とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part03

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とある右手の名誉挽回(キューピッド)


「……で、でもさ……告白しといてこんなコト言うのもアレなんでせうが……ホントに……オレなんかで……イイのか?」

「何言ってんのよ。私は当麻でなきゃダメなの!!」

「え?」

「私が私で居られるのは、当麻と一緒に居る時だけ。自分が自分で居られるのは、当麻の隣だけだもん。私をちゃんと14歳の女の子として見てくれるのは、当麻だけ。だから当麻じゃなきゃダメなの」

「そ、そうなのか?」

「うん、そうだよ。エヘッ(ギュッ)」

「(わ、わぁ~~~~~~~、何か柔らかいモノが当たってます~~~~~~~)」

「と……当麻こそさ……ホントに私でイイの?」

「へ?」

「私って、怒りっぽいし……すぐ電撃するし……ヤキモチ妬きだし……」

「……それが美琴だろ?オレはそんな美琴を好きになったんだ。それでいいじゃないか」

「(ボンッ!!……こ、コイツは……なんでこういうコトを平気で言えるのよ……ぅ、嬉しいけど……)~~~~~~~~~~~~~~~」

「14歳の女の子……か。確かに……そうだよな……。【常盤台の超電磁砲(レールガン)】とか【最強無敵の電撃姫】とか【7人しか居ないレベル5の第3位】とかさ、変な肩書きが多いもんな。美琴は……」

「……ぅ、……うん」

「でも……あの鉄橋の上で見た時の美琴は、「助けてよ」って呟いてた時の美琴は、ホント普通の女の子だった よな。……それに……」

「え?……それに?……」

「何時だったか……河原で勝負したことあっただろ?あの時、電撃も砂鉄剣も効かなくってさ、最後に直接攻撃かけようとして、オレの右手を握っちゃって……あん時の『ビクゥッ』ってして、こーんな感じで涙目になって、ビビってた美琴も……普通の女の子……だったよな。ただ……『まいりました~』ってやった後に、盛大に電撃を……」

「!!!……な、……な……何で……」

「い、いいい、いいいいい痛い、苦しい、痛い、苦しい、痛苦しい。あ、頭に右手が乗ってるから……ビリビリ出来ないからって……そ、そんなに力一杯……や、柔らかいモノを当てながら……抱き締めないで……ち、力が……み、みみみみみ美琴……入りすぎ……てませんでせうか?……ぐえぇぇ……」

