海に行こう☆☆
青々と澄み渡った空。
ザザー、ザザーと寄せては返す波の音。
ザザー、ザザーと寄せては返す波の音。
「暑い…」
砂浜の上にビーチパラソルを刺し、レジャーシートの上で足を伸ばして座っている当麻はそう呟く。
「それにしても遅いな…」
先程荷物を運び終え『水着に着替えてくる』と言って、五人の姉妹がこの場を後にしてから既に二十分近く経っている。
「何かあったのか…?」
あまりの遅さに心配になる当麻だが、絶対に来るなという美琴の言いつけがある為、車の方に向かう事はできない。
万が一、着替え中に乱入しようものなら消し炭にされてしまう事だろう。
なので、こうして大人しく待っている事しか出来ないのだ。
万が一、着替え中に乱入しようものなら消し炭にされてしまう事だろう。
なので、こうして大人しく待っている事しか出来ないのだ。
(う~ん、暇だ…)
ごろんと仰向けに寝そべった当麻は、そのまま目を閉じて彼女達の到着を待つ事にした。
――――
――
――
時間は少し前に戻り、時刻は午前8:50分
「あー疲れたー」
海沿いの山道を走り、少し広い路肩に車を止めた番外個体は軽く伸びをしながらそう呟く。
「お疲れ様、番外個体」
「お疲れさん、一時はどうなる事かと思ったが無事に到着できてよかったよかった」
「お疲れさん、一時はどうなる事かと思ったが無事に到着できてよかったよかった」
番外個体にねぎらいの言葉をかける美琴と当麻。
あの後、計画通りに学園都市のゲートを突破し『今回の目的を忘れないように』という妹達の言葉を受け、
超安全運転を始めた番外個体の運転によって寄り道をしながら目的地である静岡県の伊豆にある某海岸に無事到着していた。
あの後、計画通りに学園都市のゲートを突破し『今回の目的を忘れないように』という妹達の言葉を受け、
超安全運転を始めた番外個体の運転によって寄り道をしながら目的地である静岡県の伊豆にある某海岸に無事到着していた。
「では早速荷物を下ろしましょう、とミサカ19090号は車から降りるよう促します」
「荷物の搬送はこちらでやるので、番外個体は暫く休んでください、とミサカ10032号は番外個体を気遣います」
「ようやくミサカの出番ですね、とミサカ10039号は息巻きます」
「荷物の搬送はこちらでやるので、番外個体は暫く休んでください、とミサカ10032号は番外個体を気遣います」
「ようやくミサカの出番ですね、とミサカ10039号は息巻きます」
颯爽と車を降りる三人の妹達はいそいそと荷物を下ろし始める。
当麻と美琴も荷物を運ぶ為に車から降りた所で御坂妹が二人の方を見て、
当麻と美琴も荷物を運ぶ為に車から降りた所で御坂妹が二人の方を見て、
「お姉様とお義兄様は軽い物を運んでから本拠地の設営をお願いします、とミサカ10032号はお二人に役割を与えました」
「さて、少し本気になりますか、とミサカ10039号は一番重いであろうクーラーボックスを持ち上げます」
「さて、少し本気になりますか、とミサカ10039号は一番重いであろうクーラーボックスを持ち上げます」
ぐいっと二つのクーラーボックスを持ち上げる10039号に当麻が声をかける。
「お、おいおい、重いやつは俺が運ぶからお前等は軽いのを運べばいいぞ?」
「これくらい余裕です、とミサカ10039号は余裕の笑みを浮かべて返答したい所ですが、二つ同時は無理そうなので一つにします」
「これくらい余裕です、とミサカ10039号は余裕の笑みを浮かべて返答したい所ですが、二つ同時は無理そうなので一つにします」
余程重たかったらしく、10039号は持ち上げたクーラーボックスの一つを下ろし、代わりに軽いバッグを担ぐ。
どうやら彼女には何度かに分けて運ぶという選択肢は存在しないらしい。
当麻は10039号が置いたクーラーボックスに手を伸ばしながら、
どうやら彼女には何度かに分けて運ぶという選択肢は存在しないらしい。
当麻は10039号が置いたクーラーボックスに手を伸ばしながら、
「んじゃ、それは俺が運ぶわ」
と言うのだが、それを見た御坂妹がサッと手を出すと、
「ダメです、それはミサカが運びます、とミサカ10032号は阻止します。これから足場の悪い階段を降るので、
お義兄様はビーチサンダルを履いているお姉様のフォローをお願いします、とミサカ10032号はお義兄様の役割についてお願いをしました」
お義兄様はビーチサンダルを履いているお姉様のフォローをお願いします、とミサカ10032号はお義兄様の役割についてお願いをしました」
チラリと美琴の足元を見てそう言う御坂妹だが、その言葉に少しむっとした美琴は『馬鹿にすんなー』といった感じで、
「大丈夫に決まってんでしょ、子供じゃあるまいし」
「万が一というのがありますので、とミサカ10032号はかなり薄い可能性について危惧しつつクーラーボックスを持ち上げます」
「ミサカ達は私服のお姉様と違い、いつもの着慣れた格好ですので、
パフォーマンスはいつも通りなのです、とミサカ19090号はこの服装を選択した理由を今更詳細に説明します」
「さ、海が呼んでいるのでさっさと行きましょう、とミサカ10039号は移動を開始します」
「万が一というのがありますので、とミサカ10032号はかなり薄い可能性について危惧しつつクーラーボックスを持ち上げます」
「ミサカ達は私服のお姉様と違い、いつもの着慣れた格好ですので、
パフォーマンスはいつも通りなのです、とミサカ19090号はこの服装を選択した理由を今更詳細に説明します」
