とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

17-24

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匿名ユーザー

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次の日、いつもどおり、打ち止めを送っていってついでに登校しようとしていた一方通行に黄泉川からあるものが渡された

「ほい、一方通行。これ持ってくじゃん」
「なンだ?これェ」
「お前のクラスの月夜と赤音のマニュアルじゃんよ。それを渡しといてくれじゃん」

そう、一方通行に渡されたのは白雪と茜川の球技大会マニュアルだった
ちなみに内容は一方通行ほどひどいものではなかった

「あン?何で俺が持って行って渡さなくちゃなンねェンだよ。小萌センセーが渡しゃァいいじゃねェか」

一方通行は露骨にいやそうな顔で文句をたれた
だがマニュアルを渡された事には理由があった

「小萌センセは午前中は出張じゃん。だからちょうどお前がいたから渡してもらうと思っただけじゃん」
「はァー……わァったよ。俺が渡しとく」

黄泉川から聞かされた理由に一方通行はため息まじりに引き受けた

「お、助かるじゃん。さすが一方通行」
「つーか、お前、学校いかねェのかよ」
「別にいそいで行くことないから、生徒たちより後でも大丈夫じゃんよ」
「そうかい」

黄泉川のクラスは優等生ばかりなので特にいそがしいことはないらしい
教師がそれでいいのかよ、と思いながら一方通行は打ち止めと玄関を後にした

「それにしても、あなたが素直に引き受けるなんて珍しいね、ってミサカはミサカは驚いてみたり」
「これぐらい誰でもできンだろ、それに素直じゃねェし」
「それでもあなたが受け入れた事はいいことだよ、ってミサカはミサカはほめてみたり」
「……そうか」

打ち止めに褒められたことはうれしかったが、それを顔にださないツンデレの一方通行だった
その後、一方通行の朝練にあわせて家を出たことで打ち止めの学校がまだ開いてないことに気づくのは、別の話


「……元春、おはよう。どう? ぐっすり眠れた?」
「おはようさんだにゃー……。いや、ちょっと微妙な気がするぜい。色々と考えちまって、な」

 土御門の部屋、こちらはようやく目を覚ました土白だが春上が泊まったことで微妙に寝不足だった。
 その春上は土御門のベッドの上で月夜に抱きつきながら未だにスヤスヤと眠っている(土御門は来客用の布団)。

「やれやれ、こっちの気も知らずによく眠ってるぜよ。となると今日の朝練は」
「うん、無理だよ。衿衣ちゃんに朝練付き合わせるのは悪いからね。それにこんなに気持ち良さそうに眠ってる衿衣ちゃんを無理矢理起こすのは忍びないよ」
「ま、今日は降って湧いた休息と思うことにするですたい。しっかし月夜と一緒に俺まで衿衣ちゃんに慕われるとは予想外にもほどがあるぜい」
「確かに。けど元春、衿衣ちゃんに対してシスコン発揮したらどうなるか言わなくても分かるよね?」

 月夜は結局、春上と土御門を引き離すことが出来なかったが、過剰に可愛がることだけは禁止するように土御門にきつく言い聞かせたのだ。
 ちなみに土御門が春上のことを名前で呼んでいたのは本人からの要望で、これには月夜も渋々了承したという。

「んじゃ俺はカミやんに朝練欠席のメールを送るとするかにゃー。ついでに陣頭指揮もお願いしとくぜよ♪」
「私は赤音ちゃん経由で井ノ原くん達に伝えてもらうとするよ。ま、こっちは心配する要素は井ノ原さんしか居ないから安心だけどね」
「元春おにいちゃん、月夜おねえちゃん、一緒に遊ぼうなの~。むにゃむにゃ……」

 春上の寝顔を見て微笑ましい気持ちになった土白、それぞれの連絡すべき人間に連絡をしてゆったりとした朝を過ごすのだった。

――――――――――

「……あかん。結局、この子らを泊めてもうた」

 一方の青ピ、自分の意思などお構いなしに泊り込み、今も眠ってる白子と赤見を見て頭を抱えていた。
 しかし最初は乗り気じゃなかった青ピだが波長の合う二人と話してるうちに段々と楽しくなっていたのだ。
 とはいえ小学生二人を自分の部屋に泊まらせたことに関しては反省しているのだった、彼には珍しく。

