破天荒で超展開にうっかりしたケモノとロリの阿鼻叫喚の狂った世界(後編)

◇ ◇ ◇
『優しい世界でありますように
               by車椅子の少女、もしくは全世界の人々』


「少しやりすぎちゃったかな?」
「いーや、あんな変態野郎にはこれぐらいがお似合いだ」

崩壊し、瓦礫の山と化したビルだったもの。
そこにたたずむ男女が一組。

「しかし、いくら書き手ロワとは言えスク水脱がせなんて羨まし……じゃなくて、けしからんことをする輩がいるとはな」

そう言ったのは……一言で言い表すと、猫。
その姿は愛らしく、どこにでもいる愛玩生物のそれである。
しかし、二足歩行で立ち人語を解する猫など早々居るはずもない。
彼はらき☆ロワの書き手、尻・叩・きでフィニッシュ!
投下数はかの有名な爆弾氏に並ぶ、らき☆ロワを支える主要書き手。
ついでに、らき☆ロワの特色である尻叩きを初めてSS内で実行したお方でもある。

「もしも、あんな人ばかりだったらどうしよう……」

そして、書き手3を変態の巣窟かも知れないと懸念する――あながち間違いでは無いかも知れない――幼女。
彼女の名はドジっ子ぶっかけ管理人
kskロワの書き手であると同時に管理人も努める、kskロワの裏の立役者である。
密かに自重しないお方であり、ことあるイベントごとにしたらばのトップページを変更したり、かの有名なkyonを生み出したり。
彼女の存在なしにkskロワを語ることは出来ないだろう。

彼ら、ロリ☆もふコンビがマーボーとロリィタ達を見つけたのは全くの偶然だった。
放送を聞き埼玉に向かう途中、尻叩きの鋭い耳がマーボーの大声を捉えたのだ。
彼かがビルの隙間から現場を覗くと……

そこには何と、全裸の少女を抱き(性的な意味ではない)もう一人の少女にスク水を脱ぐように脅迫する男の姿が!!!

「早く助けなきゃ!」と、慌てて駆け寄ろうとしたぶっかけだったが
「落ち着け、奴は全裸の少女を人質にしているらしい、今は隙を窺うんだ……!」と、尻叩きに諭される。
こうして、彼らは飛び出したい情動を抑え、ずっとビルの間から彼らを覗き見てタイミングを計っていたのであった。

「じゃあな、スク水」

彼らが歯がゆい思いで現場を覗き見してからしばらく。
遂に、絶好のチャンスが訪れた。
マ-ボーが人質の娘から銃口を離す。今が最高のタイミング!

「今だ!4e氏!」

「ロリ力全開!!ぶっかけ~~~バスタァーーーッ!!!」

そこから先はあらかじめ話し合っていたとおり、流れるように事が進んでいった。

管理人は「ぶっかけバスター」によって、マーダーの目を潰す。

その隙を突き、尻叩きが核鉄「ピーキーガリバー」の巨大な拳によってマーダーを空中へと吹っ飛ばす。

仕上げに、管理人の持つ最高火力、「メガスマッシャー」により、マーダーを完璧に葬り去る。

もっとも、メガ・スマッシャーが避けられるとは思っていなかったし、ビルが崩壊したのも偶然だったのだが

マーダーは倒せる、近くにいたロリィタ達に被害は及ばない、尻叩きの「マーダーの尻を叩く」という目的も果たせる、正に一石三鳥の作戦だった。

作戦は見事成功、その後、彼らは残ったロリィタや王子に合流したのだが……

そこからが本当の地獄だった

「大丈夫か!?」
「あなたは多分……うっかリリカルロリィタだよね?
そのカナブンは破天荒王子?」
「その姿、そしてヨーグルト……もしかして、自ロワのドジっ子ぶっかけ管理人さんですか!?」
「おお、またもや、こんなに早く自ロワの人間と再会できるとはな!」

再会を喜ぶkskロワの書き手達。
それを見て、尻叩きでフィニッシュ!も嬉しそうに頬をゆがめる。

「えっと……助けてくださったのは嬉しいのですが……ちょっと席を外していただけませんか?」

しかし、この辺りから話がおかしな方向へと進んでいく。

「へっ?なんで?」
「さっきの奴は倒したとは言え、どこにマーダーが潜んでいるか分からん。
できるだけ、大勢で居た方が安全だと思うが?」
「そっ、そうだよな!皆でいよう、皆で!そっ、それが一番良い!」

