溶けるように、淡く、染み渡る、その香り――。
『灯る炎と夜の残り香』
見渡す限り、人の山。
右を向いても、左を向いても、前も後ろも、ともすればすぐに飲み込まれてしまいそうな人波の中。
子どもの頃のことを思い出した。
左右の手には、必ず誰かの手の感触がしていて。
双子の姉とは違って、いつもぽやっとしていた自分は、はぐれないようにと人ごみの中ではいつも手を引かれていた。
そのせいだろうか。
こういった人の群れのなかにいると、少し不安になる。
はぐれてしまわないだろうかと。
ひとりぼっちになってしまわないだろうかと。
もう子どもではないから、そんなことありえないだろうけど、一瞬頭の中で想像してしまう。
「つかさ」
クイっと、右手を引かれた。
「……お姉ちゃん」
振り向いた先に、浴衣姿の姉がいた。
「そんなボーッとしてると、はぐれるわよ」
そう言って彼女は、その手を引いて歩き出す。
向こうのほうでは、こなたたちが手招きして待っていた。
右を向いても、左を向いても、前も後ろも、ともすればすぐに飲み込まれてしまいそうな人波の中。
子どもの頃のことを思い出した。
左右の手には、必ず誰かの手の感触がしていて。
双子の姉とは違って、いつもぽやっとしていた自分は、はぐれないようにと人ごみの中ではいつも手を引かれていた。
そのせいだろうか。
こういった人の群れのなかにいると、少し不安になる。
はぐれてしまわないだろうかと。
ひとりぼっちになってしまわないだろうかと。
もう子どもではないから、そんなことありえないだろうけど、一瞬頭の中で想像してしまう。
「つかさ」
クイっと、右手を引かれた。
「……お姉ちゃん」
振り向いた先に、浴衣姿の姉がいた。
「そんなボーッとしてると、はぐれるわよ」
そう言って彼女は、その手を引いて歩き出す。
向こうのほうでは、こなたたちが手招きして待っていた。
かがみの後ろ姿を見ながら思う。
昔から、ずっとこの光景は変わらないな――と。
昔から、ずっとこの光景は変わらないな――と。
♪
窓から差し込む月明かりに、天井がかすかに光って見えていた。
……眠れない。
さっきから何度も目を閉じたけれど、結果は同じだった。
なんだかすごく目が冴えていて、眠れる気配が全然なかった。
ぐるっと寝返りをうつ。
ひんやりとしたシーツの感触が、じめっとした肌に心地いい。
薄暗い部屋の中でゴーゴーと鳴っている扇風機の風が、身体に襲いかかってくる。
それのおかげで、この熱帯夜もそれなりに快適に過ごせているけれど、眠気の方はちっとも訪れそうにはなかった。
自分にしては珍しいことだと思う。
あんな人ごみのなかを歩き回って、身体は疲れているはずなのに、むしろなんだか逆に興奮してるみたいに、頭も冴え渡っているみたいで。
変な感じがする。
ちょっと退屈してるみたいな、物足りないみたいな。
暇だな……。
そんなことを思いながら、ベッドの上をごろごろと転がってみた。あっちへ移動し、こっちへ移動し。
……やっぱり眠れない。
シーツを思いっきりぐしゃぐしゃにしてしまってから、私はそっとため息をついた。
――カタっ、と。
夜の静寂の中で、どこかから音が聞こえてきた。
「……?」
耳を澄ます。
僅かにだけど、誰かが階段を下りていく音がしている。
私はゆっくりとベッドから這い出して、そのまま部屋を出た。
一階から、明かりが漏れているのが見える。
さっきの音。私があれを聞き間違えることはないと思う。
お母さんたちを起こさないように、同じように静かに階段を下りていく。
明かりがついている部屋は、キッチンの方だった。
そっと部屋の中を覗き込んで――そこに一つの人影を見つけて、私は声をかけた。
「かがみお姉ちゃん?」
振り向いた彼女は、目を丸くして私のことを見つめ返してきた。
……眠れない。
さっきから何度も目を閉じたけれど、結果は同じだった。
なんだかすごく目が冴えていて、眠れる気配が全然なかった。
ぐるっと寝返りをうつ。
ひんやりとしたシーツの感触が、じめっとした肌に心地いい。
薄暗い部屋の中でゴーゴーと鳴っている扇風機の風が、身体に襲いかかってくる。
それのおかげで、この熱帯夜もそれなりに快適に過ごせているけれど、眠気の方はちっとも訪れそうにはなかった。
自分にしては珍しいことだと思う。
あんな人ごみのなかを歩き回って、身体は疲れているはずなのに、むしろなんだか逆に興奮してるみたいに、頭も冴え渡っているみたいで。
変な感じがする。
ちょっと退屈してるみたいな、物足りないみたいな。
暇だな……。
そんなことを思いながら、ベッドの上をごろごろと転がってみた。あっちへ移動し、こっちへ移動し。
……やっぱり眠れない。
シーツを思いっきりぐしゃぐしゃにしてしまってから、私はそっとため息をついた。
――カタっ、と。
夜の静寂の中で、どこかから音が聞こえてきた。
「……?」
耳を澄ます。
僅かにだけど、誰かが階段を下りていく音がしている。
私はゆっくりとベッドから這い出して、そのまま部屋を出た。
一階から、明かりが漏れているのが見える。
さっきの音。私があれを聞き間違えることはないと思う。
お母さんたちを起こさないように、同じように静かに階段を下りていく。
明かりがついている部屋は、キッチンの方だった。
そっと部屋の中を覗き込んで――そこに一つの人影を見つけて、私は声をかけた。
「かがみお姉ちゃん?」
振り向いた彼女は、目を丸くして私のことを見つめ返してきた。
「もしかして起こしちゃった?」
いつもの青いパジャマ姿のお姉ちゃんは、苦笑しながら言う。
「ううん。今日はなんか眠れなくて……。そしたらお姉ちゃんの部屋のドアの音が聞こえたから、それで」
「そっか」、とお姉ちゃんは顔を緩める。そして「つかさも飲む?」と、いまさっき冷蔵庫の中から取り出していた麦茶をかざした。
うん、と私は返事をする。
お姉ちゃんはコップを二つ用意して、冷蔵庫から氷を出してきて、カラカラと音を立てながら中に入れていく。そしてそこへ麦茶を注いで、「はい」と私に差し出した。
「ありがとう」と言って私は受け取る。
眠れなかったせいか、少し渇いていた喉に、冷えた麦茶はよく染みこんだ。
「私もね、ちょっと眠れなかったの」
カタンと、半分ほど空になったコップを置きながらお姉ちゃんは言う。
「なんかまださっきのが残ってる感じでさ」
「……お姉ちゃんも?」
「つかさもそう?」
うん、と私は頷く。
「けっこう凄かったものね」
と、お姉ちゃんは苦笑するように、でも嬉しそうに笑みを浮かべる。
「それに……すごい綺麗だったよね、あの花火」
「うん」
――つい昨日。こなちゃんの家で勉強会(という宿題写し)をしていたとき、ゆきちゃんから花火大会があると聞いて、息抜きをかねて今日はみんなでそれに行ってきたのだ。
都心に近く、有名なものということもあってか、かなり規模も大きくて、今までに見たことも無いほど盛大な花火大会だった。
「やっぱり混んでたけど、それでも見に行ってよかったなっていうくらい、すごかったよね」
「本当にね。さすがにあそこまでいくと、こっちでやってるのとは全然迫力が違ってたし」
「私ちょっと……感動しちゃったくらいだもん」
