「せぇーりゃっ!」
もうすっかり手に馴染んだ鋼の剣の一閃が、毒芋虫の胴体を殆んど真っ二つに切り裂いた。
切った所から緑色の体液が大量にどろりと噴き出して、そこに毒芋虫本体がビチャッと音を立てて倒れ込んだ。
切った所から緑色の体液が大量にどろりと噴き出して、そこに毒芋虫本体がビチャッと音を立てて倒れ込んだ。
「えいっ!」
自分の分担が済んだ事を確認すると同時に、真後ろからかがみの威勢のいい声が聴こえてきた。
振り向いて見ると、丁度かがみの鉄の槍が、最後のギズモを貫いたところだったらしく、
その直後に、ギズモの雲みたいな躯が静かに霧散していった。
振り向いて見ると、丁度かがみの鉄の槍が、最後のギズモを貫いたところだったらしく、
その直後に、ギズモの雲みたいな躯が静かに霧散していった。
「これで全部倒しましたね」
「そだねー。なんだかもうこの塔のモンスターは楽勝ムードって感じ?」
「ま、確かに人食い蛾やバンパイアに比べれば大分弱いしね。でも油断は禁物よ」
「はーい」
「うん。お姉ちゃん」
「そだねー。なんだかもうこの塔のモンスターは楽勝ムードって感じ?」
「ま、確かに人食い蛾やバンパイアに比べれば大分弱いしね。でも油断は禁物よ」
「はーい」
「うん。お姉ちゃん」
でも実際、前は毒芋虫は二人がかりでないと倒せなかったし、かがみもギズモを倒すのに二回は攻撃してたのに、
またここに来るまでに色々と寄り道してきたせいか、私達も随分と強くなっていた。
またここに来るまでに色々と寄り道してきたせいか、私達も随分と強くなっていた。
そう。私達は前に一度、このシャンパーニの塔──どうやらここがアンダタのアジトらしい──に来ていた。
理由は勿論、ゆかりさんが盗られたって言ってた、『金の冠』を取り戻す為。
だけどこの塔は、アンダタのアジトって以前に、モンスター達の棲み家でもあった。
ロマリアの辺りじゃ殆んど見掛けない強力なモンスター達の前に、
私達はアンダタに会う事もできずに、ハズレの宝箱を幾つか回収しただけで退却せざるを得なかった。
多分、金の冠はアンダタ自身が持ってるんだろうけど、その時の私達には、それを確認する事さえも不可能だった。
理由は勿論、ゆかりさんが盗られたって言ってた、『金の冠』を取り戻す為。
だけどこの塔は、アンダタのアジトって以前に、モンスター達の棲み家でもあった。
ロマリアの辺りじゃ殆んど見掛けない強力なモンスター達の前に、
私達はアンダタに会う事もできずに、ハズレの宝箱を幾つか回収しただけで退却せざるを得なかった。
多分、金の冠はアンダタ自身が持ってるんだろうけど、その時の私達には、それを確認する事さえも不可能だった。
だから私達は経験を積み、強力な装備もゲットして、こうして今日、改めてシャンパーニの塔にやって来た。
その成果はバッチリで、前は苦戦しまくってたモンスター達が、今では殆んど一撃で倒せる様になってた。
前に来た時は見なかった、マタンゴによく似たモンスターもいたけど、そいつもやっぱり一撃で倒せた。
(後でみゆきさんが『おばけキノコ』って名前だって教えてくれた)
その成果はバッチリで、前は苦戦しまくってたモンスター達が、今では殆んど一撃で倒せる様になってた。
前に来た時は見なかった、マタンゴによく似たモンスターもいたけど、そいつもやっぱり一撃で倒せた。
(後でみゆきさんが『おばけキノコ』って名前だって教えてくれた)
「おーおーあるねぇ。いかにも「この奥に何かあります」って扉が」
