「黒き角」作戦

「黒き角」作戦



作戦概要
一、「虚空機関所属、天災科学者-ナキ」の身柄を確保。身体損傷は厭わず。
二、信仰遺伝獣「核棲神」関連文書の回収及び迅速的なるブラックハットの捕縛。
三、首謀者疑いである「虚空機関所属、亜空間操作技術権威-クォーク」の身柄拘束。

人員
ヘリック:「情報部管理官、外部組織対策班」所属
エクト:「情報部諜報員」所属
フアン:「情報部諜報員」所属

A.P.238/11/16

状況記録-ヘリック①
昨夜の事だった。ここ数年連絡を取っていなかった旧友より突然の連絡が入った。奴の名はアーカマン・エルドラ。同じく情報部に所属し、フアンの様に敵性組織の動向を調査する諜報員を担っていた男だ。「お前にどうしても伝えたい事がある。」と急なメッセージを寄越し、俺は本部のソファーで横たわって仮眠を兼ねて待機していた。しかし朝になり部下達が揃った頃にも来ず、音信不通となっていた。不信に思った矢先、嫌な予感は的中した。アーカマンはキャンプシップでの移動中、予兆も無くシップ自体が爆破し即死した。原因は今現在も調査中だが、爆破寸前に送られたメッセージが奴の最後の言葉になった。それを元に我々は不可解な事件に直面する事となる。

+ アーカマンより送られたメッセージ
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16番目の船に耳を盗まれるな。


任務記録①

六芒均衡の指示のもと、任務実行者3名はアークスシップ16番艦【シゲル】市街地エリアへ潜入する。【シゲル】は他シップ同様の設計構造の為、一般的と評されるシップである。その為、敵性組織の潜伏は過去に存在していたが現在は一掃されたと断定されている。ヘリック一同は現地情報部が滞在している本部に向かい、情報収集を行うとした。
+ 音声記録:情報部管理官ルザリオ
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ヘリック:という事だ、アーカマンが何故俺にこのメッセージを送ってきたのか、真相を解明したいと考えている。アイツは何か言っていなかったか?

ルザリオ:ええ・・・私達も人手不足もあり、彼の管轄に関わっていたのは私くらいでしたが。この船に滞在していると噂されていた元・ヴォイド関連者の事を指していると思います。

ヘリック:ヴォイド?しかも元ってのが不可解だな。あの室長さんが見逃している訳が無い筈だ。

ルザリオ:何でも、彼と所縁のある人物が匿っているとの噂がありまして。若しくは関係途絶した訳でなく、立場及び状況を変えたうえで何かを企んでいる可能性があります。

ヘリック:そうなると立場的に難しくないか?あの組織が息づいていれば、俺達もハメを外す事も出来ない。

ルザリオ:ええ、そうでしょう。それを分かっていての行動を取っていると思われます。だからこそ、アーカマンは殺されたのでは・・・と。

ヘリック:なあ、お前さんはアーカマンと親しかったんだろ?アイツは殺されるまでは元気だったか?

ルザリオ:ええ、信念を曲げずに必死に立ち向かうような人でした。だから、私達にもっと共有してほしかったと思う事もあります。

任務記録②

現地情報部にて遺されたアーカマンの書類関係は意図的に破棄された内容があると判断された。これに伴い現地情報部に不信感を募ったヘリックは、エクトとフアンを現地情報部に知らせずに市街地エリアの宿泊施設にて待機を指示。その後端末操作による内部ハッキングを実施した。
しかし、ルザリオ管理官はヘリックに対し厳重な監視体制を維持させていた事から、ハッキング行為を暴露され拘束される事となった。また、エクト・フアンが待機している宿泊施設も包囲陣を取られる事となる。
この事から、情報部管理官ルザリオによる企みが浮き彫りとなったが連絡手段を断絶された状況の為、本部への連絡は不可能となってしまった。

メッセージ-匿名希望者よりヘリック宛
やぁ、噂はかねがね聞いているぞ。飼い主泣かせな情報部管理官、ヘリックさんよ。突然のメッセージに驚いているだろう?個人的事情により匿名希望で送らせて貰う。不審に思うだろうがそれは構わない。何せこれはお前さんを拘束している連中には感知されない様に苦労して送信しているからだ。単刀直入に言おうじゃないか。アンタが近々捕まえようとしているヴォイド研究者である私と協力してくれるなら、アンタを助けない事も無いぞ?