暗闇の中でいくつも広がる光の景色に、体の中心にまで響くような重低音。
それは今までに体感したこともないもので、全部終わってしまった今でも、まだ心に、身体に残ってるみたいで、――それが寝付けなかった理由なのかもしれない。
「あんたすっごい見入ってたもんね……」
「え?」
「まばたきするの忘れてるんじゃないかってくらい、目をまん丸に見開いててさ。なんだか小さい子どもみたいだったわよ」
そう言って笑うお姉ちゃんに、私はなんだか恥ずかしくなって目をそらした。
確かに……時間を忘れそうなくらい集中してたけど、それはそうなるぐらい花火がすごくて、感動してただけだし……。
少し暑くなったような感覚がして、手に持っていたコップに口をつけた。
そこで疑問に思う。どうしてお姉ちゃんは私の様子を知っていたんだろう。
「………」
「なに?」
上目遣いで見上げると、お姉ちゃんはキョトンとした顔で首をかしげた。
「……………」
「……だから何よ」
「ううん。なんでもないよ」
思わず笑みがこぼれてしまった私に、お姉ちゃんが訝しむように顔をしかめる。
それはもちろん、嬉しかったから。
でも、私なんかよりも、ちゃんと花火のほうを見てたほうがいいと思うけどな……。
いつもの青いパジャマ姿のお姉ちゃんは、苦笑しながら言う。
「ううん。今日はなんか眠れなくて……。そしたらお姉ちゃんの部屋のドアの音が聞こえたから、それで」
「そっか」、とお姉ちゃんは顔を緩める。そして「つかさも飲む?」と、いまさっき冷蔵庫の中から取り出していた麦茶をかざした。
うん、と私は返事をする。
お姉ちゃんはコップを二つ用意して、冷蔵庫から氷を出してきて、カラカラと音を立てながら中に入れていく。そしてそこへ麦茶を注いで、「はい」と私に差し出した。
「ありがとう」と言って私は受け取る。
眠れなかったせいか、少し渇いていた喉に、冷えた麦茶はよく染みこんだ。
「私もね、ちょっと眠れなかったの」
カタンと、半分ほど空になったコップを置きながらお姉ちゃんは言う。
「なんかまださっきのが残ってる感じでさ」
「……お姉ちゃんも?」
「つかさもそう?」
うん、と私は頷く。
「けっこう凄かったものね」
と、お姉ちゃんは苦笑するように、でも嬉しそうに笑みを浮かべる。
「それに……すごい綺麗だったよね、あの花火」
「うん」
――つい昨日。こなちゃんの家で勉強会(という宿題写し)をしていたとき、ゆきちゃんから花火大会があると聞いて、息抜きをかねて今日はみんなでそれに行ってきたのだ。
都心に近く、有名なものということもあってか、かなり規模も大きくて、今までに見たことも無いほど盛大な花火大会だった。
「やっぱり混んでたけど、それでも見に行ってよかったなっていうくらい、すごかったよね」
「本当にね。さすがにあそこまでいくと、こっちでやってるのとは全然迫力が違ってたし」
「私ちょっと……感動しちゃったくらいだもん」
暗闇の中でいくつも広がる光の景色に、体の中心にまで響くような重低音。
それは今までに体感したこともないもので、全部終わってしまった今でも、まだ心に、身体に残ってるみたいで、――それが寝付けなかった理由なのかもしれない。
「あんたすっごい見入ってたもんね……」
「え?」
「まばたきするの忘れてるんじゃないかってくらい、目をまん丸に見開いててさ。なんだか小さい子どもみたいだったわよ」
そう言って笑うお姉ちゃんに、私はなんだか恥ずかしくなって目をそらした。
確かに……時間を忘れそうなくらい集中してたけど、それはそうなるぐらい花火がすごくて、感動してただけだし……。
少し暑くなったような感覚がして、手に持っていたコップに口をつけた。
そこで疑問に思う。どうしてお姉ちゃんは私の様子を知っていたんだろう。
「………」
「なに?」
上目遣いで見上げると、お姉ちゃんはキョトンとした顔で首をかしげた。
「……………」
「……だから何よ」
「ううん。なんでもないよ」
思わず笑みがこぼれてしまった私に、お姉ちゃんが訝しむように顔をしかめる。
それはもちろん、嬉しかったから。
でも、私なんかよりも、ちゃんと花火のほうを見てたほうがいいと思うけどな……。
それからも、眠気のほうはぜんぜん訪れるような気配が無くって、私とお姉ちゃんはしばらく他愛もないような話をしあった。
さっきの花火のあのときが凄かったとか、終わった後に虫刺されがかゆくって酷かったとか。
残り少ない夏休みに、いつまでにはここまで勉強を終わらせたいとか、終わらない宿題についてとか。宿題も勉強もしようとしないヤツをどうにかしてくれと言う姉に、私はだいぶ終わってるよ、と返す。
……「それは私が手伝ってるからでしょ」って言い返されたけど。
さっきの花火のあのときが凄かったとか、終わった後に虫刺されがかゆくって酷かったとか。
残り少ない夏休みに、いつまでにはここまで勉強を終わらせたいとか、終わらない宿題についてとか。宿題も勉強もしようとしないヤツをどうにかしてくれと言う姉に、私はだいぶ終わってるよ、と返す。
……「それは私が手伝ってるからでしょ」って言い返されたけど。
「そろそろ寝よっか」
「さすがに、もうこんな時間だし」と、時計を見ながらお姉ちゃんが言う。
眠いとまではいかないけれど、少し疲労感みたいなものを身体に感じていたし、さすがにお昼過ぎまで寝てることになるのはイヤだったから、「そうだね」と返事をした。
空になった二つのコップを洗っておく。
なんだか今日は、すごく密度の濃かった日だった気がする。
花火は夜からだったけれど、一日が長く感じるのは、こんなに夜遅くまで起きているせいなのかもしれない。
まだ少しだけ、あの時の興奮が身体に残っているような感覚がした。
「それじゃあお姉ちゃん」
行こっか、と私は声をかける。
「あ、うん……」
「……?」
お姉ちゃんは「ほら、行こう?」と言って部屋を出て行く。私はなんだろうと思いながらも、部屋の電気を消してその後を追った。
二階に上がって、廊下を進む。
自分の部屋の前に立って、お姉ちゃんに「おやすみ」と言おうとして、
「あ、つかさ」
と、声をかけられた。
「……えっと」
2mほど離れた部屋の前で、お姉ちゃんが私のほうを向いて立っているのがわかった。でも廊下の中は真っ暗で、その顔はあまり見えない。
「………」
「………」
家の中はシンと静まり返っていて、ただ神社の方から、まだ鳴き足りない蝉たちの声だけが聞こえてきていた。
「……お姉ちゃん?」
お姉ちゃんが、何かをためらって頬をかいてる姿が想像できた。
自分は知っている。
こういう時、お姉ちゃんがどんなことを言うのか。
そしてそれが、どんな意味を持ってるのかを――。
「さすがに、もうこんな時間だし」と、時計を見ながらお姉ちゃんが言う。
眠いとまではいかないけれど、少し疲労感みたいなものを身体に感じていたし、さすがにお昼過ぎまで寝てることになるのはイヤだったから、「そうだね」と返事をした。
空になった二つのコップを洗っておく。
なんだか今日は、すごく密度の濃かった日だった気がする。
花火は夜からだったけれど、一日が長く感じるのは、こんなに夜遅くまで起きているせいなのかもしれない。