ロリィタは突然、管理人と尻叩きに少しの間席を外すように笑いながらお願いし始めた。
しかし、その目は笑っていない。むしろ、とてつもなく冷ややかだ。
もっとも、その視線は主に一人に対してだけだったが。
そして、その視線の先、王子は何故か冷や汗(カナブンなのに)をかきながら口をごもらせている。

「どうしてそんなに嫌がるのかな?
王子、そんなに私と二人きりになりたくないの?
もしかして、なにかやましいことでもあるのかな?」
「そんなことは断じてないぞ。
だが、しかしだな、やはり安全の為に全員でいるのが一番だと……」
「えーと、じゃあ私たちは念のためにビルの近くまで行ってくるよ。
もしもあのマーダーが生きてたら危ないし」
「うむ、ではそうするか。よく分からんが、きっと何か重要なことなのだろう」

ロリィタのただならない気配を察したのだろうか。
管理人と尻叩きは素直にその場を離れ、少し遠くのビルの残骸まで旅立ってしまった。
無論、二人はマーダーが生きているなど微塵も考えていないが。

「えっ?ちょっ、ちょっと待って!?」
「あはは、別に酷いことなんてするつもりはないよ~
ただ、王子がさっき呟いてた羞恥プレイ云々について、ちょ~とだけ、話し合いたいだけだよ☆」
「なんで怖い笑顔なんて器用な表情を作れるんだお前は!?
いや、別にあれはやましい心とかがあったわけではなくて……」
「へえ~、じゃあ王子はやましくも何ともない気持ちで純粋にあんな言葉を発したんだあ。
天然の変態さんだね~……ちょっと、頭冷やそうか」
「ちょっ、それは別のキャラじゃ……アッー!!!!!!」

その後、王子がどうなったのかは諸君のご想像にお任せする。

「それなりに時間は潰したし、そろそろ戻るか」
「そうですね、出来るだけ早めに埼玉まで行きたいですし」

あれからそれなりに時間は経っている。
そろそろ王子とロリィタの話し合いも終わっている頃だろう。

「それにしても、小さな女の子が二人にカナブン、そして俺はネコか……先が思いやられるな」
「大丈夫、皆で力を合わせれば、どんな壁だって乗り越えられます!」

そうだといいんだけどな、とは口には出さない。
ただ、自分が少しでも彼女たちの役に立ち、ついでにマーダーの尻を叩ければいいと願うのみだ。
そう考え、尻叩きは少し先を歩いていく管理人を追っていく。
新たな仲間と共に、希望に満ちあふれた未来へと向かって。


◇ ◇ ◇
『撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ
                      byとある革命家、もしくは魔王』




「――――勝利すべき」

「――――!?武装錬き……!」

「へっ?きゃ、きゃああああああああああああああ!!!?」

「黄金の剣(カリバーン)! 」

その瞬間、ビルの瓦礫から声が、少し遅れて黄金の輝きが放たれる。
その光は二人のいた場所を跡形もなく吹き飛ばす。
なんの慈悲もなく、救いもなく。
全てを飲み込み、破壊し、蹂躙し尽くす。


そして、その光が止んだ時、その場所に存在するモノは一人だけ。
その存在はボロボロのタキシードを身に纏い、手には黄金の剣を握っている。


「…………っくっくっくっくっく…………」


ソレはわらう、笑う、嗤う、ワラウ。


「くっくっくっくっくっく……ヒャッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!」


止めどなく、滞りなく、恥ずかしげもなく、おおっぴらげに。

「ヒャッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!
殺っちまった、殺っちまったなあ。
この俺を馬鹿にしまくってくれやがったからには、それ相応に苦しんで貰おうと思ったが。
いけねえ、いけねえなあ、この程度でくたばっちまうとはなあ!」

