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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/バイト生活/Part03 - (2010/01/31 (日) 14:08:43) の編集履歴(バックアップ)




バイト生活 3日目

今日はバイトが休みだ。
だが、午前は補習があるため、補習に行かなければならない。

「んじゃ、行きますかねー」

珍しく早めに起きることができたため、上条は余裕をもって学校に向かう。
学校に向かう途中、通りすぎたコンビニで見覚えのあるビリビリが立ち読みをしていたような気がするが、見なかったことにした。

(そういや、ここ最近毎日ファミレスに来てるよなぁ)

よほど暇なのかな。と適当に結論づけて、学校へ。
途中、犬に追っかけ回されたり(結局噛まれた)などの不幸もあったが、ギリギリ間に合った。

「カミやん、毎度のことながらギリギリだにゃー」
「うるせー。どうせ俺はいつも不幸ですよーだ」

教室に入ったら土御門が嫌味(上条にはそう聞こえた)を言ってきたので適当に返しておく。

「カミやん、バイト始めたんやって? ほな今度応援しにいってあげよか~?」
「お前らの場合は冷やかしだろーが」
「はいはい。それでは補習を始めますですよー。さっさと席についてくださいねー。上条ちゃん?」
「はい……」


AM11:55

そんなこんなで補習は終わって。
土御門と青髪ピアスとの義妹だのバニーだのメイドだのの言い争いからの殴り合いを終えた帰り道。
青髪ピアスは途中でどっかに行き。
土御門は「舞夏が俺を呼んでいるにゃー!!」と、なんかの電波を受信したのかどこかへ去って行った。
それで、ついついファミレスの方へ進みそうになった足を自宅へと軌道修正して歩いていたら。

(なんでまた俺は追われてんのー!?)

朝、激闘繰り広げた犬が獲物を見つけた眼をして追っかけてきていた。
当然、犬の方が速いに決まっているので、みるみるうちにその差は縮まって。

(また噛まれるー!?)

そう思ったとき。
突然犬が急ブレーキをして、来た道を逃げるように走っていった。
訳がわからない上条は疑問に思いつつも、犬が去っていった方を見ながら呟いた。

「な、なんかわからんが助かった………」
「アンタは、毎度のことながら不幸なわけね」

(あ、新たな不幸が聞こえる……。聞こえていないことにしよう)

背後から聞こえた声に気づいた上条は聞こえていないフリをして、声の聞こえた方向から遠ざかるように歩きだす。

「ア、アンタは……助けてもらったっていうのに私を無視するのかーっ!!!」
「す、すいませんでしたぁー!!!」

当然怒った美琴は電撃を上条に向けて放つ。
上条は咄嗟に後ろを振り向いて右手で電撃を防いだ。

(えーい! 今日の上条さんは不幸だからこの場から逃げ出させてもらいますっ!!)

電撃が収まったころを見計らって、上条は美琴の横を走り抜ける。
突然のことに美琴は驚くが、すぐに我にかえって上条を追い掛ける。

「なっ。なんで逃げるのよーっ! 待てコラァ!!」
「そんな電撃をバッチンバッチンいわせている人が後ろにいるのにこれが逃げずにいられるかぁー!!!」
「うっさい! アンタが悪いんでしょーがぁ!!」
「ふっ…ふこぉだぁぁぁぁぁ!!!」

また騒がしい追いかけっこが始まった。


PM12:26

結局、体力が先に尽きた上条が追いつかれて、怒りの電撃を致死量以上浴びせられて追いかけっこは終わった。(もちろん右手で防いだ)
現在二人はグッタリしながら街を歩いていた。
昼ご飯も食べていない状態で走り回ったので、当然のことながらお腹が減っていた。

(はー。ファミレスを覗いてみたらコイツがいなかったから探してみたら犬に追われてるわ。助けたら助けたのに無視するわで、なんだか骨折り損な気がしてきた……)

「そういや、犬に追われてるの助けてくれたんだっけ? サンキュな」
「ぇ、あ、うん」

お礼を言われると、たったそれだけで今日したことがよかったと思えてくる。
そこでふと、疑問に思って。

「ってか、わかってたならなんで無視して逃げたのよ?」
「ぅ。…それはですね。なんだか不幸な予感がしたからなんですよ」
「ほう……私が来たら不幸だと、そういうことね……」

