極的になったみなみさんを見て、少しうれしくも思いました。

そして当日、泉さんが連絡してくださった場所は、素晴らしい、としか言えない所でした。
綺麗な紅葉、のどかな風景。
勉強の疲れを取るには最高の場所ではないか、と駅を出た時は思いました。

そして泉さんが提案した組分けで、私はアメリカから来た留学生、パトリシア・マーティン
さんとペアを組むことになりました。パトリシアさんとはあまり話をしたことはないのですが、
泉さんのアルバイト先に行った時や、この前の学園祭でチアダンスをした時などで、とても
明るく、快活な人だという事を知りました。今日も、ペアに決まった時、すぐに私の所に
来てくださって、「Patricia=Martinデス。ヨロシクお願いシマス!」と、笑顔で挨拶して
くださいました。

大会がスタートした後は、しばらく泉さん・峰岸さんペアと同じ道を通るという事でしたので、
4人で分かれる所まで歩いていまして、そして今、私達は泉さん達と分かれて、目的地までの
細い道を通っているのですが……

「私が前に行きまショーカ?」
「いえ、大丈夫ですから」
パトリシアさんが少し心配した様子で話しかけてくださいましたが、足元は草や木の根で
荒れていまして、先程から私は何度も躓いたり、転びかけたりしていました。

スカートやソックスを見てみますと、ヌスビトハギやセンダングサなどがくっついています。
私はそれを見つける度に剥がしていくのですが、すぐにまたくっついてきます。

と、

ガッ!

「きゃあ!?」
くっついてくる草たちに気をとられて、足元への注意が薄らいでいた私は、大きく張り出して
いた木の根に足を引っ掛け、今度は抵抗の甲斐もなく、思いきり派手に転んでしまいました。

「いたたた……」
「大丈夫ですカ……Wow……!」
「………?」
転んだ私に、パトリシアさんはすぐに声をかけてくれましたが、その後すぐに、感嘆の声を
出していました。私は不思議に思って、鼻をさすりながらパトリシアさんの方を向いてみます
と、少し驚いたような顔で、前を向いているパトリシアさんがそこに立っていました。
気になって、私も立ち上がり前の方を向いてみますと、

「……わぁ……」
「すごいデス! It’s beautiful!」
この畦道の終わり、そして私とパトリシアさんの目的地。
そこには、都会では滅多にお目にかかれない、広大な花畑が広がっていました。



「……これは、コスモス……ですね」
「Yes, cosmos!」
私とパトリシアさんはその花畑に駆け寄って、私は花の種類を調べてみました。
広大なコスモス畑。私も、植物園やフラワーパークなどでしか、このような大きなものは
見た事がありません。なぜ外来種のコスモスがここに自生しているのかは謎ですが……

「……全てオオハルシャギクのようですね」
「オオハルシャギク? cosmosデハないのですカ?」
私が言った花の名に、パトリシアさんは不思議そうな顔をして私に尋ねました。
「コスモスですよ。ただ正式名称は、日本では『オオハルシャギク』と言うんです。英語でも、
『Mexican Aster』が正式名称だそうですよ」
「Oh, ソウなんですカ!」
パトリシアさんは目を丸くしてこちらを見ています。
「ちなみにオオハルシャギクはキク科コスモス属の一年草で、原産地は英語でもあるように、
メキシコです。18世紀末にスペインのマドリードの植物園に送られて、ヨーロッパに渡来
したそうです。日本には明治20年頃に渡来したといわれています。短日植物で、秋頃に花の
見ごろを迎えます。花言葉は『乙女の真心』『乙女の愛情』、色ごとでも分けられていまして、
このようなピンク色の花ですと『少女の純潔』、赤色ですと『調和』、白では『美麗』などが
あります。さらに言いますと、コスモスはつかささんやかがみさんが住んでいらっしゃる町の
シンボルフラワーにもなっています」
一息でそこまでを説明して、ふとパトリシアさんを見てみますと、目を丸くして、ポカンと
口を開けたまま固まっていました。……あっ!

「す、すいません! 差し出がましい事を……」
そうです、パトリシアさんはそこまで詳しい事を私に尋ねたわけではありません。聞いても
いない事を言われても、呆れるしかないですよね……私の悪い癖です。
しばらくして、パトリシアさんは俯いて、肩を震わせて、そして――


「――How wonderful!!」


「……えっ?」
思い切り上げられたパトリシアさんの顔はとても輝いていて、なんとも嬉しそうに見えました。

「あ、あの……」
「すごいデス! 何でソンナ事マデ知ってるんデスカ!? Amazing! Surprising! コナタの
言った通りネ! サスガみwi……じゃなくてミユキデース!」
「…………?」
……何か、悪口が聞こえたような気がしましたが……