殺人鬼、いまだ潰えず。

◇ ◇ ◇
『ああ、これが走馬燈ってやつか
                byとある死に行く男、もしくは死に行く女』


俺がその声に気付いたのは偶然だった、そして手遅れだった。

俺の獣の第六感が告げたね、もう間に合わないって。

もしも俺が仮面ライダーやテッカマンだったら何とかなったかも知れない。

しかし、現実はそう上手くはいかないもんさ、俺はしがない小動物でしかない。

まあ、ネコの聴覚を持ち合わせてたおかげで奴の存在に気付けただけ、まだマシだったかもな。

繰り返し言うが、気付いたからって出来ることはそう多くはなかった。

俺が何をしたかって?選択肢はいくつかあったさ、だが現実に出来ることはたった一つしかない、当たり前のことだが。

俺は必死に声のした方向から離れたか?NOだ。

俺は武装錬金「ピーキーガリバー」を自身の盾にしたか?これもNOだ。

俺は「ピーキーガリバー」を起動した、ただしそれは俺の盾にするためじゃねえ。

俺はあの腐れマーダー野郎にそうしたように、少し前に歩いていた彼女、ドジっ子ぶっかけ管理人の尻を叩いた。

別に、死ぬ前に幼女の尻を叩きたい、とかそんなやましい理由はねえ。

ただ、彼女を助ける――何から助けるのかは分からなかったが。
獣の第六感がヤバいって告げてるんだから俺はそれに従っただけだ――ためにとっさに彼女を吹っ飛ばしたのさ。

もしかしたら、獣の第六感が外れるかも知れない、何も起こらないのかも知れない。

そんなことを考える余裕はなかった、俺だって必死だったんだ。

もし、これで何も起こらなかったら……ははは、俺は皆からの笑い者だろうな。

でも、何かは確かに起こったんだろう、何故なら、俺の目の前に黄金の光が迫ってるんだから。

これが、漫画とかで良くある、死ぬ前に全てが遅く見えるって現象なのかね、まさか自分が体験するとは思っても居なかったが。

さあ、終わりの時間は近い、思い残すことは……正直、沢山あるがしかたねえ、これがバトルロワイヤルというものだ。

ドジっ子ぶっかけ管理人、この俺が助けたんだから最後まで生き延びろよ。

ああ、他のマーダーの尻も叩いて、更正させまくりたかったなあ。

執筆に明け暮れていたあの日を思い出す。

キャラの死に一喜一憂していたあの日が、好きなキャラが活躍して喜んでいたあの日が脳裏に浮かぶ。

これが俗に言う走馬燈ってやつか、はは、悪くないかもな。

今更ながら実感したよ、俺、やっぱり死ぬんだな。

まあいい、それじゃ最後に一つ言わせて貰おうか。

「他のらき☆ロワ書き手、あとは……頼んだぞ……!」

これが最後の言葉ってのも格好いいな……そう思った瞬間、俺の時間は静止した。


【尻・叩・きでフィニッシュ!@らき☆ロワ 死亡確認】


◇ ◇ ◇
『俺の屍を超えていけ
           byとある呪われた一族、もしくはゲームタイトル』


身体が、痛い。
私が意識を取り戻して、最初に思ったのがそうだった。
体中がズキズキする、特に背中辺りが酷い。
私の頭が意識を失う前に理解したのは、自身が宙を舞っていること、そして……尻叩きさんの最期の言葉。
私は分かっていた、分からざるを得なかった。
あれは彼の最後の、そして最期の言葉だ。
もしかしたら、こうしている内に尻叩きさんがひょっこり現れるかもしれない。
この痛み自体が夢なのかも知れない。

「よお、まさか一人生き残ってるとはなあ。
まあ、その方が俺としちゃあ嬉しいんだがなあ!」

だけど、じょじょに近づいてくるその声がその幻想をぶち壊す。
ああ、やっぱりこれは夢じゃないんだなあ、なんか悔しい。
辛いけど、これが現実。受け止めなくちゃ。

「おら、立てよ、そんな元気もねえのか?
まだまだ、楽には殺さねえ、せいぜい苦しんで死ねや!」

首もと辺りを捕まれた。
そのまま、ぐっと持ち上げられる。
私の外見はヴィヴィオ、相手は男の大人だ、体格差はあまりにもはっきりしている。
何故か男は傷一つ無い、五体満足だ。
それに比べて、私は全身が痛くてまだ全然動けそうにない。
勝ち目なんか……無い。

「なんで俺が生きてるか知りてえだろ?知りたいよな!?
冥土の土産に教えてやるよ!ここじゃ、行くのは冥土じゃなくて死者スレかもしれねえけどな!」
『まさか、「ksk支援」をあんな風に使うなんてね。
正直、想像もしなかったよ、マスター』
「はん、読み手の考えの斜め上を行くってのはアニ2書き手の得意分野だろうが」

