カスガ、運命の扉!!

はじめの一歩。
それを踏み出すのは、なかなか勇気がいると言われる。
だがしかし、彼に言わせれば、まっさらな状態で好きにやることは気軽で楽しいことだった。
お約束やルールがほとんどない世界で、自分達が定めたゴールを目指しマイペースに面白おかしく騒ぎながら向かう。
多分それが、最も気軽で最も楽しい遊びなのだ。
細々と、それを嫌う人間に見つからずのんびりやるのが、自分の性にあっている。
大々的に行うのは、もっと若い、新しい世代に任せたい。
変わってしまった時代を楽しみ抜くのは、きっと過去を知らない真っ白な若者の役目だから。

「……こんなところか」
支給された刀を鞘へと戻し、少年は木材の山へと視線を向ける。
少年の名はカスガ。
どれみロワイアルを完結まで導いた書き手の一人である。
マーダーであるダークアゴーなどを書いた、絵も描けるチート書き手だ。
そんな彼が斬っているのは、人間ではなくただの木材。
彼は、意外なことに殺し合いには乗っていないのであった。
「東北地方、か。あまり知らなかったが、木材は豊富なんだな」
これを書いている人間もよく岩手県をよく知らないし、実際はどうなのか分からないが、
グーグル先生で『岩手県 木』と打ち込むと『岩手県 木材』が予測として出てくる程度には木材があるらしい。
とにかく、カスガは木材を斬っていた。
自分の望むサイズに。自分の望む分厚さに。
今は丁度その作業が終わり次の作業に移ろうかというところだった。

「隠れてないで出てきたらどうだい?」
そして、同時に招かれざる客が現れたところでもあった。
「ちっ……過疎ロワの得意技である気配抹消をこうも容易く破るとはな……」
「生憎、ニッチでエッヂで大っぴらに出来ない趣味を自覚してる身からしたら、同族の臭いを察知するくらい簡単なことなんでね」
カスガの視線の先にいるのは、卵の殻を被った男。
その姿がジョジョの奇妙な冒険に出てくるレオーネ・アバッキオであることは、ジョジョ好きでもあるカスガにはすぐに分かった。
そしてそれは、来客が同郷の人物ではないということを示唆している。

「……あんたはどこのロワの書き手だ?」
レオーネ・アバッキオは問う。彼の方は、目の前の男のビジュアルに心当たりが全くない。
目の前の人物は、先程リプレイした惨劇にも絡んでなかった。
正真正銘の初対面。乗っているかすら分からない。
故に、安易な出会い方にはなるが、素直に自己紹介を求めることにした。
「他人に物を聞く前に、自分から名乗るのが礼儀だと思うけどね」
その物言いにカチンとこないこともない。が、アバッキオは素直に名乗ることにする。
長い間書き手をやってきたアバッキオにとって、この程度の無礼さは慣れっこだった。
こんなことで一々腹を立てていたのでは、書き手なんか勤まらない。アバッキオはそう思っている。
「俺はレオーネ・アバッキオ。外見も名前も、だ。所属は……ジョジョロワ2nd、になるのか」
アバッキオにとって、魂の故郷はどちらかと言うと初代ジョジョロワの方である。
投下本数では2ndと大差はない。それでもやはり『完結まで付き合った』という事実が、初代ジョジョロワに特に愛着を持たせていた。

そんなアバッキオの微妙なニュアンスにも眉一つ動かさず、カスガは予め練習でもしていたかのようなスムーズさで返事をする。
「そうか。僕はカスガ。どれみの書き手だ。僕から君に言うことは他に特にあるわけじゃない。
 僕に用がないのなら、どこへなりとも好きに行けばいい。僕は止めないよ」
そこまでを一気に言うと、カスガは再び木材へと向き直る。
その事に苛立ちを覚えない事もなかったが、自分に落ち着くよう言い聞かせながらアバッキオは口を開く。
「残念ながら用ならあるぜ。それも3つだ」
アバッキオは己の右手を突き出してみせる。
その手には、3本の指が立てられていた。
「ひとつ。お前はこの殺し合いで何をするつもりだ? この質問に答えてもらうぜ」
薬指を折りたたみ、カスガの後頭部を睨みつける。
カスガはゆっくりとこちらに向き直るも、口を開く気配はない。
3つ全てを聞いてから答える気なのだろうと考え、アバッキオは言葉を続けることにした。

