その頃、クレイウーマンが造り出した特大粘土人形が暴れているのを攻撃範囲外から見ながら土御門は電話を受けていた、相手は初春である。
「成程、その魔術師は生け捕りにしろと。しかも顔は本人だと分かるように原型を止めておくんだな。つまり奴らのバックを暴こうって魂胆だな?」
『ええ。二人だけ、しかも明確な目的を持ってることからあの二人はどこかの魔術結社に属してるはずです。だったらついでに大元もって思いまして』
「いやはや初春ちゃんは本当に変わっちまったって実感させられるぜよ。まさか顔は駄目だけどそこ以外は何やってもいいって言うとは思わなかったにゃー♪」
『ち、違いますから! わ、私、そんなこと考えてませんから! じゃ、じゃあ着替え終わったら私たちもそちらに行きますから! シェリーさん、そっちは後で』
『ええ。二人だけ、しかも明確な目的を持ってることからあの二人はどこかの魔術結社に属してるはずです。だったらついでに大元もって思いまして』
「いやはや初春ちゃんは本当に変わっちまったって実感させられるぜよ。まさか顔は駄目だけどそこ以外は何やってもいいって言うとは思わなかったにゃー♪」
『ち、違いますから! わ、私、そんなこと考えてませんから! じゃ、じゃあ着替え終わったら私たちもそちらに行きますから! シェリーさん、そっちは後で』
途中で切れてしまった初春の電話、最後に何があったのか気になってしょうがない土御門だがそれは後回しにすることに。
同じく行動を共にしていた一方通行と月夜、土御門の会話からある程度の事情を察していた。
同じく行動を共にしていた一方通行と月夜、土御門の会話からある程度の事情を察していた。
「しかし初春ちゃんも無茶言うよね……。私達、何だかんだでそろそろ限界だよ?」
「ったく、ンなことならさっき御坂に電極の充電頼めば良かったぜェ。能力使用もあと五分が限界だぞ……」
「アクセラには黒系(黒翼や黒き悪魔の右腕のこと)があるだろ?」
「いかにも三下っぽい奴らに使うのは俺のプライドが許さねェが……まァ、いざとなったら使ってやンよ」
「ったく、ンなことならさっき御坂に電極の充電頼めば良かったぜェ。能力使用もあと五分が限界だぞ……」
「アクセラには黒系(黒翼や黒き悪魔の右腕のこと)があるだろ?」
「いかにも三下っぽい奴らに使うのは俺のプライドが許さねェが……まァ、いざとなったら使ってやンよ」
新入生達は何だかんだで彼らに色々と限界を与えていたようだ、伊達に全員がレベル4(ピンキリだが)では無かったらしい。
攻撃範囲外だからと油断していた土白と一方通行、しかし特大粘土人形が本能のままに飛ばしてきた人間大の大きさの粘土弾が容赦なく襲い掛かる。
攻撃範囲外だからと油断していた土白と一方通行、しかし特大粘土人形が本能のままに飛ばしてきた人間大の大きさの粘土弾が容赦なく襲い掛かる。
「うおりゃー!!」
飛んできた粘土弾に対し、白雪は氷の盾を作ってなんとか皆を守った。
だが、気を休める暇などなく、ドンドン放たれていく。
だが、気を休める暇などなく、ドンドン放たれていく。
「うぎゃー!!元春ぅ~!!なんとかしてー!!」
「今すぐ魔術師を見つけてやる。だから頑張ってくれ!!」
「頑張るしか選択肢は無かったの!?」
「今すぐ魔術師を見つけてやる。だから頑張ってくれ!!」
「頑張るしか選択肢は無かったの!?」
そう言いつつも、土御門にかっこよく応援されるとチカラがわいてくる。
白雪はかなり耐えたが、それでも限界は来る。
もう白雪がダメだと感じたその瞬間。白雪の視界に黒と白の塊が入った。
白雪はかなり耐えたが、それでも限界は来る。
もう白雪がダメだと感じたその瞬間。白雪の視界に黒と白の塊が入った。
それは一方通行の最終兵器、黒き堕天使のチカラを持つ一方通行の姿だった。
「ざけてンじゃねェぞォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
一方通行が粘土人形に右腕を叩きつけたその瞬間。
粘土人形は潰れた。
粘土人形は潰れた。
「ンだァ、随分とあっけねェな。図体がデカイだけじゃねェか」
「だといいがな、絶対に油断はするなよ。……とはいっても残ってるのはあの不細工な粘土の化け物を作った魔術師だけか」
「だといいがな、絶対に油断はするなよ。……とはいっても残ってるのはあの不細工な粘土の化け物を作った魔術師だけか」
