とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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 そして上条チームボールで試合再開、土御門からボールを貰った白雪はすぐに上がってきた真夜にパスを送る。
 真夜は御坂妹と絹旗に詰めることすらさせない速いドリブルで、更にエツァリとショチトルを鋭く巧みなフェイントを織り込んであっという間に抜き去る。
 そこへ予想通りに五和が真夜の前に立ちはだかると、真夜もドリブルを止めてボールをキープして距離を取った。

「後半の貴方の活躍を見てて思いました。是非とも戦ってみたいと。今の私の身体能力に付いて来れるのはそちらのチームでは貴方1人でしょうから」
「つまり僕に勝つことで流れを完璧にそちらに持っていくということですね。けど僕だって負けません、この試合にはかかっている物が沢山ありますから」
「では……始めましょう! この試合を決するであろう私達の戦いを!!」
「望む所です」

 そして始まった真夜と五和の1対1の勝負、まずは真夜が高速フェイントで五和を抜き去ろうとするも五和が見事に反応して抜かせない。
 今度は五和が鋭く足を使ってボールを奪おうとするも真夜の巧みなボール捌きでキープを続ける。
 ならばと真夜はボールを高く上げてヘディングで五和の裏へ落とそうとするが五和もそれを読んでいて互いのヘディングがぶつかり合う。
 全く互角のヘディング勝負でボールは2人の中間点に落ちると着地した2人は激しくボールを奪い合う。

(な、何て人ですかこの人は! 通常よりも強化された私の身体能力に付いてくるなんて! 正直サブメンバーかと思っていましたがとんでもない、優れたプレイヤーです)
(戦ってみて初めて分かりました、この人はとても強いです。一見して当麻くんに現を抜かしてると思えばこうして冷静に対応してくる、本当に凄い人ですね)

 互いの足を削り、ボールをキープする為に体をぶつけ合い、鋭く速い動きを見せる真夜と五和に観客は大歓声を送った。
 あまりの激しいぶつかり合いにお互いの顔、足に傷が付き始めたので災誤がプレーを止めようとするも、この1対1の雰囲気に笛を鳴らせなかった。
 時間が経つにつれて大歓声を送っていた観客も徐々に静かになり、ついには真夜と五和の激突を魅入るように見守り始める。
 そして観客だけでなく上条チームも【歩く教会】チームも固唾を呑んでこの1対1を見守ることになった。

「私は正直凄く楽しいです、こうやって今の私の全力と渡り合える相手がいることが! 貴方の名前、教えてもらえませんか!?」
「それは試合が終わってからにしましょう。今は1対1に専念したいんです、この楽しくて心躍る1対1に」
「そうですね! けどこの勝負、勝つのは私です!!」
「勝利は譲りませんよ。勝つのは僕たちですから」

 激しくぶつかり合うも楽しく会話をする真夜と五和、しかし2人には大きな違いがあった。
 五和はテンションが上がっておりあくまで真夜との1対1に勝利することを狙い、真夜は楽しいと思いつつも自分の策を忘れておらず時が来るのを待っていた。
 後半30分が経過しても真夜と五和の1対1はまだまだ終わらず、それ所か更に激しさを増していた。
 観客達が息をのむ感覚はグラウンド全体を包み込んでおり、【歩く教会】チームのメンバーは五和が、上条チームのメンバーは真夜が勝ってくれると信じて誰一人その間に割ってはいろうとする者はいなかった。

(真夜の奴……1対1じゃなけりゃ抜くぐらいは出来るはず……言ったとおり時間を稼いでいるのかにゃー?)
(浜面。半蔵。井ノ原くんが勝ったら。アレを)
*1
(いくら五和が強くてもあの真夜に勝てるとは思わない………つーか、なんか試合あとについさっきの事で美琴に何か言われそうな気がする……)
(流石は五和だな……スゴい根性だ!!)
(五和のやつ………あの化け物相手にここまでやるとは……浜面、覚悟しなぁ)

 各々こんな事を思っている間に2人の1対1は激しさを増していく。
 そして後半40分に差し掛かった時、この均衡が崩れた。

「―――楽しい時間でしたけど、そろそろ終わらせて貰いますよっ!」
「なっ……誰もいない所にバックパス――」
「あいさがいるんだよ!」

 一瞬の隙をついて真夜はキープしたボールを背後に放った。
 そして放った先の誰もいないスペース――もとい姫神がいる場所に放られたボールは走り込んできた浜面と半蔵のペアに渡り、2人は一気に攻めあがる。
 五和を信じていた【歩く教会】チームの面々は五和が抜かれたという一瞬の隙によって走り込んできた2人への反応が遅れてしまった。

「いくぞ、半蔵!俺たちの必殺、曲がるシュートだ!!」
「おう!いくぞ!!」

 2人は同時にシュートを放ち、それは斜め上へと向かって飛んでいった。

(この軌道……明らかに場外ホームランじゃない!確かに曲がるなら入るかも知れないけどそんな能力者はいない筈――)
「――甘い」

 その言葉と共に現れたのは、そのシュートに対してオーバーヘッドシュートをうとうとしている姫神。
 その状況を見て、心理掌握はさっきの言葉の意味を理解した。

「(そうか!曲がるというのは途中でシュートを加えて軌道を変えるという事……)これは、姫神先輩の影の薄さを利用した――」
「………」
(なんか、凄い気にしてるー!!)

 しかし凄まじい勢いで放たれるオーバーヘッドシュートを止めることが出来ず、再び同点となった。
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注釈

*1 了解であります、姫神様!!