第九話 暗雲
美琴「……い、今、当麻の部屋から…女性が…?」
いったい何が起きているのか、レベル5の演算力でも全く正解が判らず固まってしまった美琴。と、そこに
??「あ。あの…。もしかして。御坂美琴……さん?」
ピクッと反応し、声の聞こえた方向を向けば、そこにはさっき上条の部屋から出てきた2人が。
姫神「はじめまして。私。姫神秋沙。上条君のクラスメート」
美琴「あ、は、はじめまして。当麻の彼女の御坂、美琴です」
美琴「あ、は、はじめまして。当麻の彼女の御坂、美琴です」
まさかの展開に反応が遅れる美琴。そりゃ疑念の対象がいきなり目の前にいるんだから。
巫女服の似合いそうな、落ち着いた表情の姫神に挨拶した後、
今度は、その隣にいる、おデコと胸の大きな黒髪の女性に…
巫女服の似合いそうな、落ち着いた表情の姫神に挨拶した後、
今度は、その隣にいる、おデコと胸の大きな黒髪の女性に…
美琴「…と、確かあなたは以前お会いしました…よね? 去年の大覇星祭で」
吹寄「あぁ、吹寄制理だ。姫神さんと同じく、上条のクラスメート」
吹寄「あぁ、吹寄制理だ。姫神さんと同じく、上条のクラスメート」
…機嫌悪いのか、いつもこうなのか、判断のつかない口調で返事をされた。
ならば眼を…あれ? 目線が……合わない? 顔は正面を向いているのに。
それを隣で見ていた姫神、美琴の言動に何か不安がっているのを察知したらしく、話を切り出す。
ならば眼を…あれ? 目線が……合わない? 顔は正面を向いているのに。
それを隣で見ていた姫神、美琴の言動に何か不安がっているのを察知したらしく、話を切り出す。
姫神「さっき。上条君が。教室に置き忘れていた。学期末提出の『課題』を。届けてきた。今は。その帰り」
吹寄「私は、姫神さんの付き添い。学園都市(この街)って時々物騒だし」
美琴「あはは…すみません、お手数おかけしまして。では…」
吹寄「私は、姫神さんの付き添い。学園都市(この街)って時々物騒だし」
美琴「あはは…すみません、お手数おかけしまして。では…」
手を振って別れ、上条の部屋に向かう。
しかし、上条の部屋から出てきた事情は話してくれたし、その口調は信用できるものだったのだが
表情はというと、姫神のほうは読み取り辛く、吹寄のほうは目線が合わず判断し辛い。
結局、美琴はあまり不安を拭いきれないまま上条のいる部屋へと向かって走り出した。
しかし、上条の部屋から出てきた事情は話してくれたし、その口調は信用できるものだったのだが
表情はというと、姫神のほうは読み取り辛く、吹寄のほうは目線が合わず判断し辛い。
結局、美琴はあまり不安を拭いきれないまま上条のいる部屋へと向かって走り出した。
―同日 ほぼ同時刻 上条の部屋―
当麻「さて…そろそろ美琴との約束の時間だし、こいつ(作りかけのゲコ太)は一旦退散させて…っと」
寮の外で何が起きてるのか全く知らない渦中の人、上条当麻は、部屋の軽い清掃をしていた。
いくら男子高校生の一人暮らし(インデックス帰還済み)という事は美琴も知っているとはいっても、
さすがに掃除もせずに招き入れる訳にはいかない。来る相手が相手だし、ゲコ太も片づけておかないといけないし。
その清掃が粗方終わったところで呼び鈴が鳴り、ウキウキしながらドアを開け美琴を……
いくら男子高校生の一人暮らし(インデックス帰還済み)という事は美琴も知っているとはいっても、
さすがに掃除もせずに招き入れる訳にはいかない。来る相手が相手だし、ゲコ太も片づけておかないといけないし。
その清掃が粗方終わったところで呼び鈴が鳴り、ウキウキしながらドアを開け美琴を……