前に来た時は辿り着けなかった塔の四階を回っていると、一際大きな、そして、この塔で初めて見た扉があった。
ナジミの塔や誘いの洞窟で見た覚えのある、盗賊の鍵で開くタイプの大扉だ。
ナジミの塔や誘いの洞窟で見た覚えのある、盗賊の鍵で開くタイプの大扉だ。
「そいじゃみんな、念の為にサポートお願いね」
「言われなくても解ってるわよ。ピオリム!」
「スカラ!」
「言われなくても解ってるわよ。ピオリム!」
「スカラ!」
かがみとみゆきさんが補助呪文を唱え、みんなの身体が黄色の、私の身体がオレンジ色の光に包まれた。
以前の誘いの洞窟の一件(第三章参照)以来、私達はこーゆー時にちゃんと注意を払う様になった。
呪文の使えないつかさも、かがみとお揃いの鉄の槍をぎゅっと握って、辺りを警戒している。
以前の誘いの洞窟の一件(第三章参照)以来、私達はこーゆー時にちゃんと注意を払う様になった。
呪文の使えないつかさも、かがみとお揃いの鉄の槍をぎゅっと握って、辺りを警戒している。
「そいじゃ、オープン・ザ・ドアー♪」
鍵穴に盗賊の鍵を差し込んで軽く回す。
すぐにガチャッて音がして、扉はあっけなく開いた。
すぐにガチャッて音がして、扉はあっけなく開いた。
「…うん。モンスターはいないっぽいね。それどころかこの部屋、なんか綺麗だね。石像まで置いてあるヨ」
「うわ、ホントね……ひょっとしてこれもどっかからの盗品?」
「うわ、ホントね……ひょっとしてこれもどっかからの盗品?」
ここまではそこら中にクモの巣が張ってたり戦闘の痕跡なんかがあったりしたのに、
この部屋だけはそんなのが無くて、いやに小ざっぱりとしてた。
てか、どうやってこんな石像、ここまで運んだんだろ?
この部屋だけはそんなのが無くて、いやに小ざっぱりとしてた。
てか、どうやってこんな石像、ここまで運んだんだろ?
「あ、部屋の奥に階段があるよー」
「おー、本当だー」
「どうやらそろそろ目的地が見えてきたみたいですね」
「そだねー。いよいよアンダタとご対面かな?」
「かもね。それじゃみんな、気を引き締めて行きましょ」
「「おーう!」」「はいっ」
「おー、本当だー」
「どうやらそろそろ目的地が見えてきたみたいですね」
「そだねー。いよいよアンダタとご対面かな?」
「かもね。それじゃみんな、気を引き締めて行きましょ」
「「おーう!」」「はいっ」
「な、なんだお前等!?」
「し、侵入者か!?」
「し、侵入者か!?」
階段を上った先には、下の部屋よりも少し散らかった部屋があって、
その部屋の中央では、二人組の男が小さなテーブルを囲んでちびちびとお酒を呑んでたけど、
私達に気付くとすぐさま反応して、腰に差してたサーベルを抜いて、その鋒(きっさき)をこっちに向けてきた。
二人共、サーベルの他にはごく軽装の甲冑を装備してて、目の部分が開いた布を巻いて、簡単に顔を隠してる。
んで、一人はその上から眼鏡掛けてて、一人はアフロっぽい髪型をしてる。
まあ、十中八九二人共盗賊さんで間違いなさそうだねー。
このどっちかがアンダタかな?
その部屋の中央では、二人組の男が小さなテーブルを囲んでちびちびとお酒を呑んでたけど、
私達に気付くとすぐさま反応して、腰に差してたサーベルを抜いて、その鋒(きっさき)をこっちに向けてきた。
二人共、サーベルの他にはごく軽装の甲冑を装備してて、目の部分が開いた布を巻いて、簡単に顔を隠してる。
んで、一人はその上から眼鏡掛けてて、一人はアフロっぽい髪型をしてる。
まあ、十中八九二人共盗賊さんで間違いなさそうだねー。
このどっちかがアンダタかな?
