私はイライラしている。
ここは太宮駅前。天気は曇り、まだ雨が降る気配はない。
私は今、ある人と待ち合わせをしている。
集合時間は11時。現在時刻は11時をちょうど回ったところ。
集合時間は11時。現在時刻は11時をちょうど回ったところ。
だからって、相手が遅刻してるからイライラしてるわけじゃない。実は5分くらい前から、
私の隣には一人の女の子が立っている。
そしてさっきから、心配そうにこう呟いているのだ。
私の隣には一人の女の子が立っている。
そしてさっきから、心配そうにこう呟いているのだ。
「……遅いなー、あきらちゃん……」
……つかささん、私は初めから隣にいるんだって!
曇りのち雷雨、またのち快晴
事の始まりは一昨日。
1週間ずっと働き詰めで、心身ともにバテてきて、2日後、つまり今日が早く来てほしいと
思っていたときだった。
1週間ずっと働き詰めで、心身ともにバテてきて、2日後、つまり今日が早く来てほしいと
思っていたときだった。
大原たち誘ってどっか遊びに行くかー、と思って携帯のアドレス長を見ていたら、
偶然つかささんの欄が目に入って、そういえばつかささんとの携帯でのやり取りって、
白石が教えた私のアドレスで、つかささんがメールをしてきたときに
一度返事をしただけだなぁ、と思ってメールをしたのが始まり。
偶然つかささんの欄が目に入って、そういえばつかささんとの携帯でのやり取りって、
白石が教えた私のアドレスで、つかささんがメールをしてきたときに
一度返事をしただけだなぁ、と思ってメールをしたのが始まり。
つかささんもその日は空いてたらしくて、そのままとんとん拍子に事が進んで、
遊ぶ約束をして、今に至るわけなんだけど……
遊ぶ約束をして、今に至るわけなんだけど……
んにしても、何で隣にいるのに私に気づかないかなぁ。
あ、もしかして……
そう思って、私は被っていた帽子を取ってみた。すると、
「……ひゃわ!?」
つかささんは途端に肩をびくっとさせた。
……つかささん、そんなに驚かないでよ……
そう思って、私は被っていた帽子を取ってみた。すると、
「……ひゃわ!?」
つかささんは途端に肩をびくっとさせた。
……つかささん、そんなに驚かないでよ……
「び、びっくりしたー……あきらちゃん、いつからいたの?」
「最初からいたんだけど。どうして気がつかないわけ?」
「ご、ごめんね。でもあきらちゃん、この前とは全然違う服を着てるし、
帽子も被ってたから……」
まだ目を丸くしながら、つかささんはそう弁解した。
確かに今日の私は黒いワンピースに、前をボタンで留めるタイプの、長袖の白いTシャツを
重ね着して、頭には白くてつばの広い帽子を被っている。
この前は制服姿だったから、印象は違うかもしれないけど……
「最初からいたんだけど。どうして気がつかないわけ?」
「ご、ごめんね。でもあきらちゃん、この前とは全然違う服を着てるし、
帽子も被ってたから……」
まだ目を丸くしながら、つかささんはそう弁解した。
確かに今日の私は黒いワンピースに、前をボタンで留めるタイプの、長袖の白いTシャツを
重ね着して、頭には白くてつばの広い帽子を被っている。
この前は制服姿だったから、印象は違うかもしれないけど……
「だからって、普通気づかない?」
「はうぅ……ごめんなさい……」
私に怒られて小さくなるつかささん。私はそんな様子を見て、はぁ、と溜息をついた。
……ったく、どっちが年上なんだか……
私はすっかり怒る気が削がれてしまった。
「はうぅ……ごめんなさい……」
私に怒られて小さくなるつかささん。私はそんな様子を見て、はぁ、と溜息をついた。
……ったく、どっちが年上なんだか……
私はすっかり怒る気が削がれてしまった。
「……まぁいいや。で、つかささん。これからどこ行く?」
気を取り直して私がつかささんにそう尋ねると、つかささんは困ったように、
「えっ!? えーっと……ど、どこ行こうか?」
「えっ、決めてないの?」
今度は私が驚く番だった。
気を取り直して私がつかささんにそう尋ねると、つかささんは困ったように、
「えっ!? えーっと……ど、どこ行こうか?」
「えっ、決めてないの?」
今度は私が驚く番だった。
「う、うん。あきらちゃんがメールをくれたから、あきらちゃんが決めてると思って……」
……しばし沈黙。
曇り空の下にいる私達の間に、ヒュー、と秋の冷たい風が吹いた。
曇り空の下にいる私達の間に、ヒュー、と秋の冷たい風が吹いた。
「…………」
「…………」
……気まずい、かなり気まずい。
「…………」
……気まずい、かなり気まずい。
何も計画を立ててないとわかって、しばらくその場に立ち尽くしてた私達だけど、
何かしなきゃ始まらない、というわけで、とりあえずそこら辺を二人で歩き始めた。
何かしなきゃ始まらない、というわけで、とりあえずそこら辺を二人で歩き始めた。
今のところ、歩きながら会話をする、ということは一切していない。
別に私がつかささんにイライラしてるわけじゃない。考えてこなかった私も悪いんだし。
ただ、なんか話し掛けづらいというか……話題がないというか……
後ろにいるつかささんもそんな感じで、話し掛けようとするんだけど、直前になって止まる、
ということを繰り返してる感じ。もしかして、まだ私が怒ってると思ってびくびくしてる?
