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一方その頃(時間経過)3 - (2006/09/11 (月) 02:46:57) の編集履歴(バックアップ)


一方その頃(時間経過)その3



地球軍


タフト大統領の紹介

一方その頃

地球政府 大統領官邸。

官邸内を元気良く走るエノラは、
大統領の姿を見る。

エノラ・タフト/
おじいちゃん!

ジョージ・タフト地球大統領/
おぉ、エノラ。
良く来た。

エノラ・タフト/
大統領就任、2周年おめでとう。

ジョージ・タフト地球大統領/
ありがとう。
エノラも飛び級での大学卒業、
おめでとう。

エノラ・タフト/
ありがとう。
これ、お母さんから。

ジョージ・タフト地球大統領/
すまないな。
フィオも、遊びにくればいいのに。

エノラ・タフト/
お母さんは、あんまりおじいちゃんと
話したことないから…。

ジョージ・タフト地球大統領/
話したことがないなら、
話し始めればいいんだよ…。
まだ、私を許してはくれんらしい。

エノラ・タフト/
ううん。
お母さんは、おじいちゃんが宇宙人と
停戦したことは怒ってないわ。

エノラ・タフト/
お父さんの復讐をしても、
何も解決しないって言っていたから。

ジョージ・タフト地球大統領/
…そうか。

補佐官が、
大統領のそばによって口を開いた。

ベーカー補佐官/
大統領、お時間です。
そろそろいかれませんと。

ジョージ・タフト地球大統領/
おお、そうか、残念だ。
エノラ、すまないが。

エノラ・タフト/
お留守番でしょ。
いいわよ。

ジョージ・タフト地球大統領/
すぐ戻ってくる。
…不思議だな、お前は息子にそっくりだ。

エノラ・タフト/
親子だから、似ていて当然よ。

ジョージ・タフト地球大統領/
…そうか、そうだな。
では行ってくる。

エノラ・タフト/
お仕事、がんばってね。

タフト大統領の社会的事情

一方その頃

地球政府 大統領官邸 会議室。

大統領が着席すると、場が静まった。
ゆっくり口を開く。

ジョージ・タフト大統領/
それではスタッフの諸君。
今我々の懸案である火星問題について
話そうではないか。

ジョージ・タフト大統領/
…ベーカー補佐官。

ベーカー補佐官/
火星の状況ですが、反乱はもはや、
火星政府では押さえ切れないレベルにあります。
アンナ・グレースは早急な支援を要請しています。

コリンズ財務長官/
ただでさえ戦後復興が遅れているというのに…。

オナー分析官/
とはいえ、盟主である地球でしか、
この事態に対処出来る所はあるまい。

ジョージ・タフト大統領/
静かにしたまえ、諸君。
…ベーカー君、続けたまえ。

ベーカー補佐官/
はい。
すでに反乱は反乱軍と呼べる規模になりつつあります。

ベーカー補佐官/
汎銀河大戦終戦にともなって市場に流れた
大量の武器を買いあさって武装しています。

コリンズ財務長官/
緊縮財政にあえぐタイタン政府あたりが放出した
大気圏軍の装備でしょうな。

ベーカー補佐官/
確かに、火星の弱体なコーストガードでは
対処不能と思われます。
早急な対応を。

コリンズ財務長官/
まて。

ジョージ・タフト大統領/
コリンズ財務長官。

コリンズ財務長官/
そろそろ中間選挙だ。
市民はそぞろ孤立主義にもどりつつあるし、
この不景気だ。

コリンズ財務長官/
税金の使い道に関してもうるさくなっている。
オナー分析官の意見がききたい。

オナー分析官/
何もしないのが上策だね。
火星の政権がかわっても、
宇宙人とまた戦うことでもない限り、影響はない。

オナー分析官/
そんなことは、従軍者が多いんだ。
すぐわかる。

ベーカー補佐官/
どうなさいますか、大統領。

ジョージ・タフト大統領/
周辺国は?

ベーカー補佐官/
光国は重大な懸念を持つと、
大使を通じて連絡してきました。

ベーカー補佐官/
必要であれば、友邦国のために
艦隊を送る用意があると。

ベーカー補佐官/
ネーバルウィッチは何も、
声明は出しておりません。

オナー分析官/
光国は友邦国の立場よりも、
太陽系を従属させたいようですな。

ジョージ・タフト大統領/
真に対等な国家間の関係などないよ。

ジョージ・タフト大統領/
…ベーカー君、地球人は?
火星に在住する地球人の被害は?

ベーカー補佐官/
数名のビジネスマンが
反乱軍を名乗る者に誘拐されています。

ベーカー補佐官/
身代金の要求もでています。
おそらく反乱軍とは無関係でしょう。
もっとも事件自体、事件の性質上、極秘ですが。

ジョージ・タフト大統領/
それを公表するか。
それを口実に出兵する。

コリンズ財務長官/
それなら選挙にも勝てます。
いい手ですな。

コリンズ財務長官/
金を使うのを嫌がる国民も、
殴られれば殴り返すことに躊躇はないでしょう。

ジョージ・タフト大統領/
誘拐されている者には悪いが、
その線で火星の内乱に介入することにしよう。

ベーカー補佐官/
わかりました。

ジョージ・タフト大統領/
ホン・サン将軍をあとで呼んでくれ。

ベーカー補佐官/
はい。

タフト大統領の個人的事情

一方その頃

地球政府 大統領官邸。

エノラ・タフト/
お帰りなさい、おじいちゃん。

ジョージ・タフト大統領/
ああ、ただいま、エノラ。

エノラ・タフト/
その人は?

ホン・サン/
ははは。
あなたのおじいちゃんの部下の
ホン・サンです。

ジョージ・タフト大統領/
将軍で私の親友だよ。
同期だった。

ホン・サン/
そう言うと、私まで年寄りに聞こえるな。

ジョージ・タフト大統領/
実際そうだろうが。

エノラ・タフト/
仲がいいのね、二人とも。

ホン・サン/
いやいや、…ははは。
いや、お嬢さんには、勝てませんな。
その通りです。

エノラ・タフト/
歓迎するわ、ホン・サン将軍。

ホン・サン/
ありがとうエノラ・タフト。
お話はたくさん伺ってます。

エノラ・タフト/
いえいえ。
そう言えば、おじいちゃん。
アステルから聞いたんだけど。

エノラ・タフト/
火星に軍隊を送るの…?

ジョージ・タフト大統領/
…ああ、送ることになるよ。
…折角の平和だ。
地球だけというのは、もったいない。

エノラ・タフト/
平和のために戦争を起こすの?

ホン・サン/
お嬢さん、戦争を起こすんじゃない。
今起きてることを治めるんだ。

ホン・サン/
軍人だって戦争は望んでいない。
負けた責任を取らされるのが軍人だとすれば、
なおさらな。

エノラ・タフト/
…でも勝てると思っていたら?
その論法なら、勝てるなら軍人は
戦争するんじゃないの?