「ふたつ。お前が今まで出会った参加者について聞かせてもらう」
アバッキオのスタンド『ムーディ・ブルース』は、ステルスキラーであるというメリットと同時に、戦闘力が皆無というデメリットを持っている。
故に、アバッキオはデイパックへと手を伸ばす。戦闘になっても、スタンドでは戦えない。
彼の支給品に、持ち歩けるようなコンパクトな武器は一つもなかった。
なので、隙は大きくなってしまうが、デイパックまで手を伸ばさざるを得ないのだ。
デイパックに手を伸ばすことで『敵体の意志あり』とみなされ攻撃される可能性もあるが、アバッキオには『そうなっても困らない』という自信がある。
まず己の体格に自信があるし、相手はロワの関係か見た目は小学生だ。
それに自分は支給された防弾チョッキを身につけている。
言わずもがな、防弾チョッキはロワにおいては超万能の鎧である。
それを身につけて負ける方が難しい(ただし織田様は除く)
そんなわけで、相手の動きを注視しながら人差し指と中指とでジッパーを挟む。
そして一気に開けると中身を全て引っ繰り返した。
重い音と共に、竜殺しが地面へと突き刺さる。
上手く扱えるとまでは言わないが、ガタイの良いジョジョキャラの肉体をもってすれば、振り回すくらい可能だろう。
そして、こちらに強力な手札があるとのアピールを終えてから、ゆっくりと中指を折る。

「そして最後。みっつめだ」
カスガは全く動じない。まるで傍観者のように、ただアバッキオを見つめている。
何を考えてるのか分からない、イケ好かない野郎だ。
心の中でアバッキオはそう毒吐いた。
「人員は必要だ。お前が“善人”であると判断できたら、俺に協力してもらう」
そうは言ったが、アバッキオはカスガが善人であるとは欠片も思っていなかった。
その根拠の一つが、『傍を通りがかった喪失の物語達を無視したこと』だ。
主催に抗う者ならば、集団を形成している喪失の物語達をやりすごす必要がない。
怖くて声をかけられませんでした、と言うには今の態度は堂々としすぎている。
「だが――」
かと言って、殺し合いに乗っていると思っているかと聞かれたら、答えはこれまたNOである。
殺し合いに乗っているとしたら、こちらもやはり喪失の物語達をやりすごす必要が全くない。
喪失の物語達は人数差から襲われた時のことを考えでやりすごしたのだと自分を納得させてみるが、
それだと自分の存在に気付いた時にわざわざ声をかける必要はないのだ。
では、考え得るカスガのスタンスとは何か。
簡単だ。書き手ロワ特有の“書き手としてのポリシーを反映した何らかのスタンスを持つ参加者”――おそらくカスガもそのクチだ。
例えばフラグを立てるとか、思いっきり目立ちまくるとか、そういうスタンス。
故に、アバッキオはカスガのスタンスを尋ねた。
そのスタンスが、自分達に害を成すものかを知るために。
「お前のスタンスが脱出の邪魔になると判断した場合、お前は始末させてもらう。今、ここでッ!」

しばしの沈黙。
そしてその沈黙を破るのは、相変わらず動じる気配のないカスガだった。
「……君、さっきの言い回しからして、ジョジョ2以外でも書いてたんだよね?
 初代ジョジョロワ……って言い方が正規のものか知らないけど、まあそれはとにかく、初代ジョジョロワで書いていた人間かい?」
カスガの口から出てきたのは、3つの質問とは何ら関係のない物だ。
突っ撥ねてもいいのだが、無駄に揉めて時間をかけると喪失の物語達との距離がより一層開いてしまう。
質問してきたということは何かしらの意図があってのことだろうし、ここは素直に答えておくのが得策だろう。
そう考え、アバッキオは言葉を返す。
「ああ、そうだ……ジョジョロワが完結して、そのままジョジョロワ2ndに流れさせてもらった」

初代ジョジョロワの途中から参加し、完結まで貢献したアバッキオ。
2ndが始まると知った時、彼は喜んで参戦した。
今度こそ最初から書けるし、まだ書いていないキャラもたくさんいる。
そして何より、あの何とも言えない楽しさをまた味わえるのだから。
だから、アバッキオはジョジョロワ2ndに関わっている。

「僕はね、アバッキオ。それが不思議でならないんだ」
「あ…………?」
どれみロワは楽しかった。本当に、心の底から楽しかったんだ。
 つらいこともたくさんあったが……でも、楽しかった。みんながいたから、あの企画は楽しかった」
カスガは想う。ともにどれみロワで執筆してきた仲間のことを。
彼らと共に何かをすることは、もう二度とないだろう。
でも、きっとだからこそ、あのかけがえのない日々があんなにも愛おしく思えるのだ。
一回だけの競演だったからこそ、全てが新鮮で全てが楽しく思えた――カスガには、そう思えてならない。
「だから、僕には不思議なんだ。何で、君達は続編を望むんだい?
 好きな作品でのバトルロワイアルを、偶然居合わせた同好の士と完結させることができた――
 どこに不満を持つ余地があるんだい? 何故、君は続編を書こうだなんて思ったんだい?」
言わんとせんことは分かる。
確かに、“ジョジョロワ”はあそこで幕を下ろした。
どんなに頑張った所で、“ジョジョロワ”はあそこしかない。あの面白さは、“ジョジョロワ”にしか出せないのだから。
でも、だからこそ、“ジョジョロワ2nd”にしか出せないものも、きっとあると信じている。
「違うモンだからだ……決まってるだろ?
 確かにジョジョだ。確かにロワだ。確かに“2nd”を冠している。
 だが、流れている血は全然違う。そこに在る“魂”は、いずれも唯一無二の存在だ。
 俺はその“魂”の一部になりたくて、今も書き手を続けている。
 前回の面子とは異なった連中と、また別の企画をやりたい……そう思うことは、間違ってるとは言えないだろう?」

