~ゲーム後~
「青狸さん、どうでしたかデートは」
「青狸さん、どうでしたかデートは」
浅田の屈託のない言葉が青狸の胸をえぐる。
「火焔に気づいてもらえなかったwwwww」
反射的に卑屈な笑いを浮かべつつ自嘲する青狸。
先ほどの光景が目に浮かび、気分が沈む。
先ほどの光景が目に浮かび、気分が沈む。
「ちょwwww」
その言葉を聞きつけた藩国民たちが周りに集まってくる。
「……で。どんなことがあったんだよ」
その言葉を聞きつけた藩国民たちが周りに集まってくる。
「……で。どんなことがあったんだよ」
ぽつぽつと語り始める青狸。
自ら発しているにもかかわらず、
己の言葉は火焔に気づかれなかったこと、本人ではないといわれたこと、
彼なりの努力も拒絶されたことなどを思い出させ、さらに傷を深くする。
自ら発しているにもかかわらず、
己の言葉は火焔に気づかれなかったこと、本人ではないといわれたこと、
彼なりの努力も拒絶されたことなどを思い出させ、さらに傷を深くする。
「あー……そりゃまずいですって」
「もう挽回無理じゃね?」
「こりゃライバルに差をつけられたな」
容赦ない仲間たちのダメ出し。
「もう挽回無理じゃね?」
「こりゃライバルに差をつけられたな」
容赦ない仲間たちのダメ出し。
「まあ見ててくれ、次は間違いなく盛り返してみせる」
虚勢を張る青狸。今の彼に出来ることはそれくらいしかなかった。
虚勢を張る青狸。今の彼に出来ることはそれくらいしかなかった。
だが彼のそんな空元気も、すでに人々の興味の対象ではなくなっていた。
「ちょwwwwVZAお持ち帰りかよwwww」
彼と同時期に小笠原へ出かけていたVZAが帰還し、結果を述べると
沈滞した雰囲気は一機に消え失せ、俄かに狂乱の騒ぎとなった。
「ちょwwwwVZAお持ち帰りかよwwww」
彼と同時期に小笠原へ出かけていたVZAが帰還し、結果を述べると
沈滞した雰囲気は一機に消え失せ、俄かに狂乱の騒ぎとなった。
「……凄いな、VZAは。それに比べて僕は何をやっているんだろう……。」
彼の呟きも、もはやだれ一人として聞きとめる者はいなかった。
彼の呟きも、もはやだれ一人として聞きとめる者はいなかった。
数日後。いつものように藩国内会議所にやってきた青狸。
「……ここ数日はご飯も喉を通らなかった……。
とりあえず藩国のみんなと世間話でもして気を紛らわせよう……。」
だが、会議所の様子は普段とは異なっていた。
「……ここ数日はご飯も喉を通らなかった……。
とりあえず藩国のみんなと世間話でもして気を紛らわせよう……。」
だが、会議所の様子は普段とは異なっていた。
「誰も、いない……?」
愕然とする青狸。常に賑わっていた会議所も、いまや彼と受付の猫士のみのものである。
「はいですにゃ。はるさんと小宇宙さん、船橋さんからは欠席の連絡が入ってますにゃ。
皆さんお忙しいみたいですにゃ。」
猫士が応対する。彼はいつもと変わらず淡々と事実のみを述べるのであった。
「そんなバカな!いつだって誰かしら来ていたじゃないか!
そうだ、摂政は!アシタスナオは何をしているんだ!」
叫ぶ青狸。ここ数日の不摂生で彼の精神はかなりすり減っていた。
愕然とする青狸。常に賑わっていた会議所も、いまや彼と受付の猫士のみのものである。
「はいですにゃ。はるさんと小宇宙さん、船橋さんからは欠席の連絡が入ってますにゃ。
皆さんお忙しいみたいですにゃ。」
猫士が応対する。彼はいつもと変わらず淡々と事実のみを述べるのであった。
「そんなバカな!いつだって誰かしら来ていたじゃないか!
