翌日、昼休みになってもかがみは、こなた達の教室に来なかった。
「昨日私が帰った後なんかあったの?今朝だって、お姉ちゃんひどい顔してたよ」
つかさの口調には、珍しく批難の色が滲んでいた。
こなたはつかさが手に持つ菓子パンを見ながら、すまなそうにうつむいた。
「ちょっと私が言い過ぎちゃって……あーどうしようかなぁ」
「泉さんが悪いと感じていらっしゃるなら、謝るしかないでしょうね」
いつも通り美しく整った弁当に箸を付けながら、みゆきが言った。
「そうだよね、あ~でも怖いなぁ……」
「こなちゃん、お姉ちゃんに何て言ったの?」
「かがみはずるいよね、ってまあそんなことを」
「それだけ?お姉ちゃんの何がずるいって言ったの?」
つかさはこなたの曖昧な説明に納得しようとしなかった。
その顔を見てこなたは、かがみの様子が余程おかしかったんだなと思った。
「つかささん、泉さんはかがみさんに気を遣ってるんですよ」
「そっか……そうだよね。でも、早く何とかしてね」
「ごめんよ、ちゃんと今日中に謝りにいくからさ。
まだ本当に言いたかったことも、言えてないし」
「言いたいこと……ですか?
よくわかりませんが、お願いしますね。私もかがみさんがいないと寂しいですから」
みゆきは、普段かがみがいるはずの席に目をやった。
「わかってるよ。放課後にはいつも通り、みんなで一緒に帰ろう」
「昨日私が帰った後なんかあったの?今朝だって、お姉ちゃんひどい顔してたよ」
つかさの口調には、珍しく批難の色が滲んでいた。
こなたはつかさが手に持つ菓子パンを見ながら、すまなそうにうつむいた。
「ちょっと私が言い過ぎちゃって……あーどうしようかなぁ」
「泉さんが悪いと感じていらっしゃるなら、謝るしかないでしょうね」
いつも通り美しく整った弁当に箸を付けながら、みゆきが言った。
「そうだよね、あ~でも怖いなぁ……」
「こなちゃん、お姉ちゃんに何て言ったの?」
「かがみはずるいよね、ってまあそんなことを」
「それだけ?お姉ちゃんの何がずるいって言ったの?」
つかさはこなたの曖昧な説明に納得しようとしなかった。
その顔を見てこなたは、かがみの様子が余程おかしかったんだなと思った。
「つかささん、泉さんはかがみさんに気を遣ってるんですよ」
「そっか……そうだよね。でも、早く何とかしてね」
「ごめんよ、ちゃんと今日中に謝りにいくからさ。
まだ本当に言いたかったことも、言えてないし」
「言いたいこと……ですか?
よくわかりませんが、お願いしますね。私もかがみさんがいないと寂しいですから」
みゆきは、普段かがみがいるはずの席に目をやった。
「わかってるよ。放課後にはいつも通り、みんなで一緒に帰ろう」
そして放課後こなたは、威勢良く教室を飛び出した。
「んじゃ行ってくるよ。すぐにかがみを連れてくるから、待っててね!」
「んじゃ行ってくるよ。すぐにかがみを連れてくるから、待っててね!」
「本当に大丈夫かな?もしかして、もう……」
つかさが不安げな表情でみゆきに囁く。
「……そうかもしれませんね」
みゆきは教科書を鞄に詰めながら、淡々と答えた。
「そんなの嫌!私たちずっと四人で仲良くやってきたのに……。
もうあと半年しかないのに」
つかさは泣きそうな声をあげて、みゆきの机に顔を伏せた。
みゆきが鞄からつかさに目を移す。
「可愛いですね、つかささんは」
「ゆきちゃん……こんな時に笑えないよ、ゆきちゃんは嫌じゃないの?」
「もしそんな形で私たちの時間が終わってしまうとしたら、勿論嫌です。
でもこれは、お二人の問題ですから。私たちにはどうすることもできません」
「もうちょっと慰めになること言ってー……」
みゆきは子供をあやすように、つかさの頭を撫でた。
「すいません、脅かしすぎましたね。多分ただの喧嘩でしょう。
今のままなら、これ以上お二人の仲が進展することはないですよ」
一昨日までの二人に、そんな切実な空気は感じられなかった。
昨日何があったのかわからないが、そんなに急に二人の仲が進展するはずはない。
みゆきは自分にそう言い聞かせた。
(でも、もしそうなったら私たちはどうなるんでしょう?