再び訪れる僅かな沈黙。
これを破るのも、やはりまたカスガだった。
「……僕は、駄目だね。どれみロワで、完全燃焼してしまった。
 確かに他のロワも好きだし、貶めるつもりもない。
 けれど、個人的なことを言えば、いずれのロワもどれみロワに勝る魅力は持っていないと感じるんだ。
 ――でも、僕はそれでいいと思っている。
 みんながその企画を他のどの企画よりも愛し、そんな連中がぶつかり合いながらも完結に導く――それが、楽しいと思っていたんだ」
カスガはゆっくりと歩き出す。
アバッキオに近付くわけでもなく、何もない空間に向かってだ。
逃げるにしてはとてもゆっくりとした速度で、のんびりと歩いていく。
「だから僕は昨今のテンプレやらノウハウやらで凝り固まったロワは好きじゃないんだ。
 僕が一番好きだった、仲間達と一緒に過ごせたあの楽しさは、今のルールじゃイマイチ味わえない気がするから。
 ……だけど、僕は老害にだけはなりたくなくてね。
 何かしら疑問を持っても、特にどうこう言う事はしなかったんだ。続編云々についても、ね。
 時代の移り変わりにしろ昔から僕の方が少数派だったにしろ、僕は自分が間違ってるとは思わないし、同時に君達が間違ってるとも思わない。
 時代に取り残されたなら、楽しかった頃を想いながら静かに見守る側になるさ。
 君達は君達で、君達の信じる方法で進めばいい」
言っている事も、理解できないわけじゃなかった。
それどころか、アバッキオにはカスガの主張に納得することもできる。
だが、納得できることと受け入れられることとは別である。
カスガの主張はよく分かるが、アバッキオ自身はそれを良しとして行動する気にはなれなかった。

「不満があるから黙って去る、か――確かにそれが正解だろうな。
 だけど、俺はそんなのは御免だね。
 不貞腐れて逃げ出しちまうくらいなら、足掻いて足掻いて世界を変える努力をするさ。
 そうすれば、『何かを変えようとする意思』を何らかの形で世界に残すことができる」
別に、カスガを論破する気などなかった。論破できるとも思っていなかった。
ただ、自分の主張も伝えておきたい。何となく、そう思っただけのことだ。
「老兵はただ消えゆくのみ――そう考える僕と君では、きっと一生平行線だね。
 成功者が意見を言うと、それを妄信する者が出てくるものなんだよ。
 それはつまり、僕が大好きだった自由という名のキャンバスを、僕が他人から取り上げてしまうことを意味している。
 僕は啓蒙なんてしたくない。若者を縛ることはしたくない。
 ……自由でいてほしいんだ。何事にも縛られず、呆れるくらい広大なキャンバスを仲間と塗りつぶす楽しみを知ってほしいんだ。
 それが仮に他所を真似たキャンバスだとしても、そのキャンバスを選ぶ楽しみは住人達のものなんだから」

呟きながら歩いていたカスガが足を止める。
そして、見上げた。見上げる先には反吐が出るほど青い空。
……温泉といい青空といい、そんなものを殺し合いの場に用意するなんて、どれだけ主催者はこちらを小馬鹿にしているのか。
そう思うと、主催者のねじくれた邪悪っぷりに吐き気をもよおしてしまう。
「だから、アバッキオ。僕はこの殺し合いに関わる気だって全くないんだ。
 僕には理解も納得もできないけれど、この殺し合いも人によっては何か重要な意味を持っているのかもしれない。
 誰かにとっては、理解も納得もできる催し物なのかもしれない。
 要するに、口出しするだけの老害になりたくないんだ。
 ……だから、別に咎めようとは思わない。主催も君もマーダーもだ。むしろ、好きにやってくれとさえ思っている」
「何ィ?」
顔を歪めるアバッキオ。
殺人肯定とも取れる台詞は、やはり気分のいいものではなかった。
「けど、巻き込まれた以上、完全な部外者になることはできない。だから、僕は読み手になろうと思う。
 極力参加者に影響を与えないようにしていたい……だから、さっきここを通りかかった人達もやりすごした。
 時代の移り変わりを感じて時折自分達の過去を懐かしみながら、“見守る側”に回りたいんだ、僕は」

