kikipedia~鬼奇ぺディア~(御二版)

鬼喜期待

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2006年11月29日、あったら嫌な妖怪に鬼喜期待(きききたい)という四字熟語の解説としてGeorge氏が書き込んだ短編。(あったら嫌な妖怪 0628)
伯爵は怪物上手という四字熟語の書込みの際にも登場している。

鬼喜期待

「だからね、今買っとくと後々お得なんですよ…」
「そんな事言われてもねェ~…」
「いいじゃないっすか、買ってくださいよ…ね☆」
「う~ん…」

先ほどから玄関先で話しているのは、二匹の妖怪。
一匹は蝙蝠、もう一匹はいかにもウサンクサソウな風貌の
小さな「鬼」だ…。

「今ならお安くしとくよ? どう!? 買いましょうよ?!!!」
「…でもねェ、私の一存じゃ決められないんですよ…
 ここね、私のお屋敷じゃないものでね…」
「ふゥ~ん…じゃあ、ご主人さんがどっかにいるんですね?」
「ええ、まあ…いるには、いるんですがねェ…」

どうやらこの蝙蝠、突然の押売りの訪問に
少し困っている様子であった。

「ちょっとォーッ…コムぅ~~ッ!!!!」

二階からすっ呆けた声がした。

「えッ!あッはい、なんでしょーう!!!?」
「僕の短パン知らなァ~~い?」
「ああ…あの、少々お待ちを!! …」

少し焦る蝙蝠の顔をのぞき込むと、小鬼が小声でたずねる。

「…アレがご主人?」
「え…ああ、まあ…」
「ちょうどイイや、呼んでよ…ここに?!」
「は、はあ…」
「ねェコムぅ~~? このうな重、山椒がかかってないよォ!!!!
 ダメじゃんかァ――ッ!!!!!!」
「あっと、それくらいご自分でなさってくださいよォ~~ッ!!
 私だって、今手がはなせないんですからッ!!!!」
「…何だか大変そうだね…オタク…」
「ええ…こんな事、初対面のアナタに言うのもナンですが…
 かなり痛いんですよ…うちのご主人様…」
「うん…姿を見なくてもわかるよ…アノ話の感じからすると…」
「はい」
「…悪かったね、また来るよ…まあ、元気出しな…
 生きてりゃその内イイ事もあるからよ!」
「あ、ありがとう…」
「んじゃな!…」

押売りの小鬼が出て行くと、蝙蝠は血相を変えて
バサバサと二階へ上がって行った。

「もう、恥かしいじゃないですかッ!!
 来客中に何をゴチャゴチャとッ!!!!」
「ダハハハハッ、ズボン互い違いにはいちゃった☆
 どっちが右で、どっちが左だっけ!?」
「ええい、アホですか貴方は!!!!」
「ククッ…来客中って、押売りなんでしょう?」
「あ…まあ…」
「お前は蝙蝠がイイから、なかなか断れないと思ってさァ~」
「な…それではワザと?」
「当ったり前じゃない、僕があんなに馬鹿だと思う?」
「・・・・・・」
「あ、その点々なんかイヤ」
「そ、そんなつもりではww」

すました顔の蝙蝠をジッと見つめたあと、伯爵は素早く
踵を返しマントをたなびかせる。

「ふん…馬鹿でこの笑鬼夜(ワラキヤ)全土を治められるとでも
 思っておるのか…コムよw」
「お、仰る通りで…」
「僕はねェ、毎日を楽しく過したいと思っている!!」
「付き合わされる身にもなって下さい…」
「まあ、日々ジョークは必要だよ…君☆」
「オホンッ!先ほどはありがとうございました…」
「うむ…、ところで何で山椒はかかってないの?」
「あ…それはボケじゃないんですね…」
「なんでも最近、妖界ではことわざが密かなブームとか!」
「相変わらずその、話題コロコロ変えるの… やめていただけます?!」
「う~ん、時はつねに進んで行く物だよw」
「貴方様の頭も、少しは進化していただきたい物です!」
「うん?」