やっぱり終わってしまうんでしょうか……?それとも……)
つかさが不安げな表情でみゆきに囁く。
「……そうかもしれませんね」
みゆきは教科書を鞄に詰めながら、淡々と答えた。
「そんなの嫌!私たちずっと四人で仲良くやってきたのに……。
もうあと半年しかないのに」
つかさは泣きそうな声をあげて、みゆきの机に顔を伏せた。
みゆきが鞄からつかさに目を移す。
「可愛いですね、つかささんは」
「ゆきちゃん……こんな時に笑えないよ、ゆきちゃんは嫌じゃないの?」
「もしそんな形で私たちの時間が終わってしまうとしたら、勿論嫌です。
でもこれは、お二人の問題ですから。私たちにはどうすることもできません」
「もうちょっと慰めになること言ってー……」
みゆきは子供をあやすように、つかさの頭を撫でた。
「すいません、脅かしすぎましたね。多分ただの喧嘩でしょう。
今のままなら、これ以上お二人の仲が進展することはないですよ」
一昨日までの二人に、そんな切実な空気は感じられなかった。
昨日何があったのかわからないが、そんなに急に二人の仲が進展するはずはない。
みゆきは自分にそう言い聞かせた。
(でも、もしそうなったら私たちはどうなるんでしょう?
やっぱり終わってしまうんでしょうか……?それとも……)
威勢よく教室を飛び出したものの、足どりは重い。
季節はまだ六月に入ったばかりだというのに、手のひらが汗で湿って気持ちが悪い。
謝るだけならこんな緊張はしない。
その後の、本当に言いたかったこと、を言うのが恥ずかしいのだ。
かがみとはからかい合って、いじり合って、お互いそんなことばかりしていた。
感謝を口にしようとすると全身がかゆくって仕方がない。
そうして普段の倍近い時間をかけながらも、こなたはかがみの教室の前に辿り着いた。
「よし、いくぞ~、いくぞ~……」
かけ声とは反対に、こなたの身体は前に進まない。
しばらく廊下でそうしてもたついていると、もう片方の扉が開いてかがみが現れた。
「こなた……?」
こなたが目に入った瞬間、かがみは少し困ったような顔をした。
今まで逡巡していたこなたも、本人を目の前にして決心を固める。
「かがみ、昨日はごめんね」
「ああ……うん」
かがみの様子はどこかうわの空で、普段の張りが感じられなかった。
「別に、かがみを責めたかったわけじゃないんだよ。
かがみが自分のことをあいつなんかと比べるから、ついイラっと来て言い過ぎちゃったんだ。
私にとってかがみはあいつなんかより、ずっとその……大切な人だから」
「大切な人って……そんな」
まるで告白の様なこなたの言葉に、かがみは戸惑っていた。
こなたも恥ずかしい台詞なのは自覚していたが、構わずに続ける。
「だって、そうじゃん。
時間だけで見たって、かがみとはもう二年以上の付き合いだよ?
確かにメイト行ったりしたのは同じだけど、オタ話だけしてたわけじゃないし、
ほら、チョココロネどっちから食べる?とかくっだらない話も一杯したよね。
ファミレスでドリンクだけで、何時間も粘ったりさ。
あ、お泊まりもしたよね!あの時は結局朝まで宿題やってたけど、それでも楽しかった」
「良く覚えてるな、あんたは」
かがみの唇が、ほんの少し笑ったような形に歪んだ。
「だって楽しかったから、かがみは楽しくなかった?」
「まあ、楽しかったわよ」
「だよね!」
季節はまだ六月に入ったばかりだというのに、手のひらが汗で湿って気持ちが悪い。
謝るだけならこんな緊張はしない。
その後の、本当に言いたかったこと、を言うのが恥ずかしいのだ。
かがみとはからかい合って、いじり合って、お互いそんなことばかりしていた。
感謝を口にしようとすると全身がかゆくって仕方がない。
そうして普段の倍近い時間をかけながらも、こなたはかがみの教室の前に辿り着いた。
「よし、いくぞ~、いくぞ~……」
かけ声とは反対に、こなたの身体は前に進まない。
しばらく廊下でそうしてもたついていると、もう片方の扉が開いてかがみが現れた。
「こなた……?」
こなたが目に入った瞬間、かがみは少し困ったような顔をした。
今まで逡巡していたこなたも、本人を目の前にして決心を固める。
「かがみ、昨日はごめんね」
「ああ……うん」
かがみの様子はどこかうわの空で、普段の張りが感じられなかった。
「別に、かがみを責めたかったわけじゃないんだよ。
かがみが自分のことをあいつなんかと比べるから、ついイラっと来て言い過ぎちゃったんだ。
私にとってかがみはあいつなんかより、ずっとその……大切な人だから」
「大切な人って……そんな」
まるで告白の様なこなたの言葉に、かがみは戸惑っていた。
こなたも恥ずかしい台詞なのは自覚していたが、構わずに続ける。
「だって、そうじゃん。
時間だけで見たって、かがみとはもう二年以上の付き合いだよ?