そして、アバッキオがその言葉に何か言おうと一歩を踏み出した時、それは唐突に現れた。
音もなく現れたそれは、全長にして5メートルを優に超える、巨大な鉄の塊であった。
いや、もしこれがロボ作品に詳しい者なら「小さい」と形容していたであろうが、アバッキオはそちら方面は若干疎い。
フルメタル・パニックは比較的パロロワ常連な作品であるが、眼前のロボットがアームスレイブと呼ばれているなど知りもしない。
「確か君のスタンドは人の足取りを追えたはず。僕がやりすごした人間を追っていた途中なんじゃないのか?
 そして道中僕を見かけて、どうするか判断に迷ってた所で僕に気配を探られてしまった……この予想は合ってるかい?」
振り返って問いかけるも、アバッキオは間抜けにも口をぽかんと開けアームスレイブを見上げている。
返事は期待できないと考えたのか、すぐにカスガは続く言葉を紡ぎ出した。
「なら、僕が介入して接触の機会を奪ってしまったことになる。
 部外者の僕が原因となって見失われるのはよろしくない。勿論、君にとってもだが僕にとってもね。
 だから、こいつを君にあげるよ。これに乗っていれば、スタンド使用中無防備になろうが安心していられるだろう?
 機動力もあるし、使いこなせれば放送までに追い付くことも可能だろうね」
アームスレイブの正式名称は『Zy-98 シャドウ』――もっとも、塗装のせいで本来のそれとは若干違って見えるのだが。
シャドウのボディは真っ赤に塗りたくられており、某3倍速い仮面の人を連想させる。
だがしかし、フルメタル・パニック出典のシャドウがシャア専用であろうはずもなく。
このアームスレイブの持ち主の名はザイード。相良宗介の戦友であった男のものである。
ザイード専用なため微妙な違いは随所に見られ、例えば強力なガトリングキャノンなども他のシャドウには付いていない。
「だから、君は主催に歯向かう側の人間みたいだし、僕のことは見逃してもらえないかな。
 こちらには戦うつもりがないし、君も殺人が趣味じゃないなら悪くない話だと思うけど?」
――ああ、一つ、上記の説明に嘘があった。
『ボディは真っ赤に塗りたくられており』の部分だ。
確かにザイードのシャドウは真っ赤なのだが、今眼前に現れたシャドウは赤一色というわけではない。
肌色を始めとする、多くの色でカラフルな仕上がりとなっている。
あまりねっとりと詳細を描写したくないので端的に言ってしまうと、それは朝の女児向けアニメのキャラクターだった。
下着が見えるか見えないかくらいスカートを翻しながらポーズをとる幼女キャラクターが、ボディにでかでかと描かれていたのだ。

「痛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」

呆然としていたアバッキオの口からようやく飛びだしていた言葉は、クールな彼のイメージを壊しかねないものだった。
とはいえ、誰も彼を責めることはできないだろう。
痛アームスレイブが突然眼前に現れたら誰だって驚く。俺も驚く。
「ああ、驚いただろう? 実はずっとこの場に居たんだ。
 どうやら視認できなくさせる高等な技術が使われているらしい」
「いやそこじゃねえだろ! いやまあ確かにそれについても驚いたがッ」
先程までの緊迫した空気はどこへやら。
距離を詰めるべきかすら慎重に考えていたはずなのに、今アバッキオは無警戒にもカスガに近付きその胸倉を掴んでいる。
「あ・れ・は・何なのかって聞いてんだ! あの、俗に言う萌えイラストがだッ」
「何だい、君は朝の女児向けアニメは見ないクチか……偏見を持たずに見てもらいたいものだな。
 あれは意外とクオリティが高いし、大人が見ても萌え云々抜きに十分楽しめるクオリティを持っている。
 ちなみにその絵は描いたのは僕だ。僕は絵師もできるからね」
「嫌がらせか!? 自分が乗らないものに絵を描くとかどういう教育受けてやがるッ」
なお、機体に絵を描くのに2/3ほど消費したペンキが、カスガの3つ目の支給品である。
シャドウとペンチは絵を描くことだけに使い、肢閃刀では木材しか切らない。
そのことからもカスガが殺し合いに関与する気がことは分かるのだが、もっとこう、人としてどーよという感情は抱かざるを得なかった。