男の声の他に、聞き覚えのある声がする。
誰の声だったっけ、どうしても思い出せない。
そして、思い出そうと必死になっている私のお腹に男の拳がめり込んだ。

「がっ!?」
「まあ、苦しみながら聞いてくれや。
俺はてめえらのロワの名物、「ksk支援」を最大限利用した訳よ!」
『「ksk支援」の効果は「使用者の速さを飛躍的に高めることが出来る 」
まさかその効果を「不死者の再生速度」に割り振るとはねえ』
「おい、代表者、あんまりでしゃばるとぶっ殺すぞ。
まあ、今こいつが行ったとおり、俺は「不死者の再生速度」を超高速にして、即死を免れたって訳だ。
痛かったぜえ、瞬時に何回も死ぬ痛みを受けて、それでも死ねないってのはよ」

お腹を殴り続けられて、私の意識が薄れていく。
男が何か喋り続けているが、聞こえなくなるのも時間の問題だろう。
この意識がとぎれたとき、私は死ぬのだろう。

その時、薄れゆく私の目が――を捉えた。

「私は……私たちは……貴方なんかに……負け……ない……」
「まだそんな大口叩く余裕があんのか!?
はっ、どこまでも憎たらしい野郎だな、まずはその口を二度と聞けねえように……」

もう男の声は聞こえない、聞く気もない。
私の目はある一点だけを捉え続ける、男には気付かれないように時たま視線を揺らしながら。
あと10メートル、7メートル、5メートル……

「ええっと、どこまで話したっけか?
ああん?もう意識ねえか、つまんねえ」
『マスター、後ろだ!』
「貴方の……ま……け……」

肉がジュッと焼ける音がする。
加えて広がる血のにおい。
そこまで感じて、私の視界は赤く染まった。


◇ ◇ ◇
『お前を……殺す
         byとあるテロリスト、もしくは無垢な少年』

私が王子を気の済むまでなじり、ある程度は機嫌を直した瞬間ソレは起こった。
瓦礫と化していたビルの方で、黄金の光が輝き……辺りに衝撃が走る。

「王子っ!ちょっとそこで待ってて!」
「ああ……精々気をつけてな……」

王子の半分魂が抜けたような声を聞き流し、私は地球人専用専守防衛型強化服を起動。
痛む身体に鞭打ちながらビルの跡地に向かう。そう、もはやあそこはビルの“跡地”だ。
管理人は、そして一緒にいたもふもふは無事なのか、焦ってはいけないと分かっていても焦燥は募る。
慌てて曲がり角を曲がったその時

「おら、立てよ、そんな元気もねえのか?
まだまだ、楽には殺さねえ、せいぜい苦しんで死ねや!」

聞き覚えのある男の声が聞こえ、慌てて近くの瓦礫へと身を隠す。
あれは……管理人と……後ろ姿だが分かる、あの男、私を辱めてくれた男だ。
どうしてあれだけのダメージを受けて死なないんだろう?
そんな疑問が頭をよぎるが、今は些細なことでしかない。
それよりも私の頭の大部分を占めたのは……殺意だ。

「まあ、苦しみながら聞いてくれや。
俺はてめえらのロワ……」

男が何か喋っているが、私の耳には届かない。
私を、そして今、最愛のロリであるヴィヴィオの姿を持ったドジっ子ぶっかけ管理人を痛めつけているあの男が……許せない。
私がお嫁に行けないようになる事を平然と強要したあの男が……憎い。
そして、目の前のボロボロになっている管理人と何故か助けに入らない、姿さえ見えないあのもふもふは……
いや、下らない夢は捨て去ろう、あの男が獲物を逃がす二流である筈もない。
つまり、もふもふはもうこの世にいないんだろう……あの男、殺す。

許せない許せない許せない許せない!
憎い憎い憎い憎い!
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!

殺す、あの男は殺さなければ、今すぐ、瞬殺したい。
だが、あの男の強さは異常だ。あれだけの攻撃を受けて、未だ五体満足。
どんなことをしたのかは分からないが、用心するに越したことはない。

私は地球人専用専守防衛型強化服の飛行力を活かし、音も立てずに近くの物に身を隠しつつ男に接近する。
あの男は私の接近にも気付かず、のうのうと話を続けている。
時折別の声が聞こえるが、気にしない。姿が見えない以上、気にしても仕方ないだろう。
どんな能力を持っていようと、心臓を貫けば死ぬ。
死ななければ脳を、それでも死ななければ全身を切り刻んで二度と再生できないようにしてやる。
あの男を殺して、それでハッピーエンドだ。バッドエンドなんか認めない。
そこになんの戸惑いも、躊躇もない。容赦なんか、一欠片もあってたまるか。