まだ少しだけ、あの時の興奮が身体に残っているような感覚がした。
「それじゃあお姉ちゃん」
行こっか、と私は声をかける。
「あ、うん……」
「……?」
お姉ちゃんは「ほら、行こう?」と言って部屋を出て行く。私はなんだろうと思いながらも、部屋の電気を消してその後を追った。
二階に上がって、廊下を進む。
自分の部屋の前に立って、お姉ちゃんに「おやすみ」と言おうとして、
「あ、つかさ」
と、声をかけられた。
「……えっと」
2mほど離れた部屋の前で、お姉ちゃんが私のほうを向いて立っているのがわかった。でも廊下の中は真っ暗で、その顔はあまり見えない。
「………」
「………」
家の中はシンと静まり返っていて、ただ神社の方から、まだ鳴き足りない蝉たちの声だけが聞こえてきていた。
「……お姉ちゃん?」
お姉ちゃんが、何かをためらって頬をかいてる姿が想像できた。
自分は知っている。
こういう時、お姉ちゃんがどんなことを言うのか。
そしてそれが、どんな意味を持ってるのかを――。
「そのね、つかさ」
「………」
「……今日、一緒に寝ない?」
「………」
「……今日、一緒に寝ない?」
♪
四方八方。聞こえてくる音は、全てざわめき。
なにも言葉を発していない自分は、その一部分では無いようで。周りから切り抜かれてしまったかのように錯覚する。
見上げた夜空が、ひどく黒かった。
やんわりと、その暗闇が浮かび上がる。
会場内の照明が、ゆっくりと光を失っていく。
なにも言葉を発していない自分は、その一部分では無いようで。周りから切り抜かれてしまったかのように錯覚する。
見上げた夜空が、ひどく黒かった。
やんわりと、その暗闇が浮かび上がる。
会場内の照明が、ゆっくりと光を失っていく。
――唐突に、体を突き破るような音が鼓膜を震わせた。
音がしたほうを見つめて、夜空に散りゆくキレイなヒカリが、瞳の中に軌跡を残した。
周りから歓声が上がる。それと同時に、次の花火が打ちあがる。
周りから歓声が上がる。それと同時に、次の花火が打ちあがる。
最初は一つだけ。
段々と次に打ちあがる感覚が狭くなっていき、ほぼ二つ同時に夜空へと送り出されていく。
それは次第に増えていき、二つから三つへ。三つから四つ、四つから五つ……。
視界が埋め尽くされるほどに、いくつもの花火が夜空に広がり――そして、消えていく。
段々と次に打ちあがる感覚が狭くなっていき、ほぼ二つ同時に夜空へと送り出されていく。
それは次第に増えていき、二つから三つへ。三つから四つ、四つから五つ……。
視界が埋め尽くされるほどに、いくつもの花火が夜空に広がり――そして、消えていく。
ふいに、空気を震わすほどだった花火の群れが止んでしまった。
終わりだろうか、と思った瞬間。
「――うわっ」
まるで身体を打ち抜いていくような音と共に、今までとは比べ物にならないくらい大きな円を描いた光が、夜空へと広がっていた。
それはゆっくりと、何発も続いていく。
クスクスという声が、隣から聞こえてきた。
視線を向けると、姉が口元を覆いながらこっちを見て笑みを浮かべていた。
ギュッ、と繋いだ手を握られる。
上気した頬と視線を夜空に向けながら、さっきの音で驚いて強く握ってしまった右手を――つかさはもう一度握り返した。
終わりだろうか、と思った瞬間。
「――うわっ」
まるで身体を打ち抜いていくような音と共に、今までとは比べ物にならないくらい大きな円を描いた光が、夜空へと広がっていた。
それはゆっくりと、何発も続いていく。
クスクスという声が、隣から聞こえてきた。
視線を向けると、姉が口元を覆いながらこっちを見て笑みを浮かべていた。
ギュッ、と繋いだ手を握られる。
上気した頬と視線を夜空に向けながら、さっきの音で驚いて強く握ってしまった右手を――つかさはもう一度握り返した。
ふいに、肩が触れ合う。
ほんの少し、姉との距離が縮まっていた。
ちらりと、彼女の顔をうかがう。
次々と打ちあがる花火の明かりに照らされて、笑みを浮かべた横顔と、その瞳が、なんだか吸い込まれそうなほど綺麗だと――、そう思った。
ほんの少し、姉との距離が縮まっていた。
ちらりと、彼女の顔をうかがう。
次々と打ちあがる花火の明かりに照らされて、笑みを浮かべた横顔と、その瞳が、なんだか吸い込まれそうなほど綺麗だと――、そう思った。
♪
湿った空気が、肌に触れる。
薄く闇を抱いた部屋の中で、月明かりが漏れるカーテンの向こう側から、鳴りやむことのない虫の声が響いていた。
わずかに、カーテンが風に揺られる。
それと一緒に、お姉ちゃんの部屋の匂いを感じた。
独特の香り。
安心するようでいて、でもちょっとそわそわしてしまうような。
見つめた先の、背中を覆う長い髪が、小さく揺れる。
「つかさ」
振り返り、部屋の入り口あたりで立っていた私を見つめてお姉ちゃんが言う。
「……おいで」
ベッドのそばで、窓から差し込む光に照らされながら、そんなふうに微笑む彼女に、胸が高鳴った。
ひかれるように、私は近づく。
目の前に立って、目線を合わせる。
いつも思うけれど、こんなふうに近づくと、そんなに身長は変わらないはずのに、お姉ちゃんのほうが背が高いように感じてしまう。
私が恥ずかしくて、上目づかいでしか見れないからなのかわからないけれど、それが余計に姉と妹っていうのを感じさせて、嬉しいようなずるいと思うような、複雑な気持ちになってしまう。
「……ぁ」
お姉ちゃんの左手が頬にかかった。
キスされるんだと気付く前に、唇に感触が走る。
「んっ……、……ぅん……」
ゆっくりと目を閉じて、身体を預ける。
お姉ちゃんの右手が私の肩を抱いて、左手が髪の毛の間をすべっていく。肌にかかる息遣いを感じながら、私はそっとお姉ちゃんの身体に手を伸ばす。
なんとなく目を開けて、お姉ちゃんの表情を見て、
――……。
まつげを震わせて、静かに瞳を伏せている姿が――ひどくキレイで、私はまぶたを閉じた。もし部屋が明るかったら、お姉ちゃんの顔が赤く染まっていたのがわかったと思う。
触れていた唇が離れていく。
「お姉ちゃん……」
目の前の顔を見つめる。恥ずかしそうに、困ったふうに笑いながら、お姉ちゃんは耳元でささやく。
「……していい?」
どうしても頬が熱くなってしまうけど、私はコクリと頷いた。
薄く闇を抱いた部屋の中で、月明かりが漏れるカーテンの向こう側から、鳴りやむことのない虫の声が響いていた。
わずかに、カーテンが風に揺られる。
それと一緒に、お姉ちゃんの部屋の匂いを感じた。
独特の香り。
安心するようでいて、でもちょっとそわそわしてしまうような。
見つめた先の、背中を覆う長い髪が、小さく揺れる。
「つかさ」
振り返り、部屋の入り口あたりで立っていた私を見つめてお姉ちゃんが言う。
「……おいで」
ベッドのそばで、窓から差し込む光に照らされながら、そんなふうに微笑む彼女に、胸が高鳴った。
ひかれるように、私は近づく。
目の前に立って、目線を合わせる。
いつも思うけれど、こんなふうに近づくと、そんなに身長は変わらないはずのに、お姉ちゃんのほうが背が高いように感じてしまう。