「まあまあ。受け取っておいて損はないと思うけどね。
 もっとも、これはあくまで先人からの単なる好意だ、押しつける気は更々ない。
 君がいらないって言うのなら、すんなり引き下がるつもりでいる」
やっぱりコイツ性格悪い。心の中でアバッキオはそう毒吐く。
この状況で拒否することなどできやしないと分かったうえで言ってやがる。
追いつくためにもここで貰っておくのは必須だ。
――それにしてもこのカスガというこの男、味方につけておかないと面倒になる日がくるかもしれない。
この手の頭を使って会話するタイプの奴は、時に猛威を振るうのだ。
「クソッ……貰うぜ、畜生。勘違いするなよ、偉大なる先人の恩恵を受けることと、テンプレの恩恵を押しつけることは同義じゃないんだからな。
 そもそも、アンタの意見に同意はしなかったが、真逆ってわけじゃあないんだぞッ。
 世の中白と黒だけじゃないんだ。だから別にお前の行為を受ける行為がお前の軍門に下ることを意味したりはしない。
 このロワにしてもスレでにしても、俺はあくまで陰ながら仲間をサポートするだけだ。
 別に偉ぶろうだとかいうつもりじゃあないからなッ! リーダーをやろうとも思っていないぞ!
 鳥を変えてないのも面倒だったからだ。その辺を勘違いするんじゃねえッ!
 俺も凝り固まること自体には反対なんだからなッ」
不機嫌そうに頭を掻きながらシャドウへと歩み寄り、そしてスタンドを発現させた。
自身のアドバイスを『成功者からの押し付け』と取られる事を常日頃から心配しているためか、必要以上の言い訳を口にしながら。
押し付けられた好意に尻尾を振ったわけではないと一通りアピールした後、一呼吸置いてムーディ・ブルースに指示を出す。
「コイツを昔操縦してた奴を――ザイードを再生しろ、『ムーディ・ブルース』ッ!!」
再生したパイロットに、アームスレイブを起動させる――原作のアバッキオが飛行機でやった行為の応用である。
もっとも、道中ムーディ・ブルースには喪失の物語になってもらう必要があるので、簡単な操作方法を見せてもらってからは自分で運転するのだが。
それでも実際に運転している所を見ているのと見ていないのとでは大きな差があるのだ。

「……チッ、やはり駄目、か」
ムーディ・ブルースに動きはない。これ以上待っても変化しないことは明白だった。
とはいえ、これは想定の範囲内だ。
ジョジョロワ2ndでもアンダーワールドが記憶の掘り起こしに失敗しているし、何となくそうなる予感はしていたから。

ムーディ・ブルースが使えない理由として、考えられる可能性は以下の二つ。
可能性が高いのは、『ムーディ・ブルースで指定する場所が“コクピット”というのはNG』というものだ。
コクピットは同じものでも、この会場はかつてザイードが来たことのない場所なので呼び出すことは不可能。
そう考えるのが自然と言えば自然である。
もっとも、これが正解なら「じゃあ何を基準に“場所”としてるんだよ。地面か?」という新たな疑問が現れてしまうのだが。
そしてもう一つの可能性は、この支給品が『ザイードの使用していたシャドウではなく、それを模しただけの主催者手作りの道具である』というもの。
ジョジョロワの道具は全て“オリジナル”であったためピンとこないというのが本音ではあるのだが、その可能性も0ではない。
そもそも、わざわざ隙を突いて道具だけを盗むくらいなら、偽物を作った方が早いだろう。
主催者は会場でさえ作り上げることが可能なのだし、少なくともこの“シャドウ”というアームスレイブは『量産不可能な唯一無二の存在』ではないのだから。
結局、どちらが正しいのか断言することは不可能だという結論に落ち着く。
もしかしたら真相は全く別かもしれないし、『頭脳派キャラと合流したら簡単に話しておく』程度に抑えておけばいいだろう。

「君は頭脳が間抜けか? やる気に満ち溢れているのはいいが、付属の取扱説明書を受け渡す前に乗り込むのはどうかと思うけど」
「うるせえッ! その顎へし折るぞ!」
余計なことを、気の利かない言い回しで言うカスガ。
悪い奴ではないであろうことが分かると同時に、真人間でもないことが順調に判明してくる。
一々カンに障る言い方をするアゴ――それが今現在のアバッキオが抱くカスガの印象であった。
不器用なだけとも言えるのだが、悪気がないとしたらそれはそれでタチが悪い。

「クソ……分かってたが、実験のためにやっただけだ……」
ぶつぶつと文句を垂れながら、のそのそとコクピットを降りるアバッキオ。
口端を僅かに歪めるカスガの顔を見ないように、地面へと視線を向けながら説明書を取りに向かう。
「少しはこっちに歩み寄ろうって誠意を見せるべきだと思うがね」
「生憎僕は傍観者なんでね。それに勝手に乗り込んだのはそっちの過失だ、僕がそのツケを払う理由なんか無い」
怒りを抑え込みながら、アバッキオは想う。
本当にイケ好かない。原作のアバッキオにとって、ジョルノとはこういう存在だったのだろうか?
だとすると、ションベンくらい飲ませようとしても責められない。
自分もまさに、「お茶でも入れて飲ませたろか」と思ってしまっているのだから。