当麻「おー♪ 待ってたぞ美琴♪」(正面から抱きっ)
美琴「ふにゃにゃ!?」
美琴「ふにゃにゃ!?」
抱きしめた。
いくらなんでもドアが開いた次の瞬間に抱きしめられるというのは不意打ち的な感じがあるのか、
何回あってもそう簡単に慣れることが出来ないらしく、1秒ともたずふにゃふにゃになった美琴は
上条によって部屋の座布団の上に。……上条以外ならきっと1文字減るに違いない(←言わんで良い
何回あってもそう簡単に慣れることが出来ないらしく、1秒ともたずふにゃふにゃになった美琴は
上条によって部屋の座布団の上に。……上条以外ならきっと1文字減るに違いない(←言わんで良い
しばらく後、正気に戻った美琴。さっそく先程の件について確認をしてみる。
美琴「ねぇ当麻」
当麻「ん? どうした? 美琴」
美琴「さっき下で、姫神さんと吹寄さん…に会ったんだけど、何の用だったの?」
当麻「あぁ、学校に置き忘れてた課題を届けてくれたんだ。ほら」
当麻「ん? どうした? 美琴」
美琴「さっき下で、姫神さんと吹寄さん…に会ったんだけど、何の用だったの?」
当麻「あぁ、学校に置き忘れてた課題を届けてくれたんだ。ほら」
実物を提示して証明する当麻。先日の期末試験の範囲から考えて、その後に発生した課題なのは明白。
どうやら姫神の言ったことが事実なのは確からしいと判断した美琴。少し安心した…が、
どうやら姫神の言ったことが事実なのは確からしいと判断した美琴。少し安心した…が、
当麻「こいつの提出は学期末で今はまだ余裕あるけど……まぁ折を見て手伝ってくれたら助かる」
……うん。確かに上条も姫神も『学期末提出』であると言った。
まだ12月上旬である現在、なにも休日の貴重な時間を費やしてまで急いで届けるものではない。
なら、なんであの二人はわざわざ今日……? それに、昨日の駆け足での帰宅は一体……?
美琴の頭の中で色々な疑問がぐるぐる回りだす。 ……まぁ、今日届けた理由は姫神と吹寄曰く
『あとでゲコ太製作と課題とで両方いっぺんに切羽詰ったら大変だろうから』という理由なのだが、
ゲコ太製作のほうを知らされていない御本人(みこと)にしてみれば疑問の種でしかなく……
まだ12月上旬である現在、なにも休日の貴重な時間を費やしてまで急いで届けるものではない。
なら、なんであの二人はわざわざ今日……? それに、昨日の駆け足での帰宅は一体……?
美琴の頭の中で色々な疑問がぐるぐる回りだす。 ……まぁ、今日届けた理由は姫神と吹寄曰く
『あとでゲコ太製作と課題とで両方いっぺんに切羽詰ったら大変だろうから』という理由なのだが、
ゲコ太製作のほうを知らされていない御本人(みこと)にしてみれば疑問の種でしかなく……
当麻「……美琴?」
美琴「え?! な、何!?」
当麻「どうした? 今日のお前、いつもと様子が違うぞ……熱はないっぽいけど」
美琴「!!!////(うわわわ! 顔が超近い! おでこくっついてる!)」
当麻「……本当、大丈夫か?」
美琴「……う、うん。大丈夫よ、大丈夫。うん」
当麻「そうか、なら良かった。もー心配したぞ美琴」(ぎゅっ+なでなで+頬擦り)
美琴「!!!////」(うわわ! やばい! 嬉し過ぎるコレ!)
美琴「え?! な、何!?」
当麻「どうした? 今日のお前、いつもと様子が違うぞ……熱はないっぽいけど」
美琴「!!!////(うわわわ! 顔が超近い! おでこくっついてる!)」
当麻「……本当、大丈夫か?」
美琴「……う、うん。大丈夫よ、大丈夫。うん」
当麻「そうか、なら良かった。もー心配したぞ美琴」(ぎゅっ+なでなで+頬擦り)
美琴「!!!////」(うわわ! やばい! 嬉し過ぎるコレ!)