私が恥ずかしくて、上目づかいでしか見れないからなのかわからないけれど、それが余計に姉と妹っていうのを感じさせて、嬉しいようなずるいと思うような、複雑な気持ちになってしまう。
「……ぁ」
お姉ちゃんの左手が頬にかかった。
キスされるんだと気付く前に、唇に感触が走る。
「んっ……、……ぅん……」
ゆっくりと目を閉じて、身体を預ける。
お姉ちゃんの右手が私の肩を抱いて、左手が髪の毛の間をすべっていく。肌にかかる息遣いを感じながら、私はそっとお姉ちゃんの身体に手を伸ばす。
なんとなく目を開けて、お姉ちゃんの表情を見て、
――……。
まつげを震わせて、静かに瞳を伏せている姿が――ひどくキレイで、私はまぶたを閉じた。もし部屋が明るかったら、お姉ちゃんの顔が赤く染まっていたのがわかったと思う。
触れていた唇が離れていく。
「お姉ちゃん……」
目の前の顔を見つめる。恥ずかしそうに、困ったふうに笑いながら、お姉ちゃんは耳元でささやく。
「……していい?」
どうしても頬が熱くなってしまうけど、私はコクリと頷いた。
細い指が、私のパジャマのボタンを外していく。
お姉ちゃんはよく、私の服を脱がせたがる。なんだか着せ替え人形になったみたいで恥ずかしい気がするけど、でもお姉ちゃんが少し嬉しそうだから別にいいかな、とも思う。
上も下も脱がされて、下着も取られて裸にさせられる。女の子同士でも、姉妹でも、やっぱり服の下を見られるのは、少し恥ずかしい。別にそれがお風呂とかだったならいいんだけど、こうやって部屋の中で裸になるのはちょっと抵抗を感じてしまう。
お姉ちゃんが、ベッドに座る私の頭をそっと撫でた。
撫でられるのは嫌いじゃない。でも子ども扱いされてるような、やっぱり私は妹でしかないのかなという気もしてきて、ちょっと困ってしまう。
――だからそういうときは、少しだけお姉ちゃんに意地悪したくなってしまう。
「お姉ちゃんも……脱いで」
そう言うとお姉ちゃんは困ったふうに額に眉を寄せた。でも、少し迷ったような素振りを見せてから「わかってるから」と言って私の頭をくしゃりと撫でた。
お姉ちゃんが、自分のパジャマのボタンをゆっくりと外していく。全部外し終わったところで、私が見ている事に気付いて、視線から逃げるように身体を後ろに向けた。
……私のことはずっと見てたのに。
後ろ向きで、お姉ちゃんは服を脱いでいく。パジャマの上が無くなって、長い髪の毛の合間から肩が覗く。ズボンに手をかけ下ろしていくと、細長い足が外気にさらされる。
私がお返しとばかりに思いっきり凝視しているのに気付いたのか、お姉ちゃんはちらりとこっちの様子をうかがってきた。でも私と目が合うと、すぐにまた後ろを向いてしまった。
躊躇いながら、お姉ちゃんはキャミソールに手をかける。器用に長い髪の毛を通しながら上半身からキャミを抜きさる。そしてショーツに手をつけて、
「………」
と、間を置いてから、一気に下まで降ろした。
「はぁ……」と疲れたように口からため息を漏らしていた。
「――お姉ちゃんっ」
「うわっ!!」
背後から抱きついた身体が、おもしろいように跳ねた。お姉ちゃんは驚いてからハッとなって、慌てて口元に手を当てる。そして振り向いて、顔を近づけて私にささやく。
「大きい声出させないでよ……っ」
にらんでいる瞳がちょっと潤んでる気もした。私は「ごめんなさい……」と、一応謝っておいた。でもこういう反応するからついやりたくなっちゃうわけで……。
私はギュッとお姉ちゃんの身体に抱きついた。裸同士であることをようやく思い出したみたいで、お姉ちゃんは「うっ」と身じろぎする。
「……つかさ」
お姉ちゃんはもう一度小さくため息をついてから、私の身体を引き離して、ジッとこっちの瞳を覗き込んできた。さっきとは違う真剣な瞳に、もしかして本当に怒らせてしまったかなという思いが脳裏をよぎる。
ほんの少し、窓から差し込む光を反射する瞳から目が離せない。細められた、ややつり上がり気味な目が、まるで捕まってしまったかのような錯覚を引き起こす。
「ぁ……」
消えそうな声が口から漏れた。お姉ちゃんの左手が腰の辺りをそっと撫でる。脇腹らへんを指でなぞり上げられて、クッ、と身体が変な反応を示す。普段ならただくすぐったいだけなのに、こういうときはなんだか甘い気持ちが溢れてくるから困ってしまう。
私の反応に、お姉ちゃんはちょっと意地の悪い笑みを浮かべていた。やっぱり少し怒っていたのかも。なんだか……楽しそう。
そのままお姉ちゃんは、私の頬に手を添えて顔を近づけた。上目遣いの私の目を覗き込みながら唇を触れ合わせる。
「ん……、ぅ……んっ……」
今度は唇を舐められた。お姉ちゃんの舌先が抵抗できない私の口の中へと押し入ってくる。
舌を絡まされて、上あごを撫で上げられて、頭の芯がボーっとしてきてしまう。一緒に体のほうも触れられて、だんだん呼吸が苦しくなってくる。
――っ……。
ふいに、カクンと身体から力が抜けてしまった。お姉ちゃんの身体に伸ばした手にも、まったく力がこもらない。
「つかさ……」
唇を離して、お姉ちゃんがささやく。そしてギュッと強く抱きしめて、私を支えてくれた。
私は顔をうずめて、お姉ちゃんにしがみつく。
少しも離れていたくなくて。
離れてしまうことなどないようにと。
目の前に広がる肌からは、ちょっとだけ石鹸の甘い香りがした。
お姉ちゃんはよく、私の服を脱がせたがる。なんだか着せ替え人形になったみたいで恥ずかしい気がするけど、でもお姉ちゃんが少し嬉しそうだから別にいいかな、とも思う。
上も下も脱がされて、下着も取られて裸にさせられる。女の子同士でも、姉妹でも、やっぱり服の下を見られるのは、少し恥ずかしい。別にそれがお風呂とかだったならいいんだけど、こうやって部屋の中で裸になるのはちょっと抵抗を感じてしまう。
お姉ちゃんが、ベッドに座る私の頭をそっと撫でた。
撫でられるのは嫌いじゃない。でも子ども扱いされてるような、やっぱり私は妹でしかないのかなという気もしてきて、ちょっと困ってしまう。
――だからそういうときは、少しだけお姉ちゃんに意地悪したくなってしまう。
「お姉ちゃんも……脱いで」
そう言うとお姉ちゃんは困ったふうに額に眉を寄せた。でも、少し迷ったような素振りを見せてから「わかってるから」と言って私の頭をくしゃりと撫でた。
お姉ちゃんが、自分のパジャマのボタンをゆっくりと外していく。全部外し終わったところで、私が見ている事に気付いて、視線から逃げるように身体を後ろに向けた。
……私のことはずっと見てたのに。
後ろ向きで、お姉ちゃんは服を脱いでいく。パジャマの上が無くなって、長い髪の毛の合間から肩が覗く。ズボンに手をかけ下ろしていくと、細長い足が外気にさらされる。
私がお返しとばかりに思いっきり凝視しているのに気付いたのか、お姉ちゃんはちらりとこっちの様子をうかがってきた。でも私と目が合うと、すぐにまた後ろを向いてしまった。
躊躇いながら、お姉ちゃんはキャミソールに手をかける。器用に長い髪の毛を通しながら上半身からキャミを抜きさる。そしてショーツに手をつけて、
「………」
と、間を置いてから、一気に下まで降ろした。
「はぁ……」と疲れたように口からため息を漏らしていた。
「――お姉ちゃんっ」