別に私がつかささんにイライラしてるわけじゃない。考えてこなかった私も悪いんだし。
ただ、なんか話し掛けづらいというか……話題がないというか……
後ろにいるつかささんもそんな感じで、話し掛けようとするんだけど、直前になって止まる、
ということを繰り返してる感じ。もしかして、まだ私が怒ってると思ってびくびくしてる?
何かないかな……
この気まずい空気を何とかしようと辺りを探っていると……
この気まずい空気を何とかしようと辺りを探っていると……
私は足を止めた。
「わわっ! ……ど、どうしたの? 突然立ち止まって……」
すぐ後ろからつかささんの声が聞こえた。私は左側を見ながら、
「……映画館」
「えっ?」
「つかささん、私、映画見たいな」
つかささんは少し驚いたような顔をした後、すぐに顔を明るくして、
「う、うん、いいよ! 何見る?」
「……中に入ってから決める」
私は少しぶっきらぼうに答えて、早足で映画館に入った。
すぐ後ろからつかささんの声が聞こえた。私は左側を見ながら、
「……映画館」
「えっ?」
「つかささん、私、映画見たいな」
つかささんは少し驚いたような顔をした後、すぐに顔を明るくして、
「う、うん、いいよ! 何見る?」
「……中に入ってから決める」
私は少しぶっきらぼうに答えて、早足で映画館に入った。
さっきも言ったけど、別に怒ってるわけじゃない。ただ、早くこの空気を
どうにかしたかったから。
……多少は呆れてるけど。
どうにかしたかったから。
……多少は呆れてるけど。
中に入ってみると、休日なのにあまり人はいなかった。
あんまりいい映画はやってないのかな?
そう思って私は今やってる映画のラインアップを見てみた。
つかささんもどれがいいか探してるみたいで、「うーん」と私の後ろで唸っている。
あんまりいい映画はやってないのかな?
そう思って私は今やってる映画のラインアップを見てみた。
つかささんもどれがいいか探してるみたいで、「うーん」と私の後ろで唸っている。
「……あ、私これ見たい」
「えっ? ど、どれどれ?」
しばらくして、私はひとつの映画のポスターを指差した。
そのポスターには、『Judgment』と題名が書いてあった。
「えっ? ど、どれどれ?」
しばらくして、私はひとつの映画のポスターを指差した。
そのポスターには、『Judgment』と題名が書いてあった。
「え、えーっと……じゅ、じゅどぐー……?」
それを見ると、つかささんはなにやら不思議な言葉を言い始めた。
……もしかして、タイトルを読もうとしてる?
そう思って再びポスターを見てみる。……ってあれ?
それを見ると、つかささんはなにやら不思議な言葉を言い始めた。
……もしかして、タイトルを読もうとしてる?
そう思って再びポスターを見てみる。……ってあれ?