確かにメイト行ったりしたのは同じだけど、オタ話だけしてたわけじゃないし、
ほら、チョココロネどっちから食べる?とかくっだらない話も一杯したよね。
ファミレスでドリンクだけで、何時間も粘ったりさ。
あ、お泊まりもしたよね!あの時は結局朝まで宿題やってたけど、それでも楽しかった」
「良く覚えてるな、あんたは」
かがみの唇が、ほんの少し笑ったような形に歪んだ。
「だって楽しかったから、かがみは楽しくなかった?」
「まあ、楽しかったわよ」
「だよね!」
かがみの緊張が和らいだの感じて、こなたは嬉しくなった。
この調子なら今日も四人一緒に帰れる、そう思った。
「あと、何があいつって違うってさ、かがみはちゃんと、私のことを見てくれてるよね」
「……!」
見てくれてるよね。この一言に、かがみの肩が大きく跳ねた。
しかし一旦勢いのついたこなたは、それに気が付かない。
「バレンタインも、誕生日もなんだかんだ言ってかがみ、プレゼントくれたじゃん。
忘れてたけどね、とか言いつつ結構手が込んでたよね。
両方とも、私好みのものだったし。
それと、なんといってあれだよ、ハルヒの激奏!
あんな盛り上がってる時に、普通隣の人のことなんて気にしないよ。
みゆきさんですら、ステージに夢中になってたのに。あれはちょっとときめいたね。
あと私のバイト先に来た時、途中までドン引きだったのに、最後は笑ってくれたよね。
かがみは呆れて笑ってたのかもしれないけど、私は嬉しかったよ」
「やっぱり……そうなのかな」
「……?かがみ、どうしたの?……ひょっとして私自意識過剰だった?」
一息ついて、こなたはかがみが小刻みに震えているのに気が付いた。
「そうじゃないの、そうじゃなくて……」
「大丈夫?調子悪いの?うぁっ!かがみ!?」
かがみが縋るようにこなたに抱きつく。
薄い布地越しに感じるかがみの身体が熱い。
「どうしよう……私、こなたのこと好きかもしれない」
「ちょっ、え!?なんで急にそうなるのさ!?」
「……私があんたのことばかり見てるって、さっき日下部に言われちゃった。
柊はちびっ子のことがすきなんだろって!峰岸だって否定しなかった。
それであんたまで、そんなこと言うから……!」
この調子なら今日も四人一緒に帰れる、そう思った。
「あと、何があいつって違うってさ、かがみはちゃんと、私のことを見てくれてるよね」
「……!」
見てくれてるよね。この一言に、かがみの肩が大きく跳ねた。
しかし一旦勢いのついたこなたは、それに気が付かない。
「バレンタインも、誕生日もなんだかんだ言ってかがみ、プレゼントくれたじゃん。
忘れてたけどね、とか言いつつ結構手が込んでたよね。
両方とも、私好みのものだったし。
それと、なんといってあれだよ、ハルヒの激奏!