男との距離が10メートルを切った。
じょじょに私のスピードが増していく、最後の5メートルは全力だ。

『マスター、後ろだ!』

姿無き相方が私の姿を捉えたようだが、もう遅い。
ビームサーベル起動、問題ない……終わりだ、死ね。

私は男の左胸めがけて突っ込み……柔らかな肉を貫く感触がした。


◇ ◇ ◇
『――ゲームオーバーだ。ギガゾンビ。
                   byとある元商社マン、もしくは「バトルロワイヤル」の生還者』

「素晴らしい、素晴らしいじゃねえか……」

男の声が発せられる、いや、それはもれると言った方が適切かも知れない。

「仲間がいたぶられてるってのにその場の感情に流されねえ。
俺の死角から近づき躊躇無く心臓を一突き、か」

くっ、と男の口から息が吐き出される。
辺りに漂う血の臭い、人肉の焼ける臭いがする。

「女は衝動的に人を殺すって聞いたことがあるが、認識を改める必要があるかもな。
てめえは立派な冷酷マーダーの素質がある、この俺が保証してやるよ」

男の口は止まらない、止められない。
氾濫した川のように、燃えさかる炎のように。

「そして特筆すべきはその殺気だ……
相手が憎い、殺してやる、そういった負の感情がぎっしり詰まっている悪意の固まり。
よっぽど裸体を見られたのが嫌だったのか?それとも幼女を痛めつけたことに関してか?」

そこで男は呼吸を一息。
どんよりと曇った私の目をはっきり見据え、告げた。

「だが、残念だったな、『HAPPY END』じゃねえ。
てめえは……『GAME OVER』だ」

血の臭いがする、肉の焼ける音がする。
でも、男は左胸はおろか、どこも傷ついてはいない。
じゃあ、これらの臭いは?音は?そして、私の貫いている「コレ」は?

「その殺気が仇になったな。
俺は殺人鬼、殺気だけにはめちゃくちゃ敏感でねえ。
てめえの存在にはずいぶん前から気付いてたんだよ。
だが、あっさりばらして殺すのもつまんねえ。
そして俺の目の前にはお手頃の“壁”があった……後は分かるな?」

つまり私が貫いているコレは、いや、彼女は……

「ああ……あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

男が自身の身体の前に突き出している……「ドジっ子ぶっかけ管理人」だった。

「どうよ、自分の手で大切な仲間を殺したときの気分は?
悲しい?虚しい?寂しい?
怒る?誰に向かってだ?俺か?自分か?それとも仲間か?
……どっちにしろ、てめえは仲間を殺した。
その事実だけは何があっても消えねえ。消せねえ。
おいおい、放心してんじゃねえぞ?ちゃんと聞けよ!」

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
違う違う違う違う違う違う違う違う違う。

だけど、私の気持ちを踏みにじるかのように、彼女は未だ私のビームサーベルに居続けている。
半分閉じられている目が私を恨みがかった色で見ているように錯覚してしまう。
思わず彼女を捨て去る。彼女は、ぽーんと何の感慨もなく地面に落ちて、そのまま動かなくなる。
私は思わず彼女から離れようとするが、力が入らない。
ずりずり這って進むのがやっとだ、もう体力の限界がきているらしい。

「こうなったのも全部てめえのせいなんだよ!!!
自覚はあるか?無いんだったら教えてやるけどな!」

その間も、この憎たらしい男の口はくるくると回り続ける。
私が悪い?わたしのせい?

ありえない、ありえてなるものか。
そうだ、こいつだ。こいつが悪い、全部、目の前のこいつのせいだ。

「……お前が……お前さえ居なければッ!!!」

そんな私の心に呼応したように、勝手に言葉が自分の口から飛び出す。

「ヒャッハッハッハ、おうおう、怖いねえ。
だが、よく考えろ。これはロワだ、マーダーが人を殺すのは当然の理にすぎねえ。
だが、てめえはどうだ?俺がお前に気付いてるなんてこれーぽっちも考えずに行動してよお。」

しかし男は、なんら顔色も変えずにぬけぬけと喋り続ける。
その口を閉じろ、二度と開くな。そう言いたいのに今度は全く口が開かない。
頑張れ、私の口。このうるさい男を黙らせろ。
でも、開かない。まるで蛇ににらまれたカエルみたいに指先一本動かすことが出来ない。

「そもそも、そんな死に体で何ができる?
自分の力だけで解決しようとせずに、王子とやらに頼った方が良かったんじゃねえか!?
自分の力量も理解できねえでまんまと敵の罠にはまる、傑作だな!!」