「……つかささん、下に読み方書いてあるよ?」
「えっ? あ、ホントだ……」
よく見ると、英語のタイトルの下に小さく「ジャッジメント」と書かれた振り仮名が
書いてあった。それを見るなり、つかささんは恥ずかしそうに顔を伏せてしまった。
まずい、また気まずい空気が……
「えっ? あ、ホントだ……」
よく見ると、英語のタイトルの下に小さく「ジャッジメント」と書かれた振り仮名が
書いてあった。それを見るなり、つかささんは恥ずかしそうに顔を伏せてしまった。
まずい、また気まずい空気が……
「……それにこの映画、ホラー系みたいだね」
「へぇー、そうなん……って、ええぇぇー!?」
「うおっ!?」
場つなぎで何気なく言った一言。つかささんはその言葉にかなり反応して、
大声を上げた。顔を覗いてみると、少し青くなって、明らかに怖がっているようだった。
「へぇー、そうなん……って、ええぇぇー!?」
「うおっ!?」
場つなぎで何気なく言った一言。つかささんはその言葉にかなり反応して、
大声を上げた。顔を覗いてみると、少し青くなって、明らかに怖がっているようだった。
……ほほぅ、これは面白そうだな。
「……つかささん。もしかして、ホラー苦手?」
私はニコッと笑って、つかささんに尋ねた。
「えっ? いや、その……そ、そんなこと、ないよっ!」
つかささんは慌てて反論した。
……でも、内心怖がってるの、バレバレだよ?
私はニコッと笑って、つかささんに尋ねた。
「えっ? いや、その……そ、そんなこと、ないよっ!」
つかささんは慌てて反論した。
……でも、内心怖がってるの、バレバレだよ?
「ふーん……」
私はその答えを聞いて、一人チケット売り場に行った。そして、
「すいませーん。『Judgment』のチケット、中学生一枚、高校生一枚ください」
「え、ええぇぇー!」
「はいよ、合わせて――円になります」
つかささんの叫び声を後ろで聞きつつ、私はちゃっちゃとそのホラー映画のチケットを買った。
私はその答えを聞いて、一人チケット売り場に行った。そして、
「すいませーん。『Judgment』のチケット、中学生一枚、高校生一枚ください」
「え、ええぇぇー!」
「はいよ、合わせて――円になります」
つかささんの叫び声を後ろで聞きつつ、私はちゃっちゃとそのホラー映画のチケットを買った。
「あ、あきらちゃん!」
「ん、なに? 別に怖くないんでしょ? ホラー映画」
私は、つかささんから見たら悪戯っぽく見えるんだろうな、といった感じの笑顔を作って、
つかささんにその映画のチケットを渡しながらそう言った。
「ん、なに? 別に怖くないんでしょ? ホラー映画」
私は、つかささんから見たら悪戯っぽく見えるんだろうな、といった感じの笑顔を作って、
つかささんにその映画のチケットを渡しながらそう言った。
「う……も、もちろん!」
明らかに強がってるつかささんがそのチケットを掴んだのを見て、
「ふーん、じゃあ、何の問題もないよね?」
私はスタスタと劇場の中へと進んでいった。
明らかに強がってるつかささんがそのチケットを掴んだのを見て、
「ふーん、じゃあ、何の問題もないよね?」
私はスタスタと劇場の中へと進んでいった。
「わわっ、ま、待ってよー!」
後ろから聞こえてくるつかささんの慌てた声が聞こえてくる。
私はつかささんがどんな反応をするかを想像しながら、劇場のドアを開けた。
後ろから聞こえてくるつかささんの慌てた声が聞こえてくる。
私はつかささんがどんな反応をするかを想像しながら、劇場のドアを開けた。
「…………」
「うぅ……怖かったよー……」
映画が終わって劇場から出てきたとき、私は後悔の念を感じていた。
「うぅ……怖かったよー……」
映画が終わって劇場から出てきたとき、私は後悔の念を感じていた。
……ごめんなさい、調子乗りました。
映画が始まると、つかささんってば、怖い場面になるといっつも大声で叫びながら
私の腕を掴んだり抱きついてきたりして……
私の腕を掴んだり抱きついてきたりして……
おかげで私はかなり疲れが溜まっていた。
うぅ、つかささんがここまで怖がりだったとは……
私は心の中で自分の行動への反省とつかささんへの謝罪をしつつ、疲れた体と
まだ涙目のつかささんを引きずって、映画館の外に出ようとした。
うぅ、つかささんがここまで怖がりだったとは……
私は心の中で自分の行動への反省とつかささんへの謝罪をしつつ、疲れた体と
まだ涙目のつかささんを引きずって、映画館の外に出ようとした。
ところが……
「…………」
「……あきらちゃん」
ようやく落ち着いたつかささんが私に尋ねる。