「まあ井ノ原姉弟のおかんは見た感じ、許してくれそうやけど問題は黒子はんや。そろそろあの子が部屋に入って来て」
「お早うございます○○様♪ さ、今日も今日とて朝から愛を育もうではありませんか♪」
「やっぱり来たーーーーーーっ! ……って言うとる場合ちゃう! 黒子はん、下着は脱いだらアカンから!」
「承知しておりますの♪ 黒子は分別を弁えた立派なレディー……あ、あの○○様、○○様の両脇で寝ている子供は……?」

 昨日の寮監の説教を記憶の奥底に無意識状態で押し込めた黒子のテンションはいつもと変わらずだった、白子と赤見を目にするまでは。
 青ピは間違いなく黒子が逆上すると思っていたが、黒子の頭の中ではこんな結論に達していた。

(あの凛々しい男の子は○○様に、こちらの純情そうな女の子はわたくしそっくりですわ。……まさかこの二人、黒子と○○様の未来の息子と娘?)


黒子が変な妄想をしているところで、さっきほどの騒ぎにより二人が起きはじめた

「むにゃ……おはようございます、師匠」
「んん……おはようございますですわ、師匠」
「あー、おはようさん」

青ピは師匠と呼ばれることにまだ抵抗があったがやめろと言っても聞きそうにないので言わない事にしている

「あら、○○様、この子達から師匠と呼ばれてるんですの?それならばすごいですわー!!」

黒子は赤見と白子から師匠と呼ばれている事に感激した
しかし、赤見と白子は黒子ことは知らないので不審に感じた

「師匠。この白子はんそっくりの人は誰ですか?」
「本当ですわ。わたくしそっくりですわ。誰ですか、師匠?」

二人は疑問に思った事を素直にぶつけた

「この人は白井黒子はん。ボクの彼女や」

青ピはここぞとばかりに胸を張った
弟子に自慢できることがとてもうれしかったらしい

「「さすが、師匠!!」」

赤見と白子の二人は青ピの期待通りの答えをくれた
もう、青ピはなんやかんやで弟子を認めってしまったらしい

「そして、黒子はん。こっちはボクの弟子の赤見に白子やでー」

そして誇るように赤見と白子を黒子に自己紹介した
その後、やはり変態の話で盛り上がり、赤見と白子は黒子にまで弟子入りしてしまった
盛り上がりすぎて青ピが朝練に遅れたのは言うまでもない

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「えっとー、麦野をどうしようか?」

一方、浜面と滝壺はまだ起きていない麦野をどう対処しようか悩んでいた


「つーかコイツ何で俺のシャツに着替えてんだよ……。しかも寝かせといた布団から俺のベッドに移動してやがるし」
「きっと私たちが寝てる間に一回起きて着替えたと思う。とりあえずはまづら、そのにやけた顔は止めて」
「わ、悪ぃ……(しょーがねーじゃん! 麦野のやつTシャツの下、何にも着けてねーんだから! うっ! 寝返り打つなよ……)」

 滝壺の推測通り、日の出前に目を覚ました麦野は自分がどうして浜面の部屋に居るのか分からなかったがラッキーと思うことにした。
 しかしベッドの上で浜面の横で眠ってる滝壺に嫉妬した麦野、着ていた服を下着ごと脱ぎ捨てて浜面のTシャツに身を包んでベッドに潜り込んだのだ。
 ちなみに脱ぎ散らかした麦野の服は滝壺が回収し終え、洗濯中。

「ここは私に任せてはまづらは朝練に行って。遅刻でもふきよせは怒りそうだから」
「……確かに違う競技でも怒られそうだな。分かった、先に行ってるからな。けど滝壺、お前は大丈夫なのか?」
「心配要らない。寝ている状態なら左手は出てないから怪我することもない。それにむぎのをここに一人にする方がもっと心配」

 滝壺の心配、それは自分も浜面と一緒に出かけて麦野をこの部屋に一人にした場合、99%の確率で荒らされるという事態だった。
 それは浜面も危惧していたことで、名残惜しいとは思いつつも後のことは滝壺に任せて朝練に向かうことにした浜面。
 いってきますのディープなキスを滝壺にした浜面、ポーッとした滝壺に見送られて玄関のドアを開けようしたが、

「ん~~~~~、は~まづらぁ、そ~んなに私とキスがしたいのか~、ムニャムニャ、しょうがないな~」
「へ? ぬおっ!! ちょ、麦野! おま、寝ぼけムグッ!!!」

 寝ぼけ状態の麦野が閃光のアームを発動し、浜面の制服の襟を引っ掴んで自分の所へ引き寄せると浜面が味わったことの無いディープを超越するキスを見舞う。
 念の為、麦野はまだ眠っており、浜面と恋人同士になった夢を見ていることを追記しておく。
 そして5分間もの熱烈かつエロスに溢れたキスの後で浜面は閃光のアームで玄関の外へと投げ飛ばされることに。

「ぎゃんっ! ……け、汚された。む、麦野にこれでもかというくらいに汚された。うわーーーーん! ごめんな滝壺ーーーーーっ!」
「…………はまづら?」

 麦野に無理矢理唇を奪われたことを泣きながら謝罪して立ち去っていった浜面、麦野のキスがちょっとどころかかなり気持ち良いと思ってしまったことも含まれている。
 浜面にとって幸運だったのは滝壺が自分との愛に溢れたキスでポーッとしていて一連の騒動に全く気付いていなかったことだろう。
 滝壺は浜面の行動理由が分からず、不審に思いながらも郭に朝練欠席どころか遅刻するかもとメールを送るのだった。

―――――――――

「じゃあ母さん、行ってきます」
「行ってきますおばさま」
「ZZZZZ……」
「おう、気を付けるんだぞ」

 こちらは井ノ原家、朝練に出かけるポリアモリーカップルが朝陽に出かけの挨拶をしている所だ。
 最初はどうなるかと思った真夜、真昼、赤音の関係だが日を追うごとに仲良くなってる感じを受けて安心している朝陽なのであった。

「ところで母さん。今日もうちの学校に来るつもり?」
「いや、今日は残業になりそうなんでな、行けそうにない。だから晩飯も先に食ってていいぞ」
「おばさま、あまり無理しないで下さいね」
「ありがとな赤音。ホント、お前のような子がうちの真夜を好きになってくれて良かったよ。これからもよろしく頼むぞ将来の娘♪」

 朝陽の言葉に顔を真っ赤にさせた赤音と真夜は恥ずかしくなって慌てて出て行った、この時も真昼は起きる気配すら見せない。
 子供達を見送った朝陽、すでに出かける準備を済ませており、なおかつ家に居てもやることがないので、

「ちょっと早いが学校に行くとするか」

 いつもより早く通勤することにするのだった。

―――――――――

 場所は変わって翔太の部屋、結標が黒子みたく彼の寝室に【座標移動】で現れる。


「あ、淡貴おはよー♪」

結標は翔太のちょうど起きてベットから降りたところへ奇跡的に後ろにテレポートに成功してついでに後ろから抱き着こうとしたが翔太がすぐに気づき、逆に翔太が抱きついてきてしまった

「お、おはよー、翔太。(すごいわね、すぐ気づくなんて。でもそれだけ私のことを感じ取ってくれてるってことよね。……うれしい)」
「どうしたの、淡貴?鼻血出てるよ」
「え!?ホントに!?な、なんでもないから、ティッシュ取ってくれる?」
「?わかったよ、はい」

結標はうれしさのあまり鼻血を出してしまった
翔太からティッシュをもらうとすぐに鼻に詰めた

「あ、そうだ。これ翔太のお弁当。がんばって作ったんだからね」

料理の腕が最近上がってきた結標は翔太のために弁当を作ってきたのだった

「わー!ありがとう、淡貴!」
「そんなに喜んでくれるなら本望だわ。さ、着替えてはやく登校しましょ」
「うん!すぐ準備するから外で待ってて」

翔太は結標を待たせてはいけないと思ったので数分で準備を済ませた

「は、はやいわね。もうちょっとゆっくりしてもよかったのに」
「だって、淡貴を待たせるわけにはいかないじゃん」
「そ、そう。ありがとう。じゃ、はやく行きましょ」
「うん!」

結標は顔が小爆発を起こしそうになったので先をうながした
そして二人仲良く登校していった

――――――――――――――――――――――――――――――――

一方、上琴ハウスの上条も登校しようとしていた


「じゃあ行ってくるな美琴」
「行ってらっしゃい当麻。はいお弁当♪ そ・れ・と♪」

 玄関までの見送りならびに愛情弁当手渡し、そしていってきますのキス、もはや上琴は恋人というより新婚さんの域に達している。

「ところでさ美琴。来るのは放課後だよな? まさか後でこっそり付いて来たりとか」
「しないしない。ちゃんと約束は守るから安心して。行くのは放課後、吹寄って女とは極力話し合いで電撃の槍ならオッケーでしょ?」
「はい最後アウトーッ! 電撃の槍も普通の電撃もダメ! 美琴の能力はそんなことの為に使ってはいけません!」

 昨夜もさんざん宥めた末に美琴に吹寄と話し合う許可を与えた当麻、大人しいと思っていたらそうでも無かった美琴に頭を抱える。
 それから更に砂鉄の剣、超電磁砲ならと言う美琴を当麻なりに厳しく咎めるのだが、

「なによぅ、と、当麻ったら、グズッ、私より吹寄って女の方が、エグッ……」
「わーーーーっ! 違うから、全然違うから! ただ上条さんは美琴に手荒な真似はして欲しくないだけです! 吹寄なんかよりも美琴の方が大事だから!」
「……ホント?」
「モチのロンですよ! わたくし上条当麻にとって美琴よりも大切な女性はこの世に存在しませんのことよ! 世界で一番美琴のことをうおっ!」

 当麻にきつく怒られたこと、吹寄をかばうような感じを受けて泣きそうになった美琴を見て慌てて泣き止ませようとする。
 努力の末、美琴は泣き止んだが今度は嬉しくなって当麻に抱きつく、漏電してることに気付かずに。

「ゴメンね当麻。当麻のことは誰よりも信じてるのにそれを疑っちゃって……。でも嬉しい♪ 当麻が私のことを大切に思ってくれて」
「(ろ、漏電は右手で何とかなったけど、む、胸がっ! 美琴の発展途上の慎ましくも愛らしい胸がっ!)じゃ、じゃあそろそろ行くから……」
「あ、ゴメン。じゃあ当麻、また放課後にね♪」

 理性の限界が近づいていた当麻は慌てながらも優しく美琴を引き離し、平静を装ったまま玄関を出た。
 そして煩悩を振り払うかのように全速力で友愛高校へと走るのだった。
 なお、土御門の朝練欠席のメールに気付くのは更衣室に入ってからのことである。

「んー、まだちょっと甘え足りなかったなー♪ 放課後、当麻に目一杯甘えちゃおっと♪」

――――――――――

 そして朝練が始まって10分、バスケ組では、

「だあっ! く、くそっ! まだだ、まだ頼むぜ災誤先生っ!」
「いい根性だ浜面! 青ピが来てないから暇を持て余してたところだ、お前の気が済むまで付き合ってやる!」

 浜面が今朝の麦野の件を振り払うかのように災誤との1ON1に明け暮れていた、しかもがむしゃらに。
 その様子からパス練習をしつつも姫神、半蔵、違うクラスの郭は浜面に何があったのかと話していた。


「どうしたんですかね、浜面氏」
「あれじゃないか、人生の崖っぷちに立たされたとか」
「違う。違う。浜面は。滝壺さんの裸を見て。フィーバーしてる」
「ああ、そうかもしれませんね」「そうかもなぁ」

姫神の一言に納得する半郭。姫神はかなり失礼なことを考えた物である
と、そこで浜面が、

『ちげぇよ!俺は青髪みたいな変態じゃねぇ!!』

と災誤にぶつかりながら叫んだ

「なんだ、違うのか」
「じゃあ。人生の崖っぷちに立たされたで」
『俺はいつも崖っぷちに立ってらぁ!』

浜面は人生の崖っぷちに対しても、災誤にぶつかりながら叫んだ

「それは。威張る事じゃない」
「じゃあ、なんだろうか?」
「あ!もしかして麦野氏にキスされたとか!」
『グッ!!……ぐわぁ!?』

そこで郭の一言により浜面の動きが止まってしまった
そして災誤のドリブルカットによる手が浜面の顔に入ってしまい吹っ飛ばされてしまった

「す、すまん。浜面、大丈夫か?」

災誤は浜面に呼びかけたが返事がなく気絶してしまった

「間違ってなかったみたいですね」
「そうだな。まさかとは思ったが」
「とりあえず。浜面が起きるまで練習して。起きたら問い詰める」
「「そうしますか」」

三人は浜面を問い詰める事を決めて練習を再開するのだった

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浜面が気絶したころ、バレー組は放課後の神裂を含めた練習に少なからず対応するため、野原だけをを鍛えているのだった


「ちょ、な、何で俺だけ!」
「何でも何もないわ、よっ! 貴様は昨日、コーチのジャンプサーブ取れなかったでしょ! だからこうして鍛えてるの、よっ!」

 地獄のような特訓の成果か、野原は吹寄の全力のスパイクを何とかではあるがレシーブ出来るようになっていた。
 吹寄は疲れたのか赤音と交代すると、野原の顔色は一気に悪くなった。

「あ、茜川、た、頼むっ! 手加減というか、能力加減をっ!」
「分かってる分かってる♪ いっくよー、せーのっ! ワッ!」
「ぬぐっ! ぎゃんっ!!(か、加減、全くしてねぇ……)」

 スパイクを打った後にボールに衝撃波をぶつけて加速させる赤音特製スパイク、本当に加減はしている。
 しかしそれでもまだまだ野原にはきつく、受け切れずに弾かれ、しかも顔面直撃で気絶してしまう。

「ありゃりゃ、野原君もまだまだだね~」
「それにしても驚いたわ。まさか茜川さんの身体能力がここまで上がってるなんて」
「伊達に木山先生のもとで訓練してないってことだよ。でもね、それ以上に私の真夜君への愛が」
「はいストップ。茜川さんには悪いけど惚気なんて聞きたくないから。じゃあ野原が復活するまで私たちも頑張りましょう!」

 バレー組は神裂というコーチを得て、いい方向へと進んでいるようである。
 ちなみに赤音の身体能力アップは木山のお陰というより真夜と真昼、それに半郭がいるからだったりする。

――――――――――

「オラオラてめぇら! 土御門が居ねぇからってさぼらせねーぞ!」

 野球組は当麻の指揮の下、どこよりも厳しい練習に明け暮れていた。


「ハァハァ…つゥーか、何で土御門来てねェンだ?」
「うるせぇ!彼女連れてきて惚気てる奴が文句たれてじゃねぇ!!だまって練習に集中しろ!」
「テメェ、上条、それはないだろォ!」

結局、打ち止めの学校は開いてなかったので打ち止めを連れてきてしまった一方通行
だが、やはりそれは野球組にネタにされいじりまわされてしまった

「はい、アクセラ、グラウンド100周!!」
「ハァー!?なンで俺がそンな事しなくちゃ……」
「増やされたくなかったら、ささっと行けぇ!!」
「がんばれー!ってミサカはミサカは精一杯応援してみる!」
「うおォォォおおおおおおおおおおおおおおお!!」

一方通行は打ち止めの応援により上条から命じられたグラウンド100周をかなりのやる気で開始した

「……いいな。彼女いる奴は……」

情報屋の紫木はその光景をうらやましそうに見ていた
そしてやる気を上げて練習を再開した
この日の野球組の朝練はいつもよりフィーバーしていた(おもに一方通行のおかげで)

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「よし、白雪さんは事情があっていないけど、練習を始めようか」

少し時間は戻り、サッカー組の練習が開始された
まずは東原のGK練習からである


「じゃあ今日は正面じゃなくてゴールポストギリギリを狙ってシュート打つからな」
「ちょっと待て井ノ原弟! 俺まだお前のシュートも白雪の殺人シュートもまともに捕れねぇんだぞ!」
「大丈夫大丈夫。能力は使わないし、今回は東原の状況判断を見るためのものだからさ。じゃあいくぞ、せいっ!」

 東原はすぐさま【技術盗賊】を使用、脳内で覚えた世界の名GK達の動きをピックアップし臨戦態勢に入る。
 真夜の動き、軸足の向きなどをよく観察しシュートコースを割り出した東原は見事にワンハンドキャッチ(ダイビングで)を決めた。

「凄いぞ東原! 結構ギリギリの所狙ったんだけどなー、完璧に読んでキャッチするなんてビックリしたぞ」
(ビックリしたのは俺の方だ! 何で能力使ってないのに威力も速度もあって、ゴールポストにギリギリ当たらない隅っこに打てるんだよ……)

 東原は表情にこそ出さなかったが、真夜のシュートは実はギリギリキャッチできたもので自分が能力を使ってなかったらまず触れることすら出来ないレベルのもの。
 それもそのはず、真夜の能力未使用状態の身体能力はサバイバル合宿の時と比べて約二倍にまで上がっているのだから。
 真夜本人はそのことに気付いていないので素直に東原に感心していると木山が気だるそうにやって来た。

「おはようございます木山先生」
「おはよう。朝からよくもまあ、そこまで元気でいられるものだな。それはいいとして真夜、お前の特別ルールを伝えに来た」
「特別ルール、ですか?」
「【瞬間超人】の制限は70とする。ただし一日目は得点を決めてはいけない。2日目の準決勝の後半と決勝からは自由に得点を決めていいぞ」

 木山から伝えられたハンディキャップにサッカー組は騒然となるが、真夜本人は全く気にした様子は見せなかった。

「分かりました。それならそれでやりようはいくらでもありますし。それに白雪さんと真昼さんが居るから得点力には困りませんから」
「まあ、白雪にも特別ルールはあるが得点の制限は設けていないからな。それに真夜ならきっとそう言うと思ってたさ。じゃあ試合、楽しみにしてるぞ」

 木山が去った後も東原のGK練習、ならびに他のメンバーの自主練は問題なく進んでいった。
 そして真昼が起きる時間になったので東原のGK練習は次の段階に(真昼は今日は最初からジャージ)。

「じゃー今から俺と真夜がパスしながら上がるから東原はどっちがシュート打つか判断してちゃんと取れよ」
「そんなに難しいことじゃないし、俺は能力使わないから東原なら大丈夫だと思うぞ。じゃあ行こっか真昼さん」

 そう言って攻め上がってくる井ノ原ツインズのパスの速度は普通のシュート並みに速く、それでいて正確なことに東原はビックリする。
 予想以上の速さに途惑う東原はどちらがシュートを打つのか判断に迷い、真昼のシュートにゴールを許してしまう。

「何だよ情けねーな。あれくらい捕れなきゃダメじゃねーか」
「まあまあ真昼さん。東原、もう少し速度落とした方が良さそうかな。じゃあ取れるまで休み無しということで」
「んなっ! そ、それは厳し過ぎだろ! この……鬼双子ーーーーーーーーーっ!」

 結局、東原が休めたのは朝練終了10分前のことだった。

――――――――――

 友愛高校の球技大会の朝練の時間が終わりそうな頃、土白は春上を柵川中学へ送っていき、自分達の学校へ向かっていた。
 すると白子と赤見を途中まで送った結果、朝練遅刻どころか欠席してしまった青ピ、そして黒子と鉢合わせすることに。


「あれー?青髪君に黒子ちゃん?どうしたのー、いまさらこんな時間帯に」
「いや、これには深いわけがあってやね……」
「つもり、無断で練習をさぼったということかにゃー?言い訳は聞いてやるから、大人しく月夜にさされろ」
「えぇーーーーー!?」

土御門はさっそく青髪を疑った
白雪も土御門の言葉を聞き、氷の剣を作り出した

「待ってくださいまし、土御門さん、白雪さん。わたくしから謝りますのでどうか○○様をお許しくださいませ」
「黒子はん……」

そこに黒子が二人へ謝りを入れた

「う~ん、黒子ちゃんが言うなら何か事情があったと信じてやるぜい。だが今度からはちゃんとカミやんか俺に連絡入れるんだぜい」
「青髪君の事情は後で聞くからねー。ところで黒子ちゃんはなんでここまで?」

白雪と土御門の二人は黒子の顔に免じて青ピを許した
そして白雪は当然の質問をした

「いえ、愛しの○○様と登校はあたりまえでしょう?ですが校内まで入ると寮監に通報されかねませんのでわたくしはこの辺で……○○様ー!では放課後にあの子達と是非伺わせていただきますわー!」

そう言い残して黒子はテレポートを使い消えていった

「さぁ、教室に向かいながら事情を聞かせてもらうよー」
「黒子ちゃんが最後に言ってた”あの子達”についても聞かせてもらうぜい」
「……はは……」(なんでこの人らはこんなに人の噂がすきなんやろ?)

青ピはそんな感想を抱きながら、黒い顔をする二人に話していった
ちなみにこの青ピの話を聞いた白雪と土御門は完璧に呆れていた

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

少し時間は遡り、春上の学校である柵川中学はざわついていた
なぜかと言うと、春上と土御門を抱えて雪の翼で中学校に入ってきた白雪が原因だった


「今の女性って確か新しくレベル5第五位になった白雪月夜さんよね? 【絶対零度】の」
「男の方は噂で聞いたことのある彼氏だから一緒ってのは分かるけどさ、どうしてうちの生徒も一緒だったんだ?」
「そんなに不思議はねぇだろ。確かあの娘、春上って名前であのクラスの生徒なんだからさ」
「ああ、あの先生とあの子がいるクラスの」

