余計なことすんなよ(読み手の心の声)

杜の都の中枢部、仙台駅。
ここでは今、命と衣服を賭けた二人の書き手の戦いが始まろうとしていた。

「ふふふ、その服がボロボロになった姿を想像すると……興奮しちゃうなあ」
「……少し、頭冷やそうか?」

愉悦の笑みを浮かべる南斗脱衣拳伝承者に対し、悪魔のフラグ建築士は眉間にしわを寄せる。
先手必勝。建築士が魔法を発動させようとしたその時、伝承者は目を見張るようなスピードでデイパックから何かを取り出した。

「まふうじの杖!」
「しまった!」

建築士がそのアイテムの正体に気づいた時には、すでに杖から生じた怪しげな霧が彼女の体を包んでいた。
同時に、何とも言えない奇妙な感覚が彼女の全身を襲う。それによって、建築士は自分の魔力が封じられたことを理解する。
ちなみにバリアジャケットそのものは無事だが、防御力は普通の服レベルまで落ちてしまっていた。

「魔法が封じられるっていうのは……。なのはキャラにとって致命的だよねえ?」
「魔法がなくても……私にはこれがある! いくよ、ストラーダ!」

確かに、魔法を封じられてはなのはがベースである建築士の戦闘力は激減する。
しかし彼女が持っているストラーダは、それ単体でも武器として使うことができるアームドデバイス。
まだ戦闘力がゼロになったわけではない。
ストラーダを構え、建築士は突撃する。だがその一撃は、伝承者の腕にあっさりと弾かれた。

「え!?」
「何を驚く必要があるの? 私はフェイト、あなたはなのは。白兵戦ならなのはよりフェイトが強いのは当たり前でしょう?
 それに、私は南斗聖拳の使い手でもある。あなたが敵う道理はないよ」

悠然と述べながら、伝承者は両手を振るう。次の瞬間、建築士の両腕を覆うバリアジャケットが、バラバラに切り裂かれて吹き飛んだ。

「!」
「次は靴!」

動揺する建築士をよそに、伝承者は今一度両手を振るった。すると今度は、建築士のブーツが先程と同じように切り裂かれる。

「このっ!」

もちろん、建築士もやられっぱなしではいられない。ストラーダで、音速の突きを繰り出す。
だが伝承者はそれを宙に飛んで回避し、建築士の背後に着地した。

「背中!」

伝承者の叫びと共に、建築士の背中からバリアジャケットがはぎ取られる。

「ええい!」

振り向きつつ、建築士がストラーダを横に薙ぐ。だがそれも、伝承者は難なく避ける。
そして建築士がストラーダを振りきったところで、伝承者の右手が建築士の腹部に伸びる。
とっさに飛び退く建築士だが、わずかに遅い。腹の部分のバリアジャケットが切り裂かれ、彼女のへそが外気に晒される。

「後は胸の部分と、スカートだけ……。すぐにその豊満なボディーを、あらわにしてあげる……。うふふ……」
「この……変態がーっ!」

嫌悪感をむき出しにしながら、全速力で建築士が突っ込む。そのスピードを前にして、さすがの継承者からも余裕の色が消える。
伝承者は込められるだけの力を両足に込め、横に跳ぶ。その直後、ストラーダの刃が数瞬前に彼女が立っていた場所を通過していった。

「ふう、危なかった……。けど、これでもうあの人に私に対抗できる手段はない。
 後はじっくりと残りの服を剥いで……あは、あはははは」
「おっと、妄想にふけるのはそこまでだぜ」

トリップしかけた伝承者に、突然背後から声がかけられる。同時に、彼女のポケットに何かが触れた。
とっさに振り向く伝承者。そこには、「六芒星の呪縛から逃れた」空気王が立っていた。


◇ ◇ ◇


空気王は激怒していた。

(この俺が空気扱いだと……。ふざけるなよ、貴様ら!)

彼は、目立たない、目立てないキャラにこそ愛を注いできた。たとえ地味であろうと、派手なチートキャラに負けないくらい輝けるのだと信じて。
だから彼は、空気王を名乗った。空気キャラを愛する者として。
その自分自身が、空気扱いされ他の書き手から軽視される。それは彼にとって、屈辱でしかなかった。

(空気を馬鹿にすると痛い目見るってことを、思い知らせてやるよ!)