「まあ、だが一応礼は言っておくぜ……」
とは言え、イケ好かない相手であろうが敵であろうが、認める所はしっかり認めるのがジョジョである。
そのジョジョを愛し、ジョジョキャラのビジュアルであるアバッキオが、相手のおかげだと素直に認めるのは当然のことと言えるかもしれない。
とにかく、それこそ上辺だけでもいいから、礼を言って義理を果たしておきたかった。
「この、えーっと……」
たった一回見ただけでは、機体の名前など覚えられない。
“ボール”のように分かりやすい名前や“ガンダム”のようにインパクトのある名前なら別なのだろうが……
はっきり言って、目の前の機体は比較的地味だ。
そんな機体の名前なんか、一発で覚えられるはずあるまい。
アバッキオは視線を取扱説明書へとスライドさせ、そこに記された機体の名前を口にした。
「ゼットワイのキュウハチ、を譲ってくれたことには感謝している。それじゃあな」
今度こそ行動に移ろうと回れ右をしようとしたところで、突然肩を掴まれた。
どうやら、まーた出発を邪魔されるらしい。

「……待て。お前、今何て言った? 『ゼットワイのキュウハチ』ィ?
 これは『ズィーワイ・ナインティーエイト』じゃないのか?」
「はあぁァ~~~~~~~!?」
それは、非常に些細な疑問。些細すぎて殺し合いの場では放置で何ら問題ない疑問なのだ。
だがしかし、殺し合いへの意欲0の少年には、その疑問は語りつくすに値するものに思えた。
上手く説明できないが、『男には、意味が分からなくても何となく語り合わねばならない気持ちになるときがある』というやつだ。
「どうだっていいだろうがそんなこと……ていうか、何でゼットだけそんなにネイティブな読み方なんだよ……」
「持主の名前が“ザイード”なんでね。外人の乗るロボットなんだから、向こうの発音に合わせるのは当然だろう?」
「ああ、そうかよ……」
正直、アバッキオとしてはそんなことはどうでもいい。
それこそ「“Zy-98”の読み方が分からなきゃ“シャドウ”とだけ呼んでおけばいいじゃねーか」などと思ってしまうくらいに。

「ま、そこはそんなに重要じゃないんだよ。重要なのは、むしろ後半の9と8の所だ。
 僕が口にしたナインティーエイトは九十八を示している。
 が、君はキュウハチと――つまりナイン・アンド・エイトと言ったわけだ。
 実に興味深い。僕にはその発想がなかっt「どうでもいいっつってんだろヌケサクがァーーーッ」
その叫びを聞き、カスガはやれやれと言わんばかりに溜め息を吐く。
やはりそういった仕草は一々アバッキオを苛つかせた。
「そこまで意固地になるというなら仕方ない。正式名称で呼ぶのは諦めようじゃないか。
 だが問題はあだ名を一体どうするかだな。僕は持ち主でもあり個性でもある『ザイード』の部分にこそ改造の余地ありと考えているんだけど。
 ボディに可愛い女の子を描いたんだし、少女っぽく『ザイード玲美』とかどうだろうか」
「意味が分からんし、どっちかっていうとお笑い芸人のネーミングセンスだぞそれ」
「じゃあ、もうちょっとシンプルに『ザイー子』なんてどうだい?」
「もうお前喋るな」
肩に置かれた手を振り払い、再びシャドウへと歩み寄る。
その途中で手にした取扱説明書を開き、目次の欄にサッと目を通しておいた。
取扱説明書はなかなかに分厚かったが、起動と簡単な移動操作について程度なら10ページ足らずに収まる分量らしい。
戦闘になったら困るが、このまま引き離されてはもっと困るので、10ページ弱を軽く読み切ってさっさと後を追う事にしよう。
「じゃあ、地名にちなんで秋田のナージャとかどうかな?」
「秋田じゃなくて岩手だぞここ……」
「……地理は苦手なんだ。というか、岩手ってどんな県だ?
 リンゴの有名なところだったか? なら、アップルフィールドとかでもいいな」
今度こそ完全に無視を決め込みアバッキオはコクピットへと入って行った。

それから数十分。二人の間に会話はない。
アバッキオはコクピットで説明を読み、カスガは黙々と木材を並べている。
意外なことに、今回沈黙を破ったのはアバッキオの方だった。
彼は、もうすでに取扱説明書の必要な部分を読み切ってしまっていた。
「おい」
カスガがこちらに顔を向けるのを確認してから、支給品の眼鏡をカスガに放り投げる。
受け取りやすいよう緩やかな軌道で投げたのだが、カスガはそれを目で追うだけでキャッチすらしなかった。
カスガから数メートルほど離れた位置に、無残にも眼鏡が落下する。