「さ、海が呼んでいるのでさっさと行きましょう、とミサカ10039号は移動を開始します」
三人の妹は淡々と喋りながら各々が荷物を持ち、歩き出す。
そんな中、番外個体だけは車の中からひらひらと手を振っている。
そんな中、番外個体だけは車の中からひらひらと手を振っている。
「じゃ、ミサカは暫くここで休んでるから後はよろしくー」
どうやら彼女は休憩と荷物番を兼ねて車に残るようだ。
妹達のいつもと全く変わらない対応に抵抗するだけ無駄と判断した美琴は溜め息混じりに、
妹達のいつもと全く変わらない対応に抵抗するだけ無駄と判断した美琴は溜め息混じりに、
「…まあいいわ、んじゃ適当に運べそうな物運ぶわね」
「んじゃ、行きますか~」
「んじゃ、行きますか~」
そう言うとビーチボールや浮き輪などが入った軽めのバッグを一つ持った美琴と、タオルや衣類などの入ったバッグを担いだ当麻が妹達に付いて行く。
そして、林に囲まれた狭い道を抜けると――目に入ったのは白い砂浜と青い海。
入り江のようになっているその場所は、海水浴場と比較すれば広いとは言えないが、人の気配は全くなく、6人で遊ぶなら十分過ぎる程の広さがある。
視界に広がるその光景を目にした美琴は目をキラキラさせると、
そして、林に囲まれた狭い道を抜けると――目に入ったのは白い砂浜と青い海。
入り江のようになっているその場所は、海水浴場と比較すれば広いとは言えないが、人の気配は全くなく、6人で遊ぶなら十分過ぎる程の広さがある。
視界に広がるその光景を目にした美琴は目をキラキラさせると、
「わ~、海だ~!」
目に見えてはしゃぐのだが、その光景に心を奪われてしまい、
「きゃっ!」
「っと」
「っと」
見事に躓いた彼女だが、横を歩いていた当麻がそれに気付き、スッと回り込むように体を前に入れ、左腕でしっかりと抱きとめる。
「大丈夫か美琴?」
「う、うん。ごめんね?大丈夫だった?」
「俺なら平気だぞ?かなり足場が悪いから気をつけたほうが良いぞ」
「う、うん。ごめんね?大丈夫だった?」
「俺なら平気だぞ?かなり足場が悪いから気をつけたほうが良いぞ」
そう言いながら右手で美琴の頭をぽんぽんとする当麻。
すると美琴が少し俯きながら、
すると美琴が少し俯きながら、
「うん。ありがと…」
短く返事をするが、その頬はほんのり赤く染まり、目を細めて気持ち良さそうにしているが、一向に離れようとしない美琴に当麻は、
「あの~、そろそろ離れて欲しいんですが…」
「あ、う、うん」
「あ、う、うん」
当麻の少し照れたような声を聞き、ぱっと離れる美琴。
すると、そのタイミング見計らったように横槍が入る。
すると、そのタイミング見計らったように横槍が入る。
「先程注意したばかりだというのに、とミサカ10032号はお姉様の注意力の無さに嘆息します」
「いやいや、お姉様はお義兄様にああして貰う為にわざと躓いたのですよ、とミサカ10039号はお姉様の行動について推測します」
「こんなに明るい時間から大胆ですね、とミサカ19090号は白昼堂々抱き合っていた二人に言葉もありませんが、しっかりと目に焼き付けました」
「いやいや、お姉様はお義兄様にああして貰う為にわざと躓いたのですよ、とミサカ10039号はお姉様の行動について推測します」
「こんなに明るい時間から大胆ですね、とミサカ19090号は白昼堂々抱き合っていた二人に言葉もありませんが、しっかりと目に焼き付けました」
揃って溜め息を付いた三人の妹達の目は『はいはいごちそうさま』と言っている。
妹達に躓いてしまった所と、当麻に抱きしめられていた場面を見られてしまった美琴は、顔が紅潮するのを感じながら、
妹達に躓いてしまった所と、当麻に抱きしめられていた場面を見られてしまった美琴は、顔が紅潮するのを感じながら、
「う、うるさい!こっち見てんじゃないわよ!!」
と、右手を振り上げて妹達を威嚇する。
すると、三人の妹達はササーっと浜辺に下りていった。
その様子に美琴は『ったく』と言いながら一息つくと、当麻の顔を見ながら、
すると、三人の妹達はササーっと浜辺に下りていった。
その様子に美琴は『ったく』と言いながら一息つくと、当麻の顔を見ながら、
「さ、私達も行きましょうか」
と言いながら左手で彼の右手を掴むと、上目遣いに言葉を続ける。
「また躓くといけないから下に着くまではこうしてていいよね?」
「ああ、いいぜ」
「じゃ、早く行こ!」
「ああ、いいぜ」
「じゃ、早く行こ!」
仲良く手を繋いで浜辺へ下りていく二人は、先に到着していた妹達と合流する。
そして、妹達の指示通り本拠地の設営を済ませた二人は、同じく荷物を運び終えた妹達と少しばかりの休憩を取る事にした。
そして、妹達の指示通り本拠地の設営を済ませた二人は、同じく荷物を運び終えた妹達と少しばかりの休憩を取る事にした。
「ふぅ、少し疲れました、とミサカ10032号は自らの体力の無さに嘆きます。
お陰で汗を掻いてしまいました、とミサカ10032号は暑っ苦しいサマーセーターを脱ぎ捨てます」
お陰で汗を掻いてしまいました、とミサカ10032号は暑っ苦しいサマーセーターを脱ぎ捨てます」
脱いだサマーセーターをぽいっと投げ捨て、ビーチパラソルの影に入って座る御坂妹。
汗を掻いた彼女の肌にシャツが張り付き、縞模様のブラが透けて見えてしまっている。
その事に気が付いた当麻は視線を逸らし、美琴は慌てた様子で、
汗を掻いた彼女の肌にシャツが張り付き、縞模様のブラが透けて見えてしまっている。
その事に気が付いた当麻は視線を逸らし、美琴は慌てた様子で、
「こ、こら!こんな所で脱ぐんじゃない!!」
盾になるよう二人の間に割って入ると、脱ぎ捨てられたサマーセーターを彼女に押し付ける。だが、
「どうせすぐに水着になるので問題ないのでは?とミサカ10039号はお姉様の言動に疑問を抱きます」
「そういう問題じゃ…ってあんたも!当麻の前で脱ごうとすんな!」
「そういう問題じゃ…ってあんたも!当麻の前で脱ごうとすんな!」
視線を逸らした当麻の正面で今度は10039号がサマーセーターを脱いでいる。
美琴は急いで彼女の元に駆け寄り、御坂妹と同様にその胸元を隠させる。
すると、19090号がごにょごにょ声で、
美琴は急いで彼女の元に駆け寄り、御坂妹と同様にその胸元を隠させる。
すると、19090号がごにょごにょ声で、
「み、ミサカは…」
「あんたは分かってるみたいね、つーかこの子(19090号)が恥ずかしがってるのに何であんた等は平然としてるわけ?」
「あんたは分かってるみたいね、つーかこの子(19090号)が恥ずかしがってるのに何であんた等は平然としてるわけ?」
当麻の方をちらちら窺う19090号の様子に安心する反面、何でこんなに反応の差があるのか不思議でならない美琴。
肩を落として疲れたような顔をする彼女を他所に、暑苦しい服を押し付けられた事に不満げな顔を浮かべた10039号が19090号を見ながら、
肩を落として疲れたような顔をする彼女を他所に、暑苦しい服を押し付けられた事に不満げな顔を浮かべた10039号が19090号を見ながら、
「そのミサカはただのチキンですから、とミサカ10039号は19090号について意見を述べます」
「いや、女の子の反応としてはこの子(19090号)の方が正しいわよ」
「それはお姉様の基準です。それに…」
「いや、女の子の反応としてはこの子(19090号)の方が正しいわよ」
「それはお姉様の基準です。それに…」
一度裸を見られているから平気だ。という言葉を寸前で飲み込んだ御坂妹。
そんな事をこの場で言ってしまった場合、どんな事態が引き起こされるか容易に想像できた彼女は話題を変える。
そんな事をこの場で言ってしまった場合、どんな事態が引き起こされるか容易に想像できた彼女は話題を変える。
「…まあ細かい事は良いとして、この場所はどうですか?とミサカ10032号は話を逸らしつつお二人に問いかけます」
「へ?ああ、静かだし良いところだと思うわよ」
「へ?ああ、静かだし良いところだと思うわよ」
唐突に話題が変わり、一瞬付いていけなかった美琴だが、率直な感想を述べる。
目のやり場に困っていた当麻も頷くが、彼には一つだけ疑問があった。それは…
目のやり場に困っていた当麻も頷くが、彼には一つだけ疑問があった。それは…
「なあ、お前等この場所来た事あるのか?」
「…?今日が初めてですが?とミサカ19090号はお義兄様の質問に疑問を抱きつつも回答しました」
「だってさ、こんな場所地元の人しか知らなさそうだし。何で知ってたんだ?」
「ふむ、それはですね…」
「…?今日が初めてですが?とミサカ19090号はお義兄様の質問に疑問を抱きつつも回答しました」
「だってさ、こんな場所地元の人しか知らなさそうだし。何で知ってたんだ?」
「ふむ、それはですね…」
当麻の問いに少し沈黙する御坂妹だが、意を決したように顔を上げると、
「脱出計画の予行演習を兼ねて衛星カメラをハッキングした際に調べました、とミサカ10032号は簡潔に答えました」
「実際見た映像、侵入の痕跡などは消し去りましたので問題は無いはずです、とミサカ10039号は補足します」
「まあ妹達の頭脳を持ってすれば造作も無い事ですが、とミサカ19090号は妹達の力を誇ってみます」
「実際見た映像、侵入の痕跡などは消し去りましたので問題は無いはずです、とミサカ10039号は補足します」
「まあ妹達の頭脳を持ってすれば造作も無い事ですが、とミサカ19090号は妹達の力を誇ってみます」
妹達の口から淡々と語られる衝撃の事実に頭を痛める二人は、
「お前等…無茶苦茶にも程があるだろ…」
「同感。あんた達は少し自重しなさい」
「同感。あんた達は少し自重しなさい」
揃って溜め息を付く。
その様子を見た妹達の方も二人の反応を見て『やっぱりこうなるか』と同じく溜め息を付く。
するとその時、ザッザッザッ!と砂浜を軽快に走る音が近づいてきた。
その様子を見た妹達の方も二人の反応を見て『やっぱりこうなるか』と同じく溜め息を付く。
するとその時、ザッザッザッ!と砂浜を軽快に走る音が近づいてきた。
「遅い!遅い遅い!!ミサカは待ちくたびれた…ってどうしたの?」
テンション高く現れた番外個体だったが、微妙な空気を感じ取り、そう問いかける。
状況の飲み込めない彼女に御坂妹が大まかな事情を説明すると、番外個体がやれやれと頭を掻きながら、
状況の飲み込めない彼女に御坂妹が大まかな事情を説明すると、番外個体がやれやれと頭を掻きながら、
「過ぎた事だし、何事も無かったからいいじゃん。それよりミサカは早く泳ぎたいから着替えに行こうよ」
「そういう問題じゃない。私はただあんた達の事が心配で…」
「平気平気、ちゃんと線引きはしてるから安心してよ。
それに、こんな無茶な事するのも全ては『今日』っていう日を存分に楽しむためなんだしさ。
だから、二人にそんな顔されちゃうとミサカは悲しいかな」
「言いたい事は分かるけどな。それでもお前等の事が大切だからどんな小さなことでも心配になるもんなんだよ」
「お義兄様…うん、分かった。じゃあ今後はちゃんとするから今回の事は許して」
「そういう問題じゃない。私はただあんた達の事が心配で…」
「平気平気、ちゃんと線引きはしてるから安心してよ。
それに、こんな無茶な事するのも全ては『今日』っていう日を存分に楽しむためなんだしさ。
だから、二人にそんな顔されちゃうとミサカは悲しいかな」
「言いたい事は分かるけどな。それでもお前等の事が大切だからどんな小さなことでも心配になるもんなんだよ」
「お義兄様…うん、分かった。じゃあ今後はちゃんとするから今回の事は許して」
当麻の言葉を聞いた番外個体は少しだけ神妙な顔をした後、片目を瞑り右手を顔の前に持ってきて謝る仕草を見せる。
その言葉を聞いた当麻はしょうがないなといった様子だが、美琴の反応はというと、
その言葉を聞いた当麻はしょうがないなといった様子だが、美琴の反応はというと、
「待て、あんた絶対そんな気無いでしょ!?」
番外個体の様子から『反省の色無し』と判断した美琴が彼女に突っ込むと、
「げぇ、バレてたか!まぁミサカ達はその日を全力で楽しむのがモットーだからね!ちょっとやそっとじゃ止まらないよ!」
「こ、コイツは…」
「こ、コイツは…」
きゃはは!と笑いながら返事をした番外個体の態度にイラッと来た美琴は体をブルブルと震わせながらそう呟く。
と、不意に番外個体がその動きを止め、真剣な眼差しで美琴と当麻を交互に見る。そして、
と、不意に番外個体がその動きを止め、真剣な眼差しで美琴と当麻を交互に見る。そして、
「でも、一つだけ。ミサカを含めた全妹達は助けてもらったこの命を粗末にするような事は絶対にしない。それは約束する」
「そんなの当然でしょ、その上で危ない事すんなつってんのよ!ったく…」
「そんなの当然でしょ、その上で危ない事すんなつってんのよ!ったく…」
何を言ってるんだコイツは…と言った顔で大きく溜め息を付いた美琴だが、
「まぁ今回の事は私にも責任があるしもういいわ。いつまでもこんな事で空気を悪くするのもアレだし、
今日を楽しみたいのは私も同じだから、サクッと着替えてひと泳ぎしましょうか」
今日を楽しみたいのは私も同じだから、サクッと着替えてひと泳ぎしましょうか」
元々監視カメラの件を頼んだのは自分だった事を思い出し、話題を打ち切るように立ち上がると番外個体が、
「そうこなくっちゃ!」
待ってました!と言わんばかりに弾んだ声で返事をした番外個体に続き、三人の妹達も立ち上がる。
その様子をやれやれといった表情で見つめた美琴は当麻の方を見る。
その様子をやれやれといった表情で見つめた美琴は当麻の方を見る。
「じゃ、ちょっと着替えてくるから当麻はここで待ってて。少し時間掛かると思うけど、絶対に来ちゃ駄目だからね?」
「へいへい、所で俺は何処で着替えれば良いんだ?」
「お義兄様は男なんですからここで着替えれば良いです、とミサカ10039号は回答します」
「なんですと!?誰かに見られたらどうすんだよ!」
「この辺りには誰も居ないので安心して着替えてください、とミサカ10032号は電磁波レーダの結果について報告します」
「ではミサカ達は行ってきますので、暫くお待ちください、とミサカ19090号はそそくさと退散します」
「へいへい、所で俺は何処で着替えれば良いんだ?」
「お義兄様は男なんですからここで着替えれば良いです、とミサカ10039号は回答します」
「なんですと!?誰かに見られたらどうすんだよ!」
「この辺りには誰も居ないので安心して着替えてください、とミサカ10032号は電磁波レーダの結果について報告します」
「ではミサカ達は行ってきますので、暫くお待ちください、とミサカ19090号はそそくさと退散します」
そう言い残して楽しそうに浜辺から歩いていく姉妹。
その後ろ姿を寂しそうに見送った当麻は、
その後ろ姿を寂しそうに見送った当麻は、
「不幸だ…」
と呟きながらサーフパンツに穿き替える事になるのだった。
――――
――
――
波の音が聞こえる。
カモメの鳴き声が聞こえる。
砂浜を誰かが駆ける音が――
カモメの鳴き声が聞こえる。
砂浜を誰かが駆ける音が――
「ぶわー!?…げっほ!げっほ!」
突然顔面に砂が被せられ咳き込む当麻。
何事かと起き上がって辺りを見回すと、パーカーを羽織った五人が立っていた。
その中で美琴が手に付いた砂を払っている。どうやら彼女が砂をかけた犯人らしい。
何事かと起き上がって辺りを見回すと、パーカーを羽織った五人が立っていた。
その中で美琴が手に付いた砂を払っている。どうやら彼女が砂をかけた犯人らしい。
「いきなり何すんだよ!ちょっと口に入っちまったじゃねーか!」
「当麻こそ!寝てるってどういう事よ!」
「はぁ?というか何で怒ってんだよ?」
「当麻こそ!寝てるってどういう事よ!」
「はぁ?というか何で怒ってんだよ?」
突如逆切れしてきた美琴の態度に疑問を抱く当麻だが、彼女より先に妹達が文句を言い出す。
「遅かったのは申し訳ないと思いますが、その対応はあんまりです、とミサカ10032号は憤慨します」
「お義兄様はミサカ達の水着姿の期待度より睡眠欲の方が勝ったという事ですね、とミサカ19090号は嘆息します」
「お義兄様はミサカ達の水着姿の期待度より睡眠欲の方が勝ったという事ですね、とミサカ19090号は嘆息します」
妹達の言葉を聞いて彼女達が怒っている理由を理解した当麻はすぐさま土下座体勢に移行し、彼女達の怒りを受け入れる準備を整える。
だが、流れは思わぬ方向へ動き出す。
だが、流れは思わぬ方向へ動き出す。
「ミサカはどうでも良いけどね。ま、そんなお子様体系じゃ期待されなくても仕方ないね」
「確かにもう少し胸の膨らみがあった方が男性的には…、とミサカ10039号は成長しない体にショックを受けます…はぁ…」
「それは宿命というやつです、とミサカ10032号は既に諦めモードだったりします」
「しょぼーん、とミサカ19090号は己の体型のメリハリの無さにうな垂れます」
「確かにもう少し胸の膨らみがあった方が男性的には…、とミサカ10039号は成長しない体にショックを受けます…はぁ…」
「それは宿命というやつです、とミサカ10032号は既に諦めモードだったりします」
「しょぼーん、とミサカ19090号は己の体型のメリハリの無さにうな垂れます」
番外個体の言葉を聞いた妹達は揃って肩を落とし、大きく溜め息を付く。
だが、その様子を見てバチィ!っと空気を鳴らす者が約一名。
だが、その様子を見てバチィ!っと空気を鳴らす者が約一名。
「…あんた等…好き勝手言ってくれちゃって…、覚悟は出来てる?」
自分と同じ体を持つ妹達にボロクソに言われ、我慢の限界に達した美琴はユラユラと妹達に近づいていく。
すると、10039号が近づく美琴を見ながら、
すると、10039号が近づく美琴を見ながら、
「お姉様はお義兄様が居ますので将来有望ではありませんか、とミサカ10039号はお姉様の胸部を羨望の眼差しで凝視します」
「んな!?ば、あんたいきなりそんな事言うんじゃない!」
「んな!?ば、あんたいきなりそんな事言うんじゃない!」
以前彼女に言われた事を思い出し、瞬間湯沸かし器の如く真っ赤になって胸元を両手で隠すように覆う。
その様子に薄笑いを浮かべた10039号は更にからかおうとするが、番外個体が横槍を入れる。
その様子に薄笑いを浮かべた10039号は更にからかおうとするが、番外個体が横槍を入れる。
「はいはい、漫才はその辺にしておいて今はお義兄様の処遇を決めようよ」
思わぬ助けにより10039号の追撃を逃れた美琴は軽く咳払いをしてから土下座体制の当麻を見る。
「で、何か言い訳はある?」
「いや、お前等が中々戻ってこなくて退屈だったんだ…それに昨日は寝たのが遅かったから睡眠不足でして、気が付いたら寝てたみたいだ…すまん」
「ほうほう、お義兄様はミサカに欲情して寝られなかったと…、とミサカ10032号は冷静に分析します」
「え!?いや!違っ!」
「いや、きっとお義兄様はお姉様の短パンにやられた筈です、とミサカ10039号はお義兄様の趣向を予想します」
「!?」
「いや、お前等が中々戻ってこなくて退屈だったんだ…それに昨日は寝たのが遅かったから睡眠不足でして、気が付いたら寝てたみたいだ…すまん」
「ほうほう、お義兄様はミサカに欲情して寝られなかったと…、とミサカ10032号は冷静に分析します」
「え!?いや!違っ!」
「いや、きっとお義兄様はお姉様の短パンにやられた筈です、とミサカ10039号はお義兄様の趣向を予想します」
「!?」
10039号の予想を聞いた当麻はビクッとする。
昨夜の美琴の寝姿を思い出し、顔が紅潮していくのが分かるが、何とか軌道修正を図る。
昨夜の美琴の寝姿を思い出し、顔が紅潮していくのが分かるが、何とか軌道修正を図る。
「と、所でなんで全員パーカー着てるんだ?水着に着替えに行ったんじゃ…?」
「お義兄様、話題の逸らし方があからさま過ぎて逆に怪しいよ。ま、そんな様子じゃ何もしてないんだろうけど」
「水着はこの下に着ています、とミサカ19090号は返答します」
「気分を盛り上げようとの配慮です、とミサカ10032号はパーカーを着ている理由について説明しました」
「仕方ないですね、では早速水着披露といきましょう、とミサカ10039号は先の話を流す事にします」
「お義兄様、話題の逸らし方があからさま過ぎて逆に怪しいよ。ま、そんな様子じゃ何もしてないんだろうけど」
「水着はこの下に着ています、とミサカ19090号は返答します」
「気分を盛り上げようとの配慮です、とミサカ10032号はパーカーを着ている理由について説明しました」
「仕方ないですね、では早速水着披露といきましょう、とミサカ10039号は先の話を流す事にします」
当麻の反応から図星だったと判断した妹達だが、そこは空気の読める出来た妹。
何事も無かったかのように当麻の話に乗っていくのだが、その目は少し呆れ気味だった。
そんな中、昨晩当麻が自分を意識して寝れなかったという事実を知った美琴は、
何事も無かったかのように当麻の話に乗っていくのだが、その目は少し呆れ気味だった。
そんな中、昨晩当麻が自分を意識して寝れなかったという事実を知った美琴は、
「…なんかこの流れで水着見せるの凄く抵抗があるんだけど…」
「さっ、お義兄様!誰の水着から見たい?」
「さっ、お義兄様!誰の水着から見たい?」
恥ずかしさでもじもじしている美琴を完全に無視して話を進める番外個体。
一方当麻はというと、誰から見ようか視線をさまよわせる。
一方当麻はというと、誰から見ようか視線をさまよわせる。
(う~ん、美琴は最後にするとして…ってちらちら見てくる美琴可愛すぎ。
じゃなくて、番外個体を先に見たほうが無難か?いや、あえて最後にしたほうがあいつ等にダメージが…いやいや!)
じゃなくて、番外個体を先に見たほうが無難か?いや、あえて最後にしたほうがあいつ等にダメージが…いやいや!)
考えながら彼女達を見ると、楽しそうな番外個体、平然と待っている10032号&10039号、少し恥ずかしそうにしている美琴&19090号が目に入る。
すると、不意に19090号と目が合った。
すると、不意に19090号と目が合った。
「おっし、目が合ったから御坂妹(19090号)からいいかな?」
「わ、分かりました、とミサカはトップバッターになってしまった事にドキドキしつつファスナーをおろします」
「わ、分かりました、とミサカはトップバッターになってしまった事にドキドキしつつファスナーをおろします」
19090号がファスナーを下ろし、羽織っていたパーカーを脱ぐと、
「ど、どうですか?とミサカ19090号はお義兄様の反応を窺います」
「あ、ああ、似合ってるってかそれってスクール水着か?」
「それ、常盤台中学の水着じゃない。なんでそれをここで着るのよ?」
「あ、ああ、似合ってるってかそれってスクール水着か?」
「それ、常盤台中学の水着じゃない。なんでそれをここで着るのよ?」
着替えを個別で行っていた為、妹達がどんな水着を来ているのか知らない美琴は、内心で楽しみにしていた。
だが、海に来てまでスク水を着た19090号に拍子抜けし、同時にスク水なのかと疑問を抱く。
すると、その疑問に19090号が答える。
だが、海に来てまでスク水を着た19090号に拍子抜けし、同時にスク水なのかと疑問を抱く。
すると、その疑問に19090号が答える。
「布地の多さと軽さです、とミサカ19090号は簡単に説明しました。
さ、ミサカの番は終わりましたので次に行きましょう、とミサカ19090号は促します」
「あ、ああ。んじゃ次は御坂妹いってみるか」
さ、ミサカの番は終わりましたので次に行きましょう、とミサカ19090号は促します」
「あ、ああ。んじゃ次は御坂妹いってみるか」
次に目が合った御坂妹にそう言うと、コクリと頷きパーカーを脱ぐ。
すると…
すると…
「どうですか?と言っても19090号と同じですが、とミサカ10032号は二番目になってしまってインパクトが欠けてしまったことにショックを受けます」
「あんたもスク水!?なんで海に来てそんなん着るのよ!他に水着無かったの?」
「う~ん、これじゃ見分けが付かないな…」
「あんたもスク水!?なんで海に来てそんなん着るのよ!他に水着無かったの?」
「う~ん、これじゃ見分けが付かないな…」
御坂妹と19090号を交互に見てそう漏らす当麻。すると、
「…しくしく…、とミサカ10032号は…」
「当麻!あんた感想言う前にそんな事言うんじゃない!!」
「当麻!あんた感想言う前にそんな事言うんじゃない!!」
デリカシーの欠片も無い当麻の対応に怒った美琴が彼の頭を叩く。
そして泣いている(嘘泣き)御坂妹を抱きしめると頭を撫でる。
そして泣いている(嘘泣き)御坂妹を抱きしめると頭を撫でる。
「よしよし、そんなに泣かないの」
「うぐ、すまん御坂妹…今のは全面的に俺が悪かった…」
「やれやれ。じゃ、次はミサカがいかしてもらおうかな?」
「うぐ、すまん御坂妹…今のは全面的に俺が悪かった…」
「やれやれ。じゃ、次はミサカがいかしてもらおうかな?」
目の前で繰り広げられるコントを見て肩をすくめた番外個体は返事を待たずにパーカーを勢い良く脱ぎ捨てる。
「じゃーん!どうよ、この水着!」
「…競泳水着…あんたもか…」
「…競泳水着…あんたもか…」
デザインも常盤台中学の物と似ているソレだが、先の二人とは決定的な違いがある。そう、体型だ。
「ぐぐ、さすが番外個体…ミサカ達とは発育が違います、とミサカ10032号は悔しさを滲ませます」
「ああなるまで何年…というかアレが限界なのでしょうか?とミサカ19090号は意外な小ささに絶望します」
「……(アレが将来の私…。もう少し欲しいなぁ…)」
「ああなるまで何年…というかアレが限界なのでしょうか?とミサカ19090号は意外な小ささに絶望します」
「……(アレが将来の私…。もう少し欲しいなぁ…)」
19090号の言葉を聞いた美琴は盛大に凹む。
胸の大きさに悩む彼女達を横目に番外個体は当麻に近づくと、目の前でくるりと一回転する。
胸の大きさに悩む彼女達を横目に番外個体は当麻に近づくと、目の前でくるりと一回転する。
「お義兄様?ミサカの水着姿はどうかな?」
「あ、ああ。中々良いと思うぞ?」
「あ、ああ。中々良いと思うぞ?」
未来の美琴の姿という事もあり、少し照れながら感想を言う当麻。
言葉自体は物足りないが、その表情に満足した番外個体は、
言葉自体は物足りないが、その表情に満足した番外個体は、
「そっかそっか、ありがと。それじゃ後は10039号に任せた」
笑みを浮かべながら少し下がり、10039号を当麻の前に差し出す。
「ではお待ちかね、ミサカの出番ですね、とミサカ10039号はここまで生き残った事に感謝しつつ気合を入れます」
「10039号ー、待ってましたー!」
「何なのあんた等?」
「10039号ー、待ってましたー!」
「何なのあんた等?」
10039号の自信に加え、番外個体のあのテンションの高さは先程のソレではない。
何か企んでいる。直感的にそう感じたが、分からない。
あるとすれば突拍子も無い水着が出てくるくらいだ。
何か企んでいる。直感的にそう感じたが、分からない。
あるとすれば突拍子も無い水着が出てくるくらいだ。
(流石に裸って事は無いだろうし…まさか…いや、それはないわね)
一瞬、黒子が持っていた紐のようなものが頭をよぎったが、妹達に限ってそれは無いと踏む。
だが、他の三人が違う意味で予想外だっただけに、少しだけ期待も出来る。
そして、10039号がファスナーを下ろし、パーカーを脱ぐと、そこには…
だが、他の三人が違う意味で予想外だっただけに、少しだけ期待も出来る。
そして、10039号がファスナーを下ろし、パーカーを脱ぐと、そこには…
「って、何で制服着てるのよ!!」
常盤台の制服姿だった。ご丁寧にサマーセーターまで着直して。
予想の遥か上を行った事態に思わず突っ込んでしまった美琴だが、10039号はニヤリと怪しげな笑みを浮かべる。
予想の遥か上を行った事態に思わず突っ込んでしまった美琴だが、10039号はニヤリと怪しげな笑みを浮かべる。
「フフフ…、『想像力を豊かにする』ための演出です、とミサカ10039号は回答します」