メッセージ-ヘリック:匿名希望者への返信
ああ、最高じゃねえか。真っ白く染めたクソ野郎共よりドス黒い研究者様の方が信用できるからな。

任務記録③

情報部管理官ルザリオは、市街地エリア学園区内部に存在する研究所にて極秘研究「信仰遺伝獣」の情報を独占、敵性組織への情報提供を行い大規模実験に貢献し、それに伴い高額な報酬を得ようと目論んでいた事が発覚。これを密告しようとしたアーカマンは証拠隠滅の為に殺害された事が判明。
ヘリックが匿名希望者に返信を行った数分後、突如として現地情報部本部の全電力がシャットダウン。この混乱に乗じヘリックは近隣情報部を襲撃し、外部脱出を実施。同時にエクト・フアンへと連絡を行い匿名希望者の指定地区への移動を開始した。エクト・フアンは同時刻には既に自らを拘束しようとした情報部7名を正当防衛を名目に討伐していた。「信仰遺伝獣」関連文書は本来、虚空機関さえも危険因子だとして研究を放棄したものであったため、文書保持者であるブラックハット(情報強奪者)を拘束する必要があるとした。幸いな事に、関連文書は機密事項の為引用及び転用さえも出来ぬ様に設計されていた。
3名が集合する途中、本部より緊急通達が渡された。亜空間操作技術の権威として有名である研究者クォークらしき人物が、一連の事件に関与している事が判明した。「信仰遺伝獣」関連研究所が存在するとの事であり、ブラックハットの身柄も確認したが取り逃がしたという。フアンの提案により彼女単騎にてブラックハットを追跡。エクトは引き続きヘリックとの合流を図る事となった。

状況記録:ヘリック②
匿名希望者との通信を受け、何とか窮地を脱する事は出来た。しかしその相手がまさかのヴォイドの研究者だと来た。俺達みたいな連中には関わりたくないであろうに、わざわざこんな事をするという事は、相当な賭けに出ているのだろうと感じた。現に、協力してほしいとなれば俺を信用していると捉えていいものか。信頼してはならない相手である事はお互い承知している筈だ。

+ 音声記録:匿名希望者
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ヘリック:そんで、何でアンタは俺と協力したがってるんだ?

:もうそろそろ言ってもいい所か?実はな、少しヘマをしてクォークとやらに狙われているんだよ。

ヘリック:って、さり気なくヤバイ事を今言ったな!?

:今の地点に合流して研究所に向かえばスムーズの筈だが、いかんせん君達を捕まえようとする裏切り者連中も集まってきているな・・・どうやらターゲットを理解している様だ。どうやら皆が皆ヴォイドだったみたいか。

ヘリック:くっそ・・・アーカマンだけがまともな情報部だったのか、洗いざらい全部吐いて貰わねえとな。

:クォークに気を付けろよ、あいつは「耳」で企んでいる。

ヘリック:耳ってのは何を指しているんだ?幻聴でも流してどうにかしようと考えている訳か?

:もしも信仰遺伝獣の能力が、絶対令に匹敵する強制力を持っていたとしたら?

ヘリック:・・・笑えねえ冗談だな。

:ああ、だからお前さん達の様な情報部が来てくれるのを待っていた。尤も、君ら以外となれば私を殺したい奴しか来なかったからさ。

ヘリック:はっ、人気者という訳か。

:ああ、困ったものだ。

任務記録④

集合地点付近にてルザリオはヘリックを包囲。ヘリックは窮地に立たされる事となり応戦するも多勢に無勢という状況だった。
同時刻、フアンはブラックハットの拘束に成功。ブラックハットへの尋問を開始するもその場にて自爆を決行。フアンはすぐさま関連文書を強奪しその場より脱出。ブラックハットは自爆前に「滅びの星に敬愛を」と言い残していた。

+ 音声記録:対ルザリオ応戦
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ヘリック:行き止まりか・・・ルザリオ、アンタとは数年違いの先輩後輩の関係だったよな?同業者のよしみだ、何でこんな事企んだか教えてくれないか?