特大粘土人形が潰れ、ひしゃげた状態で沈黙し、その後方に自分達の知らない人間(クレイウーマン)の存在を確認した土御門。
脅威だった特大粘土人形がピクリとも動かないことを確認した土白と一方通行、用心しながらグラウンドに降り立った。
脅威だった特大粘土人形がピクリとも動かないことを確認した土白と一方通行、用心しながらグラウンドに降り立った。
(自分の切り札がやられたってのに何であの女は余裕を崩さない? まだ終わっていないのか? それとも)
「後はあの女をブッ倒しゃあいいンだろ? 一気に間合いを詰めて終わらせてやンぜ!」
「後はあの女をブッ倒しゃあいいンだろ? 一気に間合いを詰めて終わらせてやンぜ!」
足元のベクトル変換を使い、クレイウーマンの元へと疾駆しようとしたその時、何の前触れも無く黒色の小袋が出現した。
クレイウーマンの余裕、それともう一人の魔術師の存在を繋ぎ合わせた土御門が一方通行を制止しようとしたが、一方通行は構わず小袋を引き裂いてしまう。
クレイウーマンの余裕、それともう一人の魔術師の存在を繋ぎ合わせた土御門が一方通行を制止しようとしたが、一方通行は構わず小袋を引き裂いてしまう。
「アァ? ただの粉が入って……な、何だァ、きゅ、急に眠気が……っ。クッ、クソがァ……」
「あ、アクセラ、く、くん……。も、元春、ご、ゴメン、ね。私も、ちょっと、だ、ダメみたい……」
「あ、アクセラ、く、くん……。も、元春、ご、ゴメン、ね。私も、ちょっと、だ、ダメみたい……」
黒色の小袋に入っていたのは魔術で作られた特製の眠り粉で、疲れもピークな月夜、反射の設定を失念していた一方通行はモロに吸い込み眠ってしまった。
土御門だけは咄嗟に口と鼻を塞いだが、それでも眠り粉を少し吸い込んでしまい思考がおぼつかない状態に。
土御門だけは咄嗟に口と鼻を塞いだが、それでも眠り粉を少し吸い込んでしまい思考がおぼつかない状態に。
「成程、さすがは土御門元春といった所か。そこで眠ってしまった二人よりは危機回避能力は高いな」
(声だけしか、き、聞こえねぇ……。これはおそらく隠密術式……。だから小袋の存在にも気付けるのが遅かったってのか……くそっ! こんなことならねーちんか建宮を)
「ところであそこでひしゃげてる粘土人形だがな、あれでは完全に活動停止には至らないぞ。ほぅ、もう動き出すか。ならば俺は避難するとしよう」
(声だけしか、き、聞こえねぇ……。これはおそらく隠密術式……。だから小袋の存在にも気付けるのが遅かったってのか……くそっ! こんなことならねーちんか建宮を)
「ところであそこでひしゃげてる粘土人形だがな、あれでは完全に活動停止には至らないぞ。ほぅ、もう動き出すか。ならば俺は避難するとしよう」
眠りこそしないが意識が混濁し始めてる土御門が見たもの、それは潰れている粘土の塊がグニョグニョと蠢き再び活動を始めようとする特大粘土人形の姿だった。
そして粘土人形は巨大な腕をしならせて土白、一方通行へと振り下ろすが、
そして粘土人形は巨大な腕をしならせて土白、一方通行へと振り下ろすが、
「ふうっ、何とか間に合ったわ。さっきの粘土人形よりもでかい上に不気味なんてやってやれないわね。超電磁砲でも完全に塵に出来るかどうか……」
美琴の超電磁砲が腕を跡形も無く消し飛ばしたので事無きを得るが、すぐさま腕は再生した。
土御門は助かったことを幸運に思うが、隣にいる当麻の不自然すぎる姿に、
土御門は助かったことを幸運に思うが、隣にいる当麻の不自然すぎる姿に、
「待たせたな土御門! 満を持して上条さんと美琴が助けに来ましたのことよ!」
「満を持してじゃねーだろーーーーーーーーっ! 何ぜよカミやんの顔や首筋に付いてるキスマークはーーーーっ!」
「満を持してじゃねーだろーーーーーーーーっ! 何ぜよカミやんの顔や首筋に付いてるキスマークはーーーーっ!」
眠り粉による眠気も吹っ飛ぶほどの力強いツッコミを入れてしまうことに。
当麻を初めて目の当たりにしたクレイウーマンは思った、あんなのが自分達の最優先の標的の幻想殺しなのかと。
当麻を初めて目の当たりにしたクレイウーマンは思った、あんなのが自分達の最優先の標的の幻想殺しなのかと。
「ん?何かおかしいところでもあるか?」
「あるわボケェェェェえええええええええええええええええええええええい!!!!
