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続 ここにある彼方 その後(2)

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だれでも歓迎! 編集
「夏休みと言えば恒例の宿題写し!と言う訳で、明日行くからさ、よろしく~」
と前日に予告電話をした通りに柊家へと向かう。
鷲宮駅でホームに降りて、そのむわ~とした熱気にたじろぐ。
かがみに駅まで着いた事を連絡しようとして、携帯が無い事に気がつく。
「ま、いいか」
改札をくぐり、外に出た瞬間に真夏の真っ昼間の太陽光線に焼かれてしまった。
あまりの暑さに溶けそうになる。
「こ、これは……暑い。今まで、こんなに暑い時ってあったか?コレが温暖化の影響か?」
太陽の直射光もさることながら、アスファルトの照り返しがキツい。
午前中の早い時間ならば何も問題はなかったのだろうが、そこは夏休み。
起きた時点ですでにお昼の方が時間的に近く、
結局、お昼の一番日差しがキツい時に外を歩くハメになってしまっている。

幸手駅に向かう道中は、まだ、自転車で風が当たるしお昼一歩手前だしでどうにかなった。
途中の東武動物公園駅で折り返しの電車を待つ時のホームに漂う熱気に
少しヤバいかもなぁ~とは感じたが、まだ日陰だったため大丈夫だろうと思えた。
だがしかし、今のコレは……
「うぉぁ…道路から何か、もわもわ~んと立ち登っちゃってますよ…
帽子くらい被ってくれば良かったよ……さすがの私でもちょっとクルね、これは」
駅前の自販機で冷たいものでも買っていこうかとも思ったが、
何十分と歩く訳でもないし、120円も勿体いと思い直し自販機をスルーして歩きだす。
が、普段から外を歩き回る訳でもなく、基本インドアな生活な為に
たかが数分の行軍でさえ身体が悲鳴をあげ始める。
「ちょ…こーれは…暑すぎだってば……」
その長い髪が今この瞬間には恨めしい。
束ねて風通しを良くしようにも、リボンの類いは手元に無かった。
「夏場は髪を束ねられるものも持ち歩いとかないとマズいかな?」
そして、先程ジュースを買わなかった事を軽く後悔する。
膝に手をあて、中腰になって休憩する。
拭っても拭っても汗がポタポタと顔を流れて、路面へとしたたっていく。
道路に落ちた汗がみるみる乾いてなくなって行く。
「どんだけ熱いんさ!」
試しに、足下のアスファルトを触ってみる。
「あちっ!」
じゅーっと音が出るんじゃないか?と言うほどの熱さで、とてもじゃないが触っていられない。
「目玉焼きが出来そうだよね、これは。……こんなとこで休んでいる場合じゃないな」
冷房の利いた部屋に冷たい飲み物、きっとそれらが待っているんだ!がんばれ私!!
最後の力を振り絞り、目的地を目指し、よろよろと歩き出す。
目的が冷房利いた涼しい部屋で冷たいものを飲む事にすり替わってしまって、
宿題の事なんて何処かへ消し飛んでしまっているが、もはや宿題なんてどうでも良くなっていた。