「うわっ!!」
背後から抱きついた身体が、おもしろいように跳ねた。お姉ちゃんは驚いてからハッとなって、慌てて口元に手を当てる。そして振り向いて、顔を近づけて私にささやく。
「大きい声出させないでよ……っ」
にらんでいる瞳がちょっと潤んでる気もした。私は「ごめんなさい……」と、一応謝っておいた。でもこういう反応するからついやりたくなっちゃうわけで……。
私はギュッとお姉ちゃんの身体に抱きついた。裸同士であることをようやく思い出したみたいで、お姉ちゃんは「うっ」と身じろぎする。
「……つかさ」
お姉ちゃんはもう一度小さくため息をついてから、私の身体を引き離して、ジッとこっちの瞳を覗き込んできた。さっきとは違う真剣な瞳に、もしかして本当に怒らせてしまったかなという思いが脳裏をよぎる。
ほんの少し、窓から差し込む光を反射する瞳から目が離せない。細められた、ややつり上がり気味な目が、まるで捕まってしまったかのような錯覚を引き起こす。
「ぁ……」
消えそうな声が口から漏れた。お姉ちゃんの左手が腰の辺りをそっと撫でる。脇腹らへんを指でなぞり上げられて、クッ、と身体が変な反応を示す。普段ならただくすぐったいだけなのに、こういうときはなんだか甘い気持ちが溢れてくるから困ってしまう。
私の反応に、お姉ちゃんはちょっと意地の悪い笑みを浮かべていた。やっぱり少し怒っていたのかも。なんだか……楽しそう。
そのままお姉ちゃんは、私の頬に手を添えて顔を近づけた。上目遣いの私の目を覗き込みながら唇を触れ合わせる。
「ん……、ぅ……んっ……」
今度は唇を舐められた。お姉ちゃんの舌先が抵抗できない私の口の中へと押し入ってくる。
舌を絡まされて、上あごを撫で上げられて、頭の芯がボーっとしてきてしまう。一緒に体のほうも触れられて、だんだん呼吸が苦しくなってくる。
――っ……。
ふいに、カクンと身体から力が抜けてしまった。お姉ちゃんの身体に伸ばした手にも、まったく力がこもらない。
「つかさ……」
唇を離して、お姉ちゃんがささやく。そしてギュッと強く抱きしめて、私を支えてくれた。
私は顔をうずめて、お姉ちゃんにしがみつく。
少しも離れていたくなくて。
離れてしまうことなどないようにと。
目の前に広がる肌からは、ちょっとだけ石鹸の甘い香りがした。
お姉ちゃんはもう一度私の名前をささやいて、そっと頭を撫でてくれた。
ベッドの上で、お姉ちゃんは私を後ろから抱きかかえていた。
背中に当たる肌の感触は柔らかくて気持ちいいけれど、夏という季節を考えると……少し暑い気がする。
「つかさ」
そう私の名前を呼びながら、お姉ちゃんは頬ずりしてくる。
……やっぱりお人形さん扱いなんだろうか。なんだかそんな気がして、私は顔を逸らした。
でもそうしたら、お姉ちゃんが後ろで笑ってる気配がした。やれやれといった顔でもしてるのかもしれない。
……すっかりもう、お姉ちゃんのペースな気がする。
だけど別に、それはイヤではなくて、むしろ好きだったりもする。そんな自分には少し困ってしまうけれど、ただ、こんなふうにしているのが嬉しくてしょうがないことなのは、本当のことだから……。
私はそっと、お姉ちゃんの身体に体重を預けた。
やっぱりお姉ちゃんが笑った気配がする。
私の髪の毛を撫でて、お姉ちゃんは身体へと手を伸ばす。
「ん……」
すくうように、お姉ちゃんの左手が私の胸を撫でる。指で、手のひらで、粘土でもこねるようにいじられる。
「っひゃ……」
つつ、と右のわき腹を指でなぞり上げられた。それと同時に耳元に息を吹きかけられて、背筋に悪寒にも似た感覚が走る。ぞくりと背中が震え、きゅっと目を閉じる。遅れて、中毒になりそうなほど濃い、あまったるいほどの感覚が身体に流れ込む。
左手は相変わらず胸を、右手はお腹の辺りをさすりながら徐々に上のほうへうごめいてく。
「ぁぅ……」
首筋を、ちゅぅと吸われた。舌が踊ると吐息が漏れる。
お姉ちゃんの細くてきれいな両手が、私の胸をもてあそぶ。指をうずめ、すくい、弾ませ、引き絞る。まるで楽器でも弾いてるかのように胸の先端で、指が踊っていた。
「ぁ……、ぅっ、んっ……っ」
耳元に唇を寄せ、お姉ちゃんがささやいた。私の名前を呼ぶその声は、ぞっとするほど妖艶で、色っぽかった。
頭の芯を、自分の軸を壊してしまうようなお姉ちゃんの声。
どうして名前を呼ばれただけで、こんなに嬉しくなってしまうんだろう。
「お姉ちゃん……」
それなら、自分の声はどう聞こえているんだろうか。
ちゃんと届いてくれてるのか。
お姉ちゃんの、微笑んでる気配しかわからなくて、もう一度彼女を呼ぶ。
「ぁ……」
背後から伸びたお姉ちゃんの左手が、私の太ももを這う。それは、ちょっとしたサイン。口ではっきりと言いはしないけれど、お姉ちゃんは確かめるように私の足を指でなぞる。
私は、ゆっくりと足を開く。大事な部分をさらけ出す。
首筋にもう一度キスを送りながら、右手を胸元に這わせながら、お姉ちゃんは左手を足の付け根へ滑らせていく。
――はぅ……。
くすぐるような動きで、長い指先が私の大事な部分の上で踊る。背筋が泡立つような感覚と、この先の期待感に熱いため息が口から漏れた。
鍵盤でも弾くかのように動く指先が、わずかに湿り気を帯びてくる。それが自分の蜜のせいだとわかって、顔がカーッと熱くなる。
「ふわっ……」
耳たぶを優しく噛まれた。舌先が、耳の裏側をたどって首筋へと降りていく。お姉ちゃんの興奮したような息遣いが耳にこびりつく。
「ん、っぅん……っ」
背中に走る湿った感触。左手であそこを撫でながらも、顔を寄せ、お姉ちゃんは私の背中にキスを降らす。敏感になった肌を、柔らかい髪がくすぐった。
――あぅ……っ。
背筋にみずみずしい触感が伝わるたびに、身体がピクッと反応してしまう。その感触から逃げようと背中が震え、喉の奥から声が漏れる。
「つかさ……」
わかる? と問いかけられる。お姉ちゃんの指は、私の秘所は、自分の液体でトロトロになっていた。
顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。だけどそれも、お姉ちゃんにされているという嬉しさで相殺されてしまう。
身体の全てを預けて姉のことを呼ぶ。頭の中はもうなにがなんだかわからないくらいで、ただもっと触れてほしいという思いしかなかった。
お姉ちゃんの微笑む気配。頭を撫でる手の動き。頬に触れるだけの、優しいキス。
背中から私の体をギュッと抱きしめて、お姉ちゃんはあそこで顔をもたげていた突起を指で弾いた。
「っ……っぅんん……っ!」
強い刺激に、体がぷるぷると震えた。同時に全身を包みこむように快感が広がる。
「ぁっ……、ゃ……っ」
とろみを帯びた液体が、膨らむ突起を覆う。周りをなぞり、軽く押さえ、指先で摘まれる。
手足に力がこもらない。ぞわりと痺れのような感覚が肌の上を走っていく。思考を奪っていく好きな人の指先。
自分のそこは、もう全て知られてしまっている。
肌触りも。感触も。中身も、位置も。突起の大きさも、どこをどう感じるのかも、何が好きなのかも。
奪われる。
与えられる。
「ひっ……ん、っんぅ……、っぁ……!」