「取れよコノヤロウ……」
「取ってほしいならきちんと事前にその旨を伝えるべきだと思うけどね」
相変わらずの厭味ったらしい口調で言うも、カスガは眼鏡に歩み寄る。
一瞬拾い上げるのを躊躇したものの、生への執着心が強いというわけでもないので、素手でそれを掴み上げる。
「何だい、これ?」
「犯人追跡眼鏡――俗に言うバーローの秘密道具ってやつだ。
 そいつを使えば、俺の現在地と喋ってる内容を聞く事ができる」
「君の現在地と会話内容、ねえ」
眉を顰め、それから汚いものを持つようにして眼鏡を突き出した。
「返すよ。正直興味無い」
「いちいち癇に障る野郎だ……いいから持ってろ!
 過度に新世代に影響を与えることを恐れ、完全に関わりを絶つようにした老兵野郎に見せてやるからよォ~~。
 新世代は、アンタが思ってるよりも確固たる意志を持ってるってことをなァァーーーーッ」

カスガは言った。自分達の意見を妄信する者が生まれ、その結果企画が汚れるのを見たくないと。
アバッキオだって意見の押し売りは大嫌いだ。成功例を模倣するだけの方針なんて大嫌いだ。
いや、きっと好きな奴なんていないだろう。
だから、アバッキオは黙って従ったことなんてない。
自分のロワのテンプレは、仲間と共に自分達で決めてきた。
キャンパスをどう使うかを決められるのは、そのロワにいる人間だけだ。
「確かにアンタはすげー偉業を成したぜ。誰だってアンタを尊敬している。
 だがな、だからってアンタに全く逆らえないイエスマンしかいないってわけじゃないんだよ。

 新世代をナメるなよ、カスガ。

 心配しなくても、俺達先人の意見を押しつけたりなんて出来ねーんだよ。
 最近の連中は生意気だからな。何言ったってアドバイス程度にしか聞かねえさ。
 ジョジョロワ2ndで書いちゃいるが、先輩ってだけの理由で意見が通ったことなんざねえよ」
クク、と笑いながらアバッキオは自ロワの書き手を思い返す。
1stから書いている自分をぶっちぎり、断トツの投下量を誇るバックストリート・ボーイズ
多少遅れをとるものの、己の倍近く投下している広瀬康一
今のジョジョロワ2ndを引っ張っているのは、自分でなく彼ら二人だ。
他の書き手だって、自分に負けない存在感を持っている。
良質なOPでOP投票を勝ち抜き、最初から存在感抜群であった者。
その筆の速さを生かし、序盤に未登場キャラをドンドン登場させてくれた者。
投下数は少ないくせに書き手紹介をしてもらっていた、ジョルノ・ジョバーナなんかもいる。
……コイツ生意気だな、今度お茶でも飲ませるか。

「ま、バッテリーが切れたら終わりだし、どれだけ持つのか知らないがな。
 それでも多分放送までは持つだろう……よーく聞いておけよ。
 俺は仲間を集めて脱出する。俺が導く、なんて傲慢なことを言ってるんじゃねえ。
 同じ志を持つ者と意見をぶつけ合いながら、ゴールを目指して突っ走るって言ってるんだ。
 ……ロワのブランドだとか、書き手の知名度だとかに囚われず、一人の書き手として意見を交換する様をしっかり聞いておくんだな。
 ロワで溢れ返った今でも、何かを目指して語り合う光景はアンタが前線にいた頃と多分変わってないからよォ。
 それで、またロワに関わりたくなったなら、一緒に来い。脱出してから、ジョジョロワに招待するぜ……
 うちには絵板もあるし、書き手は随時募集中だからなァーーーーーーーーッ」
にやりと笑んだアバッキオの演説が終わり、再び静寂が訪れる。
間抜け面でしばし呆けていたカスガは、アバッキオに背を向けた。
その表情は、アバッキオからは窺い知れない。

「やれやれ……どれみロワ書き手は目立たないってのが基本なんだけどな。
 散々叩かれてなかったことにされたからねえ」
言いながら、カスガは木材をその手にとる。
そして、再び振り返った。その顔に不敵な笑顔を貼りつけて。
「けど、コテだって変えなかったし、どれみロワを仄めかすネタもやめられないのが現状だ。
 本当にどれみロワを愛していたからね。陰ながら、今でも応援しているよ。
 だが、きっとこのロワに僕以外のどれみロワの人間はいない」
木材を掲げる。
バッターの予告ホームランのようにして、その先端をアバッキオへと向けた。
「だから、特別にこのロワでは君を陰ながら応援するよ。
 ……答えてなかった質問1だけどね、僕は自力で旅の扉を作っていたんだ。
 人の密集する旅の扉に行く気はないし、けど見守るには旅の扉をくぐる必要があったからね。
 特別に、君とその仲間達にも扉をくぐりぬけさせてあげるよ」
「旅の扉を自作っておま……そんなことできるのか?」
「テンプレも定石もない0からの状態でロワを作り上げた僕にしてみれば、完成図が分かっているものを作るくらい造作もないんだよ」