 レベル5第五位になって2ヶ月あまり、月夜は学園都市でもかなりの有名人になっており恋人の土御門もそれなりではあるが知れ渡っている。
 その月夜が柵川中学に来たことに驚く生徒達だったが、一緒に来たのが春上だったのですぐに鎮静することに。
 ちなみに春上は土白と別れた後で枝先を発見し合流、仲良く校舎へと入って行った。

「うちの学校も変に有名になってるよねー。ジャッジメント第一七七支部があるってだけだったのに」
「それもこれもあの先生とあの子が仲良しって分かってから……あ、噂をすれば」

 柵川中学は第一七七支部があること以外は普通の中学校だった、そう、とある人物が教師として赴任し、とある生徒と仲良しだとく分かるまでは。
 そのとある教師こと神裂がとある生徒こと初春をお姫様抱っこして走って登校して来た。

「ふうっ、何とか間に合いましたか。これならもう少しゆっくりでも大丈夫でしたね。飾利、どこも怪我はありませんか?」
「火織お姉ちゃん、この状況で怪我とかはありえませんから。それより……早く降ろして下さいっ! は、恥ずかしいじゃないですか!」
「そうですか? 私は全然恥ずかしくありませんよ♪ むしろ教室まで送って……ヒッ! す、すみません……」

 初春を独り占めできて嬉しいお姉ちゃんの神裂、しかし調子に乗ってしまい初春の怒りを買ってしまうことに。
 怒られた神裂がしゅんとしているのを見た初春は、もの凄く悪いことをした気持ちになり神裂をあやし始めた。

「すっげーよなあの初春って子。神裂先生を唯一コントロール出来るんだもんな。そのせいで神裂先生とお近づきになれねぇんだけど……」
「あの子に取り成してもらおうにもやんわりと断られるし、それにあの子自身も妙な迫力が付いてきて……。仮に無理矢理脅そうものなら」

 初春と神裂、授業中はそれなりに公私を弁えているがそれ以外の時間は本当に姉妹のように仲良しということをオープンにしている。
 思春期の男子生徒達は神裂と仲良くしたい、しかし初春の存在がかなりネックな上にその初春を守るかのような親友がいることで全然お近づきになれない現状だ。

「おっはよー飾利♪ 今日も朝から神裂さんと仲良くやってるねー」
「昨日の超厳しいお仕置きの後にも関わらずその元気っぷり。さすがは飾利、超たくましいです」
「おはようございます涙子さん、最愛さん。じゃあ火織お姉ちゃん、私は二人と一緒に行きますけど平気ですよね?」
「ええ、まだ名残惜しいですけどすぐにまた会えますから。佐天、絹旗、飾利のこと、よろしくお願いします」

 初春にあやされて完全に元通りになった神裂は意気揚々と職員用玄関へと向かって行った。
 神裂に初春のことを任された佐天と絹旗だが、教室までの道のりで大げさと思いつつも初春の手を両サイドから取って教室へと向かうのだった。

「佐天って子はともかく絹旗って子はレベル4なんだろ? そこに神裂先生と時々来るゴスロリの外国の人……謎よね」
「何であの初春って子の周りにあんな色んな人間が集まるのか全くもって不思議としか言いようが無いよな……」

 月夜の話題を吹き飛ばす初春の存在だが、彼女を良く知らない人間にとっては未だにミステリアスな少女と思われているのだった。
 なお、初春と佐天と絹旗が『柵川中学デルタフォース』と呼ばれるのは少し先の話である。

――――――――――

 こちらは友愛高校食堂、朝練も終わり生徒たちが炊き出しを求めて集まっていた。

「うむ、今日も昨日と同じく繁盛してるのよね♪ 惜しむらくはこの炊き出しを飾利姫に食して欲しかったわけだが……おや? 意外な連中が来てるのよ」

 食堂のおじさんとしてここに勤めてる建宮が見かけた団体、それは朝練終わりの浜面、半郭、姫神だった。
 四人がここに来た理由、それは朝練の時に判明してしまった浜面と麦野のキスの件について問い詰めるためである。


「さぁ。浜面。どうして。滝壺さんがいるのに。キスしたの?」
「いや、だから不可抗力で……!」
「そうやって逃げるのか、浜面」
「見損ないました」
「だから、ちげぇって!」

浜面は誤解されて反論していた
そしてそれを聞いた建宮は、

(ほうほう、浜面が麦野にキスしたと……これは面白そうだからもう少し聞くのよな!)