身体の奥底が震えるような錯覚。それは実感をともなって、全身の筋肉がキュッと収縮する。フラッシュでもたかれたかのように一瞬視界に霞がかかる。
「つかさ……?」
右手を私の頬に伸ばしながら、お姉ちゃんは耳元でささやく。少し心配してるようにも聞こえるけど、左手は攻める動きを止める気配はない。
私は無意識に反応してしまう身体を必死に動かし、手を伸ばしてお姉ちゃんの右手にしがみつく。
「ぁ、ぁ、っ、ん……ぅ、くっ、ふぅんっ……!」
手に力をこめたら、わなわなと震えてしまった。チカリチカリと、目の前に白い画面がちらつく。心臓のドキドキがさっきから壊れてしまったみたいに暴走して、呼吸が速くなって抑えられない。
身体全体が揃ってもう絶頂が近いと知らせていた。
「お、姉ちゃん……っ……」
後ろにいる、私の全てを握っている人を呼ぶ。
もう判っているはずなのに、さっきからお姉ちゃんの手の動きは変わらない。全体でまんべんなく指を動かしながらも、けして強い刺激は送ってこない。入り口付近でくちゃりと、指先が音をたてた。
「なあに?」と、お姉ちゃんは返事をする。声色が、意地の悪い笑みを浮かべているときのものだ。私の反応を楽しむかのように、ぴちゃぴちゃと指を奏でる。
……少し、酷いと思った。
「お姉ちゃん……、お姉ちゃん……」
焦らされすぎて、すっかり思考能力を奪われた私は、ただお姉ちゃんを呼ぶことしかできなかった。だけどお姉ちゃんは私に頬ずりをするだけで、私の様子を見てなんだか楽しそうにしているみたいで。
「ぁぅ……」
視界が少し潤む。身体はこんなに求めているっていうのに。こんなにもお姉ちゃんが欲しいのに。
「……イキたい?」
いつもより低いトーンが耳をうつ。でもそれにはどこか優しい感じも含まれている気もして、胸がドキリと高鳴った。
自分の息遣い。お姉ちゃんの口から漏れる呼吸。そしてわずかに鳴っている、粘つくような水の音。ただそれだけが、暑い夜の闇の中、響き渡っていた。
自分とお姉ちゃんの鼓動が、私の体にリズムを刻む。
声がかすれないようにと、唾を飲み込んだ。
ごくりという音がやけに大きく聞こえる。
私は、私が大好きな人だけに聞こえるように、小さな声で「うん……」とささやいた。
顔を覗き込むお姉ちゃんの顔に、大好きなお菓子でも頬張ってるみたいな、満面の笑みが浮かんでいた。
私の頭を撫でながら、そっと呟く。
「可愛い。つかさ」
………。
そういうこと言うのは……、反則なんだよ……?
顔どころか、体まで真っ赤に染まってしまったような気がして、私はそっと瞳を伏せた。
「っふぁっ……」
ぬぷりという感触とともに、いきなりお姉ちゃんの指が中に入ってきた。多分中指。指先の腹の部分が、入り口あたりを引っかけてくる。静まりかけてた火が、また燃え出したような気がした。
「ゃ、ぁっ……、ひゃ、んぅっ……っ」
つんつん、と親指があそこで震えるお豆を虐め始める。周りをなぞって固くして、潰すようにギュッと押さえつけてくる。意識が思わず飛びかける。
「お、ねえっちゃっ、ん、ぁっ……っぅんんぅ……っ!」
急速に、身体が限界にぷるぷると震えた。視界にモヤがかかる。背中に感じるお姉ちゃんのことも、一瞬判らなくなって――怖くなった。
「っぁ、ん、ふぁ……、っぁ……ひゃ……っ!」
頬にキスの感触。ぺろっという舌の動き。気持ちいいのか、寒気なのか判らない感覚に鳥肌が立つ。
お姉ちゃんを求めて声が漏れる。
緊張と弛緩を繰り返す手を、ギュッと強く握りしめる。
この身体の震えは快感のためなのか、それとも不安のせいなのか。
お姉ちゃんはただ、優しげな声で呟いて、私のことを抱きしめてくれた。
「いいよ……」
「っ――」
その一言で、何かが外されたように意識が白く染まった。
あそこで動いているお姉ちゃんの左手。
背中越しに感じる柔らかな体。
「つかさ」という私を呼ぶ声。
そしてどこかから漂っている、甘い――香り。
「ぁ……」
身体の震えが、もう抑えきれなかった。
背中に当たる肌の感触は柔らかくて気持ちいいけれど、夏という季節を考えると……少し暑い気がする。
「つかさ」
そう私の名前を呼びながら、お姉ちゃんは頬ずりしてくる。
……やっぱりお人形さん扱いなんだろうか。なんだかそんな気がして、私は顔を逸らした。
でもそうしたら、お姉ちゃんが後ろで笑ってる気配がした。やれやれといった顔でもしてるのかもしれない。
……すっかりもう、お姉ちゃんのペースな気がする。
だけど別に、それはイヤではなくて、むしろ好きだったりもする。そんな自分には少し困ってしまうけれど、ただ、こんなふうにしているのが嬉しくてしょうがないことなのは、本当のことだから……。
私はそっと、お姉ちゃんの身体に体重を預けた。
やっぱりお姉ちゃんが笑った気配がする。
私の髪の毛を撫でて、お姉ちゃんは身体へと手を伸ばす。
「ん……」
すくうように、お姉ちゃんの左手が私の胸を撫でる。指で、手のひらで、粘土でもこねるようにいじられる。
「っひゃ……」
つつ、と右のわき腹を指でなぞり上げられた。それと同時に耳元に息を吹きかけられて、背筋に悪寒にも似た感覚が走る。ぞくりと背中が震え、きゅっと目を閉じる。遅れて、中毒になりそうなほど濃い、あまったるいほどの感覚が身体に流れ込む。
左手は相変わらず胸を、右手はお腹の辺りをさすりながら徐々に上のほうへうごめいてく。
「ぁぅ……」
首筋を、ちゅぅと吸われた。舌が踊ると吐息が漏れる。
お姉ちゃんの細くてきれいな両手が、私の胸をもてあそぶ。指をうずめ、すくい、弾ませ、引き絞る。まるで楽器でも弾いてるかのように胸の先端で、指が踊っていた。
「ぁ……、ぅっ、んっ……っ」
耳元に唇を寄せ、お姉ちゃんがささやいた。私の名前を呼ぶその声は、ぞっとするほど妖艶で、色っぽかった。
頭の芯を、自分の軸を壊してしまうようなお姉ちゃんの声。
どうして名前を呼ばれただけで、こんなに嬉しくなってしまうんだろう。
「お姉ちゃん……」
それなら、自分の声はどう聞こえているんだろうか。
ちゃんと届いてくれてるのか。
お姉ちゃんの、微笑んでる気配しかわからなくて、もう一度彼女を呼ぶ。
「ぁ……」
背後から伸びたお姉ちゃんの左手が、私の太ももを這う。それは、ちょっとしたサイン。口ではっきりと言いはしないけれど、お姉ちゃんは確かめるように私の足を指でなぞる。
私は、ゆっくりと足を開く。大事な部分をさらけ出す。
首筋にもう一度キスを送りながら、右手を胸元に這わせながら、お姉ちゃんは左手を足の付け根へ滑らせていく。
――はぅ……。
くすぐるような動きで、長い指先が私の大事な部分の上で踊る。背筋が泡立つような感覚と、この先の期待感に熱いため息が口から漏れた。
鍵盤でも弾くかのように動く指先が、わずかに湿り気を帯びてくる。それが自分の蜜のせいだとわかって、顔がカーッと熱くなる。
「ふわっ……」
耳たぶを優しく噛まれた。舌先が、耳の裏側をたどって首筋へと降りていく。お姉ちゃんの興奮したような息遣いが耳にこびりつく。
「ん、っぅん……っ」
背中に走る湿った感触。左手であそこを撫でながらも、顔を寄せ、お姉ちゃんは私の背中にキスを降らす。敏感になった肌を、柔らかい髪がくすぐった。