無茶苦茶な奴だ、と心の中で呟く。
口に出してツッコミを入れてもよかったが、主催のフリーダムさに定評のあるジョジョロワ書き手がそれをやったら負けなような気がした。
「……テメー、本当に出来るんだろうなあ?
 仲間連れて旅の扉をくぐりにきたら『やっぱり出来ませんでした』じゃ笑い話にもならねーぞ」
「それはこっちのセリフだよ、カリメロ。
 仲間を連れて来れずたった一人でやってきてみろ、絶対通してやらないからな」
「ほざけ」
にやりと笑顔を浮かべ合う。
それを最後に、2人は背を向け合った。
カスガは木材を組み立てはじめ、旅の扉の製作を再開する。
アバッキオはシャドウをついに発進させ、喪失の物語の追跡作業を再開する。






カスガとアバッキオ。
かつて自ロワを完結という名のゴールへと導いた二人。
彼らは、書き手ロワ3rdでも生還という名のゴールへと辿り着く事が出来るのだろうか――






【一日目・黎明/岩手県】
【レオーネ・アバッキオ@JOJOロワ2nd】
【状態】健康、痛シャドウを運転中
【装備】防弾チョッキ@原作、痛Zy-98シャドウ(ザイード)@フルメタル・パニック!
    竜殺し@アニロワ(シャドウに持たせている)、犯人追跡眼鏡の発信機@漫画ロワ
【道具】支給品一式
【思考】
基本:なるべく犠牲を出さず主催者を打倒する
1:喪失の物語を追って叩きのめす
2:喪失の物語の排除と仲間を集めるため南下する
3:時間になったらカスガの元に戻り、カスガの作った旅の扉をくぐりぬける
※外見はレオーネ・アバッキオです
※『歪んだ愛の物語』~『「普通の対主催にしか興味ありません!」←お前が言うな』での喪失の物語の所業を知りました。


【カスガ@どれみロワ】
【状態】健康
【装備】肢閃刀@AAAロワ、犯人追跡メガネ@漫画ロワ
【道具】ペンキセット@現実(2/3を消費)
【思考】
基本:啓蒙はしない。ロワには極力関わらず、老兵としてロワの行く末を黙って見守る。
1:旅の扉を完成させる
2:アバッキオが目的を果たせるのか見守る
※外見は林野まさとです
※どれみロワがNGワードにされている業界に長くいたため、意識すれば己を存在感を消すことができます。
 喪失の物語達はこの能力でやりすごしました。

【肢閃刀】
AAAロワに出てくる、それなりに高性能な刀。
ゲームではアルベル専用の刀だが、ロワの中では普通に誰でも装備できていた。

【Zy-98 シャドウ(ザイード)】
何だかんだで複数のロワに出ている『フルメタル・パニック!』シリーズに出てくる人型兵器(アームスレイブ)
機動力が高く、銃をぶっ放したりできるが、ザクより弱い。というか、攻撃力や防御力、射程などは戦車も劣る。
スパロボだと、負ける方が難しいレベルのスペックと言えるだろう。
ザイードの搭乗していたシャドウなため、それなりに強力なガトリングキャノンを搭載している。
ボディも真っ赤であったが、カスガの手で上からイラストを描かれてしまった。

【ペンキセット】
色とりどりのペンキセット。
痛アームスレイブを作るのに使用した。
ペンキセットが出ているロワがなければ、出典は現実と言うことになる。

【竜殺し】
ベルセルクに登場する、人の身の丈を超えるほどの巨大な黒剣。
出典はアニロワ。

【防弾チョッキ】
バトル・ロワイアルにおける、マシンガンと並ぶ2大チートアイテムの1つ。
ショットガンを食らっても無傷、映画版では鎌での攻撃も無効かと、軽量のくせに以上に頑丈である。
もっとも、チート三昧の中人外の攻撃まで防げるかどうかには疑問が残るが。

【犯人追跡眼鏡】
漫画ロワに出てくる、名探偵コナン黒の組織編の常連アイテム。
左の蔓にあるスイッチを入れるとアンテナが伸び、発信機の現在地が分かる。
また、右の蔓の先端には盗聴器が付いている。
盗聴器および発信機の両方が各1つづつ支給された。
なお、説明書に書いていなかったためアバッキオは気が付かなかったが、射程距離が20km程しかないという欠点がある。

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レオーネ・アバッキオの逆襲 レオーネ・アバッキオ きよひめのなく頃に~綿菓子編~
カスガ 今にも落ちてきそうな空の下で

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最終更新:2009年06月13日 11:31
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