どうにか、柊家の玄関まで辿り着き呼び鈴を鳴らす。
「はーい」
と奥から聞こえ、ドアが開けられる。
「やっっっと来たか、もうとっくにお昼過ぎてるわよ!いつまで寝てたんだか…」
来ると予告があっただけに、ずーっと待ち構えていた感のあるかがみが
セリフを最後まで言いきる前に、玄関に転がり込むように入り
「み、みず…」
ひとこと言って、玄関先の廊下にバタンきゅ~~っと伸びる。
「……ミミズなら庭に居るんじゃない?」
あきれたかがみが皮肉りながら、玄関のドアを閉める。
「おぉぉぉぅ、そんなどっかの漫画みたいなネタは止めてくれ…」
むっくり起きて、靴を脱ぎ、ふらふらしながら立ち上がる。
「…ほらほらふざけてないで、私の部屋、冷房利かせてあるから先に上行ってて。
私はなにか飲み物持って行くから」
しょうがないわねぇ~といった表情を浮かべつつ、
こなたを残してさっさと台所方面へといってしまった。
「…あ、いやいや、ちょっと足にキテるのはマジなんですけど…」
かがみに真実を理解されず、放置されてしまった。
仕方なしに、よろよろと壁伝いに歩き、階段は手をつきながら四つん這いで登って行く。
そんなこなたに、階段部分で追いついてきたかがみが
「……あれ?まだこんなところにいたんかい」
何をしてるん?と言いたげなかがみに再度先程の独り言を力なく話す。
「いや、だから…足にキテるのはマジなんですけど…だいぶ回復してきたけど」
なんとか階段を登りきり、かがみの隣りに並ぶ。
そう言われて隣りの相方をまじまじ見てみれば、着ているタンクトップは汗でグッチャリしているし、
首すじには髪がべっとりと張り付いている。
「おいおい…大丈夫なのか?」
気がついてやれなかった自分に軽く罪悪感を感じてしまう。
こなたに先行して、自分の部屋のドアを開ける。
開かれたドアから流れてくる冷気が気持ちいい。
吸い込まれるようにかがみの部屋へと入っていき、床に寝転がる。
「いや~~~、今日はヤバかった。とりあえず、いただきますね」
むくっと上半身だけ起こすと、テーブルに置かれたジュースのペットボトルを鷲掴みして
いきなりラッパ飲みを敢行する。
「ちょ!!こら!!あんたは~コップくら……」
「ぷは―――!!生き返るぅ~!!」
かがみが制止しようとした時にはすでに、喉の乾きを潤しテーブルの上に戻していた。
「はやっ!!」
かがみの突っ込みを他所にふたたび床に寝っ転がる。



「途中で遠い世界に連れて行かれそうだったよ、今日は。
なんだろうね、この暑さは。これも地球温暖化のせいなのかねぇ~」
と、かがみがTシャツを手にやってきた。
「あ、そうそう。服、汗でびしょびしょじゃない、はい着替え。風邪引くわよ?」
ほいっと無造作に突き出された真新しいTシャツ。
「おおおお、かがみん、なんて優しいんだ」
素直に感激する。
その場で、ばっとタンクトップを脱ぎ棄て借り受けたTシャツを着込む。
こなたの生着替えはちょいちょい目撃しているためか驚いた様子もなく
「ちょっとは恥じらいを持てよな」
冷静に突っ込みを入れる。
「まぁまぁ、見られて減るものでもないしさ…
この際だから下着の方も脱いじゃえば良かったかねぇ、そっちもびちょびちょだし」
下着のTブラを脱ぐためなのか今着たシャツを脱ごうとしだしたので、
がしっと手首を掴み止めに入る。
「いや…さすがにそれは止めておけ」
「あ~~……やっぱし?」
聞かれて無言で首を縦にふる。
「ちょいとハンガーを借りるね」
下着を脱ぐ事はあきらめ、脱いで濡れているタンクトップを干す為にハンガーに通して
「我ながら、よくもま、こんなに汗をかいたな~」
脱水が終わったばかりの洗濯物並みだな、と思いつつカーテンレールに引っかける。
「そういやつかさは?」
一向にやってくる気配のない、もう一人の言わば写し仲間の事をたずねる。
「あんたと同じく昼近くまで寝てて、今はお母さんとお昼の後片付けをしてるわ」
机の椅子に座り、宿題関連を取り出す。
こなた達が写している間に、自分の分を先に進める為に。
「おや?かがみは手伝わなくていいの?」
さらっと言うのだが、かがみの心にはグサッと来るものがある。
「う"~~…あんた、判ってて言ってない?」
ギギギと音が聞こえてきそうに振り返る。
「ん~?なにが~?」
あいかわらずのおとぼけ顔で返事を返す。
「くそっ、こいつ、すげーむかつく!」
「まぁまぁ、誰にでも、得手不得手っていうのがあるからさ、気にしなくてもいいんじゃない?
でも、ご飯くらいは出来た方がいいとは思うけどね」
「くっ……わ、わたしだって、そんくらい判ってるわよ!」
「まぁまぁ、その手の事なら、いくらでも教えてあげられるしつかさもいるしで
どうにでもなるんじゃない?
かがみ、手先が不器用とかでも無い訳だし。
要は慣れだよ慣れ」