あんな盛り上がってる時に、普通隣の人のことなんて気にしないよ。
みゆきさんですら、ステージに夢中になってたのに。あれはちょっとときめいたね。
あと私のバイト先に来た時、途中までドン引きだったのに、最後は笑ってくれたよね。
かがみは呆れて笑ってたのかもしれないけど、私は嬉しかったよ」
「やっぱり……そうなのかな」
「……?かがみ、どうしたの?……ひょっとして私自意識過剰だった?」
一息ついて、こなたはかがみが小刻みに震えているのに気が付いた。
「そうじゃないの、そうじゃなくて……」
「大丈夫?調子悪いの?うぁっ!かがみ!?」
かがみが縋るようにこなたに抱きつく。
薄い布地越しに感じるかがみの身体が熱い。
「どうしよう……私、こなたのこと好きかもしれない」
「ちょっ、え!?なんで急にそうなるのさ!?」
「……私があんたのことばかり見てるって、さっき日下部に言われちゃった。
柊はちびっ子のことがすきなんだろって!峰岸だって否定しなかった。
それであんたまで、そんなこと言うから……!」
昼休み、かがみはみさお、あやのと共に昼食をとっていた。
買ってきたパンも、食べる気がしないのか机に放置されている。「珍しいじゃん、今日はあのちびっ子の所にいかないのかよ」
落ち込んでいるかがみと対照的に、みさおの声は心なしか弾んでいた。
「ちょっと今日は行く気しなくてさ」
「喧嘩でもしたの?柊ちゃん」
「うん、まあちょっと……」
それきりかがみは黙ってしまった。
「ひーらぎぃ、修学旅行どこ行くか決めた?班ごとの計画書の提出来週だったじゃん。
確か今ガイドブック持ってるのひいらぎだったよな」
「え、決めてなかったけ?……あ、ごめん、忘れてたわ」
「なんだよ、しっかりしてくれよ、ひいらぎぃ」
こなた達と散々話していたせいで、かがみはすっかり決めたものだと勘違いしていた。
「明日持ってくるわよ」
かがみは事務的に返事をしたが、その目はみさおの方を向いていなかった。
窓の外を見ながら、指で髪をいじくっている。
「しかし修学旅行楽しみだよなっ!
ひいらぎと遠出したことってあんまりないし、これ終わったら受験だもんなー」
「そうだね、私とみさちゃんは結構行ってるけど、柊ちゃんとはないよね」
「そうねー」
「……ひいらぎぃ大丈夫か?さっきから何にも食べてないし。
パンじゃ嫌なのか?……そうだ!私のミートボール食べる?」
「ううん、いらない。今は食べる気しない」
かがみの素っ気ない態度に、みさおの表情までもが暗くなる。
気まずい沈黙が訪れるが、かがみはそれを気にすることもなかった。
買ってきたパンも、食べる気がしないのか机に放置されている。「珍しいじゃん、今日はあのちびっ子の所にいかないのかよ」
落ち込んでいるかがみと対照的に、みさおの声は心なしか弾んでいた。
「ちょっと今日は行く気しなくてさ」
「喧嘩でもしたの?柊ちゃん」
「うん、まあちょっと……」
それきりかがみは黙ってしまった。
「ひーらぎぃ、修学旅行どこ行くか決めた?班ごとの計画書の提出来週だったじゃん。
確か今ガイドブック持ってるのひいらぎだったよな」
「え、決めてなかったけ?……あ、ごめん、忘れてたわ」
「なんだよ、しっかりしてくれよ、ひいらぎぃ」
こなた達と散々話していたせいで、かがみはすっかり決めたものだと勘違いしていた。
「明日持ってくるわよ」
かがみは事務的に返事をしたが、その目はみさおの方を向いていなかった。
窓の外を見ながら、指で髪をいじくっている。
「しかし修学旅行楽しみだよなっ!
ひいらぎと遠出したことってあんまりないし、これ終わったら受験だもんなー」
「そうだね、私とみさちゃんは結構行ってるけど、柊ちゃんとはないよね」
「そうねー」
「……ひいらぎぃ大丈夫か?さっきから何にも食べてないし。
パンじゃ嫌なのか?……そうだ!私のミートボール食べる?」
「ううん、いらない。今は食べる気しない」
かがみの素っ気ない態度に、みさおの表情までもが暗くなる。
気まずい沈黙が訪れるが、かがみはそれを気にすることもなかった。
「ひいらぎってさ、ちびっ子のことだと必死だよな」
「え?」
「なんなんだよ、私たちとちびっ子なにが違うんだ?
そんなに会えないのがつらいのかよ?」
「ちょっとみさちゃん」
慌ててあやのが、みさおをたしなめるが、みさおは止まらなかった。
「だってあやのだってそう思うだろ?
