とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part02

最終更新:

NwQ12Pw0Fw

- view
だれでも歓迎! 編集


御坂がこんなに可愛いわけがない


アイツとの生活が始まる前の私はひどかった。アイツを考えるだけで頭の中が真っ白になるし
男子高校生にスキルアウトから助けてもらったという後輩の話を聞いただけでその後輩を妬んでしまい、
黒子が「あの類人猿め」と呟いたら
「何?アイツと会ったの?どこで!?教えて!!」
と恐喝するように情報を求めてしまったりと精神的にもおかしかった。
アイツのことを考えるだけで理性が吹っ飛ぶといっても過言ではない。

そんな時期に能力開発テストがあり、結果はボロボロ。心配した教師たちは何かの間違いだろうと
口を揃えて言ったが寮監だけは違った。

「御坂、お前何か悩みがあるな?ごまかそうとしても無駄だぞ」

この人に前から思っていたが嘘は通じない。もう胸に引っかかっている事全て寮監にぶちまけた。すると寮監は

「ふむ、お前が悩んでいる事は今回の開発テストの結果が優れなかった事と大きく関係しているな」
「え?」
「可愛い恋愛感情なら開発テストの結果など落ちん。でもお前のその感情は莫大にでかすぎる」
「はあ・・・」
「恐らく「自分だけの現実」が崩れている可能性がある。しかもお前のその「思い人」がお前の
「自分だけの現実」の大きな一部となっている可能性も高い」

図星をついていると私は思った。そこまで私を普段から見ていたなんて・・・

「では私から学長に言っておこう。お前の「自分だけの現実」のために」

それからの常盤台の行動は早かった。上条当麻の確実な確保、生活の保障、それに私自身の解決策、
常盤台が出した最善の解決案は
「御坂美琴の「自分だけの現実」を取り戻すために上条当麻と御坂美琴が恋人になることが一番早い解決策」
と断定。
他には「上条当麻との生活によって元に戻るのをただ待つのみ」
これが大人の考える最善案なのか・・・
でもこのことは誰にも口外してはいけないと言われた。


「ねえ黒子、こんな事態になったけど・・・どうしよう?」
「お姉さまの悩みは黒子の悩み。私のことは気にせずゆっくりしてきてくださいな?」
「ごめんね黒子・・・初春さんと佐天さんにも伝えておいて」

黒子にはしばらく療養が必要になったと言ってごまかしたが頭の良いこの子のことだがら
何かしら感づいているかもしれない。


そして当日、トランクに必要な荷物を入れ、言われたマンションに向かった。
玄関先にはアイツが・・・どうしよう、何て説明すればいいか・・・説明も何も、

「アンタが好きでどうしようもなくなったからこんな事態になったのよ!」

なんて言えない・・・

もうどうにでもなれ!!チャイムを押した。数秒すると当然アイツが出てきた。

(うぅ・・・目の前になると緊張して何も言えないしできない///)

私の様子が変だと気づいたアイツは気遣ってくれたのだろうか、トランクを持ってくれた。
その優しさがたまらない程嬉しい。

「ほら、この部屋にあるもの好きに使っていいらしいから座って話そうぜ?」
「・・・・・・・・・うん」

事情を説明してほしいのはアイツも当然のこと。でも正直になんて言えない。どうやって
誤魔化し、しかもちょっと気づいてくれそうに説明しようか・・・
必死に考えていたら・・・

「??」

アイツが私の様子を伺うように見ていた。その視線と目が合った。

「っ・・・・・・」

視線が合うだけで私の体の中に電流が走ったように何かが流れる。体がとても熱い。溢れてきそうな何かを
抑えようとしても抑えきれない。

「み、御坂!?」

アイツは私の頭に手を乗せようとしてきた。大好きなアイツとアイツの右手。でも私の心とは逆の行動をとってしまう。

「嫌!離して!」
「バカ!ここで手を離したら部屋がめちゃくちゃになっちまうぞ?」

そうか・・・私漏電していたんだ。だから右手を・・・

「ごめん」
「謝るなって、「自分だけの現実」が回復するまで俺とここで生活しないといけないんだぞ?
そう考えたら早く治したいだろ?少しの辛抱だから頑張れ御坂!」
「・・・・・・・・・・・・」