「……なに?」
「雨、降ってるね」
「うん」
「大降り、だね」
「うん」
「……傘、持ってきてる?」
「いんや」
「私も、持ってないよ」
「……どうする?」
「……どうしよう……」
「…………」
「…………」
ザーザーと激しく降る雨を見ながら、私達はまた何も言わず、その場に立ち尽くしていた。
「…………」
「……あきらちゃん」
ようやく落ち着いたつかささんが私に尋ねる。
「……なに?」
「雨、降ってるね」
「うん」
「大降り、だね」
「うん」
「……傘、持ってきてる?」
「いんや」
「私も、持ってないよ」
「……どうする?」
「……どうしよう……」
「…………」
「…………」
ザーザーと激しく降る雨を見ながら、私達はまた何も言わず、その場に立ち尽くしていた。
「……うわぁ、びしょびしょだ」
「……私もー」
「……私もー」
とあるレストラン。私とつかささんは、その中に上半身も下半身も
すべて水に濡れた状態で入っていた。
すべて水に濡れた状態で入っていた。
しばらく立ち尽くしていた私とつかささんだったけど、私が映画館の向かい側に
レストランがあるのを発見して、ちょうどいい時間だから、あそこでお昼を食って、
雨宿りをしようと二人で話し合って決めたまではよかったんだけど、
雨はそのレストランに行くまでにも私達をびしょ濡れにさせるほどの土砂降りで……
レストランがあるのを発見して、ちょうどいい時間だから、あそこでお昼を食って、
雨宿りをしようと二人で話し合って決めたまではよかったんだけど、
雨はそのレストランに行くまでにも私達をびしょ濡れにさせるほどの土砂降りで……
うぅ、まずコンビニでも行って、傘かタオルでも買ってこればよかったかな……
そう思っても後の祭りか。
そんなずぶ濡れの私達を見て、親切なレストランの人がタオルを貸してくれた。
それで体を拭きながら私達はその人に指示された、窓際の席に座った。
そう思っても後の祭りか。
そんなずぶ濡れの私達を見て、親切なレストランの人がタオルを貸してくれた。
それで体を拭きながら私達はその人に指示された、窓際の席に座った。
拭いたって言っても、服に染み込んだ水分はなかなか消えないから、
服が肌に引っ付いてかなり気持ち悪かった。
「うぅ、べとべとする……」
「……そだねー……」
つかささんも気持ち悪いのか、椅子の上で何度も体をうねらせていた。
服が肌に引っ付いてかなり気持ち悪かった。
「うぅ、べとべとする……」
「……そだねー……」
つかささんも気持ち悪いのか、椅子の上で何度も体をうねらせていた。
しばらくして服が乾いた頃、私達は少し遅い昼食を食べることにした。
頼んだものは二人ともオムライスで、料理がくると、つかささんは黙々と、
とても嬉しそうにそれを食べていた。
その姿はまるで……
頼んだものは二人ともオムライスで、料理がくると、つかささんは黙々と、
とても嬉しそうにそれを食べていた。
その姿はまるで……
「……つかささんって、」
「ん?」
「ホントに子供だよねー」
「ふえっ!?」
「だってさ、さっきみたいにホラー映画見てて大声で泣き叫んだり、
今みたいにオムライスを喜んで食べたり。まんま子供じゃん」
私が思ったことをありのままに話すと、つかささんは顔を赤らめて、
「そ、それは今オムライスを食べてるあきらちゃんもそうでしょ!」
と反論したけど、
「私は映画館で叫ばなかったし、オムライスだって、私はまだ中三だけど、
つかささんはもう高三でしょ? 今の反論も子供っぽかったし」
と一蹴してやった。
「ん?」
「ホントに子供だよねー」
「ふえっ!?」
「だってさ、さっきみたいにホラー映画見てて大声で泣き叫んだり、
今みたいにオムライスを喜んで食べたり。まんま子供じゃん」
私が思ったことをありのままに話すと、つかささんは顔を赤らめて、
「そ、それは今オムライスを食べてるあきらちゃんもそうでしょ!」
と反論したけど、
「私は映画館で叫ばなかったし、オムライスだって、私はまだ中三だけど、
つかささんはもう高三でしょ? 今の反論も子供っぽかったし」
と一蹴してやった。
はうぅ、と言ってしょんぼりしてしまったつかささんは、それ以上は反論しないで、
黙りこくって再びオムライスを食べ始めた。
その、落ち込んで少し涙目なつかささんを、私は可愛いなぁと思いながら、
ニヤニヤと眺めていた。
黙りこくって再びオムライスを食べ始めた。
その、落ち込んで少し涙目なつかささんを、私は可愛いなぁと思いながら、
ニヤニヤと眺めていた。
――ってあれ? なに考えてるんだ? 私……なんで顔がニヤけてる?