再び電撃をバチバチいわせはじめた美琴をみて、上条は慌てる。

「いぃ!? い、いやいや! 決してそういうわけではなくてですね!? なんといいますか、とにかくすいませんゴメンナサイぃー!!!」

一発、でっかいのお見舞いして、少し気が紛れた美琴は、何事もなかったように。

「あー。お腹空いたからどっかで食べましょ」
「そ、そうですねー」

少し歩いて、ファストフード店を見つけた二人はそこで昼食をとることにした。


PM13:19

二人が昼食をとり終えてファストフード店から出ていくと、背後から声をかけられた。

「あれ? 御坂さん?」
「御坂さんじゃないですか!」
「初春さんに佐天さん!?」

美琴に声をかけてきたのは初春と佐天だった。
上条は二人と面識はないが、以前会ったことがあるかもしれないので、迂闊に喋ることができない。

「御坂さん、その男の人は誰ですか? もしかして、彼氏ですか?」
「ちっ……違うわよ! コイツとは腐れ縁ってだけで別に何も……」

佐天の言葉を大慌てで否定する美琴。
ただ、終わりの方は声が小さくなっていて聞き取りにくかった。
その反応をみて、初春と佐天は直感する。

(これはまさか……?)
(もしかして、もしかすると!?)

上条はどうしたらいいのか困っていた。
困っていると、初春から質問が飛んできた。

「名前はなんですか? あ、私の名前は初春飾利っていいます」
「ん? 俺の名前は上条当麻だ。よろしくな」
「あ、私は佐天涙子っていいまーす」

自己紹介を終えた初春は顎に手を当てて悩んでいる。
今度は美琴がどうしたらいいのか困っていた。
初春や佐天がいる手前、いつも通りのことはなかなかやりにくい。
そんなことで迷っていると、初春が手の平に握りこぶしを縦に置いて言った。

「思い出しました! 以前、虚空爆破(グラビトン)事件のとき会いましたよね!?」
「へ? ……あ、ああー。あの時か」

上条は驚いていた。
さっきの会話の流れだと、初対面だと思っていたから。
初春がグラビトン事件のことを思い出しながら喋っているのを聞いておく。
美琴は見逃さなかった。
一瞬、上条の顔が驚きに染まったことを。
その驚きは、あの時とは真逆の、『隠していたこと』が明るみにでた驚きではなく、『知らないこと』を突き付けられた驚きだということ。
そのことを理解すると同時に、美琴の心は衝撃を受けていた。
初めて出会ったときのことは覚えていない。
河原で戦ったことは覚えていない。
妹達のことは覚えていて、グラビトンは覚えていない。
あやふやだった境界線が、僅かにはっきりした。

「御坂さん? どうかしたんですか?」
「え? あ、いや。なんでもない、なんでもないわよ」

佐天に指摘されて、我にかえる美琴。
どうやら衝撃の事実で固まってしまったらしい。
だが、その事実を知った美琴は行動するのが早かった。

「アンタ、ちょっとこっち来なさい!」
「は? ちょ、お、おい!? 御坂!?」

美琴は上条の手を引っ張ると走り去っていった。
突然の事で取り残された初春と佐天は頭の上に?を浮かべるだけだった。


PM13:45

上条と美琴はかなり走った後、河原に来ていた。
この場所は、過去に二人が戦った場所でもある。
上条は覚えてないが。
思ったよりも人は少ないため、重要な話をしても大丈夫だろう。と美琴はふんで。

「お、おい! 突然なんなんだよ?」
「アンタ、一体いつからなのよ」
「は? 何を言ってーーー」
「とぼけんじゃないわよ! さっきの表情をみてたら、アンタがグラビトンのことを覚えてないことくらいわかるわよ」

上条の顔が驚きに染まる。
だが、すぐに戻して。

「何言ってんだよ。覚えてるよ」
「へ?」

上条は、そう言って嘘をつく。
そして、今さっき初春から聞いていたことを喋っていく。
美琴は最初は驚いたが、すぐにその可能性にたどりついた。
それならば、あのことは知らないはずだ。と思って。