どこにキスマークつけてやって来る戦友がいるぜよ!?」
「???いや、俺たち怒り狂ってたから落ち着こうと思って全身にキスマークつけてただけだけど?
あっ、ちなみに唇で激しいのもしたし、美琴の全身にも……」
「んなこと誰も聞いてないぜい!!さっさと右手で月夜とアクセラの頭触って起こせ!!」
「わかった」
「そうはさせるか!!」
「あるわボケェェェェえええええええええええええええええええええええい!!!!
どこにキスマークつけてやって来る戦友がいるぜよ!?」
「???いや、俺たち怒り狂ってたから落ち着こうと思って全身にキスマークつけてただけだけど?
あっ、ちなみに唇で激しいのもしたし、美琴の全身にも……」
「んなこと誰も聞いてないぜい!!さっさと右手で月夜とアクセラの頭触って起こせ!!」
「わかった」
「そうはさせるか!!」
どうやら上条の右手で触れたら二人は起きるらしく、クレイウーマンは特大粘土人形に粘土弾を放たせる。
だが上条の右手でそれは散る。
だが上条の右手でそれは散る。
「クソォ!!まだ時間がかかると言うのに!!」
何の時間かは知らないが、また粘土弾が飛んでくる。これでは上条は進めず、相手の何かを叶えさせてしまう。
美琴も美琴で、電撃で粘土弾に攻撃している。
上条達ピンチである。
美琴も美琴で、電撃で粘土弾に攻撃している。
上条達ピンチである。
一方の校舎内、こちらでは一つの終わりを迎えようとしていた。
そう、新入生達による襲撃が彼らの完全壊滅という形で終了しそうな勢いなのだ。
そう、新入生達による襲撃が彼らの完全壊滅という形で終了しそうな勢いなのだ。
「ふー、ここのフロアの襲撃者さん達もこれ以上襲ってくる心配は無さそうね。ご苦労さま黒子ちゃん。そっちのあなたもよく耐えたわね」
「私がしたのは単に動けなくなった彼らを気絶させただけですの。本当の功労者は制服を恥ずかしい程度に切り刻んだ浦上様ですわ……」
「ボクも何かしたわけや無いですよ、ホンマ。むしろ目の保養に半分はなったわけですし。それよりもボクは浦上はんともっゲフッ!」
「私がしたのは単に動けなくなった彼らを気絶させただけですの。本当の功労者は制服を恥ずかしい程度に切り刻んだ浦上様ですわ……」
「ボクも何かしたわけや無いですよ、ホンマ。むしろ目の保養に半分はなったわけですし。それよりもボクは浦上はんともっゲフッ!」
新入生達の完全壊滅の立て役者とも呼べる活躍を見せたのは黒子、青ピ、浦上。
とはいっても青ピは戦ったわけではなく、女子のセミヌードだけを脳内に焼き付けていたに過ぎない(黒子の制裁は覚悟の上で)。
とはいっても青ピは戦ったわけではなく、女子のセミヌードだけを脳内に焼き付けていたに過ぎない(黒子の制裁は覚悟の上で)。
「さて、これで残りも少なくなってきたことでしょう。浦上様、次はどのようになさいます?」
「とりあえず下に降りながら考えましょう(外ではおそらく上条さん達が魔術師との戦闘をしているはず。この二人は近づけないようにしないとね)」
「うおっ! な、何やのこの人間の山は! しかも男も女も関係無く延髄に内出血の跡が! いったい誰がこない酷いことを……」
「とりあえず下に降りながら考えましょう(外ではおそらく上条さん達が魔術師との戦闘をしているはず。この二人は近づけないようにしないとね)」