……っていうか、なんか顔が熱くなってる気が……
どうした? 私。なんか変だぞ――
……っていうか、なんか顔が熱くなってる気が……
どうした? 私。なんか変だぞ――
ザァ―――ザァ―――
雨音だけが聞こえる世界の中で、何故だかわからないけど赤くなっているだろう
自分の顔面を隠しながら、それを紛らわそうと自分もオムライスに口をつけようとすると、
自分の顔面を隠しながら、それを紛らわそうと自分もオムライスに口をつけようとすると、
ピッシャ――ン!
ゴロゴロゴロ……
ゴロゴロゴロ……
「うお「きゃあぁぁ――!!」うわっ!?」
突然の雷鳴に驚いたつかささんが、映画のときと同じように大きな叫び声をあげた。
いや、私も驚いたけど、つかささんの悲鳴のほうにびっくりしてしまった。
「……つかささん、雷もダメなんだ……」
「ううぅ……だ、だって……」
突然の雷鳴に驚いたつかささんが、映画のときと同じように大きな叫び声をあげた。
いや、私も驚いたけど、つかささんの悲鳴のほうにびっくりしてしまった。
「……つかささん、雷もダメなんだ……」
「ううぅ……だ、だって……」
ピッシャ――ン!
「はうぅ!!」
また雷が鳴って、オーバーリアクションで涙目になりながら大声で叫ぶつかささん。
……うん、ホントにさっきの映画館そのまま。
私も雷には少しびっくりしてるけど、つかささんのリアクションがでかすぎて、
驚くタイミングが見つからない。
結局雷が鳴り終わるまで、つかささんは悲鳴を上げ続けた。
また雷が鳴って、オーバーリアクションで涙目になりながら大声で叫ぶつかささん。
……うん、ホントにさっきの映画館そのまま。
私も雷には少しびっくりしてるけど、つかささんのリアクションがでかすぎて、
驚くタイミングが見つからない。
結局雷が鳴り終わるまで、つかささんは悲鳴を上げ続けた。
「……つかささん、大丈夫?」
「な、なんとか……」
落ち着いたつかささんが再びオムライスを食べ始めたとき、私は周りから、
なにやら冷たい視線を感じた。
見てみると、つかささんが悲鳴を上げ続けていたからか、
明らかに年下の私のほうがつかささんをなだめていたからか、
レストランにいるほとんどの客の視線が私達に向けられていた。
「な、なんとか……」
落ち着いたつかささんが再びオムライスを食べ始めたとき、私は周りから、
なにやら冷たい視線を感じた。
見てみると、つかささんが悲鳴を上げ続けていたからか、
明らかに年下の私のほうがつかささんをなだめていたからか、
レストランにいるほとんどの客の視線が私達に向けられていた。
そんなジトーとした視線の中、私はまだ一口も食べてないオムライスをスプーンで掬い、
口の中に運んだ。
口の中に運んだ。
あー、運ばれてから結構時間が経ってるから、完全に冷めてるわ。
店内はまだ降り止まない雨の音だけが響いている。
私は冷めた視線を浴びながら、冷めたオムライスを、冷めた気持ちで黙々と食べ続けた。
私は冷めた視線を浴びながら、冷めたオムライスを、冷めた気持ちで黙々と食べ続けた。
「……雨、上がったみたいだね」
「うん! ……よかったーあのまま止まなかったら、どうしようかと思ったよー」
「うん! ……よかったーあのまま止まなかったら、どうしようかと思ったよー」
冷たい視線の中オムライスを食べきった後も、私達はレストランの中にとどまり続けた。
タオルを貸してくれたお店の人に傘やビニールまで借りるのはさすがに気が引けるし、
少し雨の勢いが衰えてきてたから、すぐに止むだろうと思って。
タオルを貸してくれたお店の人に傘やビニールまで借りるのはさすがに気が引けるし、
少し雨の勢いが衰えてきてたから、すぐに止むだろうと思って。
その間しばらく、私はつかささんと何気ないお話しをした。
それはお互いの学校の友達のことだったり、最近のニュースだったり。
そんなとりとめのない話をしていたら、いつの間にか雨が上がっていた。
それはお互いの学校の友達のことだったり、最近のニュースだったり。
そんなとりとめのない話をしていたら、いつの間にか雨が上がっていた。
「……わ、眩しいー!」
時間は現在3時過ぎ。
レストランを出た私達を、少し傾いてきた太陽が出迎えてくれた。
時間は現在3時過ぎ。
