とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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 【歩く教会】チームのスローインが始まる前に審判の災誤が結標にイエローカードを突きつけていた、先の五和へのボールの【座標移動】の件である。
 今回は直接ゴールに入れたわけではなくパスだったこと、災誤自身もすぐに気付かなかったということもあってイエローカードだけに処分を留めたのだ。

「次、同じようにボールを能力で飛ばしたら即退場だ。分かったな?」
「はいはい」
「……反省の色があまり見えないがまあいいだろう」

 ちなみに結標のボールの【座標移動】に気付いたのは木山、彼女はこの試合の一責任者として常に注意を払っているのだ。
 そして試合が再開、御坂妹のスローインを絹旗が受けるがその表情は笑っていた。

「どんどん攻めてスタミナ切れを待つなんて私の性に超合いません。というわけでどりゃーーーーっ!!」

 絹旗はその場でボールを思いっ切り殴りつけてゴール目掛けてシュートを放つ。
 一方通行が脚力のベクトル変換を使って地面に足を付けずに滑走して絹旗のシュートを止めようとするが、

「おおっと、こっから先は行き止まりだよ第一位」
「なっ! チッ、味なマネしてくれンじゃねェかエロデレ女ァ! そのイカレた腕で俺をマークするなンざよォ!」
「てめぇのその移動方法は確かに速い。けど動きが直線、目標に到達するまで足は地面に付いてねぇ。いつもなら反射織り交ぜて障害物壊して進むんだろうけど」
(読まれてやがる!)
「今までのプレー見てると反射の使用、禁止されてんだろ? それで私の【原子崩し】のアームを蹴散らすなんて出来るわけねぇよなぁ!」

 進路上に背中を見せ、閃光のアームを巨大化させてマークに付いた麦野に阻まれてしまう。
 反射が使えればそのまま突っ切れただろうがそれを禁止されている状態では急制動をかけて回避、迂回して移動するしか出来なかった。
 その僅かな時間の間に絹旗のシュートは上条チームのゴールへとグングン進むが、進路上に野原が立っていた。

「げえっ! アクセラの奴、間に合わねぇのかよ! ちくしょー! こうなったら【襲撃緩和】でぐぎゃっ!」

 一方通行以外に頼れる面々の上条と翔太と茜川は距離的に遠く、白雪はステイルの執拗なマークで自由にさせてもらえない状況なのでやけくそ気味で野原が奮起。
 しかし【襲撃緩和】で迫る物体の威力と速度が二割減としても絹旗の【窒素装甲】で殴られたボールの威力も速度も高すぎて、あえなくぶっ飛ばされしまう。
 それでもボールはゴールへ迫ることはなく、野原の真上に上がったので彼の犠牲は無駄にはならなかった、ほんの一瞬だが。

「能力や技術すらも蹴散らすのに必要なのは圧倒的なパワー! 参考になりました絹旗さん! やあっ!!」
「は、速いけど真っ正面ならぐっ! う、うわああああっ!!」

 宙に舞ったボールに反応したのは五和で、華麗なジャンプからのボレーシュートを放った。
 五和のボレーシュートに東原は反応できたものの、周囲からの期待の視線を強化の力へと変えた五和のパワーに負けて体ごとゴールへと突き刺さる。
 前半30分、【歩く教会】チームが再び逆転。

 逆転を許した上条チーム、目下の心配は東原と野原のダメージで土御門も駆けつけていた。

「大丈夫か? 東原に野原。何だったら代わってもいいんだぜい?」
「ゲホッゲホッ! し、心配すんなよ土御門。俺なら、へ、平気だし、それに……このチームで勝ちてぇんだ」
「分かった。だが次にお前さんに何かあったらその時は有無を言わせずに交代させるぜい。野原はどうかにゃー?」
「お、俺もが、頑張る(くっそーっ! 正直もう交代してぇよ! けど東原の奴は引っ込まねぇしそれに女の子にボロボロでも頑張る所をアピールすれば……ぐへへ)」

 土御門はここでの交代はまだ早いと考えていたので東原と野原の続投に安心していた。
 そして上条チームボールで試合再開、白雪が攻めるかと思われたが猛スピードで一方通行がボールへと突っ込んできた。

「調子こいてンじゃねェぞ三下チームがァ! コイツですぐさま同点にしてやンよォ!」

 先ほど、麦野のマークにあしらわれる形になった一方通行が怒りのシュートを放った。
 絹旗のシュートより威力も速度も上と思われるシュートを前にしても、心理掌握は慌てることなく念話で指示を送る。

《結標さん、削板さんを手筈通りに》
「オッケー。行くわよ削板」
「おおよ!」

 心理掌握の指示で結標は削板を【座標移動】で上空へと飛ばした、一方通行のシュートのコースに重なるように。
 上空へ飛ばされた削板がしたこと、それは【念動砲弾】で一方通行のシュートを押し潰すという力技だった。

「空からのすごいパーンチ! おおっ、すごいパーンチ喰らっても突き進むたぁ根性入ったシュートじゃねぇか!」
「あ、あンなのアリかァ!」
「超有りですよアクセラ。真っ正面から受ける必要なんて超無いってことです。インデックス、超任せますよ」

 削板のすごいパーンチで押し潰されたものの、PA内まで進んだ一方通行のシュートは脅威の一言に尽きるもの。
 埋まってしまったボールを引っこ抜いて絹旗がインデックスにボールを投げて渡すも、翔太の華麗なインターセプトに阻まれてしまう。

「僕だって負けないよ! ここで同点にしないと勝負が厳しくなるからね!」
「くうっ! 小さいのにやりますわね。結標さん、今すぐ……結標、さん?」
「翔太カッコいい、翔太可愛い、翔太激萌え……」

 翔太の近くに居た結標だが、自分の恋人の勇姿に見蕩れてしまい、鼻血を出しながらあっちの世界へと旅立ってしまった。
 そんな結標の姿を見て【歩く教会】チームの面々は揃って思った、この役立たずと。
 結標の状態に気付かない翔太はそのままシュートを放つ、【火炎地獄】を使ってボールに炎を纏わせて。

「さっきも止められなかったんだから今度だって!」
「甘い、甘いぞ小僧! そんな炎、俺の根性で消し飛ばしてやる! すごいパーンチ」

 翔太の炎のシュートは削板のすごいパーンチによって炎は消し飛ばされ、シュートの勢いも殺されて不発に終わる。
 そして削板はボールを自分の前に上げて再度すごいパーンチを放つ。

「すごいパーンチ。こいつで引き離してや」
「させないよ! ワアアアアアアアッ!!」

 すごいパーンチで撃ったシュートで追加点を狙った削板だが、茜川の横からの衝撃波に威力を殺されてしまう。
 こぼれ球を御坂妹が拾い、華麗なドリブルで攻め上がるとDFの上条が立ち塞がるという御坂妹にとってある意味、理想的なシチュエーションが発生した。
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