熱砂のカナブン

――最も過酷な環境はどこだと思いますか?

唐突だが、諸君はこう問われた時、一体どのような回答を示すだろうか。
放送を乗り越え、満を持してその姿を現した第二フィールド。
大概のロワが採用している、座標形式で現在地を表現するものとは少々毛色が異なるが、
日本列島をそのまま縮小して開催地にした前回フィールドに比べれば、随分オーソドックスな方だろう。
そしてこの第二フィールドには、各地にバリエーション豊かな地形が散りばめられている。
まるでロールプレイングゲームの世界観を、そのまま小さな箱庭に閉じ込めたかのようだ。
さて、では改めて冒頭の質問に戻ろう。
この新天地を構成する地形の中で、最も過酷な環境が用意されているのはどこだろうか?
ボルケーノエリアにフリーズエリア、ビバークエリアも相当危険だろう。
しかし筆者はその中でも、あえてデザートエリアに着目したいと思う。
何故か?
それはこれからの話を読めば、おのずと理解できるはずだ。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「はぁぁぁぁ~……」

ぎらぎらと照りつける太陽の下、少女の声が響き渡る。
眼下に広がるのは果てしない砂。たちこめるのは陽炎の熱。
真夏のそれなど当に凌駕した気温は、冒険者達の体力を根こそぎ奪い取っていく。

「あぢぃぃ……あちゅいよぉぉぉぉ……」

消え入るような、喘ぐような。
妙に艶っぽく弱音を吐いたのは、だらだらと汗を流すルル×スバラバーズだ。
ぐったりとした様子で、同行者・破天荒王子の背に仰向けに寝そべり、うつろな目線を地上に落としている。

「ホントに体力ないんだな、お前」
「あぅー……」

対する破天荒王子の声は涼しいものだ。
そこはそこ、巨大カナブンの姿をした彼である。
虫の生命力とは大したもので、こんな不毛な土地であっても、ちゃんと生息しているものなのだ。
水分補給が必要なのは当然だが、暑さにやられるようなことはないだろう。
ついでに言うと、先ほどから背中にルル×スバのマシュマロバストがぎゅっと押し当てられているわけだが、
正直そんなことを気にしている場合じゃあ断じてなかった。

(オアシスに運ぶくらいじゃ、文字通り焼け石に水だなこりゃ……キャッスルエリアかシティーエリアにでもつれてくか?)

城を目指すならブリッジかガーデンかを通ることになるが、現状のまま強行突破するには遮蔽物が少なすぎる。
敵から隠れながら移動するとなると、マウンテンを通って都市を目指した方がいいのだろうが、それには少々時間がかかりすぎるか。

(……何やってんだろうな、俺)

今後の方針を頭の中で練りながら、はぁ、と破天荒王子はため息をついた。

事の顛末を説明すると、こうだ。
空を飛びそれぞれの仲間達を探していた彼らは、突然K(華麗に)Y(予約する)M(MADの人)の電撃を食らい、諏訪湖へと叩き落とされた。
破天荒王子の身体が麻痺して動けないまま、たどり着いたのはこのデザートエリア。
諏訪湖そのものが巨大な旅の扉であったが故に、意図せぬまま新フィールドへと到達していたのだ。
そして、転移とほぼ同時に始まった放送。

不断の騎士が死んでいた。
遅れてきた後方支援が倒れていた。
ドジっ子ぶっかけ管理人が殺されていた。
となりのもふもふ地図職人も命を落とした。
サービスだっちゃMk2も逝ってしまった。
フィールド破壊の貴公子も散っていた。
知的変態ヘアニストもこの世から去っていた。

同じロワの書き手達、そしてこのロワで知り合った仲間達。
それらの命が、合計7つも喪われていたのだ。
破天荒王子が名前を知らなかった尻・叩・きでフィニッシュ!も加えれば、その数は8人になる。
自分達の凡ミスのせいで、探していた仲間達を死なせてしまった。
2人は悲しみに暮れ、特にルル×スバは大粒の涙を流した。
それでも、立ち止まるわけにはいかない。
ひとしきり泣き終えた後、ルル×スバは再び立ち上がると、動けない破天荒王子を抱えて歩きだす。
なのはロワもkskロワも、自分達以外が全滅したわけではないのだ。
対主催として、残された仲間達を救うためにも、前を見て戦わなければならなかった。

……とまぁ、ここまではそこそこに格好のいいお話。
だがしかし、そこはルルーシュクオリティを受け継ぐルル×スバラバーズである。
当然、そう簡単に気力が長続きするはずもなくて。

――……はふぅ。

そんな感じの情けない声と共に、今からさかのぼること2分前に倒れたのだ。
結局それから数十秒後に回復した破天荒王子に背負われ、現在に至るというわけである。
すぐにバテるルル×スバと、それをフォローする破天荒王子。
どうもこの2人の立ち位置は、そう簡単に逆転することはないらしい。

(ぼやいても始まらねぇし、さっさと適当な所に運んで……、ん?)