レストランを出た私達を、少し傾いてきた太陽が出迎えてくれた。
「……で? これからどうする?」
晴れてきたのはいいけど、相変わらず私達はノープラン。
さっき話をしてたときに決めとけばよかったかな……
晴れてきたのはいいけど、相変わらず私達はノープラン。
さっき話をしてたときに決めとけばよかったかな……
つかささんも何も考えてなかったみたいで、
うーんと唸りながら、腕を組んで考え事をしていた。
うーんと唸りながら、腕を組んで考え事をしていた。
「……とりあえず、またブラブラしてみる? もうこんな時間だし」
つかささんがまた長考に入りそうだったので、私はすぐに自分の意見を出した。
残りの時間を考えると、考えてるだけで日が暮れてしまいそうだ。
「そ、そうだね! ブラブラしてたらまた何かいい所が見つかるかもしれないよね!」
私の意見に、つかささんは何故か慌てたように賛成した。
あぁ、やっぱり意見が出せなかったのかなぁ。
「それじゃあ、しばらく歩くとしますか」
つかささんがまた長考に入りそうだったので、私はすぐに自分の意見を出した。
残りの時間を考えると、考えてるだけで日が暮れてしまいそうだ。
「そ、そうだね! ブラブラしてたらまた何かいい所が見つかるかもしれないよね!」
私の意見に、つかささんは何故か慌てたように賛成した。
あぁ、やっぱり意見が出せなかったのかなぁ。
「それじゃあ、しばらく歩くとしますか」
「……もうすっかり真っ暗になっちゃったねー」
「……そうだね」
午後6時半。もうすでに太陽が西の空に沈みきってしまった頃。
私とつかささんは駅前の通りを、太宮駅に向かって歩いていた。
あの後、私たちは本屋やCDショップ、洋服屋さんとかに寄ったけど、
特に買い物をするわけでもなく、ただ店内をブラブラするだけで、
しばらくしたら出て行く、というのを繰り返していた。
うん、完全にただの時間つぶしだよね。
「……そうだね」
午後6時半。もうすでに太陽が西の空に沈みきってしまった頃。
私とつかささんは駅前の通りを、太宮駅に向かって歩いていた。
あの後、私たちは本屋やCDショップ、洋服屋さんとかに寄ったけど、
特に買い物をするわけでもなく、ただ店内をブラブラするだけで、
しばらくしたら出て行く、というのを繰り返していた。
うん、完全にただの時間つぶしだよね。
と、
「……あれっ? つかささん、どうしたの?」
隣を歩いていたつかささんが、突然足を止めた。そして携帯を開いて、
なにやら文字を打ち込んでいる。
メールの返信かな?
そう思っていると、つかささんは携帯をしまい、なぜか空を見上げながら、
「……ねぇ、あきらちゃん。最後に、ここに寄らない?」
「えっ?」
よくみると、つかささんの目線の先には、ある建物が建っていた。
その建物の名前は、「太宮ソニックシティ」
よくバンドとかがライブをするのに使われる場所だ。
「……あれっ? つかささん、どうしたの?」
隣を歩いていたつかささんが、突然足を止めた。そして携帯を開いて、
なにやら文字を打ち込んでいる。
メールの返信かな?
そう思っていると、つかささんは携帯をしまい、なぜか空を見上げながら、
「……ねぇ、あきらちゃん。最後に、ここに寄らない?」
「えっ?」
よくみると、つかささんの目線の先には、ある建物が建っていた。
その建物の名前は、「太宮ソニックシティ」
よくバンドとかがライブをするのに使われる場所だ。
「べ、別にいいけど……」
「ホント? じゃあ、急ごう!」
「えっ? わ、ちょ、ちょっと、待ってよ!」
私が首を縦に振ると、つかささんはすぐにその建物に向かって駆け出した。
私も、慌ててつかささんの後を追ってその建物の中に入っていった。
「ホント? じゃあ、急ごう!」
「えっ? わ、ちょ、ちょっと、待ってよ!」
私が首を縦に振ると、つかささんはすぐにその建物に向かって駆け出した。
私も、慌ててつかささんの後を追ってその建物の中に入っていった。
「……どうしたんですか? 突然駆け出して……この先に、何があるんですか?」
慌てて乗り込んだエレベーターの中で、私はつかささんに
この不思議な行動について尋ねてみた。
「えへへー、着いてからのお楽しみ!」
つかささんは悪戯っぽい笑顔でこう答えた。……映画館のときのお返しってこと?