聞きたくない、でも耳を防ぐことも出来ない。
何故か、男の声が脳裏から消えない、消せない。
その言葉は毒の塗られたナイフのよう。
じわじわと、じわじわと私の心に傷をつける。

「挙げ句の果てに仲間をうっかり殺しやがった。
人に責任を押しつけちゃあいけねえなあ。自分の責任は自分で背負え。
そもそも、てめえが以前からしっかりしとけばこんなことにはならなかったんじゃねえか?」

こいつの言っていることが理解できない、いや、したくない。
理解したら負けだ、私の深いところがそう囁いている。
悪いのは全部こいつだ、こいつが私を、私たちを…………


いや、本当にそうか?

もしも私がうっかりレンちゃんを川に落とさなければ、KYMに襲われずにすんだかもしれない。
もしも私がレンちゃんと遊んでいなければ、レンちゃんは気絶せずにすんだかもしれない。
もしも私に力があったなら、KYMを倒し、命からがら逃げ回ることもなかったのかもしれない。
もしも私がしっかりしていれば、この男の奇襲を防げたのかもしれない。
もしも私が、もしも私が、もしも私が、もしも私が……

私の頭の中を、存在したかも知れない様々なIFが駆け回る。
そうなのか?私が幾つも選択肢を間違えたから『GAME OVER』にたどり着いたのだろうか?

そんなことない!!!

そう叫びたい、心の底からそう思いたい、男の言葉を全否定したい。

「てめえのせいで皆が死ぬ、まあ俺が殺すんだけどな。
あの幼女が、ネコが、そして今からカナブンや全裸娘が死ぬ、何故だ?
断言してやるよ……全部てめえのせいだ」

でも……否定出来ない。
私は不運にも理解してしまった、納得してしまった、男の言っていることを。
私が悪いのか?私のせいで、管理人が、そして名前さえ聞いてなかったもふもふが……死んだ?
私のせいでレンちゃんが、王子が、今から死ぬ?

私はもう動けない、さっきの全力でとうに力は使い果たしている。
私が死んだら次は王子だろう。
仲間思いな彼のことだ、私が戻るまでずっとあそこに留まっているに違いない。
最後にレンちゃんだ。
気絶から目覚めたとしても、こんな悪魔みたいな奴から逃れられる訳がない。

私の心にどうしようもない絶望が走る。
私の……私のせいで、みんな死ぬ。
私が……私が……私なんか……

「私なんて……存在しなければ良かった……」

「このままほっぽり出してく、ってのも面白そうだが、いいや。
安心しろ、俺が何の憂いもなく殺してやるからよお!」

黄金の剣を持った男が私のすぐそこにまで迫る。
どうでもいい、もう全てがどうでもいい。
殺すなら勝手に殺してくれ、出来るだけ痛くないように。
死者スレなんかには行けない、私がどの面を下げてあそこにいけるだろうか。

ああ、終わりだ。

「話は全て、聞かせて貰ったわ」

「なっ!?てめえ……!」
「我が乞うは、疾風の翼。若き槍(そう)騎士に、駆け抜ける力を」
『Boost Up Acceleration』
「サンキュ、じゃあ、行ってくるわね」

突然聞こえてくる第三者達の声、別にどうでもいい。
男がいつのまにか消えている、喜ぶべきなのだろうが、何も感じない。

「大丈夫?」

女の子の声がする。今はその声が酷く遠いところから聞こえているように感じられる。
続いて、少し空いていた近くのマンホールが完全に外れ、そこから私の好きなロリが現れる。
いつもなら笑顔を振りまいて接するところなのだが、そんなことをする気力が全くわかない。

おかしいな、どうしたんだろ私。
もっと……喜ばなきゃいけないのに……
私の中で渦巻く負の感情。
私のせいだ、私が全部悪いんだ、私は……わたしは……


「なんで私、生きてるんだろ……」

私は意識を手放した。


◇ ◇ ◇
『主役は遅れて登場するものさ
               byとあるヒーロー、もしくはただのKYな馬鹿』


「……とりあえず、男の話からまだ仲間がいると断定。
捜索に移る。ケリュケイオン、エリアサーチを」
『了解しました、マスター』

うっかリリカルロリィタを背負いながら、私は回想する。

私、うっかりゲリラ突撃犯は予想の出来ない展開の元と共に、下水道を進んでいた。
展開の元曰く、
「あえて下水道を行きましょう、だってその方が面白いじゃない!
普通とは違う行いをすることが超展開への第一歩なのよ」
らしいが……いまいち理解できなかった。
そして、私たちはケリュケイオンの指示に従い下水道を進み、遂に探していた標的を見つけ出した。
そして、接触しようとしたのだが……マンホールの上から聞こえてきた会話の内容に、私たちは止まらざるを得なかった。