「なら、最後の爆発を防いだのは誰か、覚えてる?」
「は? お前、だろ?」

その答えをきいて、確信した。

「違うわよ。アンタが防いだの」
「ッ!?」
「初春さんは私が防いだと思ってるから仕方ないけれど、防いだ本人であるアンタが間違えるのはなんでかしら?」
「あ、いや、これは……」

上条は完全にうろたえている。
漫画なんかに出てくる証拠をたたきつけられた犯人みたいだ。と思う。
美琴は一度息を吐き出して。

「もう一度聞くわよ。一体、アンタはいつから記憶がないの?」
「………言わない」
「……じゃあ、質問を変えるわ。私とアンタが、アンタの記憶で初めて会ったのはいつ?」
「………言わない」

美琴は頑固として言おうとしない上条にイライラをつのらせる。

「言いなさいよ」
「…言わない」
「なんで言わないのよ」
「……気にするなって、言っただろ」
「っ私は! 気にするなって言われてそのまま気にしないでいられるほど人間できちゃいないわよ!!!」
「ッ!」 

しばらくして、上条は諦めたのか、ポツリと言った。

「………俺がお前と初めて出会ったのは、自販機の前だ」
「やっと言ったわね……」

美琴はそういいながら、記憶のなかから妹達とグラビトンの間の期間で自販機の前で会った時を探す。
そして、該当する記憶を見つけた時、美琴は驚いた。

(何よ……。第一位と戦った1日前じゃない! この馬鹿は、会ってすぐの人の為にあんなにボロボロになったっていうの!?)

美琴は上条のお人好し加減に呆然としたが、気をとりなおしてすぐに次の疑問をぶつける。

「じゃあ、いつ記憶喪失になったの?」
「それだけは言わない」

上条はこれだけは譲れなかった。
言えば、きっと魔術側に巻き込むことになる。
わざわざ巻き込もうなんてどうしても思えなかった。

「なんでよ?」
「絶対に言わない」

これだけは絶対に言わないという意志をみせられて、美琴は聞き出すのは不可能だと判断した。
なので、別の疑問をぶつける。

「……わかったわよ。それなら、原因は?」
「………知らない」
「…そりゃそうよね」

原因は医者から聞いていたので、大体は知っているが、言わないでおく。
美琴は、最も気になっていた疑問をぶつけることにした。

「…………治るの?」
「………ああ」
「…………」

上条は嘘をついた。
上条自身、これは治らないものだと思っていたから。
美琴は、上条が嘘をついていることにすぐにわかった。
治るなら、既に治しているはずだから。
同時に、腹が立った。
どれだけ問い詰めても周りを傷つけないスタンスを崩さない上条に対して。
だけど、それ以上に。
上条から頼られる存在になれていない自分に対して腹が立っていた。
だけど、美琴は何も言わなかった。
長い、沈黙の時間がやってくる。
10分以上は経った頃、美琴は深呼吸をして、一度伸びをした。

「もういいわよ。アンタが絶対にその態度を崩さないことはわかったから」
「…………」
「だけど、これだけは言っておくわよ。私は、いつだってアンタの力になりたい
って思ってる」
「………ありがとな」
「辛いことや苦しいことがあったらいつでもこの美琴センセーに相談しなさい。……ま。アンタはそれでも相談しようとしないんだろうけどねー」
「………はは。なんか、何でも知られてるな」
「あったり前よ。私を誰だと思ってるわけ? 超電磁砲の御坂美琴よ?」
「……おみそれしました」
「ふぅ………さーって! 辛気臭い話はこれで終わりっ! ………どこ行きたいっ?」

上条は、美琴が強がっていることに気づいていた。
だけど、それは自分を思ってのことだから、何も言わないでおいた。

「そうだな。……ゲーセンでも行くか」
「…私は強いわよ?」
「返り討ちにしてやるよ」
「言ったわね? その言葉、そっくりそのまま返してあげるわよ」


PM14:38

「なかなかやるじゃない…!」
「お前こそ…!」

2人は今レースゲームで白熱していた。
格闘ゲームでは上条が、パズルゲームでは美琴が勝利して1勝1敗となっている。
現在二人の車は並走している。
全くの五分だった。
二人の車は最後のコーナーを曲がり、残るは直線。
ここでも全く差はなく、五分五分だった。