「えー、つかささんのケチー」
そう悪態をつきながら、私はどんどん上昇するエレベーターの行き先を見てみた。
慌てて乗り込んだエレベーターの中で、私はつかささんに
この不思議な行動について尋ねてみた。
「えへへー、着いてからのお楽しみ!」
つかささんは悪戯っぽい笑顔でこう答えた。……映画館のときのお返しってこと?
「えー、つかささんのケチー」
そう悪態をつきながら、私はどんどん上昇するエレベーターの行き先を見てみた。
その中に、
「……スカイパーク?」
「えっ?」
私の呟きに、つかささんは少し驚いたような声を出した。
「いや、さっきつかささんが教えてくれなかった、私達の行き先」
「すごーい! よくわかったね!」
あ、当たりなんだ。
「……スカイパーク?」
「えっ?」
私の呟きに、つかささんは少し驚いたような声を出した。
「いや、さっきつかささんが教えてくれなかった、私達の行き先」
「すごーい! よくわかったね!」
あ、当たりなんだ。
「いやだって、そこ以外目的地になりそうな所ないし」
といって案内板を指差す。
その、スカイパークと呼ばれる展望室以外の施設といっても、
レストランとか、ホテルしかない。
「あ、ホントだ……」
案内板を見上げながら、つかささんは残念そうに呟いた。
といって案内板を指差す。
その、スカイパークと呼ばれる展望室以外の施設といっても、
レストランとか、ホテルしかない。
「あ、ホントだ……」
案内板を見上げながら、つかささんは残念そうに呟いた。
……でも、展望台なんか行って、つかささんは何をするつもりなんだろう……
そんなことを考えてるうちに、エレベーターは目的地の展望室に到着した。
そんなことを考えてるうちに、エレベーターは目的地の展望室に到着した。
ドアが開いた――
「……えっ? ちょ、つかささん!?」
――瞬間、目の前が突然真っ暗になった。
その原因はすぐにわかった。つかささんが、どこに隠し持っていたのか、
アイマスクを私に装着させたのだった。
「……えっ? ちょ、つかささん!?」
――瞬間、目の前が突然真っ暗になった。
その原因はすぐにわかった。つかささんが、どこに隠し持っていたのか、
アイマスクを私に装着させたのだった。
「えへへー。あきらちゃん、こっちこっち」
エレベーターを出て、つかささんは私の手を引いて歩き始めた。
前がまったく見えないから、私も仕方なく目を閉じて、それに従って歩いていく。
エレベーターを出て、つかささんは私の手を引いて歩き始めた。
前がまったく見えないから、私も仕方なく目を閉じて、それに従って歩いていく。
……まるでどっかのバラエティ番組みたいだな。
そう思いながら歩いていると、
「あきらちゃん、ここに手を置いててね」
立ち止まったつかささんが、私の手のひらを何か冷たいものに置かせた。
何だろう、これ……冷たいし、平らだし、ツルツルするし……
そう思いながら歩いていると、
「あきらちゃん、ここに手を置いててね」
立ち止まったつかささんが、私の手のひらを何か冷たいものに置かせた。
何だろう、これ……冷たいし、平らだし、ツルツルするし……
「じゃあ、マスクをはずすよ。あ、もう少し顔を上げて」
私が言われたようにすると、つかささんはアイマスクのゴムを持って、
それを私の耳からはずした。
私が言われたようにすると、つかささんはアイマスクのゴムを持って、
それを私の耳からはずした。
閉じた目を開けると――
「……うわぁ……」
私は思わず息を飲んだ。
「……うわぁ……」
私は思わず息を飲んだ。
ソニックシティの31階。
そこから望める景色は、この太宮の街の、とても綺麗な夜景だった。
眼下を見れば、太宮駅前、その周辺のビル群の。
少し右を見ると、さいたま新都心の。
色とりどりの光によるイルミネーションが、そこには広がっていた。
少し右を見ると、さいたま新都心の。
色とりどりの光によるイルミネーションが、そこには広がっていた。
「……綺麗だねー」
「……うん、すごく綺麗……」
私がその景色に見惚れていると、
「……よかったー、この時間に間に合って」
「……えっ?」