いつもこれだ。自分のことを棚にあげず相手のことを心配してくれる。それに今は私だけを見てくれている。
でも「自分だけの現実」が回復するまで俺とここで生活しないといけないんだぞ?
って私がアンタといることが嫌だと思っているの?そんなことないのに・・・

違うと否定したいけど声が出ず、変わりに涙が出てきそうになった。


それからというもの、アイツは恐いくらい優しすぎて何でも私のおねだりを聞いてくれる。
「自分だけの現実」が崩れてよかったかもと我ながらとんでもない事を思う。
でもこれが幻想なのかもしれないと恐怖も感じる。
夢なら覚めてもいいや、これが現実ならこのままでいい。とふっきれた。

アイツの腕に抱きついても
「落ち着くまでそうしてていいから」
と言ってくれ、それに甘えまくった。でもアイツの顔を見ると相変わらず体中に電流が流れた感覚に陥る。
何回も「顔が赤いけど大丈夫か?」と心配して右手を頭に乗せてくれるけどこれで私の気持ちに気づいてくれないなんてよほどバカ・・・
でもそんなバカを好きになった私もバカなんだろう。


そんな日々が続いていたけど、私にとっては大きくて、アイツにとっては些細な出来事が起きた。

「御坂、ちょっとコンビニ行ってくるわ~」
「わ、私も一緒に行く」
「あ~・・・すぐ戻るから留守番してくれ。上条さんにも女の子には言えない用事もあるんですよ」
「・・・そ、そう」

あからさまに私は悲しい態度を取ったがアイツは「んじゃ」とだけ言って出かけていった。

よくよく考えるとこの生活が始まってから、アイツが初めて私のお願いを断った気がする。
絶対これには何かあるに違いない。そう考えるといてもたってもいられなかった。

追跡しよう。


コンビニへ行くと言っていたのに足はコンビニに向かっていない。歩いているだけで女の子に
フラグを立てている所はさすがとしか言葉がない。今の私はそのいきさつを見たら怒りよりも悲しさが先に
出てしまう。やっぱり私じゃダメなのかな、と・・・

散々フラグを立ててアイツが向かった先は・・・普通の本屋。まあ本屋ならいいか。コンビニみたいに
立ち読みできる数は少ないがそのへんは問題ない。

アイツは雑誌コーナーをウロウロして物色する。雑誌をパラパラとめくっては別の雑誌を手にとる。
ずっとその行動を繰り返していたがある所に気づいた。
最初男子専門雑誌を一冊見たかと思ったらさっきから女性専門の雑誌しか見ていない。
読者モデルのグラビアや漫画ページとかではなく人気作家などのコラムページだったり
占いコーナーや悩み相談のページ。どちらかと言えば私はあの部類の雑誌は読まない。
初春さんが好きそうなものだとは思っていたけど・・・

そしてアイツはある雑誌のあるページに目が行き、「んん?」と顔をしかめ必死に読んでいる。
しかもメモ代わりなのか、開いているページを携帯の写真に撮っていた。
当然その行動は違反であり、見つかった店員さんに怒られ結局アイツは慌ててそれを買って店を出て行った。

アイツが出て行ったのを確認してアイツが読んでいた雑誌を手にとって読む。恐らく読んでいたであろうページを開くとそこには・・・


『女の子が悩んでいる時に男の子に言ってもらいたい一言ランキング』
『落ち込んでいる時男の子に何をしてもらいたいかランキング』
『男の子にどんな料理を作ってもらったら嬉しいかランキング』