「うおっ! な、何やのこの人間の山は! しかも男も女も関係無く延髄に内出血の跡が! いったい誰がこない酷いことを……」
一階に降りて来て青黒、浦上は大いに驚いた、何せ新入生達がピクリとも動かずに倒れているのだから。
三人が驚く中、この事態を引き起こした張本人から声がかかる。
三人が驚く中、この事態を引き起こした張本人から声がかかる。
「あれ、○○くんにその恋人の黒子さん。それとそちらの女性は初めて見ますがお二人の知り合いですか?」
「あ、ああ、こちらは黒子はんの寮の寮監補佐の浦上さんや。せやけどどないしたん? 井ノ原弟。そない丁寧な口調になるなんて」
「そんなに気にして頂かなくても平気です。ただ少しだけ怒っているだけですから。それにしても皆さん無事で本当に良かったです」
「あ、ああ、こちらは黒子はんの寮の寮監補佐の浦上さんや。せやけどどないしたん? 井ノ原弟。そない丁寧な口調になるなんて」
「そんなに気にして頂かなくても平気です。ただ少しだけ怒っているだけですから。それにしても皆さん無事で本当に良かったです」
マジ切れモードの真夜にキョトンとする黒子と浦上、彼の変わりようというか心配してきたことに妙な勘ぐりをしたのは青ピだった。
(……なんや、このいつも以上の優しさは? 井ノ原弟、一体何を企んどんのや?)
「ところで理后さんはどこに居ますか? 新入生の方々がどれだけ健在なのか知りたいと思いまして」
「滝壺はんとは屋上で別れたきりやから今はどこにおるか分からんなぁ。もしかしたら浜やん、半蔵はん、郭はんと一緒かも知れへん」
「半蔵くんと郭さんには会いましたが理后さんと一緒に居ませんでした。ならば確実に仕上くんと一緒でしょうね」
「ところで理后さんはどこに居ますか? 新入生の方々がどれだけ健在なのか知りたいと思いまして」
「滝壺はんとは屋上で別れたきりやから今はどこにおるか分からんなぁ。もしかしたら浜やん、半蔵はん、郭はんと一緒かも知れへん」
「半蔵くんと郭さんには会いましたが理后さんと一緒に居ませんでした。ならば確実に仕上くんと一緒でしょうね」
青ピの情報を元に滝壺とコンタクトを取る為に浜面に電話をかけた真夜だが、
「もしもし仕上くんですか? お忙しい所すみません、真夜です。理后さんに聞きたいことが」
『真夜ってことは井ノ原弟か? 頼む助けてくれ! 今ちょっと滝壺と痴女に』
『だーれが痴女なのかにゃーん? はーまづらぁ。悪いんだけどさぁ浜面も滝壺も私も取り込み中なの、後にしてくれる?』
「いえ、お手数は取らせませんから理后さんに代わっ」
『真夜ってことは井ノ原弟か? 頼む助けてくれ! 今ちょっと滝壺と痴女に』
『だーれが痴女なのかにゃーん? はーまづらぁ。悪いんだけどさぁ浜面も滝壺も私も取り込み中なの、後にしてくれる?』
「いえ、お手数は取らせませんから理后さんに代わっ」
状況の掴めない会話のせいで当初の目的は達成できなかった。
仕方なく真夜は何となくの勘で体育館を目指すことに。
仕方なく真夜は何となくの勘で体育館を目指すことに。
「では僕はもう行きます。皆さんは保健室で休んでていて下さい。半蔵くんと郭さんもそこに居ますから」
体育館に向かう間、真夜は電話に出た女性の声に聞き覚えがあると思っていたが、それは麦野も同じで真夜の声に聞き覚えを感じていた。