そのつかささんの言葉に、私は首をかしげた。
「……うん、すごく綺麗……」
私がその景色に見惚れていると、
「……よかったー、この時間に間に合って」
「……えっ?」
そのつかささんの言葉に、私は首をかしげた。
「つかささん、初めからここに来るつもりだったんですか?」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、予定を立ててないって言ってたのは……」
「あはは……ここに来るっていうのは考えてたんだけど、それまでの予定が……」
乾いた笑いをするつかささん。
なるほど……と私は手をポンと叩く。道理で、私が「どうする?」って聞くたびに、
困ったように考え込むわけだ。
この時間にここに来れるように時間を考えてたから、そんな反応を……
「うん、そうだよ」
「じゃあ、予定を立ててないって言ってたのは……」
「あはは……ここに来るっていうのは考えてたんだけど、それまでの予定が……」
乾いた笑いをするつかささん。
なるほど……と私は手をポンと叩く。道理で、私が「どうする?」って聞くたびに、
困ったように考え込むわけだ。
この時間にここに来れるように時間を考えてたから、そんな反応を……
じゃあさっきのメールは……
「あ、それは単に、お母さん達に遅くなるって連絡をするのを忘れてたから……」
とはつかささんの弁だ。
「あ、それは単に、お母さん達に遅くなるって連絡をするのを忘れてたから……」
とはつかささんの弁だ。
「……でも、あきらちゃんがこの景色を気に入ってくれたみたいで、よかったー」
「こんなに綺麗な夜景だよ? 気に入らないわけないじゃん」
少し安心したようにそう零したつかささんに、私はイルミネーションを眺めながら答えた。
「こんなに綺麗な夜景だよ? 気に入らないわけないじゃん」
少し安心したようにそう零したつかささんに、私はイルミネーションを眺めながら答えた。
すると、
「そっか。じゃあ……」
つかささんはそう言って、私の方を向いて、左手を差し伸べた。
「えっ?」
私が訳がわからない、といった顔をすると、
つかささんは、本当に嬉しそうな顔をして――
「そっか。じゃあ……」
つかささんはそう言って、私の方を向いて、左手を差し伸べた。
「えっ?」
私が訳がわからない、といった顔をすると、
つかささんは、本当に嬉しそうな顔をして――
「――握手っ。この景色を気に入ってくれたから、友達のしるし!」
その、まるでこの夜景のように輝く笑顔と、少し恥ずかしいセリフに、
私は思わず顔を背けてしまった。
私は思わず顔を背けてしまった。
「あれっ? あきらちゃん、顔、真っ赤だよ?」
「えっ? あ、いや……き、気のせいだと思うよ!」
「そ、そう?」
私が横を向いたままのごまかしを、つかささんは少し不審がったけど、
何とか信じてくれたみたい。
私は横目でつかささんを見ながら、右手でまだ赤い自分の頬を掻き、
つかささんに向けて左手を差し出した。
「えっ? あ、いや……き、気のせいだと思うよ!」
「そ、そう?」
私が横を向いたままのごまかしを、つかささんは少し不審がったけど、
何とか信じてくれたみたい。
私は横目でつかささんを見ながら、右手でまだ赤い自分の頬を掻き、
つかささんに向けて左手を差し出した。
「……あきらちゃん?」
「……ほら、さっきつかささんが言ったでしょ? 友達のしるし!」
「あ、うん!」
そう言って、つかささんは慌てて私の左手を握って、
また満面の笑みをこちらに向けた。
「……ほら、さっきつかささんが言ったでしょ? 友達のしるし!」
「あ、うん!」
そう言って、つかささんは慌てて私の左手を握って、
また満面の笑みをこちらに向けた。
私はその笑顔にまた顔を火照らせながら、
友達になるために、そのつかささんの左手を握り返した。
友達になるために、そのつかささんの左手を握り返した。
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- この作者さんのお陰で、つかさ×
あきら 好きになりました! -- チャムチロ (2012-10-29 07:59:19)