――あぅ……っ。
背筋にみずみずしい触感が伝わるたびに、身体がピクッと反応してしまう。その感触から逃げようと背中が震え、喉の奥から声が漏れる。
「つかさ……」
わかる? と問いかけられる。お姉ちゃんの指は、私の秘所は、自分の液体でトロトロになっていた。
顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。だけどそれも、お姉ちゃんにされているという嬉しさで相殺されてしまう。
身体の全てを預けて姉のことを呼ぶ。頭の中はもうなにがなんだかわからないくらいで、ただもっと触れてほしいという思いしかなかった。
お姉ちゃんの微笑む気配。頭を撫でる手の動き。頬に触れるだけの、優しいキス。
背中から私の体をギュッと抱きしめて、お姉ちゃんはあそこで顔をもたげていた突起を指で弾いた。
「っ……っぅんん……っ!」
強い刺激に、体がぷるぷると震えた。同時に全身を包みこむように快感が広がる。
「ぁっ……、ゃ……っ」
とろみを帯びた液体が、膨らむ突起を覆う。周りをなぞり、軽く押さえ、指先で摘まれる。
手足に力がこもらない。ぞわりと痺れのような感覚が肌の上を走っていく。思考を奪っていく好きな人の指先。
自分のそこは、もう全て知られてしまっている。
肌触りも。感触も。中身も、位置も。突起の大きさも、どこをどう感じるのかも、何が好きなのかも。
奪われる。
与えられる。
「ひっ……ん、っんぅ……、っぁ……!」
身体の奥底が震えるような錯覚。それは実感をともなって、全身の筋肉がキュッと収縮する。フラッシュでもたかれたかのように一瞬視界に霞がかかる。
「つかさ……?」
右手を私の頬に伸ばしながら、お姉ちゃんは耳元でささやく。少し心配してるようにも聞こえるけど、左手は攻める動きを止める気配はない。
私は無意識に反応してしまう身体を必死に動かし、手を伸ばしてお姉ちゃんの右手にしがみつく。
「ぁ、ぁ、っ、ん……ぅ、くっ、ふぅんっ……!」
手に力をこめたら、わなわなと震えてしまった。チカリチカリと、目の前に白い画面がちらつく。心臓のドキドキがさっきから壊れてしまったみたいに暴走して、呼吸が速くなって抑えられない。
身体全体が揃ってもう絶頂が近いと知らせていた。
「お、姉ちゃん……っ……」
後ろにいる、私の全てを握っている人を呼ぶ。
もう判っているはずなのに、さっきからお姉ちゃんの手の動きは変わらない。全体でまんべんなく指を動かしながらも、けして強い刺激は送ってこない。入り口付近でくちゃりと、指先が音をたてた。
「なあに?」と、お姉ちゃんは返事をする。声色が、意地の悪い笑みを浮かべているときのものだ。私の反応を楽しむかのように、ぴちゃぴちゃと指を奏でる。
……少し、酷いと思った。
「お姉ちゃん……、お姉ちゃん……」
焦らされすぎて、すっかり思考能力を奪われた私は、ただお姉ちゃんを呼ぶことしかできなかった。だけどお姉ちゃんは私に頬ずりをするだけで、私の様子を見てなんだか楽しそうにしているみたいで。
「ぁぅ……」
視界が少し潤む。身体はこんなに求めているっていうのに。こんなにもお姉ちゃんが欲しいのに。
「……イキたい?」
いつもより低いトーンが耳をうつ。でもそれにはどこか優しい感じも含まれている気もして、胸がドキリと高鳴った。
自分の息遣い。お姉ちゃんの口から漏れる呼吸。そしてわずかに鳴っている、粘つくような水の音。ただそれだけが、暑い夜の闇の中、響き渡っていた。
自分とお姉ちゃんの鼓動が、私の体にリズムを刻む。
声がかすれないようにと、唾を飲み込んだ。
ごくりという音がやけに大きく聞こえる。
私は、私が大好きな人だけに聞こえるように、小さな声で「うん……」とささやいた。
顔を覗き込むお姉ちゃんの顔に、大好きなお菓子でも頬張ってるみたいな、満面の笑みが浮かんでいた。
私の頭を撫でながら、そっと呟く。
「可愛い。つかさ」
………。
そういうこと言うのは……、反則なんだよ……?
顔どころか、体まで真っ赤に染まってしまったような気がして、私はそっと瞳を伏せた。
「っふぁっ……」
ぬぷりという感触とともに、いきなりお姉ちゃんの指が中に入ってきた。多分中指。指先の腹の部分が、入り口あたりを引っかけてくる。静まりかけてた火が、また燃え出したような気がした。
「ゃ、ぁっ……、ひゃ、んぅっ……っ」
つんつん、と親指があそこで震えるお豆を虐め始める。周りをなぞって固くして、潰すようにギュッと押さえつけてくる。意識が思わず飛びかける。
「お、ねえっちゃっ、ん、ぁっ……っぅんんぅ……っ!」
急速に、身体が限界にぷるぷると震えた。視界にモヤがかかる。背中に感じるお姉ちゃんのことも、一瞬判らなくなって――怖くなった。
「っぁ、ん、ふぁ……、っぁ……ひゃ……っ!」
頬にキスの感触。ぺろっという舌の動き。気持ちいいのか、寒気なのか判らない感覚に鳥肌が立つ。
お姉ちゃんを求めて声が漏れる。
緊張と弛緩を繰り返す手を、ギュッと強く握りしめる。
この身体の震えは快感のためなのか、それとも不安のせいなのか。
お姉ちゃんはただ、優しげな声で呟いて、私のことを抱きしめてくれた。
「いいよ……」
「っ――」
その一言で、何かが外されたように意識が白く染まった。
あそこで動いているお姉ちゃんの左手。
背中越しに感じる柔らかな体。
「つかさ」という私を呼ぶ声。
そしてどこかから漂っている、甘い――香り。
「ぁ……」
身体の震えが、もう抑えきれなかった。
――後は、自分でもよく覚えてない。
何か恥ずかしい事でもひたすら口走ってたような気もするし、でも他の部屋に聞こえないようにぎりぎりと歯を食いしばってたような気もする。ようやく周りがわかるようになったときには、夏の湿気のせいで全身汗だくになって荒い息をついていた。
だけどそれでも、いつも迎えるあの瞬間は……、やっぱり幸せだった気がする。
何か恥ずかしい事でもひたすら口走ってたような気もするし、でも他の部屋に聞こえないようにぎりぎりと歯を食いしばってたような気もする。ようやく周りがわかるようになったときには、夏の湿気のせいで全身汗だくになって荒い息をついていた。
だけどそれでも、いつも迎えるあの瞬間は……、やっぱり幸せだった気がする。
お姉ちゃんはただ、そのきれいな指先で私の髪をすいていた。
「お姉ちゃん……」
「なに?」
私の声にお姉ちゃんは返事を返す。
やっと力が入るようになった体を、振り向かせる。
「……?」
抱きついてお姉ちゃんの顔を覗き込む。
シン、と静まり返った部屋の中。
すぐそこにある深い瞳。
私はその手に軽く力をこめて、――お姉ちゃんのことを押し倒した。
「ぁ……」
わずかな両腕の隙間から、上目遣いの視線を受ける。
手に、シーツとは違う柔らかな髪の感触。
目の前の彼女の名前をささやいて、私は顔を近づけた。
「なに?」
私の声にお姉ちゃんは返事を返す。
やっと力が入るようになった体を、振り向かせる。
「……?」
抱きついてお姉ちゃんの顔を覗き込む。
シン、と静まり返った部屋の中。
すぐそこにある深い瞳。
私はその手に軽く力をこめて、――お姉ちゃんのことを押し倒した。
「ぁ……」
