小ネタ こっちのが危ない
「当麻ー次はどれ乗る?」
「待て待て、そんなに慌てなくても乗り物は逃げませんことよ!」
「せっかくなんだからいろいろ乗りたいの!それに…」
(久しぶりのデート、2人っきり…思いっきり楽しまなきゃ損だ)
「それに?」
「なっ何でもないわよ…ほら行くわよ!」
恥ずかしくなって彼の手を取りぐんぐん進んでいく。
前方不注意。
「美琴っ…!」
「えっ!?」
後ろに引っ張られて――気が付いたら抱き寄せられていた。
「~~~!」
背中越しに伝わる彼の息遣い。
「危なっーこらこら、ちゃんと前向いて歩け」
彼はやれやれといった風で…ぶつかりそうになった相手に会釈している。
どうやら私は人にぶつかりそうになったらしい…。
「…………」
(それにしたって…)
頬が赤くなるのを抑えられない。
「…こっちのが危ないわよ」
不意に抱きしめられたことの方が、ぶつかるより危ないと感じる美琴さんでしたとさ。
(終)