「…なんだ、よく見たら子供ばっかりじゃ……!?」
あれ? 何か私達を見てたら盗賊の一人が急に固まっちゃった。
「!! あ、あのアホ毛、身長、泣きぼくろ……ま、まさか……!」
「こりゃあ一大事だ! 急いでお頭に知らせに行こうっ!」
「あ、あぁっ!」
「こりゃあ一大事だ! 急いでお頭に知らせに行こうっ!」
「あ、あぁっ!」
そう言うと二人は即座に回れ右して、一目散に部屋の反対側にあった階段の所まで走り、
そんで、そのまますごい勢いでその階段を駆け上ってった。
そんで、そのまますごい勢いでその階段を駆け上ってった。
「あれあれー? 何か盗賊さん達、私見て逃げちゃったヨ?」
「こなた……あの二人、知り合い?」
「いんや。見た覚えも無い。まあ顔隠してたから確証は無いケド」
「でも、私もあんな髪型の人に会った覚えは無いし、声も聴いた覚え無かったよね」
「そうですね。私もこれまでの旅の道中で、あの御二方と会った覚え等はありません」
「うーん……ま、追い掛けてみれば判るんじゃない? どうせ金の冠取り返すんだし」
「そだね。そんじゃさっさと追い掛けて
「こなた……あの二人、知り合い?」
「いんや。見た覚えも無い。まあ顔隠してたから確証は無いケド」
「でも、私もあんな髪型の人に会った覚えは無いし、声も聴いた覚え無かったよね」
「そうですね。私もこれまでの旅の道中で、あの御二方と会った覚え等はありません」
「うーん……ま、追い掛けてみれば判るんじゃない? どうせ金の冠取り返すんだし」
「そだね。そんじゃさっさと追い掛けて
「その必要は無い!!」
「うぉあっ!?」
「うぉあっ!?」
私の言葉を遮って、突然、大声が部屋中に響き渡った。
慌てて声のした方を見てみると、さっき二人組が駆け上って行った階段に、前髪の長い男が姿を現していた。
さっきの二人と同じく、顔は布で隠してるけど、手に持ってる武器はサーベルじゃなくて小振りな斧で、
赤いサンバイザーをかぶってるせいか、あんまり盗賊っぽく見えない。
慌てて声のした方を見てみると、さっき二人組が駆け上って行った階段に、前髪の長い男が姿を現していた。
さっきの二人と同じく、顔は布で隠してるけど、手に持ってる武器はサーベルじゃなくて小振りな斧で、
赤いサンバイザーをかぶってるせいか、あんまり盗賊っぽく見えない。
「よくここまで来れたな。誉めてやろう! 流石は“伝説の勇者A”と言ったところか!」
なんかこの人、むやみにテンションが高い。明らかに黒井女王様以上だ。
ってか……
ってか……
「えっと、その“伝説の勇者A”って……ひょっとして私のコト?」
「ああそうだ! 遥か遠く糟日部の地より、魔王だかなんだかを倒す旅に出てこの大陸へと現れ、
ふらりと訪れたロマリアの闘技場で11連勝して一財産を築き上げ、街の道具屋でアイテムを買いあさった少女……。
それが貴様だろう、伝説の勇者A!! このアンダタ様には全部お見通しだ!」
「ああそうだ! 遥か遠く糟日部の地より、魔王だかなんだかを倒す旅に出てこの大陸へと現れ、
ふらりと訪れたロマリアの闘技場で11連勝して一財産を築き上げ、街の道具屋でアイテムを買いあさった少女……。
それが貴様だろう、伝説の勇者A!! このアンダタ様には全部お見通しだ!」
ビシィ、とサンバイザーの人──全然イメージ違ったけどこの人がアンダタらしい──が、私に指を突き付けてきた。
「あーあー、確かにそんな事もやったよねー」
「盗賊達の間でまで噂になってたの、アレ……」
「すごかったもんねー、アレ」
「ええ、本当に」
「盗賊達の間でまで噂になってたの、アレ……」
「すごかったもんねー、アレ」
「ええ、本当に」
その時の光景を思い出して、四人揃って苦笑する。
まさかそんな称号までついてたとは、思いもよらなかった…。
まさかそんな称号までついてたとは、思いもよらなかった…。
「おそらくその後も闘技場で荒稼ぎして、その立派な装備を整えたんだろう」
いや、失礼な。
これは殆んど、ちゃんとモンスターと戦って稼いだお金で買ったんだケドね。
これは殆んど、ちゃんとモンスターと戦って稼いだお金で買ったんだケドね。
「だが、俺様を捕まえる事は誰にもできん! むんっ!」
アンダタが斧を持った右手を目の前にかざし、すぐにそれを引いた。
なんだか、アンダタの左目がピンク色に光ってる様な気が……。
なんだか、アンダタの左目がピンク色に光ってる様な気が……。
「キュウゥン……シュイーン!
さあ、お前達全員、そこの窓から飛び降りるんだ!」
さあ、お前達全員、そこの窓から飛び降りるんだ!」
……ああ、そうか。早くそこの窓から飛び降りなきゃ。
よいしょっと……えいっ。
よいしょっと……えいっ。
「さらばだ、伝説の勇者Aとその仲間達よ! はーっはっはっはっは!!」
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- ここでメイトが来たか! -- 名無しさん (2011-04-13 01:13:47)
- ちゃんと本編が絡んでいるのが上手いwww -- 名無しさん (2009-02-11 10:57:12)