自分にも人をいじれるチャンスかも、と思い、盗み聞きを続けていた


「てめーらいい加減に人の話聞けよ頼むから! キスしたんじゃなくて無理矢理キスされたんだよ麦野に!」

 真実を言った浜面だが、半郭も姫神もまだ半信半疑といった様子。
 気配を完全に消して盗み聞き続行中の建宮、ますます楽しそうなことが聞けるとワクワクしていたが、

「あ、こんな所にいた。駄目だろ建宮のおっさん。忙しいんだから油売ってる暇なんて無いんだからさ」
「ふ、双子弟……。ま、待って欲しいのよ! 今からが大事な所なわけだかぐえっ!」
「大人なんだからさ、仕事はちゃんとしないと。それと盗み聞きは感心しないな。建宮のおっさんはそうゆうことはしないって思ってたのに」
「わ、分かったから、た、頼むから襟引っ張るのは勘弁願うのよな……。く、首が絞まって……」

 今日も食堂の炊き出しの手伝いに来ていた真夜に見つかってしまい、連行されてしまうのだった。
 建宮が居たことに驚いた四人、その建宮が襟を引っ張られて連行されているせいか顔色が青くなってることが少し心配になっていた。

「ま、まあ予定外のことがあったわけだが浜面。無理矢理ってのはどうゆうことだ?」
「まあ掻い摘んで話すとだな、出かける前に寝ぼけた麦野が俺をアームで引き寄せて無理矢理ディープなんて生温いキスを……って何だよ? その反応」

 嘘偽りなく全てを話した浜面、しかし半蔵は呆れ、郭と姫神はとことん見下した視線を送っていた。

「あのな浜面、嘘吐くならもう少し現実的な嘘吐けよ。寝ぼけた麦野が無理矢理キスって有り得ねぇだろ」
「半蔵様、浜面氏は本当のことを言っていると思います。昨日は三人で帰ったはず。浜面氏と滝壺氏と麦野氏、一つ屋根の下で過ごしたのでしょう。つまり浜面氏は」
「滝壺さんの。見てる前で。抵抗を諦めて。キスを許したことになる。分かりやすく言うと。浜面マジ鬼畜」
「だーかーらーっ! 無理矢理だって言ってんだろ! あのアームの力に俺が敵うわけねーだろ! つーか姫神、鬼畜は酷ぇし何で俺のこと呼び捨てなんだよ!」

 半蔵も郭と姫神の意見を聞いて呆れから見下しへと視線を変え、浜面は心の中でもの凄く号泣していた。
 しかし言われっ放しも癪なので浜面は一番酷い言葉を投げかけた姫神に自分の呼び方のことについての言及もするが至って残酷でシンプルな答えが返されることに。

「浜面からは。下っ端というか下僕。そんな感じのオーラがにじみ出てる。つまりはそうゆうこと」
「何気じゃなくて酷ぇな姫神……。けど麦野のあの腕で押さえ込まれたら仕方ねぇかもな。浜面のこと、信じてやるとするか」
「そう、ですね。麦野氏の前では浜面氏はまともに戦えば無力同然ですし。ですから姫神氏、もうこの辺にしてあげましょう」
「郭さんが。そう言うのなら。続きはうちのクラスの。HRで吹寄さんにでも」
「「「それだけは絶対に駄目!!!」」」

 三人揃っての姫神の提案否定に驚く姫神、そこでようやく吹寄と情報屋についてのことを聞かされる。
 事情を知った姫神は吹寄の為ということもあって協力を申し出て、浜面と半郭も快く受け入れた。

「吹寄さんに。春が来るなら。私も嬉しい。相手が紫木くんというのは。少し物足りないけど」
「まあ、その辺は当人同士のことですから。浜面氏の罪については滝壺氏が来てからゆっくりと追求しましょう♪」
「んなっ! まだ続くのかよそれ! もういいじゃんか終わったことムグッ!」
「ゴチャゴチャ言ってないでさっさと喰って教室行くぞ」

 なおも自分への追求を続けようとする郭に抗議しようとした浜面だったが、半蔵に自分の分の炊き出しを口に突っ込まれて中断されてしまう。
 そしてそのまま四人は綺麗に炊き出しを完食し、自分達の教室へと向かうのだった(麦野とのキスの件は滝壺合流後ということで)。

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 時間は進みHRが始まった頃、炊き出しの手伝いを終えた真夜が教室へと向かっていた。
 ちなみに小萌と災誤、それに吹寄には事情を話し許可を得ているのでそれほど慌ててはいない。
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