そう言うと、10039号は靴を脱ぎ、片足ずつルーズソックスを脱いでいく。
裸足になって砂浜に立つと、今度はサマーセーターをゆっくりと脱ぎだす。
裸足になって砂浜に立つと、今度はサマーセーターをゆっくりと脱ぎだす。
「ちょ、ちょっとあんた…何やってんのよ?」
「……」
「……」
美琴の問いかけを聞き流し、サマーセーターを脱いだ10039号はスカートに手を掛ける。
「ねぇ、ちょっと、本当に何する気?」
「まあまあ、お姉様。大丈夫だから黙って見てなよ。お義兄様も目を逸らしたら10039号に失礼だよ?」
「まあまあ、お姉様。大丈夫だから黙って見てなよ。お義兄様も目を逸らしたら10039号に失礼だよ?」
近寄ろうとした美琴を手で制した番外個体は目の前で衣服を脱いでいく10039号から視線を逸らしていた当麻に軽く注意する。
すると、当麻は視線をちらちらと10039号に送るようになった。
そして当麻の視線を再び感じた10039号はスカートのホックを外し、少しずつ下ろしていく。
すると、当麻は視線をちらちらと10039号に送るようになった。
そして当麻の視線を再び感じた10039号はスカートのホックを外し、少しずつ下ろしていく。
「わ、うわ…」
縞パンが見える!当麻がそう思ったところで10039号が左手で下着をガードするように手で隠し、手を離してスカートを下に落とした。
「ひゅー、10039号中々魅せるねぇ」
楽しそうな番外個体。完全にノリノリな彼女に御坂妹が、
「ミサカはこんな演出聞いてませんが、とミサカ10032号はハラハラしつつ事態を見守ります」
「色々あってね、ミサカは絶賛10039号の支援中って所」
「く、ミサカネットワークに接続していない事が悔やまれます、とミサカ19090号はこの後何が起こるか予想も付きません」
「え?あんた達も知らないの?」
「はい、ここに居る妹達は学園都市を出てからミサカネットワークに接続していませんから、とミサカ10032号は懇切丁寧に説明しました」
「何でまたそんな事を?」
「色々あってね、ミサカは絶賛10039号の支援中って所」
「く、ミサカネットワークに接続していない事が悔やまれます、とミサカ19090号はこの後何が起こるか予想も付きません」
「え?あんた達も知らないの?」
「はい、ここに居る妹達は学園都市を出てからミサカネットワークに接続していませんから、とミサカ10032号は懇切丁寧に説明しました」
「何でまたそんな事を?」
御坂妹の説明を受けた美琴だったが、根本的な理由が分からずに再び問いかける。
すると、今度は番外個体が返事をする。
すると、今度は番外個体が返事をする。
「極力横槍を入れられたくないからね。今日は個性を存分に発揮して暴れ回りたい気分だったから」
ミサカネットワークに接続している状態では必ず他の妹達から干渉される。
今日は自由に振舞いたいと考えた彼女達は、他の妹達に内緒で切断中という状態だ。
今日は自由に振舞いたいと考えた彼女達は、他の妹達に内緒で切断中という状態だ。
(ま、接続した瞬間に集中砲火確定だから接続したくないってのもあるけど)
ここまで妹達の総力を挙げて行った作戦に対して、自分達の取った行動を考えれば良くて吊るし上げだろう。
そんな事を考えていると、美琴が話しかけてきた。
そんな事を考えていると、美琴が話しかけてきた。
「そっか、じゃあ今日はあんた達らしさっていうのを見せてもらおうかな?」
「おっけー、って言っても10039号は既に全力疾走だけど」
「げ、そうだった!あんな事続けさせる訳には…!!」
「おっけー、って言っても10039号は既に全力疾走だけど」
「げ、そうだった!あんな事続けさせる訳には…!!」
視線を10039号に送ると、既にスカートが無い状態で更にブラウスに手を掛けている。
その行動をやめさせるべく美琴は動き出すが、番外個体が彼女を羽交い絞めにする。
その行動をやめさせるべく美琴は動き出すが、番外個体が彼女を羽交い絞めにする。
「ダメダメ!今個性を存分に見せるって言ったばっかじゃん!」
「あれはそういう問題じゃない!いいから離せー!当麻も凝視すんなー!!」
「あれはそういう問題じゃない!いいから離せー!当麻も凝視すんなー!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ出す外野を他所に10039号はブラウスのボタンを一つ一つ右手で器用に外していく。
そして、すべてのボタンを外し終えると、恥ずかしそうに顔を逸らしてから少しずつ左手を除け、右手でブラウスの真ん中辺りを開く。
そして、すべてのボタンを外し終えると、恥ずかしそうに顔を逸らしてから少しずつ左手を除け、右手でブラウスの真ん中辺りを開く。
「ゴク…」
いつの間にか10039号の動きに見入ってしまっていた当麻が喉を鳴らすと同時に彼女の制服の下の姿が晒された。
「ど、どうですか?とミサカ10039号は少し恥ずかしそうな演技をしながら問いかけます」
10039号の制服の下から出てきたのは紺色のスクール水着。
真ん中に白の布があり、そこには手書きで『みさか』と大きく書かれ、隅っこには『♯10039』と検体番号まで書かれている。
しかし、当麻と美琴が声を出す前に御坂妹&19090号が10039号に歩み寄る。
真ん中に白の布があり、そこには手書きで『みさか』と大きく書かれ、隅っこには『♯10039』と検体番号まで書かれている。
しかし、当麻と美琴が声を出す前に御坂妹&19090号が10039号に歩み寄る。
「10039号、確か水着については不公平が無いようにスク水で統一すると決まっていた筈ですが、とミサカ10032号は問い詰めます」
「おや、これもれっきとしたスク水ですが?とミサカ10039号はしれっと言ってのけます」
「度重なる裏切り行為。もう許しておけません、とミサカ19090号は怒りを露にします」
「こんな時に自己をアピールしきれないミサカにそんな事を言われる筋合いはありません、とミサカは偉そうな事を言いますが危機を感じ逃げ出します」
「おや、これもれっきとしたスク水ですが?とミサカ10039号はしれっと言ってのけます」
「度重なる裏切り行為。もう許しておけません、とミサカ19090号は怒りを露にします」