「な、何で当麻がその事知ってるの!?覚えてるのよ!?……え……だって……それって……記憶を……」

「へ?」

「そうよ!!それって……記憶を無くす前の出来事よ?ホントは覚えてないはずなのに……私だって言ったこと無かったはず……」

「……アレ……そういえば……何で……?……え?……ウーン……」

「ね、ねぇ……何で?」

「じ、実はさ……四、五日前から風邪をひいて寝込んでたんだよな、オレ」

「えっ?」

「心配かけるといけないから、黙ってたんだけど……」

「……また、当麻は……そういうことをするから、余計に心配するんじゃない!!」

「あ……ゴメン……」

「こ、今度からはちゃんと言ってよ。わ、わたっ、私たちはもう、こ、ここ、ここここここ恋人同士なんだから……ね……」

「(そ、その“上目遣い”だけは、反則過ぎませんでせうか?)……ハィ……」

「エヘヘ(ギュッ)」

「(か、可愛すぎる……何なんだ、この生き物は?……お、オレの理性は……保つのだらうか?)……」

「ねぇ、それで……?」

「あ、……そうそう。(ホッ……なのか?……ん?)……で、その寝込んでた時に、何か知らないけれど盛大に夢を見続けてたみたいなんだよな」

「……何よ、その“見続けてたみたい”って……?」

「よく覚えてないんだよ。とにかく眠かったし、クスリも飲んでたから、何か寝てるのか起きてるのかも良く分からないような感じでさ……」

「……」

「でも……そう、誰かと一緒に居たような……、そして……一緒に……アレ?……」

「と、当麻……?」

「アレ?……オレ……だって……コレ……あ……、ああ……」

「ど、どうしたの?当麻。何で泣いてるの?」

「あ……、ああ……。オレは……お、オレは……」

「当麻!?……当麻ったら!?」

「お、オレは……、そう……そうだよ。……オレは……オレは……、……オレは上条当麻なんだ!!!!!」

「えっ!?」

「美琴!!!オレは上条当麻なんだよな!?」

「えっ!?……な、何を言ってるの?」

「そうだ、そうだよ。オレは、オレは上条当麻なんだ。上条当麻で居て良かったんだ!!!!!」

「と、当麻……えっ?……ま、まさか……」

「そうだよ、記憶が……記憶が戻ってるんだ!!!」

「う、うそっ!?……ほ、ホントにっ!?……ホントに記憶が……?」

「ああ、多分……間違いないよ。全部が全部って訳じゃないと思うけど……だって、普通に忘れてることもあるからさ。でも、大切にしたいことや重要なこと。そういったことは全部思い出せるようになってるんだ!!!」

「ほ、ホントにっ!?」

「美琴と初めて出会った時のことも、夜通し追いかけっこした時のことも。全部思い出せるぞ!!!」

「な、何を思いだしてるのよ!?……、でも……でも……、……あ、ああ……ああ、当麻、当麻ぁ……」

「美琴、ありがとう。お前のお陰だよ。お前が傍に居てくれたから……」

「ううん、私は何にもしてない……。でも、ホントに良かったね、当麻……」

「ああ、……ホントはさ……記憶を失ってからずっと……不安で、怖くて、苦しくて……さ。みんながオレを【上条当麻】として見てくれてるのは分かるけど……オレはそれに応えるだけで……自分の中では、その根っこが無い状態でさ……」

「……当麻……」

「オレの中に“オレは上条当麻なんだ”って言う確信がないんだよな。だから、……ずっと自分はコレでイイんだろうか?っていうのがあって……何ていうか【上条当麻】を演じているだけで、本当は別人何じゃないか?っていう疑問が常にある……って感じでさ……」