と、今度は少し起こった様に、しかし勢いはそのままで、
「But, cosmosの発音は『コスモス』デハなく、『コーズモス』デス! わかりましたカ?」
「……あ、イ、イエス……」
その勢いに呑まれて、つい英語で返事をしてしまいました。


「ミユキー、質問がありマス」
「はい、何でしょうか? パトリシアさん」
「Non non, パティと呼んでくだサイ」
しばらくして、私とパト…パティさんは、お花畑の前でお昼ご飯を食べています。
私達はスケッチのモチーフにcosmos――コスモスを使用することになりまして、その直後に
12時を告げるチャイムが鳴ったため、スケッチを始める前に食べましょう、というパティ
さんの提案からです。
「cosmosについてなのですガ……Englishデハ『ウチュー』の事モcosmosと言いますよネ?
何か関係があるのでショーカ?」
……何故そのような事を私に尋ねるのでしょうか……

「ええっと……どうでしょうか。私も良くは知りませんが……しかし、『宇宙』の方のcosmos
には、コスモスの花言葉である『調和』の意味もありますから、少なからず関係はあると思い
ます」
私が答えますと、パティさんは「Oh, ソウなんですカ!」と驚きました。しかし……

「……えっと、パティさん? 英語の事なら、パティさんの方が詳しいのでは?」
母国語なのですから……と私が尋ねますと、パティさんは少し難しい顔になって、
「Hmm... 確かにソウなのですガ……Americaデハあまり使わない意味の方がたくさんある
ノデ、わからナイものモ多いのデス。……ミユキ、ソノ意味はdictionaryデ調べましたカ?」
「あ、え、ええ……昔、英和辞典を見ていたら、偶然見つけたのですが……」
「ソウいうもので、ある言葉の最後の方に書かれているものハ、Americaデモあまり使われない
ものが多いのデス。日本語デモ、外国人ガdictionaryナドを見て、日本でもあまり知られて
いない事に詳しかったという事があるでショウ。ソレと同じデス」
……納得のような、納得ではないような……

「デスから、私にもナゼこの萌え文化を日本人が知らないのですカ!? と日本に来て思う事ガ
ありマス! 特にアニメでは今クールだけでもCLANNAD、ミナミケ、バンブレと、こんなニ
スバらしい萌えるアニメがあるというノニ! ナゼですカ! 理解できまセン!」
ええっと……わ、私にそのようなすごい剣幕で言われましても……

驚きつつも、私はパティさんの様子を見て、何と言いますか……まるで泉さんの様な人です、
とふと思ってしまいました。その、「萌え」とか、普通の話題からそのような話に持っていく
ところなどは、泉さんによく似ています。ただ、学園祭の時などでもそうでしたが、泉さん
よりも……その、何と言いますか……そう、少しテンションが高いような気がします。
……でも私は、パティさんの様な人、嫌いではないですね。


「……ふふっ」
何故だかわかりませんが、そこまで考えると、私は自然と笑みを浮かべていました。
「ミユキ? ドウしたのですカ」
「いえ、何でもありません。……パティさん、早くご飯を食べ終わりましょう。絵を描く
時間がなくなってしまいます」
「Oh, ソウでした!」
私が話をすりかえますと、パティさんは急いで残ったコンビニ弁当を食べ始めました。


私達はその後、それぞれモチーフにしたコスモスの前に行き、分かれてスケッチを始めました。
時々、お互いの進み具合の確認のために見せ合いをしたり、お互いがアドバイスをしたり
しましたが、やはりといいますか、パティさんの絵は、どこか漫画チックでしたが、とても
上手に描かれていまして、私があまり口を出すことを躊躇うほどでした。私の絵は、パティ
さんの絵と見比べますと、あまり上手とは言えないものでしたが、それでもパティさんは、
私の絵を見て「スバらしいデス!」と何度も褒めてくださって、アドバイスも的確になさって
いました。

残り時間が迫ってきまして、私はこのパティさんとの時間を思い出し、そして当初の目的に
ついて考えてみました。

私は束の間の休日を、有意義に過ごせたのでしょうか。

パティさんとの時間は、少し奇妙なやり取りもありましたが、とても楽しいものでした。
ならば、私は目的を果たすことができたのでしょう。

「ミユキー、絵は完成しましたカ?」
「あ、はい、おかげさまで」
「どれどれ……Wow! Great! スバらしいデス!」
「ありがとうございます。パティさんも、上手ですね」
少し傾いてきた太陽の下、私は今日という日の素晴らしさを噛みしめながら、パティさんと
一緒にコスモス畑から離れ、皆の待つ駅までの道を歩き始めました。









コメントフォーム

名前:
コメント:
  • なんか、ほのぼのします。 -- チャムチロ (2012-11-02 12:37:16)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー