とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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 その頃、グラウンドでは上琴VSクレイウーマンの特大粘土人形のバトルが今なお展開されていた(土御門は月夜と一方通行を抱えて避難中)。
 グラウンドと一体化していることで度重なる美琴の雷撃を喰らっても、すぐさま再生というループの間もクレイウーマンは作業を進めていた。

(もう少し、もう少しよ! ハイドマンの時限術式と私の粘土人形の融合が完了する。そうすればこの高校を吹っ飛ばせる程の爆弾が完成する!)

 クレイウーマンが選んだ手、それは特大粘土人形とハイドマンの時限術式を組み合わせ、特大粘土人形型の時限爆弾を造り上げることだった。


(……後三〇秒。行ける。これは勝てる!!)

クレイウーマンがそう確信し、心の中でカウントダウンを始める。

(ニ五…………二〇…………一五…………一〇…………)

それが近づくにつれ、クレイウーマンは一種の快感を感じる。

……後五秒

……後四秒

……後三秒

……後二秒

……後一秒

そして………………………………………………………


全てが〇になる






はずだった。






「へ……?」

クレイウーマンは思わず間抜けな声を出してしまい、周りを見回した。
だがそこに変化は無かった。
一つ挙げれば、






それは一つの炎剣が、自分に向かって飛んでくる事だけであった。






「ふぎゃ!!」

クレイウーマンはまた間抜けな声を出して、気絶した。
だがその前に、

「……魔術師二人回収。全く、全部僕に押し付けやがって……。
…………まっ、あそこではこれが最良の選択だったけどね」

赤い髪をした男の、そんな声が聞こえた気がした。


ステイルの参戦によってあっけなく戦いが終わった。
上条たちは今までの苦労はなんだったのかと思いたくなるが戦いが終わったと思った瞬間、疲労感が押し寄せてその場に座り込んでしまいそれ所ではなかった。

「まったく、シェリーのゴーレム『エリハル』を倒したことのある君らなら、こんな下っ端魔術師二人くらい簡単なはずだろうに」

魔術師を簡単に捕まえて見せたステイル。だが彼の顔色も少し悪い気がするのは気のせいか?と思う上条たち

「にゃー助かったにゃーステイル。ワイら全員バテバテでカミやんたちの防御で手一杯だったんぜよ」
「それは君たちの姿を見れば一目瞭然だね、いったい何をすればここまで疲労が溜まるんだい?」
「そりゃーあれだけの数の新入生たちを相手にした後での連戦なんだ。疲れるのは当たり前ではないでせうか?」
「新入生?どういうことだい上条当麻」
「言いたくない!」
「な、言いたくないだと?」
「そりゃーいいたくないわよね。新入生全員・・・理由はどうあれ、当麻たち狙いで入学して来てるんだもんね。しかも大半がレベル4の能力者たち」
「・・・そんな理由で?魔術師が侵入してきたにもかかわらず新入生の相手をしていたと!?」
「そんな事言ったってナァ、闇咲の野郎に学校から出るなと釘刺されてたんだァ」
「先生として釘を刺していった言葉を無下にして、君は出る事ができるのかな?ステイルくん?」
「うくっ・・・反論できないね」

そう言葉を交わした後、ステイルの体が揺れた。

「にゃ?どうしたステイル?」
「ウゥ、ちょっとここへ来る前に血を流しすぎたみたいだ」
「「「「血?」」」」

上条たちは訳が分からなかった。
ここへ来る前にいったいどうしたら血を流しすぎる事態になるのだ?と。白雪以外は

「あ、そういえばステイルくん鼻血はもう大丈夫なの?」
「な、何故君がそのことを?」
「にゃー月夜?どうゆうことぜよ?」
「あれ?言ってなかったっけ?一方通行と合流したとき、私が初春さんに電話していたじゃない」
「アァ、そういやァそうだったなァ。アン時は上条たちの家に術式が仕掛けられたっつう事でイッパイだったからなァ」
「うん、そうそう。てあれ?上条くん?美琴ちゃん?なんだか顔が怖いんだけど?」
「ちょっと、私たちの怒りを魔術師たちにぶつけてないなあと思ってね♪」
「美琴、あいつらが目覚めてからで良いじゃないか。そのほうがすっきりする♪」
「それもそっか♪」

二人はとてつもなく笑顔だった。
笑顔だったのだが二人の笑みにはどこか黒味が混じっているように感じられたのである。
一同は魔術師二人に視線を向けながら

*1))

とはき捨てる思いをぶつけるのであった。

「ア、ゴメンナサイ、話の腰折っちゃって♪」
「アア、すまん白雪、話を続けてくれ♪」
「う、うん。(コワイヨ二人とも)」
「で、月夜。あのときの電話のとき、まだ何かあったのかにゃー」
「えっとね、初春ちゃんの最後の言葉でね『ステイルさん大丈夫ですか!?鼻血がものすごく出て』ていってたの。だから大丈夫なのかなって」
「う、そ、それは・・・・・・」

ステイルは鼻血を出した状況を思い出したのか慌てふためいている。

「(これは面白そうだにゃー!)そういやー初春ちゃん着替えてからこっちに来るって言ってたぜよ。月夜ーっ、他に気になる事言ってなかったかにゃー」
「そういえば神裂さんの声が聞こえたんだけど」
「神裂ねーちん?何を言ってたにゃー」
「確か初春ちゃんのゴスロリがどーとか」
「ゴスロリ?(シェーリーが着せたのかにゃー)待てよ、確か教会にはインデックスも一緒だったはず、まさかステイル!インデックスの着替えた姿に」
「おーい、すている、やっと追いついたんだよ」

土御門の推論を口にする前に当の本人インデックスが協会待機メンバーと一緒に姿を現した。
インデックスはゴスロリ姿のままで。


「す、すまない、インデックス……。け、けど何だかんだで事態は一刻を争っていたからね。お詫びは後でちゃんとするから……」
「ステイル、隠密術式を使う魔術師の居場所を突き止めた私への感謝の気持ちは無いのですか?」
「……あのな神裂。確かに隠密術式をすぐさま見破ったことは感謝してる。けどね、奴の始末を僕に押し付けた君が言うことじゃないだろう!」

 ゴスロリ姿のインデックスを直視できずに顔を赤くしているステイルを見た当麻達は全員が事情を察し、ステイルをニヤニヤと見つめていた。
 インデックスのやや後方には初春、彼女を守る為にベッタリ状態の神裂とシェリーが居た。

「それは仕方の無いことです。私にとってはその魔術師を倒すことよりも飾利の護衛の方が遥かに大事なのですから」

 ステイルの質問に対する神裂の答えが予想通りだったことに当麻達は半ば呆れ、初春は照れながらも苦笑いをしていた。
 ちなみにハイドマンとクレイウーマン、自分達の使用する魔術は中々のレベルだが個人の戦闘能力はかなり低い、ゆえに下っ端扱いなのである。
 シェリーは静止している特大粘土人形を見上げ、機嫌が悪そうに当麻に頼みごとをする。

「おい幻想殺し。この芸術センスの欠片も無い粘土細工、てめぇの右手でさっさと壊せよ。いつまでもこのままってわけにもいかないだろ?」
「あー、それもそうだな。けどコイツ、いきなり動いたりしないよな? シェリーのゴーレムのように自動制御されてたりとか」
「自動制御なら今もまだ動いてるはずさ。大方自動制御の術式を組み込んでなかったんだろ? まったく間抜けもいいところだよ」

 疲れた体を奮い立たせ、静止している特大粘土人形に右手で触れると、あっという間に崩れ落ちた。
 その間に初春は気絶しているハイドマンとクレイウーマンの写真を携帯で撮ると、どこかへとメールを送った。

「飾利? 一体誰にメールを?」
「ローラさんとフィアンマさんですよ。この二人に見覚えが無いかお二人に尋ねて、あればこの二人の魔術結社を潰してもらえればと思いまして」
「我々イギリス清教はすぐに動いてくれるでしょうけど、フィアンマはローマ正教の人間です。それにあの男自体、貴女の頼みを聞くかどうか……」
「大丈夫ですよ♪ フィアンマさんなら当麻お兄ちゃんのライバル心を掻き立てればいいんですから。それにフィアンマさん自身の鍛錬にもなりますし」

 初春の迅速な行動に感動した神裂はいつもの如く初春を思いっきりハグをした、と同時にフィアンマの扱いに慣れてきたことを少しばかり危惧していた。
 神裂にハグされて嬉し恥ずかし状態の初春がハイドマンとクレイウーマンの身の振り方について考えていた、しかもこちら側(イギリス清教)に引き込むことを前向きに。
 しかしシェリーにまでハグされて若干慌てたことと、その魔術師二人を許せない上琴によってそれどころではなくなってしまいそうな事態に。



一方、真夜は滝壺を探すために体育館裏に向っていた。

「…にしても、さっき仕上くんが痴女って言ってた女、どこかで聞いたことあるような…」

真夜は先ほど、浜面の電話で聞こえた麦野の声が誰だか分からなかったので気になっていた。

「まぁ、体育館裏に着けば分かるか。」

真夜は結局分からなかったので、体育館裏で分かるだろうと思ったのでとりあえず進むことにした。

「それにしても、そんなに新入生を見ませんね。って言う事はもう動ける新入生たちはそんなに居ないのかな?」

真夜はもう一つ気になっている事があったのだ。
そう。先ほどから新入生を見かけないのだ。

「まぁ、それも理后に合えば分かるか。ってもう着いたな。」

真夜はそんな事を考えていたら、いつの間にか体育館裏に着いていた。


そして、悲劇が起きる。

「あっ、いのはら弟のAIM拡散力場だ」
(あっ、この声理后の声だ)

ふと滝壺の声に反応するが、何か自分の勘が働き覗けない。

「ああ、この間麦野の攻撃受けて無事なやつだ」(←話転換)
(浜面だ。よし行かなきゃ行けないけどなんかまだ入っちゃいけない気がする)

実際その通りである。

「……あん?よし、殺るか」
(ようし、すっごいやな予感がするから逃げよう)

静かに立ち去ろうとしたが、






ぐしゃっ!!と、麦野の左腕に握りつぶされた。


 麦野は真夜を閃光のアームで握り潰したがアームに感触が無いことに気付き舌打ちをする。
 勘の良さが幸いし、真夜は閃光のアームが来る前にバックステップ、大事にはならなかった。
 とはいえ完全にかわし切れた訳ではなく、顔を掠ったが既に【瞬間超人】で90で強化されている自然治癒力が働いている。

「不意打ち同然の私のアームを避けるは、私の【原子崩し】の攻撃で受けた傷がもう治りかけてるは……。やっぱりアンタは化けモンだね」
「誰かと思えばバレンタインの時の人ですか。僕を殺しかけておいてまた殺そうとしますか。見た目よりも性格に問題があるようですね」
「……テメェ誰に向かって口利いてんだコラァ!! 私は学園都市レベル5第四位麦野沈利だぞ!」
「そうですか。けど、今の僕にとっては関係ないです。やることがありますので理后さんと話をっ!」

 マジ切れ状態の真夜、そのせいで言葉づかいは至って丁寧だが麦野の不遜な態度だけはいただけなかったようだ。
 麦野も似たようなもので初対面同然でここまで言われて怒りのボルテージを上げると、問答無用でレーザーを放つが強化されている真夜に簡単にかわされる。

「すみませんが貴女と争う気はありません。それがどれだけ失礼な女性だとしてもです。お願いですから話をっ!」
「私を女性扱いするたぁ奇特な化けモンだねぇ! けどそれで私が止まると思ったら大間違いよ! 早く喰らって死んでくれよ、頼むからさぁ!」
「嫌です。僕が死んだら悲しんでくれる人が最低二人居ますから。ところで仕上くんに理后さん、この女性はお二人のお友達ですか?」

 連続で放たれるレーザ、時折迫る閃光のアームを悉くかわす真夜、能力をフルに活用している状態なら難しくはなくなっている。
 そんな状況下で自分達に質問してくる真夜に浜滝は驚くと同時に、彼のいつもと雰囲気が違うことにようやく気付く。

「……なぁ滝壺。井ノ原弟の奴、いつもと違わねぇか? 何ていうか喧嘩腰っていうか怖いっていうか……。いや、怖いのは本気で殺しにかかってる麦野か」
「はまづら、いのはら弟のAIM拡散力場から冷たい怒りを感じる。だからあんなになってると思う。とりあえずいのはら弟の質問に答えよう」
「あ、ああ、そうだな。このままじゃここら一帯がやばいことになりかねねぇし。せーのっ」
「「友達っ!!!」」

 浜滝の答えを聞いた真夜、動きを止めると閃光のアームの一撃を喰らってしまい吹っ飛ばされる。
 しかし麦野も完全に捉えたわけではなく、真夜からよける意思を感じなかったので反射的に少しだけ引っ込めてしまったのだ。

「おい化けモン……あんた何でさっき避けなかったのよ?」
「仕上くんと理后さんが友達だと言ったからです。だったら争う理由は無いと思いまして。先程はすみませんでした、女性に失礼なことを言ってしまって」
「いっ、いいよもう! ったく調子狂う奴だね……。で? 滝壺に話って?」

 麦野の閃光のアームのせいで制服はボロボロだが傷の方は7割がた回復するという脅威を見せる中、真夜はふらつきながらも滝壺に新入生達について尋ねる。
 そして分かったことは体育館に一人、グラウンドに向かっている三名だけだと分かるとまずは体育館に向かうことにした。

「ありがとうございます。では僕はこれで。仕上くん、理后さん、そして沈利さん、邪魔をしてすみませんでした」
「……行っちまったな」
「ああ、行っちまったなあの化けモン。さて、そんなことよりはーまづらぁ♪」
「はまづら、さっきの続き続き」

 真夜登場で自分の危機は消え去ったかと思った浜面、しかしそんなに人生は甘くない、再び女性二人に襲われる羽目に。
 滝壺は制服の上着を脱ぎ捨て、麦野は上着どころかブラまで脱ぎ捨て、浜面にとっての天国のような地獄は今ようやく始まったのかもしれない。
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注釈

*1 ((なんて事してくれたんだ、この馬鹿共が!!!!