ホン・サン/
ははは、頭のいい子だ。
確かにそうだな。

ホン・サン/
だが、考えてみてくれ。
たとえ勝っても、戦争には被害は必ず出る。

ホン・サン/
私の部下も死ぬな。
私も死ぬかもしれん。
死にたくはない、誰でもな。

ホン・サン/
それでも戦わなければならんのは、
それ相応の理由がある。

ジョージ・タフト大統領/
……エノラ、そろそろホンを許して
やっておくれ。

ジョージ・タフト大統領/
おじいちゃんたちは、
夕食までに会議せねばならん。

エノラ・タフト/
…ごめんなさい、おじいちゃん。

ジョージ・タフト大統領/
いや…、お前が戦争を嫌うのはわかる。
お前からお父さんを奪ったのは戦争だ。

ジョージ・タフト大統領/
…だが、平和はね、
我々だけの独占物ではない。
出来るなら、全部に平和を、だよ。

ホン・サン/
そして、自立だ。

ホン・サン/
前の戦争で味方だった光国も、
太陽系がごたごたするようなら
どう出るかわからん。

ホン・サン/
太陽系の自立を守るためにも
火星の反乱を鎮圧せねばなりません。

エノラ・タフト/
ソフィーはそういう宇宙人じゃないわ、
将軍。

ホン・サン/
一人だけなら。
だが、集団というものは恐ろしいものです。

タフト大統領の退陣

一方その頃

地球政府 大統領官邸前。

大統領就任式などをおこなう庭に、
タフトは立っている。
彼を映す報道カメラの列。

ジョージ・タフト地球大統領/
皆さんに発表があります。

ジョージ・タフト地球大統領/
本日をもって、私、ジョージ・タフトは
地球大統領及び、太陽系連合議長の職を
辞職します。

一斉にどよめき、フラッシュがたかれた。

報道陣/
大統領退陣ですか。

報道陣/
それは、火星問題の責任をとると
いうことですか?

ジョージ・タフト地球大統領/
そう思ってもらってもかまいません。
…民主主義の根幹は、最も多くの
支持される者が政権を担うということです。

ジョージ・タフト地球大統領/
私は、今もっとも多くの支持を得ているという
自信を失いました。

報道陣/
今後は、地球と太陽系は、
どうなるのでしょうか。

ジョージ・タフト地球大統領/
今後の後任は規定に従い、
副大統領のワトソン君が就任することになります。

報道陣/
大統領が退陣することで、
より強硬派が勢力を伸ばすと思われますが?

報道陣/
たとえば火星にさらなる軍を送り、
完全に占領するなどの選択があると思われますが。

ジョージ・タフト地球大統領/
それが市民の選択なら、仕方がありません。
ただ、一市民として言えば、
私はこれ以上の事態の悪化を望んでいません。

報道陣/
元々出兵を決めたのは、
大統領ではありませんか。

ジョージ・タフト地球大統領/
戦争を激化させるために、
軍を送ったわけではないと言いたいのです。

火星行きを決めるタフト

一方その頃

誘拐の話を聞くタフト

一方その頃

地球政府 大統領官邸。

ベーカー補佐官/
大統領。

ジョージ・タフト地球大統領/
おお、ベーカー補佐官。
そちらに孫が、遊びにいってないかね。
探しているんだが。

ベーカー補佐官/
残念ですが、エノラ・タフトは火星反乱軍に
誘拐されたようです。

ベーカー補佐官/
要人の家族を狙うのは…、

ジョージ・タフト地球大統領/
なん…だと?
SPはどうした!

ベーカー補佐官/
全員死んでいました。
お孫さんの学校の中にも、
火星出身者などがいたようですな…。

ジョージ・タフト地球大統領/
………。

ベーカー補佐官/
お気の毒です。
今すぐ非公式のチャンネルで
接触を図りましょう。

ベーカー補佐官/
なんとか大気圏内で犯人たちの逮捕が
出来るといいのですが。

タフトの停戦

一方その頃

地球政府 大統領官邸前。

大統領就任式などをおこなう庭に、
タフトは立っている。
彼を映す報道カメラの列。

ジョージ・タフト地球大統領/
皆さんに重大な発表があります。

ジョージ・タフト地球大統領/
本日、火星に派遣している
太陽系総軍火星鎮定軍全軍を停戦、
撤退させることで、同国政府と同意しました。

報道陣/
大統領、それは火星からの撤退という
ことですか。
事実上の敗北では?

ジョージ・タフト地球大統領/
コスト的に見て、もっとも有効な選択肢を
選んだということです。

ジョージ・タフト地球大統領/
これ以上、地球市民である兵士が傷つくことを
政府は望んでいません。
今後は、外交の場で封じ込めることになります。

報道陣/
問題はそもそも、終戦後の火星放置、
つまり、火星を忘れたからだという説が
ありますが、それについては?