そうだ、摂政は!アシタスナオは何をしているんだ!」
叫ぶ青狸。ここ数日の不摂生で彼の精神はかなりすり減っていた。
「アシタさんはロボットのコンペがあるとかで他国に出かけてますにゃ。
たしかーばんばんばばんじーとかいう」
たしかーばんばんばばんじーとかいう」
「バンバンジーかあのロボヲタクめ…じゃあもう一人の摂政、浅田さんは!?」
「吉田さんや青森の方々とティーパーティーをするんで忙しい、だそうですにゃ」
「腹黒メイドめ…お茶にピドポーションでも混ぜてるんじゃないか……。」
「高原さんは?」
「高原さんは?」
「新婚ですからにゃ。きっと新居でいちゃついてますにゃ」
「バカップルが……!VZAはどうしてるんだ」
「鈴木さんの介護と称して毎日にやけて暮らしてるそうですにゃ」
「このロリコンどもめ!……いや何を言ってるんだ僕は。
…そうかありがとう。じゃあ僕も今日は帰るかな……。」
…そうかありがとう。じゃあ僕も今日は帰るかな……。」
すっかり意気消沈して家路につく青狸。
「みんな……充実した生活を送ってるんだな……。」
「みんな……充実した生活を送ってるんだな……。」
脳裡に、楽しそうな彼らのざわめきが木霊する。
幻聴、そうには違いないが、今の青狸にとっては幻聴であっても深刻な精神的ダメージ源となるのだった。
おまえは火焔とはもう二度と仲良くなれない。
いや、仲良くなろうとすることすらおこがましい。
マイルも持たぬくせに夢など見るなこの貧乏人が……!
幻聴は次第に棘を増す。
事実、彼はそれほどマイルを稼いできていないため、
そろそろ小笠原に行くためのマイルも底を突く頃であった。
幻聴、そうには違いないが、今の青狸にとっては幻聴であっても深刻な精神的ダメージ源となるのだった。
おまえは火焔とはもう二度と仲良くなれない。
いや、仲良くなろうとすることすらおこがましい。
マイルも持たぬくせに夢など見るなこの貧乏人が……!
幻聴は次第に棘を増す。
事実、彼はそれほどマイルを稼いできていないため、
そろそろ小笠原に行くためのマイルも底を突く頃であった。
「このまま生きていても……火焔と仲良くなれないくらいなら……
死のう……」

図1:
青狸は賭けに出た。部屋に一酸化炭素が充満する前に
結城火焔が「青狸は大きくなっても青狸だよ!大好き!結婚しよう♪」
って玄関からお邪魔してくることに、生死を賭したのだ
青狸は賭けに出た。部屋に一酸化炭素が充満する前に
結城火焔が「青狸は大きくなっても青狸だよ!大好き!結婚しよう♪」
って玄関からお邪魔してくることに、生死を賭したのだ
練炭に火をつける青狸。
子供の頃に唄った悲しげな歌詞、旋律が自然と口からこぼれ出る。
「もうすぐ、かな……。火焔……ごめん……」
子供の頃に唄った悲しげな歌詞、旋律が自然と口からこぼれ出る。
「もうすぐ、かな……。火焔……ごめん……」
その時。
「……はい!というわけで今回はお見合いの模様をお届けしました!
お見合いの参加者にはデートチケットが配られるそうです。よかったですね~。」
「……はい!というわけで今回はお見合いの模様をお届けしました!
お見合いの参加者にはデートチケットが配られるそうです。よかったですね~。」
突如テレビの電源がONになり、プログラムが映し出される。
どうやら先日行われたお見合いの中継番組らしい。
どうやら先日行われたお見合いの中継番組らしい。
「お見合い、か……確か僕も……」
薄れゆく景色の中で記憶をたどる青狸。
「そうだ!まだこれがあったじゃないか!」
あわててドアを開ける。外の空気は冷たいが心地よい。
薄れゆく景色の中で記憶をたどる青狸。
「そうだ!まだこれがあったじゃないか!」
あわててドアを開ける。外の空気は冷たいが心地よい。
「僕としたことがこれくらいのことでまいっていたなんて・・・・・・。
火焔に合わす顔がないなー。」
火焔に合わす顔がないなー。」
「もう悩むのはやめだ。次のお見合い、それに全力を注ぐ、のみ!」
次回、VS結城火焔inお見合い、ご期待ください。
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