と、その時。
何かを通り過ぎたような気がして、足を止める。
今視界の片隅に、何かが映りこんだような。もちろん、地図に載っているサボテンなどではないはずだ。
そちらの方へと向き直ると、

「おぉ~い……そこの道行く、でっかい虫さ~ん……」

背中のルル×スバと似たような状態のロリッ娘が倒れていた。

「お願いですぅ……助けてくれませんかぁぁ~……?
 もう、カラカラで……さっっっぱり動けないの……お願ぁい、お助けぇぇぇぇぇ~……」

行き倒れだ。
浴衣姿の銀髪幼女が、砂漠のど真ん中に倒れて助けを求めている。
足に履いているのは下駄だ。今までずっと砂漠をそれで歩いていたのだろうか。そりゃあぶっ倒れるわけだ。
率直に破天荒王子は思う。
どうしろと――と。
この身体の定員はロリ2名。ここにいるのは15のスバルと銀髪の少女。
ロリ1人と非ロリ少女1人となると、少し無理をすることになる。スピードも最大高度も落ちるだろう。
だからと言って、見捨てるわけにはいかないというジレンマ。

「……あーもう! しょうがねーな」

軽い頭痛を覚えながら、結局破天荒王子は少女の元へと歩み寄った。
どうにかして背中に乗せると、再び行軍を開始する。
既に飛んではいない。今飛んでも、歩くのとさほど大差はあるまい。
6本の足で大地を掴みながら、彼が目指すのは中央のオアシス。
こうなった以上、そこまで連れて行ってルル×スバの体力回復を待ち、さっさと下りてもらう他ないだろう。

「ありがとうごぜぇます……うー、新フィールドをナメてた……油断してクラウン号から下りるんじゃなかったぁ……」
「まぁ、下駄で砂漠歩いてたら、足取られてこうなるのは目に見えてたろ」
「あー、温泉入りたい……温泉……私を温泉に連れてってぇ……」
「ねーよンなもんッ! あんま調子乗ってると叩き落とすぞ!」
「あぅ……お願い王子さん、静かにして……頭に響く……」
「だあああああああー、もうッ!」

この男の女難は、簡単には終わらないらしい。



【一日目 朝/デザートエリア】
【破天荒王子@kskロワ
【状態】全身にダメージ(軽微)、苛立ち、ロリィタに少し恐怖心
【装備】無し
【持物】基本支給品、不明支給品0~2
【思考】
0、ロリィタさん、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
1、助けられる人間を助けながらロワ脱出を目指す。べ、べつに他の奴らのためじゃ(ry
2、ルル×スバとともにうっかりゲリラ突撃犯をはじめとした仲間を探す。べ、べつにこいつらの(ry
3、ルル×スバ達をオアシスに連れて行く。べ、べつ(ry
4、KYMは……どうすっかなあ
【備考】
※外見はロリ二人なら背に乗れそうなくらい大きなカナブンです
※kskロワのカナブンのように治癒能力を持っているかは不明

ルル×スバラバーズ@なのはロワ】
【服装】セフィロスの服(黒いロングコートに黒いズボン。胸元が大きく開いている)
【状態】疲労(極大) 、暑さでダウン
【装備】ウィルナイフ@勇者王ガオガイガー
【持ち物】デイパック、基本支給品、ランダム支給品0~2
【思考】
 基本:とにかく熱血対主催!
 1.あちゅい……暑くて死んじゃう……
 2.破天荒王子と共に王子の仲間を探す
 3.同じなのはロワの書き手を捜す
 4.はう……疲れた……
【備考】
 ※外見はスバル@なのはStSの身体、ディエチ@なのはStSの後ろ髪とリボン、セフィロス@FFⅦの服装です。
 ※正確な運動能力は不明ですが、少なくともスタミナはルルーシュ@コードギアス並です。

ルルイエ異本@ギャルゲロワ2nd】
【状態】疲労(大)、暑さでダウン、浴衣姿
【装備】浴衣、下駄
【道具】支給品一式、不明支給品0~2、チャイナ服(下着無し)
【思考】
基本思考:温泉巡りをする
0:あちゅい……暑くて死んじゃう……
1:このマップにも温泉あるかなあ
2:ズガンされるならそれはそれで……
【備考】
※外見は幼い深優・グリーア@舞hime運命の系統樹(オッドアイ)です。
※何か蛸みたいなの呼べるかもしれませんし呼べないかもしれません。
※ボマー商会とは、旅の扉の中で別れました。

時系列順で読む


投下順で読む


必殺パワー! サンダーブレーク 破天荒王子 呪い付き魔船旅行!
必殺パワー! サンダーブレーク ルル×スバラバーズ 呪い付き魔船旅行!
続・温泉少女/続・○○少女 ルルイエ異本 呪い付き魔船旅行!

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年07月02日 21:44
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。