ひいらぎが本気で怒ったり、笑ったりするのはちびっ子の前でだけじゃん」
「それは……」
かがみはこなたとの仲が他人からどう見えるのか、今まで意識したことはなかった。
そのせいでみさおが少しづつ不満を溜めていたなど、思いもよらなかった。
「私、日下部を差別してるつもりなんて……」
「そんなことわかってるよ!
そうじゃなくて、どうしてひいらぎはちびっ子を特別扱いするんだよ?
ひいらぎはいっつも、ちびっ子のほうばっかり見てる。
お昼休みが来る度に、嬉しそうに教室を出て行かれるのはもう嫌なんだってば!」
「私が、こなたのほうばっかり見てる?」
「気付いてないのかよ?
前から思ってたんだけどさ……ひいらぎはもしかして、あのチビっ子が好きなのか?」
かがみの顔から血の気が引いた。
「そんなこと……あるわけないじゃない!何言ってるのよ、ねえ峰岸?」
あやのは小さく首を振った。
「実は結構前から、そんな話はしてたよ。
私もみさちゃんも、ずっと一緒だったからわかるんだよ。柊ちゃんが変わったの。
勿論半分冗談で言ってたんだけど、みさちゃんはずっと寂しがってた」
5年も同じ教室で過ごしてきた友人との間に深い溝が出来ていたことに、かがみは愕然とした。
高校に入ってからこなた達と過ごした、楽しい日々が暗転する。
「ごめん……でも私こなたのことが好きかなんて、わかんないよ。
そんなの今まで考えたこともなかった」
「私は別に、ひいらぎがちびっ子のことを好きでも構わないさ。
でもちびっ子も私も、同じように友達だって言われたら納得できない。
だってそうじゃなかったら……」
みさおは鼻をすすり、目を両手でごしごしとこすった。
あやのがハンカチを差し出す。
その様子をかがみは、呆然と見つめることしかできなかった
「え?」
「なんなんだよ、私たちとちびっ子なにが違うんだ?
そんなに会えないのがつらいのかよ?」
「ちょっとみさちゃん」
慌ててあやのが、みさおをたしなめるが、みさおは止まらなかった。
「だってあやのだってそう思うだろ?
ひいらぎが本気で怒ったり、笑ったりするのはちびっ子の前でだけじゃん」
「それは……」
かがみはこなたとの仲が他人からどう見えるのか、今まで意識したことはなかった。
そのせいでみさおが少しづつ不満を溜めていたなど、思いもよらなかった。
「私、日下部を差別してるつもりなんて……」
「そんなことわかってるよ!
そうじゃなくて、どうしてひいらぎはちびっ子を特別扱いするんだよ?
ひいらぎはいっつも、ちびっ子のほうばっかり見てる。
お昼休みが来る度に、嬉しそうに教室を出て行かれるのはもう嫌なんだってば!」
「私が、こなたのほうばっかり見てる?」
「気付いてないのかよ?
前から思ってたんだけどさ……ひいらぎはもしかして、あのチビっ子が好きなのか?」
かがみの顔から血の気が引いた。
「そんなこと……あるわけないじゃない!何言ってるのよ、ねえ峰岸?」
あやのは小さく首を振った。
「実は結構前から、そんな話はしてたよ。
私もみさちゃんも、ずっと一緒だったからわかるんだよ。柊ちゃんが変わったの。
勿論半分冗談で言ってたんだけど、みさちゃんはずっと寂しがってた」
5年も同じ教室で過ごしてきた友人との間に深い溝が出来ていたことに、かがみは愕然とした。
高校に入ってからこなた達と過ごした、楽しい日々が暗転する。
「ごめん……でも私こなたのことが好きかなんて、わかんないよ。
そんなの今まで考えたこともなかった」
「私は別に、ひいらぎがちびっ子のことを好きでも構わないさ。
でもちびっ子も私も、同じように友達だって言われたら納得できない。
だってそうじゃなかったら……」
みさおは鼻をすすり、目を両手でごしごしとこすった。
あやのがハンカチを差し出す。
その様子をかがみは、呆然と見つめることしかできなかった
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- かがみの事でやきもち妬く時のみさきちって、すごく可愛いよね~! -- 名無しさん (2011-04-26 16:11:02)