わずかな両腕の隙間から、上目遣いの視線を受ける。
手に、シーツとは違う柔らかな髪の感触。
目の前の彼女の名前をささやいて、私は顔を近づけた。
お姉ちゃんは小さく唇を動かして、嬉しそうに微笑んだ。
♪
ジジッ……、という残響を残して、電柱から蝉が飛び立った。
いたるところに取り付けられた街灯が、町の闇を覆い隠している。
頭上にはうっすらと見える星の瞬き。
耳をうつ、二つの足音。
いたるところに取り付けられた街灯が、町の闇を覆い隠している。
頭上にはうっすらと見える星の瞬き。
耳をうつ、二つの足音。
「花火、綺麗だったわね」
会場の帰り、隣を歩く姉が言う。
みゆきたちと、こなたたちと別れ、二人も自分たちの町へと戻ってきた。
夜の街、家路の途中。
肌にまとわりつく、湿度と温度。
じめっとした、湿り気を帯びたにおいが鼻をつく。
みゆきたちと、こなたたちと別れ、二人も自分たちの町へと戻ってきた。
夜の街、家路の途中。
肌にまとわりつく、湿度と温度。
じめっとした、湿り気を帯びたにおいが鼻をつく。
「……つかさ?」
かがみが顔を覗き込む。
つかさは小さく笑い返して、そっと空を見上げた。
つかさは小さく笑い返して、そっと空を見上げた。
「ああいうお祭りみたいのが終わった後って、なんでか寂しくならない?」
静かな夜空だった。
視界を埋め尽くすような光も、花びらも、体を打ち抜くようなあの音も何も無い、キレイな星と月だけが浮かんでいる。
なんにも無いわけではないけれど、なぜかぽっかりと隙間が空いてしまったような、さみしいような……かなしいような。
まるでさっきの出来事が夢だったみたいに。
あの時感じた思いが、嘘だったみたいに。
そう、考えてしまいそうになる。
視界を埋め尽くすような光も、花びらも、体を打ち抜くようなあの音も何も無い、キレイな星と月だけが浮かんでいる。
なんにも無いわけではないけれど、なぜかぽっかりと隙間が空いてしまったような、さみしいような……かなしいような。
まるでさっきの出来事が夢だったみたいに。
あの時感じた思いが、嘘だったみたいに。
そう、考えてしまいそうになる。
「どうして、なんだろ」
現実へと引き戻される。
終わりが来ると告げられる。
世界の全てが流れていくのだと、いつかなくしてしまうのだと。
そして、それを受け入れられない自分は、ポツンと一人取り残されたみたいで。
寂しい夜空にひとりだけ。
小さなため息が、夏の空気に溶けていく。
終わりが来ると告げられる。
世界の全てが流れていくのだと、いつかなくしてしまうのだと。
そして、それを受け入れられない自分は、ポツンと一人取り残されたみたいで。
寂しい夜空にひとりだけ。
小さなため息が、夏の空気に溶けていく。
「それは、それだけ楽しかったってことじゃない?」
隣で並ぶ、姉の顔を見る。
「つかさがそれを楽しかったって思えたから、大切なものだって感じられたから。それがなくなってしまったような気がして、寂しいって思うのかもね」
顔の横でまとめた髪を揺らして、彼女は言う。
確かに楽しかった。
笑みを浮かべられた。
心の中に、あの風景が残っている。
まぶたの裏に焼きつくような輝きも、耳鳴りでも起きそうだった爆発も。
そして、終わった後に感じた、あの焦げ付いた火薬のにおいも。
確かに楽しかった。
笑みを浮かべられた。
心の中に、あの風景が残っている。
まぶたの裏に焼きつくような輝きも、耳鳴りでも起きそうだった爆発も。
そして、終わった後に感じた、あの焦げ付いた火薬のにおいも。
「まだ、夏休みも半分あるわよ?」
つかさの手を取り、かがみは言う。
「学校だって半年も」
微笑みを浮かべながら、半分自分にでも言い聞かせているように。
つかさの手を引いて、かがみは前を向く。
引っぱられるような形で、つかさはその後を行く。
ぱたぱたと、ひるがえる浴衣。
つながった手のひら。
いつもの……子どもの頃からずっと見続けてきた、その後ろ姿。
つかさの手を引いて、かがみは前を向く。
引っぱられるような形で、つかさはその後を行く。
ぱたぱたと、ひるがえる浴衣。
つながった手のひら。
いつもの……子どもの頃からずっと見続けてきた、その後ろ姿。
「そうだね」
小さく呟いて――だけどその顔には笑みを浮かべて、つかさはかがみの隣へと並んだ。
この手の感触があれば、歩いていける気がした。
♪
「ふわぁ……」
大きなあくびが、口から漏れた。
「もう寝なさいよ」
同じベッドの中のすぐ隣で、苦笑交じりにお姉ちゃんは言う。
「うん」と、眠い目をこすって私は返事をする。
なんだかんだですっかり夜更かししてしまった。
結局明日はお昼過ぎまで寝てしまうんだろう。
でも、それもいいかもしれない。
そう思えるくらいには、今日はとても――楽しかったのだから。
「お姉ちゃん」
「?」
すぐに手が届くほど目の前で、お姉ちゃんは私の瞳を覗き込んでいる。
大きなあくびが、口から漏れた。
「もう寝なさいよ」
同じベッドの中のすぐ隣で、苦笑交じりにお姉ちゃんは言う。
「うん」と、眠い目をこすって私は返事をする。
なんだかんだですっかり夜更かししてしまった。
結局明日はお昼過ぎまで寝てしまうんだろう。
でも、それもいいかもしれない。
そう思えるくらいには、今日はとても――楽しかったのだから。
「お姉ちゃん」
「?」
すぐに手が届くほど目の前で、お姉ちゃんは私の瞳を覗き込んでいる。
「おやすみなさい」
淡い光に照らされた、姉の顔を目に焼き付けて、私はそっと瞳を閉じた。
身体に感じるぬくもりと、あの人のにおいに包まれながら。
身体に感じるぬくもりと、あの人のにおいに包まれながら。
「うん……。おやすみ」
fin.
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- 雰囲気がよく伝わってきました -- 名無しさん (2011-01-10 16:47:15)
- 妖艶な感じが良いです -- 名無しさん (2010-10-09 13:59:57)
- 暗闇の中ってのがイイ!! -- 名無しさん (2010-09-11 10:28:54)
- こなかが好きだけど、これ見てかがつかも好きになりました -- 名無しさん (2010-08-18 11:23:45)
- お互いの依存度が高い -- 名無しさん (2010-08-15 13:09:44)
- 夏の夜更けの感触みたいなのがすごく伝わってくる -- 名無しさん (2010-07-24 16:01:57)
- 薄暗い中のイメージがすごくよくわかります GJ!!!! -- 名無しさん (2010-05-27 16:58:37)
- 月夜に照らされている二人の求め合う姿が 鮮明に浮かびました。
-- 名無しさん (2010-05-22 16:06:01) - 雰囲気漂っててイイ! -- 名無しさん (2009-12-06 23:57:11)
- 激しくGJ -- 名無しさん (2009-10-09 18:32:58)
GJ
-- 名無しさん (2009-09-13 11:58:45)
-- 名無しさん (2009-09-13 11:58:45)