その内容を一言で言い表すならば……邪悪。

何があったのか知らないが、男の台詞には善意など一欠片も入っていない。
ただ、相手を傷つけ、それを楽しんでいる。

「これは……」
「人違いだったみたいね、かといってここで見捨てていくわけにも行かないし……
……しょうがない、私が行くわ。サポートお願いね」
「!?一体何を……」
「私のこの支給品で腐れ外道とワープする。
貴方は残った参加者を保護してちょうだい」
「そんな簡単に……勝率は?私も一緒に戦った方が……」
「会話を聞く限り、そうとうヤバイやつっぽいじゃない?
多分、人質辺りは平気でとるわ。
貴方の支給品はそのケリュケリオンだけ、狙われたらひとたまりもないわよ。
私だけじゃ貴方を守りきれるとは限らないしね」

要は、私を足手まといだと言っているのだ。
その判断は間違ってはいない。
メカスエゾーもない自分では戦力としては心許ない。
しかし、彼女だけを死地に向かわせるわけには……

だが、いつ男が話している参加者を殺してもおかしくない。
事態が切迫している今、他に良い代案も思いつかない。
私がその意見に反対できなかったのも仕方のないことだった。

「…………分かった。了解した。
だけど、こちらも補助魔法を貴方にかける、ぐらいのことはさせて欲しい」
「助かるわ。正直、私も少し不安だしね」

ケリュケイオンが、エリアサーチで男がこの下水道のマンホールの近くを通るタイミングを図る。
そして……時は来た。

「幸運を祈る」
「ええ、それじゃ、行ってくるわ」

彼女は、マンホールを少し開き、通りかかった男の足首をつかむ。
そして、彼女の支給品「キメラの翼」をかかげ、消えた。
もちろん、彼女が消える前に補助魔法をかける事も忘れない。
今は……彼女の強さを信じるしかない。

「大丈夫?」
そういってマンホールからはい出る私。
久しぶりの地上で、目がスクール水着を着たキョンの妹を捉える。
彼女は同じkskロワの……うっかリリカルロリィタだっただろうか。

「なんで私、生きてるんだろ?」

そう呟き、彼女はペタリと崩れ落ちる。

以上、回想終了。

倒れた彼女の脈を測るが、どうやら命に別状は無いようだ。

「ケリュケイオン、近くの参加者は見つかった?」
『はい、距離はそこまで離れていません』

どうやら彼女の仲間はすぐ近くにいたらしい。
助かる、私の身体ではずっと彼女を背負っていくことも出来そうにない。
今は彼女の仲間と合流することが第一目的とする。

それにしても、ロリィタが発した最後の言葉、ずいぶん厭世的な発言だったけど何があったのだろうか。
彼女の意識が戻ってからあとで聞いてみよう。
そう胸に刻み、私は一歩、踏み出した。


【1日目・黎明 長野県・ビル跡地】

【うっかりゲリラ突撃犯@kskロワ】
【状態】健康、呪印
【装備】ケリュケイオン@kskロワ
【持ち物】工具一式、首輪(うっかりゲリラ)、基本支給品
【思考】
0.ロリィタの仲間と合流する
1.解呪の情報を集めるため、青森の恐山を目指す
2.脱出フラグになりえるものをケリュケイオンに教える
3.ケモノ達に会いたいなぁ…
4.出来れば、ロリィタになにがあったのか聞きたい

【備考】
※首輪に爆発物は入っていないようです
※首輪を解除した時に呪印が付けられました。これが爆弾の変わりだと思ってます。
※首輪を解析しました。少なくとも盗聴器が入っていることを確認しました。
※近くに放置されているドジっ子ぶっかけ管理人の死体に気付いていません。

【うっかリリカルロリィタ @kskロワ】
【状態】全身にダメージ大、疲労大、精神に深い傷、気絶中
【装備】地球人専用専守防衛型強化服 @kskロワ
【持物】無し
【思考】
1、??????????