「こんな時に自己をアピールしきれないミサカにそんな事を言われる筋合いはありません、とミサカは偉そうな事を言いますが危機を感じ逃げ出します」
詰め寄ってきた二人の視線に身の危険を感じた10039号は海に向かって走り出す。
「待つのです!とミサカ10032号は裏切り者を追いかけます!」
「そのまま海の藻屑にしてやります!とミサカは海に向かって突進します!」
「きゃはは!やっぱりこうなったか!!ミサカも混ぜてもらうよ!」
「そのまま海の藻屑にしてやります!とミサカは海に向かって突進します!」
「きゃはは!やっぱりこうなったか!!ミサカも混ぜてもらうよ!」
物凄い勢いで海に走っていく4人の妹達はバシャバシャと浅瀬を走っていくが、
「ミサカはこの個体において初の海に突入しますとミサカは――――!?」
バッシャァアアン!!と、少し深くなった所で水の抵抗に足を取られた10039号は盛大にすっ転ぶ。
そこに次々と妹達が襲い掛かり、ギャーギャー騒ぎ出した。
一方取り残されてしまった二人はというと、あっという間の出来事に呆然としているが、やがてクスクスと笑い出す。
そこに次々と妹達が襲い掛かり、ギャーギャー騒ぎ出した。
一方取り残されてしまった二人はというと、あっという間の出来事に呆然としているが、やがてクスクスと笑い出す。
「本当にしょうがない子達なんだから」
「そうだな。でも、何だかんだいってあいつ等が楽しそうにしてるとこっちも楽しい気分になれるよな」
「そうね。それじゃ、私も早く混ざりたいし、脱いじゃうね」
「そうだな。でも、何だかんだいってあいつ等が楽しそうにしてるとこっちも楽しい気分になれるよな」
「そうね。それじゃ、私も早く混ざりたいし、脱いじゃうね」
言いながらパーカーを脱ぎ始める美琴には先程のような恥じらいは無くなっていた。
どうやらいつもの調子の妹達に当てられ、リラックスしているようだ。
だが、当麻はというと…
どうやらいつもの調子の妹達に当てられ、リラックスしているようだ。
だが、当麻はというと…
(わ、わわ…)
――隣で彼女がパーカーを脱いでいる。
たったそれだけの筈なのに、鼓動はどんどん高鳴っていく。
元々彼女の水着姿を心待ちにしていた事もある。
だが、それプラス、先程10039号の艶かしい動きを見てしまった彼の脳は10039号の動きと、今の美琴の姿が合わさり、大変な事になっている。
そして、今の状況に耐えられなくなった当麻は思わず視線を逸らしてしまうのだが、それが決定打となった。
たったそれだけの筈なのに、鼓動はどんどん高鳴っていく。
元々彼女の水着姿を心待ちにしていた事もある。
だが、それプラス、先程10039号の艶かしい動きを見てしまった彼の脳は10039号の動きと、今の美琴の姿が合わさり、大変な事になっている。
そして、今の状況に耐えられなくなった当麻は思わず視線を逸らしてしまうのだが、それが決定打となった。
(やば、俺なんて想像してんだよ)
視覚情報がなくなったことで、想像が鮮明になり、彼の頭には常盤台の制服を着た『美琴』が制服を脱いでいるシーンが映し出される。
10039号の言っていた『想像力を豊かにする』とはこの事だった。
彼女の罠にかかった当麻はもうどうする事もできず、ただ美琴が水着になるのをドキドキしながら待つしかなかった。
そして、パサリとパーカーが落とされる音が聞こえると、彼女の方を恐る恐る見る。
すると、そこには白のビキニを身に着けた彼女の姿があった。
トップスは後首と背中を紐で留め、ボトムの方も両サイドを紐で縛って留めるという至ってシンプルなものだ。
10039号の言っていた『想像力を豊かにする』とはこの事だった。
彼女の罠にかかった当麻はもうどうする事もできず、ただ美琴が水着になるのをドキドキしながら待つしかなかった。
そして、パサリとパーカーが落とされる音が聞こえると、彼女の方を恐る恐る見る。
すると、そこには白のビキニを身に着けた彼女の姿があった。
トップスは後首と背中を紐で留め、ボトムの方も両サイドを紐で縛って留めるという至ってシンプルなものだ。
「どう…かな…?」
自分の体型にいまいち自信の持てない美琴は不安げに当麻の方をちらちらと伺い、そう呟く。
すると、当麻はスッと視線を逸らしながら照れくさそうに、
すると、当麻はスッと視線を逸らしながら照れくさそうに、
「あ、ああ、凄く似合ってる。ってか完全に予想外だったから上条さんもうだめです。直視できません」
「そ、そう。ありがと…。でも、もっと良く見て感想言って欲しいな…」
「そ、そう。ありがと…。でも、もっと良く見て感想言って欲しいな…」
当麻に喜んでもらえたのは嬉しい美琴だったが、すぐに顔を逸らされてしまったのは少し寂しい。
なので、水着を見せ付けるように彼の視線の先に移動する。
相変わらず直視できない当麻だったが、徐々に慣れていくと、ようやく彼女の顔を見れるようになり、
なので、水着を見せ付けるように彼の視線の先に移動する。
相変わらず直視できない当麻だったが、徐々に慣れていくと、ようやく彼女の顔を見れるようになり、
「…可愛いぞ美琴。うん、すっげー可愛い」
「ふえっ!?そ、そんなに可愛いとか言われると恥ずかしいじゃなぃ……」
「ふえっ!?そ、そんなに可愛いとか言われると恥ずかしいじゃなぃ……」
当麻の褒め言葉に不意を突かれた美琴は真っ赤になってもじもじとし始めた。
そんな彼女の仕草を見た当麻は、
そんな彼女の仕草を見た当麻は、
(本当可愛いなぁ…今すぐ抱きしめたい……はっ!いかんいかん、ここには御坂妹達もいるんだった)
理性が一瞬飛びかけるが、何とか押さえ、彼女の手を取ると、
「よし、じゃあ俺達も行こうぜ!」
「あ…、うん!」
「あ…、うん!」
当麻の言葉にふわりと笑みを浮かべた美琴。
その笑顔にドキリとした当麻だが、恥ずかしさを吹き飛ばすように妹達が暴れている海へと駆け出す。
そして、怒る妹達をなだめると、久しぶりの海を満喫しはじめるのだった。
その笑顔にドキリとした当麻だが、恥ずかしさを吹き飛ばすように妹達が暴れている海へと駆け出す。
そして、怒る妹達をなだめると、久しぶりの海を満喫しはじめるのだった。
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