それぞれのバレンタイン
「御坂さん。これなんてどうですか?」
「どれ?」
「これですよ、これ」
そう言って佐天は自分の見ている雑誌を覗き込む美琴に分かるように紙面を指差す。
「ちょっと大きすぎない?」
「でも、これくらい大きければ愛情がこもってる感じがするじゃないですか!」
「そうかもしれないけど……」
今、この二人がいるのは佐天涙子の部屋である。
この場に白井黒子や初春飾利の姿はない。美琴と佐天の二人きり。
なぜこの二人が佐天の部屋で雑誌を見ているのかと言えば、理由は二つ。
ひとつは、黒子と初春が風紀委員の仕事で呼び出されているため。
もうひとつは、美琴たちが見ている雑誌に関係がある。
そこに書いてあるのはバレンタイン特集。そう、恋する乙女の一大イベントだ。
この間までならば、おそらく黒子たちも含めた4人で友チョコを、などと話していただけだったかもしれないが今は違う。
美琴と佐天には恋人と呼べる相手がいる。そして恋人ができて初めてのバレンタイン。気合も入るというものだ。
無論、4人で交換し合う友チョコをおろそかにしているわけではない。黒子や初春がいるときはその話題でも盛り上がった。
でも今、その二人はいないのだ。気を使わず、全力で乙女心を爆発させても仕方がない。
「ねぇ、佐天さん。これなんかどうかしら?」
「う~ん。確かに可愛いですけど、男の子には似合わない気がします」
「そう言われればそうね」
佐天のアドバイスにむぅ、っと唸る。
可愛いのにな、と小声で言っているあたり、美琴としてはかなり気に入っているようだ。
しかしせっかくのバレンタインだ。自分の趣味全開の物より、もらって喜んでもらえる物をあげたい。
その一心で、魅惑のゲコ太チョコ天使Ver.をあきらめたのだった。
「あっ!」
しばらくしてパラパラと雑誌を眺めていた佐天が声を上げる。
「どうしたの佐天さん。いいのあったの?」
「はい! 御坂さん、これ! これなんていいじゃないですか!」
興奮気味の佐天がずずいっと紙面を美琴に見せつける。
その一面に載っていたのは、ある形をしたチョコレートだった。
「口紅?」
紙面に書かれているのは口紅型のチョコの作り方だった。
これに美琴は首をかしげる。
確かに、こういう形のチョコがあっても不思議ではない。
しかし、こんな形のものをもらって喜ぶ男の子がいるのだろうか?
自分の恋人であるツンツン頭の上条がこのチョコを口に塗ってウィンクしている姿を思い浮かべる。
(さすがにこれはないわ……)
愛しの彼ではあるが、さすがに気持ちが悪かった。
「佐天さん。口紅なんかあげても喜ばないんじゃないの?」
「チッチッチ。これはこのままあげるんじゃないんですよ!」
「?」
ますます訳が分からないといった表情を浮かべる美琴。
「これはですね―――……」
佐天は含みをある笑みを浮かべ、ごにょごにょと耳打ちする。
「えっ、えぇーっ!? む、無理よ無理! そ、そんな渡し方できるわけないじゃない!」
一瞬で熟れたトマトのように真っ赤に染まり、無理と示すかのようにパタパタと手を左右に振る。
そんな美琴の様子に、佐天が満足気に少し意地が悪い顔でにししと笑いながらさらに追い討ちをかけた。