痛いほどに奥歯を噛みしめながら、空気王はその身に宿したスタンド「クレイジーダイヤモンド」を密かに発現させる。
スタンドの発現自体は、問題なくできた。だが、六芒星の呪縛の効果はスタンドにまで及んでいるらしい。
手足はかろうじて動かすことができるが、その場から一歩たりとも動くことができない。
その手足を動かすというわずかな自由でさえも、普段よりはるかに大きな疲労を伴う有様だ。
はっきり言って、これでは何もできないのとたいして変わらない。だがその状況下でも、空気王は一つの策を考えついていた。

(実行できるかどうかは運任せ……。だが、狙ってみる価値はある)

息を潜め、空気王はその時を待つ。そして偶然にも、その策を実行する格好のチャンスが転がり込んできた。
建築士の突撃を回避した伝承者が、空気王の近くに着地したのである。

(もらった!)

千載一遇の好機を逃すまいと、空気王はクレイジーダイヤモンドの右手を伸ばす。
その手は、伝承者のポケットにしまわれた「六芒星の呪縛」のカードを叩いた。


◇ ◇ ◇


「なんであなたが、自由に動けるの? 私は六芒星の呪縛を解除した覚えはないのに……」

空気王が六芒星の呪縛から逃れていることに気づいた伝承者は、おのれの疑問をストレートに空気王へぶつけた。
それに対し、空気王は不敵な笑みを浮かべながら答える。

「俺のスタンドはクレイジーダイヤモンド。能力は一部の例外を除き、あらゆるものを『なおす』ことだ。
 いま、あんたの持っている六芒星の呪縛のカードを『直した』。使用前の状態にな」
「直したって……。ちょっと待ってよ、それはスタンド能力の拡大解釈じゃないの?」
「甘いな。『やったもの勝ち』こそが書き手ロワの基本ルール。ゆで理論だろうが板垣理論だろうが、理由付けさえしてやればほとんどのことは許されるんだよ」

説明を行いながら、空気王はクレイジーダイヤモンドの腕を上げさせる。

「まあそんなわけで、とりあえずてめえは死ね! ドラララララララララララララララララララララ!!」

雄叫びと共に、拳のラッシュが伝承者に叩き込まれる。その勢いは、伝承者の力を持ってしても捌ききれない。
いや、捌くという行動すら取ることができない。
伝承者はなすすべもなく叩きのめされ、あっという間に壁まで吹き飛ばされた。

「なんのこれしき!」

だがさすがは拳法家というべきか、伝承者はすぐさま立ち上がって体勢を整える。

「なのはさんのムチムチボディーを拝んでいないのに、こんなところで倒れられるもんか!」
「ムチムチボディー? 誰のこと?」
「そりゃあもちろん……」

声のした方向に視線を向けた伝承者は、思わず目を見開く。彼女がそんな反応を見せるのも、無理はない。
そこにいたのは彼女が先程まで戦っていたナイスバディーのなのはさんではなく、ロリボディーのなのは(9歳)だったのだから。

「な、なななななななんで……」
「そっちがおしゃべりしてる間に、私の支給品を使わせてもらったの。これをね」

そう言いながら、建築士は銃に似た道具を継承者に見せる。その道具の名は夢成長促進銃(ジンセイガニドアレバガン)。
発射された光線に当たったものを若返らせる、ケロロ軍曹出典のアイテムだ。

「あなたが胸ばっかり見てるから、幼児化すれば興味を失うかと思ったんだけど……。効果てきめんみたいだね」
「あ、ああ……」

建築士の言葉を聞いているのかいないのか、伝承者はわなわなと体を震わせている。

「ちくしょー! そんなのありかー!! 私の夢がぁぁぁぁぁ!!」

そして次の瞬間、彼女は泣きながらいずこかへと走り去っていった。

「さて、と……」

しばらく伝承者が走り去った方向を見つめていた建築士だったが、ふいに視線を空気王へと移す。

「あの人はいなくなっちゃったし、こっちの戦いを再開しようか。もっとも、結果は見えてるけどね」

建築士が余裕を見せているのは、理由がある。彼女の視線の先にいる空気王は、肩で息をしている。
六芒星の呪縛の影響下でスタンドを使ったことで、彼は体力を大きく消耗していた。さらに先程のドララララッシュで、残り少なかった体力をさらに使ってしまったのだ。
今正面からぶつかり合えば、先に空気王のスタミナが切れるだろう。そうなれば、彼の敗北は確実。
だが空気王の顔に、諦めの色は浮かんでいなかった。

「くく、確かに今の俺じゃあ、あんたには勝てそうにないな。だが、負けもしない」
「へえ、何か奥の手でもあるわけ?」
「ああ、あんたが俺とあいつが会話している間にその支給品を使ったように、俺もあんたとあいつが話している間に準備を整えさせてもらった」