「私が勝つ!」
「いや、俺が勝つ!」

そして、二人の車はほぼ同時にゴールした。
いつの間にか集まっていたギャラリーの誰かがおおっ!と声をあげる。
結果発表の場面に切り替わる。
上条も、美琴も、観客もゴクリと唾を飲み込んだ。
そして、タイムが表示された。


0、04秒差で美琴の勝ちだった。

「よっしゃぁぁぁぁああ!!」
「なっ!? なんだとぉぉぉぉぉ!!?」

美琴は拳を上に突き上げて勝利の余韻に浸る。
上条は床に手をついてうなだれていた。

「私の勝ちね~♪」
「……くっ! 負けは負けか……。ほらよ、千円だ」
「ありがと~♪」

美琴は上機嫌で千円を受けとって財布の中へと入れる。
上条は所持金が減ってまた寂しくなりはじめた財布を悲しげに見つめていた。
負けたら千円を渡すという賭けに上条は負けたのだった。

「次はなにやる?」
「……少し疲れたから、適当に見て回ろうぜ」
「そうね~。そうしよっか」

二人はゲーム機器が置いてある地帯からUFOキャッチャーが置いてある地帯へ移動することにした。
アイスだったり、スナック菓子だったりと、様々なものがある。
当然、そこには美琴が好む可愛いぬいぐるみも置いてあるわけで。

「あ、コレ可愛いー!」
「ん? 猫のぬいぐるみか」
「なんかこのツンツンしたところがアンタみたい」
「俺を猫のぬいぐるみと一緒にすんな」
「でも、ほら! 黒いし、ツンツンしてるし……」
「あーはいはい。欲しいなら取ればいいじゃねえか」
「……そうね、ちょっと両替してくる。……そこから離れないでよ!」
「あいよー」

上条は美琴が両替をしにいくのを見送って、猫のぬいぐるみに視線をうつして、思う。

(あいつホントにこういうの好きだよなぁ……。にしても、これ俺に似てるか? まあ、ツンツンしてて黒いところは似てるかもしれないけど……って、それじゃあ認めたと一緒じゃねーか! 違う! 断じて違うぞ! この猫のぬいぐるみがこの俺と似ているなんて認めんぞ! ……うっ、見てれば見てるほど似てるような気がしてきた……。はっ! ま、惑わされるんじゃない上条当麻! これはこの猫の作戦だあああ!!)

「アンタどうしたの? なんか苦しそうな顔しちゃって」
「うぉぅ!? い、いや、何でもない。何でもないぞ……」
「……まあいいわ。さぁーって! 取ってやるわよーっ!」

美琴は腕まくりをして、200円を投入する。
キャッチャーを猫のぬいぐるみの頭上に持って行く。失敗。
再び投入。失敗。
三度投入。失敗。
その後数回繰り返す。全部失敗。

「うがーっ! なんで取れないのよーっ!! ……こうなったら能力を使って……」
「ズルすんなよ」
「…う~っ。じゃ、じゃあアンタがやってみなさいよ! お金は私が出してあげるから!!」
「……仕方ねぇなー」

選手交代。上条は200円を投入。失敗。
再び投入。成功。
美琴は呆然とそれをみて。

「な、なんでアンタはそんなに上手いのよ……」
「ん? いや、お前が何度もやってたから、ぬいぐるみもいいとこまでは動いてたぞ?」
「……なんだか負けた気分だわ」
「はっはっは。それなら千円を返してくれると助かる」
「今ので使っちゃったけど?」
「……不幸だ。………そうだ。これ、お前のものだろ、このぬいぐるみ」
「あ、ありがと……」

美琴はぬいぐるみを受け取ると。ギューっと抱きしめる。

「うん。やっぱり可愛いわねー。ってどうかした? ちょっと顔赤いけど」
「いや、なんでも……」
(あのぬいぐるみが俺の化身にしか見えない……。なんだか俺が抱きしめられてるように見えて……って待て待て待て! これ以上は考えてはならん! ならんぞ上条当麻!! 代わりたいとか考えてはダメだ!! む、無心になるのだあああああ!!)