宿題を写させてもらう身分だということはすでにどこかへいってしまっている。
「くっそ~~」
料理が下手というのは、女の子としてはかなり気になる部分なのに
その分野では実践経験も含めてまるで頭が上がらないだけに、悔しさも倍増されてしまう。
「わたしもお父さんも初めから上手くできた訳じゃないんだし
ゆっくりやっていけばいいんじゃない?焦ってもしょうがないよ?」
そのままからかって弄くり倒すのかと思えば、案外まともな発言をしてくる。
(やっぱり根はいいヤツなのよね…)
宿題のうち、すでに終了している分を手にして、こなたが座っているテーブルまで持って行く。
「…はぁ~……確かにそうよね、はい、コレ」
普段とは違い、ちょっとは自分でやれよな~とかのセリフが出てはこなかった。
「おぉ~ありがたや~ありがたや~…宿題写しも家事もまずは小さなことからコツコツとってね」
両手で有り難そうに受領すると、早速写し作業にかかる。
「……言ってること微妙におかしくないか?」
やはり突っ込みを入れずにはいられない。
「まぁまぁ、細かいことは気にしちゃーいけないよっと…」
軽く突っ込みを受け流し、そのまま作業に入る。
と、コン…コン…
妙に間の空いたノックがされ、つかさの声が聞こえてくる。
「あ、お姉ちゃん開けて~、両手が塞がっちゃってて…」
なにやら、重装備の様子。
「ん~~どうしたの?ちょっと待ってて、今開けるから」
勉強道具となにか甘い匂いのする物をのせたお皿と
冷えた麦茶を載せたお盆を両手で持って入ってきた。
「よいしょっと」
そのお盆ごとテーブルに置き、それを見てかがみがドアを閉める。
「つかさ、何をもってきたの?」
ドアの所からテーブルの所に戻ってきてお皿に盛られているものを見つめる。
香ばしくも甘い香りを放っていておいしそうではある。
「これは?」
「あ…えっとね、余った食パンの耳を油で揚げて砂糖まぶしただけのお手軽お菓子?かな?
お姉ちゃんもどう?」
えへへへっと照れ笑いをしながら一つ手に取り、かがみに薦めてみる。
「あ~揚げパンみたいなアレね…うん!おいしいおいしい!!」
一人舞い上がるかがみをよそに、静かについばんで行くこなた。
朝飯兼昼飯を昼前に食べた状態なので、微妙に小腹が空いていたこなたにとっては
丁度良いタイミングで丁度良いものが出てきた。
「つかさってば、こういう地味なのも好きだよね」
「えへへ…なんか、こういうの捨てるの勿体なくて」
「ああ~わかるわかる。まだ食べれるものを捨てるって勿体ないよね」
そんな二人の会話をよそに、ホクホク顔で一人黙々と食べるかがみ。
「油で揚げてさらに砂糖まみれな訳だからカロリーは高いんじゃない?」
放っとくと一人で完食しかねない勢いなので、軽くジャブを入れてみる。
「うぐっ……イヤなことサラリと言うなぁ…」
ギクリとして手が止まる。
「さて、かがみの手も止まった事だし、とりあえずは今日の主目的をやりますかねぇ~」
「はぁ…確かにそうね、そろそろ始めないと、お昼はとうの昔に過ぎてる訳だし。
寝坊すけな誰かさんのおかげで」
「おぅ……いや、そりは……ごめんなさい…」
少々バツが悪そうにあやまる。










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