「……」

「何が不幸って、これ以上の不幸はねえよな。自分が自分である確信が持てねえんだから……でも、それももう……もう……」

「……(あ……も、もしかして……【右手】が言ってた“当麻にやって貰わないといけないこと”って……コレのコトだったんじゃ……)……」

「ん?……どした……美琴?」

「あ、あのさ……さっき言った“いつもと同じ気持ち”のことを教えてくれた“あの人”って……」

「ああ、その事か……。……で、誰なんだ?」

「信じて貰えないかもしれないけど……その……“あの人”って……当麻の【右手】なの……」

「へ?」

「……」

「……」

「……だから……【右手】……なの……」

「……」

「……」

「……あ、あの……コレ?……」

「……うん……そう……」

「……」

「……」

「……美琴……大丈夫か?お前……」

「あ~~~~、もう!!!!だから言いたくなかったのよ!!!!!!!……でも、ホントだもん。そう言ってたんだもん……」

「……」

「……」

「……」

「……あ~、信じてないでしょ。そりゃ私だって信じられないけどさ……でも、でも……」

「……オレの【右手】が……ねえ……」

「む~~~~~~」

「ん?……あ、ひ、姫?……美琴姫様……そんなにカワイイ顔で睨まれても……上条さんは困ってしまうんでせうが……」

「だって、だって、だってぇ……むぅ~~~~~~~」

「(お、オレは……どうすれば……このままじゃ、鉄壁の理性が崩壊するのは時間の問題だ……)」

「(じぃ~~~~~~~~~~~~~~~)」

「(な、何とかゴマかす方法は……あっ!……)……なぁ、美琴姫?」

「……な、何よ……」

「あの……さ、【右手】って言うけど、どうやって話したんだ?」

「どうやってって、当麻が喋ってたのよ。……でも、私は『違う』って感じた。アレは当麻じゃなかった。それは確信があるわ」

「オレの身体を使って?……何か腹立つな……。でも【幻想殺し(イマジンブレーカー)】だからな。幻想を繰り出す訳にも行かないってコトか……」

「あ……、その名前で呼ばれるの……嫌がってた……」

「へ?……何で?」

「知らない……本当の名前は違うみたい……。そこまでは聴いてなかったけど……」

「へ、へえ……」

「それに……自分は上条当麻を“不幸”にしたことはない。って」

「ハァ?何言ってんだよ、コレがあるからオレは、神様のご加護とか赤い糸とかまで全部消されてんだぞ?」

「……赤い糸はちゃんとあったじゃない……そ、それとも何?私じゃ不満な訳?……むぅ~~~~~~~~~~~~~~」

「(ギクッ!!!)め、めめめめめめめ滅相もない。み、美琴だったら、何の不満もありません!!!か、かかかっ上条さんは幸せ者ですよ~……」

「……だったら、宜しい。……エヘヘ……」

「……」

「……その【右手】が言ってたんだけど……」

「ん?……」

「当麻は、自分を必要としてくれる場所に居て、自分を認めてくれる仲間と共にあって、自分の成すべき事を成している。それは“不幸”じゃないって……」

「……」

「そ、それに……」

「……それに?」

「わ、わわ、わわわわわわ私みないな子に慕われてるのに、何処が“不幸”なんだって。それを“不幸”だって言ったら、世の中に“幸せ”なんて存在しなくなるって……」

「(ボンッ!!)……そ、そう……だよな……(ぅ、うわぁ……なんつー恥ずかしいことを……)」

「……本当の“不幸”っていうのは……あの……妹達(シスターズ)の……一件のようなこと」

「あ……」

「……」

「……オレの記憶も……」

「……うん……」

「……」

「信じていた者から裏切られ、自分という存在を根底から否定され、自分が蒔いた種であるはずなのに、自分の力ではどうする事も出来ない現実を突き付けられる。そんな出来事……」

「……」

「あの時、神様なんて信じてなかったけど……神様は何で私を助けてくれないの?って思ってた。その事を言ったら……『お前は既に神様に助けられているじゃないか?』って……」

「どういうコトだよ?」

「当麻の右手は“神様から貸し与えられた浄化の力”が宿っているんだって。だから、当麻は“神様の代理人”なんだって……」

「オレの右手が……“神様から貸し与えられた浄化の力”を宿す……」

「だから、……だから、当麻は神様の代理人として、私を……私と妹達を、あのとんでもない“不幸”から救ってくれた……。それは神様に救われたのと同じだって……」

「オレが……神様の代理人……」

「それに、それが出来る上条当麻が“不幸”な訳がないって……」

「……あ……」

「話をしていても……何か自分と全然違う価値観というか、視点で話してくるから……言いくるめられてるような気にもなったけど……」

「……オレなんか、ほとんどついて行けてないぞ。……でも、間違ってない……と思えるよ……」

「……うん……」

「……この右手が神様から貸し与えられたモノで……オレが神様の代理人……ってのは、俄には信じられないけど……」

「……でも……」

「ん?」

「当麻はその右手で、たくさんの人を救ってきている。この前なんか戦争まで止めちゃって、地球の危機まで救った。でもそれが“神様の右手”なら……」

「そうだな……そんな事が出来てもおかしくない」

「記憶を失っても、当麻は当麻のままだった。それって【右手】のお陰……なのかも……」

「それも【右手】が言ってたのか?」

「ううん、それは私の想像。でも……そう考えたら……ううん、そう考えないとあり得ないこと……」

「……」

「……」

「でもなぁ……いきなりこんなスゴいコト言われてもなぁ……オレはただの不幸な高校生だぞ」

「不幸じゃない。って言われても……当麻にとっては、そうよね……クスッ」

「な、何だよ……」

「いっつも『不幸だ』『不幸だー』って言ってるもんね……アハハ」

「笑い事じゃねえよ。オレにとっちゃ……、ん~……でも……」

「え?」

「こ、こんなにカワイイ彼女が出来たんだ。もう“不幸だー”なんて言えないよな……」

「(ボンッ!!と、とととと突然何を言い出すのよ、コイツは!!!)~~~~~~~~~~~~~~~~と、ととと、ととととととととっ当然よ……」

「ありがとな……美琴」

「え?……ゎ、私は……別に……」

「美琴が変わろうとしてくれたお陰で、色んなモノが変わったんだ。オレと美琴の関係も変わったし、右手のことも少し分かった。神様の代理人とかまだ信じられないトコは少しあるけど、最後にはオレの記憶まで戻ったんだ。こりゃ、一生美琴には頭が上がらないな~……」