相変わらず変なところで敏感な伯爵を前にして、
蝙蝠が話を切りかえす。

「いや…よろしいのではないでしょうか?ことわざ!!」
「そう、KOTOWAZA!!」
「あ、アルファベットにしましたね?」
「ふ~ん♪どうよ☆」
「今出せる、精一杯の学だな…」
「テレんでよろしい… そこでじゃな、僕も一つ
 そのKOTOWAZAなる物を、少したしなんでみようと思うが、どうか?」
「はい、伯爵様のお遊びとしましては、最適かと思います…」
「でしょでしょ? う~ん、楽しみだなァ~ まず何から始めようかなァ~☆」

いちいち言う事がズレている。
まあ、今さらこの伯爵に何も期待する事など無いのだが…。

「始めるって、伯爵様はKOTOWAZAをお勉強なさりたいのでしょう?」
「いかにも!! 貴族である以上、KOTOWAZAの一つも言えないようでは
 社交界で笑い者になるからな!ハハハハハ!!」
「気づくのが遅かったようで…」
「何を仰るウナギさん!! あ、これKOTOWAZAになるね?」
「なりません」
「いやね…さっきのウナギが美味しかったんでねェ~」
「しないんですか?KOTOWAZA!!!?」
「う~ん…だってよくワカラナイんだもォん…」
「ふう…また三日白蔵主(by 鬼神ライダー)にならなきゃいいんですがね…」
「おお、早速つかっておるね!? コム君 !!!!」
「・・・・・・」

本当にコイツはやる気があるのだろうか?

「甘えないでください、気色悪い… 毎日テレビばっかり
 見ているからですよ!」
「ああ、昨日の妖界Y1グランプリ…面白かったねェww」
「知りません」
「まさか猩々のタムケンが優勝するなんてね☆」
「伯ゥ爵ゥさァまァ~ッ!」
「ダークホースもイイトコだよね… あそう、こんど新番組が始まんだよ
 お題がナンじゃろ?とか何とか言う…年末年始はテレビが最高!!」
「たまには新聞でも読んでくださいよ…」
「なるほど、笑鬼夜タイムスは何処?!!!」
「そうそう…」
「笑鬼夜タイムス…笑鬼夜、笑鬼夜…」
「・・・・・・」
「おお!!!! 考えてみれば、ウチ新聞とってなかったなッ!!!!」
「なッ!!!!じゃないだろ、なッ!!!!じゃ!!!!!!」
「う~ん、血圧上がるよォ~ん♪」
「一度殺したい…」
「ダハハ…ガハッ…」
「・・・・・・」
「どったのん…?」
「開いた鬼一口がふさがらないんです…」(by shion)
「まあまあ、そうカリカリしなさんな!!
 楽しくいこう楽しく、な!? コムやん☆」

伯爵に使えて数百年、毎日がこのくり返しである…。

「はあ…タマにはどこか遠くへ行きたい…」
「は? イイトコ知ってるよ!! 龍球アイランドってトコ
 一緒に行っちゃう!!!? ムフ☆」
「お金無いでしょ、ウチは!!」
「う~ん、今月も買ったからねェ~…106匹目♪~」
「エサ代どうするんですかッ?!!!」
「どうしよ…」
「スネコスリ買いの銭失いばっかりするからですよ!!」(by akin8823)
「これがホントの棚からおとろしかァ!!!?」(by suparutan)
「それは例えがぜんぜん違います」
「あでェ~~ッ?☆♪~」

馬鹿大爆発である。

「御暇をいただきたいと言う意味です!!
 …まあ、伯爵様お一人残すのは心配ですから
 そんな事はしませんけど」
「…優しいのね、アナタって…」
「殴りますよ」
「ドメスティックだわ!! ドメスティックよッ!!!!」
「ええい、何モンですか貴方はッ!!!!」
「面白いでしょ?」
「疲れます…」
「コぉ~ムぅ~やァ~~ん!!」
「塗仏の顔も三度までです!!!!」(by KARASU)
「三度どころじゃないけどね…」
「小声で言うな、小声で…」
「あ、テレビ見よォ~っと☆」
「・・・・・・」

ことわざの事など、すっかり忘れた様子の伯爵が
テレビのスイッチを入れた。

≪はい、と言う訳で次の話題です…
 先頃妖界ではことわざブームがございましたが、
 今新たに、妖怪4文字熟語なるモノが大ぶれいく!!
 若者からお年寄りまで・・・・・・≫

「ねえコムぅ、4文字熟女ってなァ~にィ?☆」
「・・・・・・」



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