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白石の災難

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だれでも歓迎! 編集
「んじゃ、また会えるときまで!ばいにー☆」
「ばいにー☆」
とうとう終わってしまった。
らっきー☆ちゃんねるのラジオはこれで終わってしまった。
お疲れ様でした!という声をいろいろな人から言われた。
なんとなく実感がわかなかったけど、隣の男のほっとした顔を見たら、ちょっとムカッときた。
スタッフに対してピンク色の頭を下げはしたが、こいつには下げてやらなかった。
だって、あたしは悪くないもん。絶対、悪くないもん。

楽屋に逃げ帰る。あいつから話しかけられるのが怖かったから。
さっさと準備して帰らなきゃ・・・と思った矢先だった。
「コンコン、失礼しまーす。」
あたしの一番話しかけられたくない相手がやってきてしまった。
「なーんの用なのよ、白石…」
「いや、今日で最後なので…あきら様に挨拶しに、ですよ?」
白石みのる。今一番会いたくない相手。
今あんたはなにを考えてるの?なにその態度。腹立つ。
深緑の目はこちらを見ている。あの件があってから、こいつの視線は冷たくなった。そんな気がする。
「べつに、来て貰いたくなんてなかったわ…あーやっとあんたの顔見なくて済むと思ったのに!」
「そういうわけには行かないじゃないですか!礼儀ってものは守るべきじゃないですか!」
「あーあーはいはいよかったねーさよーならー」
「……もう会うことはないかもしれませんが…あきら様にお会いできて嬉しかったです。
 いい面も、悪い面も、あきら様に教えていただきました…これでいいですか?」
白石はいやいやなのか、ふて腐れた様な顔をしていた。一瞬見ただけだけど。
「それじゃ、また会う日があれば。」
こと、と何か白石が置いた気がしたが、気にしない、気にしない。

そのままあいつは楽屋のドアを開け、
「おい白石、お前!」「へっ?!」
あれ?白石?
白石の素頓狂な声が聞こえた瞬間、乱暴にドアは閉められた。
激しく何かがドアにぶつかる音がする。何度も、何度も。
男の人の声がする、何かを叫んでいる。ドアに何かが叩きつけられるたびに、何かが呻く。

外の喧騒は止んだ。そっと、ドアを開けてみる。
同時に、何か黒いものが足元に転がってきた。
「え…し…白石?」
見慣れた顔が、横たわっていた。
寝ているようにも見えるのだが、明らかのそのような顔ではなかった。
顔を、殴られている…何発も、何発も。
「ちょっと、白石!起きなさいよ!ねぇ!何があったの?!」
あたしは思わず白石の頬を叩いた。起きるまで、起きるまで。
「ん…あ…あきら…さま…?」
「なにが起きたのよ!こんなに痣だらけで!」
そいつはいつものにへらにへらした笑みを貼り付けて、いつものように答えた。
「いてて…だいじょぶ…ですよ…心配しないで…」
よいしょ、と立ち上がろうとするが、ふらついてしまう。
「…っ!」「ひゃぁ!」

なによ、この体勢。
白石の頭が、あたしの胸の上に乗っている。押し倒されたようにも見えるんだけど。
「ちょっと!離れなさいよ!このスケベ!変態!」
「俺は…なんで、ここにいるんでしょう…」
え?なんて?
「俺、精一杯、あきら様を支えてきたつもりです…
 アシスタントなんて役目、もらったことなかったし、
 最初は、何だか分からなかったけど、でもこの空気が好きでした。
 いろいろロケもいったし(実写EDも撮ったし)、頑張ったつもりです。」
「アレで支えてたって言うわけ?けっ、自惚れんじゃないわよ。」
「分かってます。自分のフォローが足りなかったのは、分かってますよ。
 あきら様のわがままを全部聞けなかったのは、申し訳ないとは思ってますけど…」
あたしのわがまま?そんなのどうでもいいの。
あたしのこと、かまってほしかったんだもん。
かまってくれるのは、あんたしかいなかったんだもん。
だから、だから
「俺、もう、いらないんですよね…」
どういうこと?
白石は寂しく笑う。なにか、全てを諦めているような顔だ。
「っ…うっ…」
「なに、どうしたの、白石?苦しいの?」
「大丈夫、ですから、構わないで、ください…」
へへっ、と笑って。
「もう…いきます、ね…」
「どこに行くのよ!ねぇ!」
ふらふら、と立ち上がり、白石はドアのほうへ向かう。
「俺、もう会えないかもしれませんけど、楽しかったです…」
くるり、と白石の体がこちらを向く。
「あきら様…大好きです…」

なんでこの人はこんなに笑顔なんだろう。
あたしがそう思った瞬間。


ばたん…

もう白石は笑ってはいなかった。
青白い顔をして、倒れていた。
「あたしも好きなの」
そういいたかったのに…
あたしはそれだけ言いたかったのに!!

あたしはその後何したか覚えてない。
とにかく人を呼んだのだったか、電話をしたのか忘れたけど、
いつの間にあたしは病院にいた。
白石の隣に、いることしかできなかった。

「あ…あきら…様?」
ふと、声が聞こえた。
「…しら…いし?」
いつの間にあたしはこいつの手を握っていたんだろう、
ぜんぜん覚えてない。
「おきた?大丈夫?」
あたしは白石の顔を覗き込む。
相変わらずへらへらと笑ってやがる。
人が心配してやってるのに。

「あきら様?なに、泣いてるんですか…」

はっ、と気づくと、あたしは泣いていた。
自分でもわからなかった。

白石はあたしの涙をぬぐってくれる。
でも、ごめん、
とまらないの。
あたしがどれだけ心配したか、わかってるの?
あたし、白石が、白石のことが

「あきら様?おーい?」

あたしの目の前で手のひらをひらひらさせやがって。
まったく、こいつは鈍感なんだから。

「白石」
「はい?」
あたしは大きく息を吸い込んだ。

「大好き。」
程なくして
「僕も、大好きですよ♪」

白石の顔が赤いのは気のせいだろうか。
いつもよりにこにこ笑っている気がした。

まったく、何がそんなにうれしいのよ!













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  • ?白石は楽屋を出る前何を置いて行ったの?
    誰に何で殴られたの? -- 名無しさん (2010-06-08 22:31:57)
  • 乙 -- 名無しさん (2009-05-23 14:08:16)

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