「でも、これをあげたら上条さん喜ぶんじゃないですか?」
「そ、そうかもしれないけど、でも……」
「御坂さん、想像してみて下さい。このチョコをあげたときの上条さんの姿を」
「このチョコをもらったときの当麻の姿……」
――美琴の想像(妄想)――
「よっ、美琴。わりぃ、少し待たせちまったか?」
「う、ううん。私も今来たとこ」
いつもの待ち合わせ場所の公園。
いつもと同じはずなのに少し緊張するのはやはりこのチョコのせいだろうか。
ポケットの中のそれを確かめるように触る。
「それで、美琴センセー。今日は、その……何の日か知ってるよな」
少し恥ずかしそうに言う彼の顔はどこか赤い。
「煮干の日だっけ?」
そんな上条がなんか可愛くて、つい意地悪を言ってしまう。
「違います! バレンタインです! まさか忘れてたのか!? 上条さんは美琴から本命チョコをもらえると思ってこの日を楽しみにしてたのに……不幸だ」
がっくりと膝を突いてうなだれる。それほどまでに楽しみにしていたようだ。
「冗談よ、冗談。ちゃんとアンタのチョコ用意してあるって」
「本当か!? うそじゃねぇよな! さすが俺の美琴たんだぜー!」
打って変わってきゃっほーと喜ぶ上条の不意打ちの言葉に、美琴の顔が真っ赤に染まる。
「ばっ、バカじゃないの! 俺のとか、たんとか言うな、このバカ!」
口ではついこんなことを言ってしまうが、内心嬉しいのは書くまでもない。
「それで、チョコほしいの?」
「もちろんほしいに決まってるだろ」
「そ、そう。じゃあ、その……」
後は例のあのチョコをあげるだけ。
あの口紅型のチョコを。
美琴がごくりと唾を飲み込む。
正直恥ずかしい。すさまじく恥ずかしい。どうにかなってしまいそうなくらい恥ずかしい。
でも、上条が喜んでくれるのならばと、美琴は覚悟を決めた。
きゅっ、と力を入れて握りこむ。
「前、手作りがいいって言ってたから、ちゃんと作ってきてあげたわよ」
「本当か!? 初の本命チョコが彼女の手作り……上条さんは嬉しくて涙が出そうですよ」
本当に嬉しそうに、美琴のチョコを待つ上条。
「じゃあ、これ」
ポケットから小さな包みを取り出し、上条に見せる。
すでに上条の視線はそれに釘付けである。まだかまだかと、待てと命令された犬のように期待をこめた視線をじっと向けてくる。
「あんまりこういうの作ったことないからおいしいかわからないけど。あとでちゃんと、感想を教えてよね」
「もちろん!」
するすると箱を開け、例の口紅型のチョコを取り出す。
(あれ、俺へのプレゼントなのになんで美琴が箱開けてんだ? はっ、こ、これはまさか伝説の「あ~ん」ってやつですか!? 美琴が手でチョコをつまんで上条さんの口に入れてくれるというのか。そんでそんで、勢い余って美琴たんの指をなめちゃったりなんかしたりして!? いやいや、落ち着け、さすがにそこまでしたら変態じゃなかろうか! いや、でも、偶然そうなってしまうこともあるかもしれないわけでしてね。別に上条さんとしましては美琴たんの指をぺろぺろしたいなんて欲望はない……訳でもないような気がするのでせうが、だからと言って素直に肯定できるほど変態さんではないのですことよ!)
などと、上条が若干不埒なことを考えて美琴の指先をじっと見つめていたりするのだが、美琴は美琴であれを実行しなければならないと言うことで心臓はバクバク早鐘を打ち、そんなことを気にしているような余裕がなかった。
これからやることを考えるだけで顔に血が集まってくる。
おそらく耳まで真っ赤になっていることだろう。
大きく深呼吸して、再度覚悟を決め、キャップをあける。
そして、唇にチョコを塗りつけ、ぎゅっと目を瞑りこう言った。
「は、ハッピーバレンタイン、当麻」
「なっ!?」
上条もこの出来事に驚きを隠せない。
彼の考えでは最高でも「あーん」くらいだろうと思っていたのだ。しかしこの目の前にある現実は予想をはるかに超えていた。
恥ずかしそうに目を瞑り、チョコを縫った唇を自分に突き出している。
ぷるぷると震える愛らしいその姿と、チョコで彩られた唇がつやつやと艶かしく上条を誘う。
さすがに鈍い上条でも、美琴が何をしようとしているのか理解した。
「み、美琴!? お前……」
「は、早くしてよ! 恥ずかしいんだからねっ!」
「お、おぅ」
今度は上条がごくりと唾を飲み込む。
無防備な美琴の姿に、チョコだけでなく美琴たんもいただきます、なんて邪な考えがよぎったりしたが何とかそれを追い出す。
追い出すのだが、またその気持ちが湧いてくる。思春期真っ盛りの彼にとってその破壊力はそれほどまでにすさまじかったようだ。
どこかぎこちなく上条が動く。彼だって恥ずかしいのだ。
ドキドキとお互いの心臓の音が聞こえてきそうなくらい二人の胸は高鳴っていた。
美琴の肩にそっと手を置き、もう一度唾を飲み込むと、そっと啄ばむように口づけをする。
チョコの甘さなのだろうか、それとも別の何かなのだろうか、それは甘い甘いキスだった。
「ど、どうだったかな?」
「甘い……様な気がしたがわかんねぇ。だから美琴。もう一回……」
「えっ、ちょっと待っんぅ」
今度は上条が強く抱きしめながら美琴の唇を奪った。
それはそれは甘いものだったらしい。
――――
(なんちゃってなんちゃって)
なんてことを想像して美琴は顔を真っ赤に染めながらいやんいやんと顔を振る。
「――坂さん。御坂さん!」
「へっ? ふぁ? あ、あれ佐天さん、私……」
佐天の声に現実に引き戻される。
きょろきょろと辺りを見回せば、当然そこは公園などではなく佐天の部屋だ。
「んっふっふ~。どうやら想像の中で上条さんとラブラブしてたみたいですねー」
「なっ!? ち、ちちち違うわよ。べ、別にアイツからぎゅっと抱きしめてくれてキスしてくれたとか想像してないわよ!」
語るに落ちるとはこのことか。
ニマニマとした笑みを浮かべる佐天の前で、美琴は顔から火が出そうなくらい真っ赤にしてうつむいてしまう。
「いやぁ、ご馳走様でした。御坂さんのいろんな表情堪能させていただきましたよ。も~、こういうときの御坂さんは本当に可愛いなー」
「さ、佐天さん!」
穴があったら入りたい、美琴はまさにそんな心境だった。
「恋する乙女の表情はやっぱりいいものですねー」
むふふーと余韻に浸る佐天に、負けず嫌いな美琴の反撃が始まった。
やられっぱなしというのは美琴の性分ではないのだ。
「恋する乙女だったら佐天さんもそうでしょう?」
「へっ!?」
「佐天さんだって、そのチョコ、アイツにあげたら喜ぶんじゃないの?」
「ふぇ!? こ、これを一方通行さんにですか!? む、無理ですよ」
予想外の反撃に佐天が慌てた声で否定する。
そもそも一方通行がこういうイベントに興味があるとは思えない。
まぁ、それでもあげるつもりではあるのだが、こういう乙女心大爆発的なものはさすがにどうなのか。
「無理じゃないわ。佐天さんも想像してみたら。意外とあいつ喜ぶかもしれないわよ」
「ア、一方通行さんが喜ぶ……?」
しかし暴走した乙女心は佐天の脳内にある映像を浮かび上がらせるのだった。
――佐天の想像(妄想)――
「すみません、お待たせしましたー」
待ち合わせ場所で待つ、一方通行に元気はつらつな声をかけたのは当然佐天涙子である。
少し遅れ気味だったので走ってきたからか少し息が荒い。
「アァ。俺も今来たところだ。問題ねェ」
無愛想ながらも、その中にある彼の優しさに佐天の心は嬉しくなる。
「佐天。何笑ってやがンだよ」
「いやー。一方通行さん優しいなーって」
ふふっと小さく笑みを浮かべる。
「ハァ!? 何を言ってンだよ。俺が優しいとか、ありえねェだろォが」
そんなことを言いながらも、背けた彼の顔は少し赤い。
照れくさかったのだろう。
「と、ところでよォ。今日はなんの日か知ってっか」
どこかそわそわした様子の一方通行。
こんなイベントには興味はないと思っていたのだが、どうやら気にはなっていたようだ。
まぁ、佐天がいなければ実際彼にとってはどうでもいい一日になっていたのだろうが。
「バレンタインデーですよね」
「オ、オォ。あまったりィチョコを日ごろ世話になってる男に送るイベントとかでよ。朝からクソガキどもが騒いでンだよ」
なんだか、しどろもどろで要点を得ない。
学園都市第一位の頭脳を持っているとしても、結局は人の子なのだ。
「ははぁ。打ち止めちゃんとか番外個体さんとか好きそうですもんねー」
「そうそう、そうなンだよ。それで、だな。その、オマエも、その」
ちらちらと一方通行が意味ありげな視線を佐天に向ける。
彼の性格的にも言い出しづらいのだろう。
そんな視線に気づかないふりをしながら、佐天は心の中でくすりと笑う。
彼のこういう所も好きなのだ。
「一方通行さん。あたしの手作りチョコ。ほしいですか?」
「!? こンなイベントに乗せられるとかありえねェ……が、せっかくお前が作ったものを無駄にすンのもわりィから、もらってやらなくもねェ」
「……いやいやならあげても仕方ないですね。打ち止めちゃんたちにでも……」
しゅんと頭を垂れる佐天。
無論、一方通行の性格を知ってる佐天の演技である。
しかし、一方通行はそんなことには気づかない。
「い、イヤイヤなんかじゃねェよ。こちとら1週間前から楽しみに待ってたンだぜェ!」
慌てて繕う一方通行だが、あまりの慌てぶりに本音が混じっている。
そんな様子が可愛くておかしくて、佐天は吹き出してしまう。
「佐天。テメェ、ハメやがったな……」
「素直じゃない一方通行さんへのちょっとした罰ですよ」
「チッ」
「拗ねないでください。ちゃんと手作りチョコレート上げますから♪」
普段からは想像できない彼の姿。
そしてそれを知っているのはおそらく自分だけ。
彼と一緒にいた打ち止めや番外個体でも知らないような、案外子供っぽいすぐ拗ねるところ。
彼の色々な面を見るたびに好きと言う感情が大きくなっていくようだった。
そんなことを思いながら、ごそごそと例のチョコレートを鞄から取り出す。
「一方通行さん」
「お、おゥ」
箱を手にじっと、ただただじっと彼の赤い瞳を見つめる。
その瞳に今写るのは、自分の姿。自分だけを見てくれている。
「まだ、あげません」
受け取ろうとした一方通行の手をかわすようにチョコの入った箱をひょいと持ち上げる。
「どォいうつもりだ?」
「あげるにはちょっと準備がいるんです」
不思議そうな表情を浮かべる彼に満足げに答えると、パパっと箱を開け中身を取り出す。
箱から出てきたのはあの口紅型のチョコ。
これから自分がやる大胆な行動を思うだけで、緊張と恥ずかしさで身体が固まってしまいそうだ。
自分の作ったチョコを期待してくれてたんだから喜んでくれるはず。
(ここで逃げたら女が廃る! 佐天涙子、行きます!)
気合を入れなおすと、その熱が冷めないうちにサッとキャップをはずし、唇に塗りつける。
「一方通行さん。ハッピーバレンタイン、です」
それでもやはり恥ずかしさを消しきることは出来ず、少しどもってしまう。
「オ、オオオ、オマエ!?」
予想できなかった出来事に一方通行も慌てる。
どうすればいいのかは分かる、だがそれを実行してもいいのか。いや、すべきだろうというのも分かる。
しかし、それでも、これを自分からするには踏みとどまってしまう。
したいという思いがないわけではないが、してしまっていいのだろうかという考えも浮かぶ。
聡明な彼の頭脳もこういうことへの対処方法はなかったらしい。
回り続ける思考に身体が動かない。
そんな一方通行に業を煮やした佐天は、自分から動くことにした。
「一方通行さん!」
「なン、っ!?」
身長差があるので爪先で立ち、彼の首に腕を回し、唇を合わせた。
――――
(~~~っ! いい。いいんじゃない、これ!?)