ジョージ・タフト地球大統領/
火星を忘れたことは一度もありません。
ただ、戦時と違って火星を特別扱いすることは
出来なくなったというだけです。

報道陣/
反乱軍が火星を掌握し、
外光を求めた場合はどうされますか?

ジョージ・タフト地球大統領/
それが正当な手続きを経た民主的な
政権であれば、外交チャンネルは常に
開かれているでしょう。

報道陣/
停戦ということでしょうか。

ジョージ・タフト地球大統領/
最初からそう言っていたと思いますが。

タフト暗殺

一方その頃

第2次汎銀河大戦勃発

一方その頃

地球政府 大統領官邸 会議室。

大統領が着席すると、場が静まった。
ゆっくり口を開く。

ジョージ・タフト地球大統領/
もう緊急の連絡は全員に入っていると思うが、
宣戦布告が入った。
ベーカー補佐官。

ベーカー補佐官/
各異星人が同時に動き出しました。
ひとつの権力の空白が次々に争いを
誘発しています。

ジョージ・タフト地球大統領/
…呪われた戦いの神の星だな。
火星というものは。
…参謀議長。

参謀議長/
第2次汎銀河大戦の勃発は、
また太陽系を軸にはじまりましたな。

ジョージ・タフト地球大統領/
そういう話を聞いているわけじゃない。
勝てるかどうかだ。

参謀議長/
負けたら太陽系知類が全滅するだけです。
勝てるかどうかではなく、
勝しかないでしょう。

参謀議長/
どれくらい勝てるかは、皆さん良く
おわかりのはずだ。

参謀議長/
こちらが内乱で疲弊している間、
他国がどう動いていたか、それぐらいこの会議に
いるものならば、知っているでしょう。

参謀議長/
皮肉にも火星にまた、戦略的価値が出ましたな。

ジョージ・タフト地球大統領/
コリンズ財務長官。

コリンズ財務長官/
火星に援助するしかないでしょう。
絶滅戦争で我々が最後に逃げ込む場所は、
あそこしかない。

ジョージ・タフト地球大統領/
もう一度、手を取ろうと?

コリンズ財務長官/
他に選択肢がありますか?

孫を可愛がるタフト

一方その頃

地球政府 大統領官邸。

祖父と孫娘が、
向き合ってリンゴをむいている。

ジョージ・タフト地球大統領/
中々、リンゴの剥き方が
しっかりしてきたな。

エノラ・タフト/
おじいちゃん、料理好きなの?

ジョージ・タフト地球大統領/
宇宙軍の士官も兵士も、
みんなこういうのが好きでな。

ジョージ・タフト地球大統領/
なぜだかな。
宇宙にいると、
こういうのがみんな好きになる。

エノラ・タフト/
…そう。
あのね、おじいちゃん。

ジョージ・タフト地球大統領/
うん?

エノラ・タフト/
私、おじいちゃんの孫じゃないんでしょ。
…お母さんからきいちゃった。
…その、なんていうかな。

エノラ・タフト/
戦争でお父さん死んで、
お父さんと言っていいのかな…。

エノラ・タフト/
うっ、お父さん死んじゃって、
それでお母さん、ひどいめに…。

ジョージ・タフト地球大統領/
あの頃の戦争は、本当にひどかった。
私がフィオを探し出したときは、特に。

ジョージ・タフト地球大統領/
人間と人間が争うのさ。
宇宙人と戦っているのにな。

ジョージ・タフト地球大統領/
いや、宇宙人と戦うことだって、
いいことじゃない。
…人は、なんで人はこうなのかなあ。

ジョージ・タフト地球大統領/
だから、…だから気にするな。
わしの孫は、お前だけだよ。

エノラ・タフト/
………。

ジョージ・タフト地球大統領/
泣くな。
せっかくのリンゴタルトが
塩味になると困るだろう。

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