かすかに笑みを浮かべながら、空気王は床に手を伸ばす。

「じゃあな」

次の瞬間、空気王の姿はその場から消えた。

「しまった! ワープ系のアイテムでも使ったの?」

目の前で獲物に姿を消され、建築士は顔をしかめる。慌てて周囲を見渡すが、空気王の姿は見あたらない。

「そうとう遠くまでワープされちゃったみたいね。見つけるのは困難か……。
 仕方ない、今は逃げたあいつの方を追いましょう。しくじってばかりで、ヘタレの烙印を押されるのもいやだしね。
 序盤のうちに、少しでも成果を出さないと……」

目に冷たい光を宿し、建築士は駆け足で仙台駅を後にした。


◇ ◇ ◇


建築士は勘違いをしていた。空気王はワープなどしておらず、まだその場にいたのだ。
だが、彼女にそれに気付けというのは酷な話だろう。
明かりもろくにない駅の構内で、「透明マントをかぶった亀」を見つけろというのは。

(なんとか切り抜けられたみたいだな……)

スタンド「ココ・ジャンボ」が生み出した異空間の中で、空気王は安堵の溜め息を漏らしていた。
しかし、その顔にはすぐに悔しさという感情が浮かぶ。
彼は無差別マーダーなのだ。二人の参加者と戦闘を行いながらどちらも殺せなかったというのは、無念と言うほかない。

(くそっ、次こそは……うっ!)

リベンジを誓う空気王だが、突如その心臓がはねる。

(おいおい、もう交代かよ……! せめて、一人殺してから……)

空気王の意識が、白く塗りつぶされていく。それと同時進行で、彼の体は劇的な変化を始めていた。
短く切り揃えられていた藤色の髪は、長く伸び桃色に染まる。
つり上がった目が、垂れ下がる。
そして平坦だった胸は大きくふくれあがり、学生服を内側から押し上げる。
わずか数秒で、「柊かがみに似た青年」は「高良みゆきに似た少女」に変貌を遂げていた。

「あれ? えーと、私は……」


【一日目・黎明 宮城県・仙台駅周辺】

【悪魔のフラグ建築士@kskロワ
【状態】ダメージ(小)、幼児化、バリアジャケットボロボロ
【装備】ストラーダ@kskロワ
【道具】支給品一式、夢成長促進銃@kskロワ、不明支給品0~1
【思考】基本:鬱フラグを立てまくる
1:南斗脱衣拳伝承者を殺す
2:空気王も見つけたら殺す
※外見はフェイトのバリアジャケットを着た高町なのはです
※幼児化は放送まで解除されません
※まふうじの杖の効果は、戦闘終了により解除されました


【南斗脱衣拳伝承者@らき☆ロワ】
【状態】ダメージ(中)
【装備】DMカード、六芒星の呪縛@ニコロワ
【道具】支給品一式、まふうじの杖@書き手ロワ2nd、不明支給品0~1
【思考】基本:お姉さん、人妻キャラの服を切り裂く。対象外はひっこんでろ。
1:あんまりだぁぁぁぁぁぁ!!
※外見は白髪のフェイトです
※南斗聖拳の一派、南斗脱衣拳を修得しています


【一日目・黎明 宮城県・仙台駅構内】

杉田空気王@書き手ロワ2nd】
【状態】ダメージ(小)、疲労(大)、対主催モード、亀の中
【装備】クレイジーダイヤモンドのDISC@書き手ロワ2nd
【道具】支給品一式、透明マント@アニロワ1st、ココ・ジャンボ@ジョジョロワ1st
【思考】基本:対主催
1:まずは現状を把握しませんと……
※女性の姿の時は対主催寄りの思考、男性の姿の時はマーダー寄りの思考になります。
 切り替わる条件はぶっちゃけ適当です。


※支給品解説
【ココ・ジャンボ@ジョジョロワ1st】
ジョジョの奇妙な冒険第5部に登場した、亀のスタンド使い。
甲羅のへこみに鍵をはめ込むことで、その人間は甲羅の中の異空間に入り込むことができる。
異空間には家具一式が備えられており、5~6人の人間が快適に生活できるスペースがある。
ただし、トイレはない。

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エロスは世紀末 南斗脱衣拳伝承者 みちのく二人旅
エロスは世紀末 杉田空気王 みちのく二人旅

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最終更新:2009年05月27日 09:56
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