美琴はというと、幸せいっぱいな気分だった。

(アイツに取ってもらったアイツそっくりの猫のぬいぐるみ……。大切にしなきゃね)

そう思って、再びギューっと抱きしめる。
それを見た上条はすぐに目を逸らす。
上条は見てられないと思い、話題でも変えることにした。

「次はどこにいく?」
「うーん、どこでもいいわよ? あ、でもこの子を置いてきた方がいいかなぁ」
「ん? それなら今日はもう帰るか?」
「………アンタは帰りたいわけ?」
「いやー、どっちでも。ただ、また戻ってくるのが面倒だなーと」
「じゃあ、別の場所に行けばいいでしょ」
「別の場所ねえ……。どっかあるか?」
「うーん……。この際だから買い物でもいかない?」
「買い物、ねえ。まあ、別にいいか」


PM16:19

「か、買い物って、食料じゃないんだな……」
「私のトコは夕飯は出るんだから買ったって意味ないでしょ」
「あー、そうですか。それで」

二人は一度常盤台の寮に寄って、(上条は外で待ってた)ぬいぐるみを置いてきた。
そして今二人はアクセサリーショップに来ていた。

「なんでアクセサリーショップに来てるんでせう?」
「……ぬいぐるみを取ってくれたお礼をしに」
「…いや、あれはそもそもお前のお金じゃねーか。お礼する必要ないだろ」
「私がするって言ってんだからいいの」

美琴はそういうと上条の手を引っ張って中へと入っていく。
入って数分後。

「あ、これ可愛い! あ、これも可愛い! あ、あれも可愛い!」

美琴はゲコ太など可愛いもの系が多くあるコーナーを見つけて片っ端から見ていた。

「……来た目的忘れてないか?」
「ぇっ!? い、いいいいや。そ、そそそそんなことないわよ!」
「めちゃくちゃ動揺してんじゃねーか」
「ぅ……え、選んでるのよ! そう、選んでる!」
「あー、さいですか」
(俺にどんなものを買うつもりなんだ……)
「ね、ねえ!」
「ん、なんだよ? ……ってこれは」

美琴が上条の服の裾を引っ張りながらとある一点を指差している。
そこにあるのは、先ほどの猫のぬいぐるみの携帯ストラップ版だった。

「さっきのぬいぐるみのやつか」
「…………これにしていい?」
「は?」
「アンタへのお礼、これにしていい?」
「………却下」
「よし! じゃあ買ってくるわね」
「人に聞いといて無視かよ!?」

美琴はストラップを買いにレジへ。
少しして、美琴はすぐに戻ってきた。

「ほい。買ってきてあげたわよ」
「俺却下って言ったじゃねえか…」
「何か文句ある?」
「大ありなんだけど……。まあいいか」
「じゃあ、さっさと付けちゃいなさい」
「へいへい」

二人はアクセサリーショップから出て。
上条は携帯を取り出してストラップをつける。

「あ、そういえばアンタ、携帯をまた変な設定にしてんじゃないでしょうね?」
「ん? 多分大丈夫だと思うけど」
「ちょっと貸して」

美琴は上条から携帯を奪い取ると操作を開始。
少しして、上条に携帯が返された。

「ちょっと変な設定だったから直しといたわよ」
「お、そうか。サンキュな」
「にしても、見れば見るほどアンタにそっくりよね。その猫」
「うっ……。否定できない自分を殴りたい」
「…壊したら承知しないわよ?」
「………頑張ります」
「よろしい」

二人は猫のストラップを少し見て、その後上条はポケットにしまう。
行き先も考えずに歩く。

「で、次はどっかいくのか?」
「ん~。今日はもう帰ろうかな」
「そっか。じゃあ、送ってくよ」


PM16:51

二人は常盤台の寮に向かって歩いていた。
他愛ない会話をしていると、寮が近づいていた。

「それじゃ、ここでいいわよ」
「ああ。じゃあな」

二人はお互いに手を振って、それぞれ帰路についた。

(ぬいぐるみとストラップっていう違いはあるけど、同じ猫だし、お揃いってことよね。……ますます大切にしなきゃね。……アイツはちゃんと大切にしてくれるかな)

(ホントに、俺に似てる気がするなあ、コレ。御坂はなんでまたこれを選んだのかわからねえけど、もらったもんだし、大切にはしないとな)


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