美琴がいつもの自分のペースを守っていられたら、そりゃもちろん疑問をとことん追及しにいけるだろう。
しかし、開扉一番に彼氏に正面から抱きしめられたり、おでこがくっついたり、頬擦りとなでなでのセットなどと
ドキドキもののイベントが連発してしまっては、よほどのことがない限り誰がペースを守れようか。
しかも、このイベントを起こしてる張本人が何かを意図してではなく、素で愛情一杯でやってるから尚更である。
しかし、開扉一番に彼氏に正面から抱きしめられたり、おでこがくっついたり、頬擦りとなでなでのセットなどと
ドキドキもののイベントが連発してしまっては、よほどのことがない限り誰がペースを守れようか。
しかも、このイベントを起こしてる張本人が何かを意図してではなく、素で愛情一杯でやってるから尚更である。
結局、この日も上条によって(健全な方法で)愛でられまくった美琴は、
疑念を解消することが出来ずに門限直前(タイムアップ)となり、上条に寮まで送られることになった。
疑念を解消することが出来ずに門限直前(タイムアップ)となり、上条に寮まで送られることになった。
美琴「あ……また駆け足」
この後『目の縫い付け』『部品の縫い合わせ』などの手順がまだまだ残っているため
当然の駆け足帰宅だが、美琴にとっては疑念をさらに膨らませるだけだった。
当然の駆け足帰宅だが、美琴にとっては疑念をさらに膨らませるだけだった。
―翌日(日曜日) 上条の部屋―
上条は(徹夜すると体調崩して制作中断しちゃうから)寝る時間を削ってゲコ太に目を縫い付けていた。
優秀な技術指導教官(舞夏)による適切な指導もあって、午前中で縫い付け作業が完了した。
確認のため頭部のみ裏返して見てみると、本物同様の可愛らしい瞳がちゃんとそこにあった。
昼食休憩後、いよいよゲコ太制作作業は次なる段階(ステップ)へと進む。
優秀な技術指導教官(舞夏)による適切な指導もあって、午前中で縫い付け作業が完了した。
確認のため頭部のみ裏返して見てみると、本物同様の可愛らしい瞳がちゃんとそこにあった。
昼食休憩後、いよいよゲコ太制作作業は次なる段階(ステップ)へと進む。
舞夏「さて、これから部品同士を縫い付ける訳だが……確か右利きだったよなー上条当麻ー?」
当麻「おう。 ……それがどうかしたか?」
舞夏「そうかそうか、それなら、仮留めに使う『待ち針』はこっち向きに刺して……うん、出来たぞー」
当麻「おう。 ……それがどうかしたか?」
舞夏「そうかそうか、それなら、仮留めに使う『待ち針』はこっち向きに刺して……うん、出来たぞー」
待ち針だけで全身(綿の投入口を除く)を仮留めされたゲコ太(布裏返し版)が完成。
舞夏「右利き用に、左手で持って右手で縫うのに都合の良い向きで待ち針で留めておいたから、
あとは以前と同様に波縫いでいけるぞー。 あと前の1回目と同じぐらい細かく縫えるんだったら
ここの工程は1度縫いでも充分な強度を得られるハズだからなー。頑張れよー上条当麻ー♪」
あとは以前と同様に波縫いでいけるぞー。 あと前の1回目と同じぐらい細かく縫えるんだったら
ここの工程は1度縫いでも充分な強度を得られるハズだからなー。頑張れよー上条当麻ー♪」
と言って、隣の土御門(あにき)の部屋にベランダ経由で帰っていった舞夏。……いい加減普通に玄関から帰れ。
それはさておき、今回は縫うべき箇所の総延長はそこまで長くもなく、1度縫いで良いから単純計算で半分以下。
だが、部品ごとに縫っていた前工程と違って、今回は全部品がくっついてる状態で縫うから……
だが、部品ごとに縫っていた前工程と違って、今回は全部品がくっついてる状態で縫うから……
当麻「……持ちにくいこと、この上なし」
この大きさにしたのを、ちょっとだけ後悔した上条。頑張れ、愛する美琴のために!
―同日 第七学区内の某喫茶店―
そのころ美琴は、初春と佐天と一緒にティータイムをしていた……………不安そうな顔で。
初春「御坂さん……何かあったんですか?」
佐天「なんか凄い不安が詰まったような顔してますけど……」
佐天「なんか凄い不安が詰まったような顔してますけど……」
美琴「うん、実はね……」
少しでも不安な気持ちを体内から吐き出したく、二人に話してみることにした。
一昨日からの帰り際の違和感、昨日の上条の部屋付近で見たこと、部屋の中での出来事……
一昨日からの帰り際の違和感、昨日の上条の部屋付近で見たこと、部屋の中での出来事……
初春「ふむふむ……そんな事があったんですか……」
しかし、この美琴の選択はあまり正しくはなかった。 むしろ不安が増大する要因となっていく。
佐天「うーん………それ、もしかして――