「……ふ、フ~ン……(ニヤニヤ)」

「ん?……な、何ニヤけてんだ……よ?」

「……ねぇ……当麻?」

「……な、何だ?」

「今さ、……“一生頭が上がらない”って言ったわよね」

「……言いましたね……(う……不幸センサーが……)」

「ってコトは……一生、私の言うことを聴く。ってコトで良いわよね?」

「ちょ、ちょちょちょちょちょちょちょっと待て!!……いくら何でもそれは……」

「良いわよね?」

「……そ、そんな……」

「良・い・わ・よ・ね・!」

「……ハィ……」

「じゃ、私は当麻のお嫁さんに決定ね!!!」

「へ?……お嫁さん?」

「うんっ!!」

「……い、い、いいいいいいくら何でも、それは話が飛躍し過ぎじゃないでせうか?」

「一生、私の言うこと聴くんでしょ?」

「……い、いや……だからって……それは……」

「大丈夫。外ではちゃんと当麻を立ててあげるから」

「そ、そういう事じゃなくてだな……」

「何よぉ~、それとも私じゃ不満だって言うの?」

「そ、そんなことはないぞ。っていうか……オレには勿体なさ過ぎるって言うか……」

「(も、勿体ないって……キャー!!!)……エヘヘ……」

「ここで、デレられても……困るんですが……」

「い、いいいいいイイじゃない……もう私は彼女……じゃなくって、私は当麻の奧さんなんだから……」

「だ、だからその話は待てって!!上条さんのオツムでは、展開が早過ぎて着いて行けないのですよ」

「い、いやなの……?(じぃ~~~~~~~~~~~)」

「……い、いいいいい……いや……じゃない……でも……」

「でも?……」

「まだ……早過ぎる……と……思うんだ……オレたち……学生……だし……」

「あ……うん……」

「少しずつ……少しずつでイイから……一緒に……前に進めたら……って思うから」

「一緒に……うんっ!!……だったら、ずっと一緒……だよ……」

「……ああ、……ずっと一緒だ!!」

「エヘヘ……当麻、大好き!!!」

「オレも美琴が大好きだぞ!!!」

「……」

「……」

「……ね……キス……して……」

「え!?」

「一生、一緒に居てくれるって言う……誓いのキス……」

「(ボボンッ!!!)~~~~~~~~~~~」

「……ダメ?……」

「(うぅ……必殺の上目遣い攻撃が……)……だ、ダメじゃない……」

「……じゃあ、……当麻……」

「……美琴……」

『チュッ……』


「美琴……愛してる……」

「当麻ぁ……私も……ふにゃー……」

「……寒いだろ?……こっちに来るか?」

「え……イイの?」

「ああ……大事な彼女に風邪でもひかれたら、上条さんは……」

「彼女じゃないもん、奧さんだもん!」

「だから、それは……」

「ずっと一緒に居るって、誓いのキスまでして……まだ言うの?」

「え?……ま、まさか……お前……」

「ンフフフ……気付いてなかったの?」

「ま……まさか……」

「私にとってさっきのキスは……プロポーズと一緒だからね!!」

「そ、それ……って……」

「一生、頭が上がらないんでしょ?」

「……ハィ……」

「ずっと、一緒に居てくれるんでしょ?」

「……ハィ……」

「誓いのキス、してくれたよね?」

「……ハィ……」

「アレは……プロポーズ……だよね?」

「~~~~~~~~~~~~~~~」

「プ・ロ・ポ・ー・ズ……だよね?」

「……ハィ……」

「……エヘヘ……当麻……大好き……愛してる……チュッ」

「……ふにゃー……」

 この瞬間、上条当麻は一生、御坂美琴の尻に敷かれることが決定した。

 “神より貸し与えられし浄化の力”をその右手に宿す“神の代理人”は、その後“中学生に手を出した上に、結婚の約束までさせたスゴい人”の称号も手にする訳だが……それはまた……別のお話。


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