など女の子の理想と妄想が織り交ざったコーナーだった。

始めの頃、よくアイツは「何かしてほしいことあるか?」と聞いてくれていたけど・・・
いやいや、あの鈍感が気遣ってくれるのは嬉しいけどまさかここまで・・・ありえないでしょ。
きっと違うページを見ていたのよ・・・そう思って他のページを見るがあとは読者モデルのグラビアと
土御門舞夏が好みそうな漫画しか掲載されていなかった。

確かにアイツはこの雑誌を買って行った。アイツは兄妹でドロドロになる漫画を好んでいるはずもない。
ていうかそうあってほしくない。そして女の子の理想と妄想がぎっしりコーナーのページ。

これって私を思って行動してくれてるのかな?もしそうだったら、いや、そうでなくても・・・


今すぐアイツの傍にいたい!それだけが私の心を績めていた。


マンションに帰宅するとアイツはソファーに座り例の雑誌を読んでいた。私の存在に気づいたアイツは
何事もなかったようにお尻に敷いて隠す。いや、バレてるから。

「どこ行ってたんだよ。鍵くらいかけろよな?」
「あっ・・・あ・・・」


確かに鍵はかけ忘れたけど問題はそこじゃないのよ。なんでアンタはその雑誌を買ったの?

そう聞きたいのに勇気がいる。声が出ない。足がすくむ。顔が熱くなっているのがわかる。
何も言い返せない私をアイツは黙って返事を待ってくれている。でも声が・・・

「あ~、気にするな。別に怒ってないし。それにほら・・・」

何か言いたそうだが言葉を選んでいるようだ。怒るなら怒ってよ。今の私はアンタが何していたのかさえ聞けないんだから。

「俺が傍にいてやるから・・・大丈夫だよ。・・・あ~恥ずかしい!」

あ・・・この言葉、さっきの雑誌にあった一つだ。多分一番下のほうに書いてあったヤツだっけ・・・

棒読みでも何でもいい。目の前のこの人に言われるだけで何故こんなに安心するのだろう、嬉しいんだろう?

安心と嬉しさで心がいっぱいになった時、自然と涙がこぼれて来た。

「おわ、み、御坂!?」

アイツは泣き出した私を見て驚き傍に来てくれた。でも私は泣くのをやめなかった。

「わ、悪かった。今のは撤回するから!すまん!忘れてくれ!!」
「違う・・・そうじゃない・・・」
「え?」
「もっと言ってよ」
「え、え~っと、何を言えばいいのでしょう・・・」
「女の子が悩んでいる時に男の子に言ってもらいたい一言ランキング」
「うっ・・・・お前・・・・・知ってたのか?」
「尾行してたから・・・ごめん」
「謝らないでくれよ。で、でも何を言えばいいのでせう?」
「アンタがその本の中に書いてあったので一番今の私に言いたいこと・・・言ってほしい」

無理難題な要求をしたと思った。でもアイツは一瞬ためらったようにも見えたが『女の子が悩んでいる時に男の子に言ってもらいたい一言ランキング』と
『落ち込んでいる時男の子に何をしてもらいたいかランキング』の1位を同時にしてくれた。

「美琴は俺が守る」

と耳元で言い私を優しく抱きしめてくれた。

アイツの腕の中で私の心は爆発しそうなくらいに脈を打つ。

「い、今、私のこと、み・・・美琴って・・・」
「お前には御坂美琴って名前があるんだろ?」
「・・・ずるいよ、私だけこんな・・・」
「ずるくたっていいさ。それでも美琴は美琴だ」
「・・・当麻?」
「お?始めて名前で呼んでくれたな。美琴」
「これから何度だって呼んでやるわよ・・・バカ当麻」
「バカは余計だと思いますが?」
「・・・・・・・・当麻」
「ん、よろしい」

結局当麻はまた私が腕の中を心まで満喫し終えるまで抱きしめてくれた。


ウィキ募集バナー