ルザリオ:ええ、死人に口なしだからねぇ。私はねえヘリック、生真面目に決まった仕事を淡々と熟すのが嫌いだったんだよ。クォークは私に素晴らしい人生へ導いてくれた!だからこそ、彼の造り出す世界に貢献したかったのよ・・・アーカマンは堂々を反論する愚か者だったわ、自分以外がヴォイドだなんて知らずに。アルターズ研究領域の拡大計画、信仰遺伝獣による仮定絶対令計画を実現させる為にも彼は邪魔だったのよ。

ヘリック:・・・ああそうか、もう充分だ。

ルザリオ:それじゃあ、部下も間に合わないままアナタはここで死んでもらうわ。

ヘリック:へえ、同じ情報部管理官として泣けてくるぜ。

ルザリオ:どういう事?

ヘリック:あいつはな、タイミングに命を懸ける馬鹿野郎なんだよ。

(ィロージョン・ヴァイパー試作型を纏ったエクトは上空よりルザリオに奇襲行為を実施、これによりルザリオは絶命。これに続き士気の乱れた違反者一同を討伐、一部を拘束した。)

任務記録⑤

六芒より要請を受けた情報部が到着するまでの間、ヘリックとエクトは研究所へと急行。ブラックハットより文書を強奪し終えたフアンは逃亡を図る違反者達の追撃に回っていた。匿名希望者は研究所内部に軟禁されている事が解り、またクォークも現地にいる事が判明した。しかしクォークは逃亡を図る為に亜空間移動技術を利用しようと目論んでいる事を匿名希望者より通告され、二人は現場を急ぎ向かった。

任務記録⑥

研究所内部に進入した時には既に亜空間移動装置は起動しており、クォークは逃亡寸前だった。機械の破壊を試みたものの、強制停止と共にクォークはその場より消失した後であった。その為、今事件の明確な状況を解明できないまま終結となった。
匿名希望者は個室に軟禁されており、外部通信の出来ぬ端末を操作しながらコーヒーと不人気な銘柄の煙草を喫煙していた。

+ 音声記録:匿名希望者との対面
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エクト:え、やっべ俺が吸ってる煙草よりキッツ!

ヘリック:は?お前禁煙したと言ってなかったのか?後で覚えておけよ。

:やあ、待っていたぞ。情報部諸君。

ヘリック:・・・改めて、俺がヘリック・フェルト。情報部管理官及び外部組織対策班・・・アンタみたいな怪しい組織を調べているものだ。

:と言っても、私は組織を研究所代わりにしか思っていないのだがね。

ヘリック:ははっ・・・よりによってお前かよ。

:ああそうだそうだ、そういう反応を私は期待してたんだよ。

エクト:え?知ってんすかヘリックさん。

ヘリック:ああ。アルターズの技術貢献を行いながら各シップに孤児達が解放される切っ掛けを造り、自らも改造されたという。そんなヴォイドにとって虱潰しの対象として上位に匹敵する天災マッドサイエンティスト。ナキだ。

ナキ:自己紹介が省けて本当に助かる、「アルターズ保護者」として一躍有名人になった情報部の反骨者、ヘリックさんよ?クォークは私の管轄部分であるアルターズ技術に興味があったみたいでな、情報提供を名目に拉致されたって訳だ。

ヘリック:成程、散々尋問受ける前に俺達が来てしまった訳、か。

ナキ:と言っても、腐っても研究者だ。どうせ他のアルターズ研究者から情報を吐かせてるだろうさ。にしても・・・私に対し敵性感情を持ちそうだが、覚悟の上でお前さんに連絡を取らせて貰った。

ヘリック:単刀直入に聞くが・・・今、研究の上で不当な犠牲は払ってないんだよな?

ナキ:今と断定すれば、無いと言い切れるさ。

ヘリック:ああ、それなら良い。実に良い事だ。

エクト:あー・・・ヘリックさんまさかだよな。

ヘリック:協力と言ったのは向こうだ。今後、大まかな事はその都度言うが俺達に協力して貰う。いいか?

ナキ:・・・へぇ、面白そうな事を言うじゃないか。最初に何をするんだ?

ヘリック:簡単だ、ヴォイドの立場をぶっ壊すような情報を洗いざらい集める事から始めて貰う。勿論お前さんの身柄を保証する。どうだ?

ナキ:フフッ、ハハハ!クハハハハッ!!!何だ!情報部なんて立場に怯える連中と思っていたが、これは退屈せずに済みそうだな!良し、協力しようじゃないか、今後ともよろしく頼むぞ、情報部諸君?
最終更新:2018年11月16日 23:19