自分の想像がつぼに入ったのかべしべしとテーブルを叩く佐天。
恥ずかしさと嬉しさとなにやら色々混ざり合って、佐天のメーターはとっくにリミッター解除状態だ。
しかし、忘れてはならない。
ここは確かに佐天涙子の自室である。
でも、この場にいるのは佐天一人ではない。
「佐天さんも人に言ってた割には、色々考えちゃってたみたいじゃない」
「ふぉあっ!?」
美琴の言葉に一瞬で我に返り、自分のしでかしたことを思い出した。
思わず変な声が出てしまう。
「み、みみ御坂さんいつから見て」
「最初からよ。何を想像してたかわかんないけど、顔を真っ赤にしてた佐天さん、可愛かったなー」
初めからいたんだから当然じゃないと、先程の仕返しとばかりにニヤニヤした笑みを浮かべている。
「忘れて。忘れてください! 忘れてくれないと、さっきの乙女チックな御坂さんのこと、白井さんにあることないこと吹き込みますよ!」
恥ずかしさから、もう何を口走っているのが自分でもよく分からなかったが、とにもかくにもさっきの失態はなかったことにしたい。
「なっ! 黒子は関係ないでしょ。そんなこと言うならさっきの佐天さんのこと、初春さんにこと細かく詳細を教えるわよ」
「卑怯ですよ! だったらあたしは上条さんに御坂さんが散々惚気てた内容を全部教えちゃいます!」
「それなら私は一方通行に、初春さんから聞いた恥ずかしい佐天さんの思い出を話すわよ!」
きゃーきゃーと騒ぐ二人。
自分の恥ずかしい出来事を話されてはたまらないと、もう何がなんだか分からないようなことをしばらくの間、言い合っていた二人だった。
「そ、そろそろこの話はやめましょう」
「そうしましょう。自分でも何を言ってるんだか途中から分からなくなってましたし」
そこそこ続いた不毛な争いも、どうやら終わったようだ。
「もぅ、こんなのがあるからいけないのよ。こんな恥ずかしいもの現実じゃ渡せっこないんだし」
「そうですね。さすがにあたしもこれは恥ずかしすぎて……」
ふと先程の妄想を思い出し、二人の顔が赤く染まる。
「もっと普通のでいいわよ」
「普通が一番ですよね」
赤い顔のまま、あははは、と笑みを浮かべ、二人は口紅型チョコの載っている雑誌をそのままにして、別の雑誌を手に取った。
パラパラと雑誌をめくる音だけが部屋に響く。
しかし、手に持った雑誌をいくら見てもこれだと思うものがなかった。
と、言うよりも先程の口紅型チョコがどうしても気になって集中できない。
美琴は、なんとなしにチラリと置きっぱなしの雑誌に視線を移す。
そして顔を上げると、そこには自分と同じような行動そしている佐天がいた。
あははは、とお互いにぎこちない笑みを浮かべまた手元の雑誌に視線を戻した。
この後、これを何度か繰り返したらしい。
なお、当日にどんなチョコを実際に渡したかは本人たちだけの秘密のようだ。
ただ後日、黒子と初春が詰め寄って尋ねたところ……
「べ、別に普通のよ、普通の手作りチョコ。ねっ佐天さん」
「そうです。普通のです、えぇ、普通のでしたよ。ねっ御坂さん」
と、なぜか真っ赤な顔で妙な意気投合をしていたらしい。