【備考】
※外見はスク水を着たキョンの妹です
※起きたときにどのような反応を示すかは次の書き手さんにお任せ

【1日目・黎明 長野県・ビル跡地の近く】
【破天荒王子@kskロワ】
【状態】健康、ロリィタに少し恐怖心
【装備】無し
【持物】基本支給品、不明支給品0~2
【思考】
0、ロリィタさん、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
1、助けられる人間を助けながらロワ脱出を目指す。べ、べつに他の奴らのためじゃ(ry
2、とりあえずロリィタ達を安全な所まで運ぶ。べ、べつにこいつらの(ry
3、KYMは……どうすっかなあ
【備考】
※外見はロリ二人なら背に乗れそうなくらい大きなカナブンです
※kskロワのカナブンのように治癒能力を持っているかは不明
※彼の支給品、石ころ帽子@アニロワは王子が無理矢理かぶっていたのと
体当たりの衝撃との合わせ技で破れました



静かなる輝星(サイレント・スター)@LSロワ】
【状態】健康、気絶中
【装備】無し、全裸
【道具】無し
【思考】
1、???
【備考】
※外見はイエローです
※「人間以外の存在を癒す程度の力」をもっています、どんな能力なのかは不明
※目を覚ました後のうっかリリカルロリィタへの対応は次の書き手にお任せします


【ドジっ子ぶっかけ管理人@kskロワ 死亡】

◇ ◇ ◇
『ここはどこ?貴方は誰?
             byとある記憶喪失者、もしくは異世界からの訪問者』

「ふう、上手くいって何よりだわ」

「……とりあえず、俺の質問に答えろ。
一、ここはどこだ?
二、てめえは誰だ?
三、てめえは……自殺志願者か?」

どこか分からない、それでいて足場はある場所に彼らは佇んでいた。
一人は優雅に、一人はあふれる殺意を隠そうともせずに。

「一つめ、は実は私も分からないの。
会場のどこかだとは思うんだけど。
そして二つめ、私はニコロワの書き手、予想の出来ない展開。
以後、お見知りおきをね?
そして三つ目、私は自殺志願者でもなんでもない。
ただ、超展開を起こしたい普通の女の子よ」

「成る程、理解した。
じゃあ、死ね」

男が黄金の剣、カリバーンを女に向かって振り抜く。
女はそれをバックステップでかわしながら、支給品であるオメガブレードを手に、男と対峙する。

「はん、小娘風情が……
痛めつけて痛めつけて痛みつけて殺してやるよ!!!」
(ちっ、カリバーンの真名解放が痛いな。
魔力はほぼガス欠か、「ksk支援」もどれだけ保つか……)

「私があんた如きにやられると思ってんの?
返り討ちにしてあげるから覚悟なさい」
(ケリュケイオンの速度アップの加護がいつまで続くか分からない。
あ~ん、もう、効果時間も聞いておくんだったわ!)

「てめえなんぞに構ってる暇はねえ、とっとと苦痛を感じながら死ね」
(それなら……)

「あんまり吠えると弱く見えるわよ?負け犬の遠吠えってね」
(ここは……)

( (短期決戦!!!) )


奇しくも同じことを考えているとは露知らず。
超展開を愛する女と魔球を放つ男の闘いが始まった。


【一日目・黎明/???】
【予想の出来ない展開の元@ニコロワ】
【状態】春閣下モード、健康、ケリュケイオンの加護
【装備】オメガブレード@ニコロワ
【道具】支給品一式、不明支給品1
【思考】
0.目の前の男を倒す
1.とにかく超展開を引き起こし、書き手ロワを楽しみ楽しませる
2.他のニコロワ書き手はいるのかしら?
※容姿はチャイナドレスを着た春閣下(天海春香)
※ケリュケイオンの速度アップの加護がいつまで続くかは不明
※支給品、キメラの翼@RPGロワは使い捨てだったので消滅しました


【阿鼻叫喚・鮮血麻婆《スクリーム・ブラッディマーボー》@アニ2】
【状態】ダメージ小(自己修復中)、疲労中、魔力枯渇気味、不死者
【装備】クロスミラージュ@書き手3、カリバーン@アニ2
【持物】 支給品一式、不明支給品0~1
【思考】
0.温い書き手どもを痛みを与えまくってから殺す
1.目の前の女を殺す
2.トップ書き手は最大限の痛みを与えて殺さなきゃなあ
※外見は返り血のついたタキシードを来たラッド・ルッソ
※ ラッドの力の他に言峰綺礼の力をいくらか持っているようです
※「ksk支援」は魔力を少し消費するため、あと数回しか使えません


※二人がどこに飛ばされたかは次の書き手さんにお任せ


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最終更新:2009年05月10日 11:17
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